Sister Complex  (37)

司とつくしの婚約披露パーティーが終わってからしばらく、つくしは体調を壊して学校を休んでいた。
自分の部屋からも出ずに俺たちにも顔を見せなかった。

道明寺とのこともあって両親はしばらく日本で仕事をするらしい。
父さんは常に会社にいたが母さんはつくしの事が気になるのか自宅から離れなかった。


「どうしたのかしら・・・つくしは。そろそろ学校にも行かせないといけないと思うのよ?このままだとマスコミも
煩く言うわ・・・司君からも連絡が来ているのよ。うちにも来たいって言ってるんだけど・・・類はどう思う?
つくし、この前のパーティーからおかしいでしょう?何かあったのかしら」

散々つくしの気持ちを振り回しているのは大人達なのに。
それでもやはり育ててきたわけだからつくしのことは可愛いんだろうか。2階にあるつくしに部屋の方を
ずっと気にかけている。その顔は母親そのもの・・・もしかしたらこの人にも複雑な心境があるんだろうか。


「あの日以来俺にも会おうとはしませんから・・・でも急な話ですし、それまでは自由に育てたんでしょう?
いきなりこの世界のルールを押しつけても余計に抵抗するんじゃないですか?」

「そうね・・・無理をさせすぎても可哀想だと思うけど・・・道明寺家の事はチャンスだと思ってるの。
つくしが司君と上手くいってくれたら助かるんだけど・・・司君もあんな性格の男性だから。
まぁ、ここは類に任せるわ。少し様子を見てくれる?あんまり体調が回復しないなら病院も考えないとね」


そう言い残して久しぶりに母さんは会社に出かけた。
両親がいなくなった自宅・・・俺はつくしの部屋に向かった。


*******


「つくし・・・俺だけど、開けてくれない?何してるの?」

部屋をノックしたけど返事はなかった。内側から鍵はかけていないようだ・・・俺はゆっくりとドアを開けた。


つくしはベッドの端に座ったまま窓の外を眺めていた。
テーブルの上には昼食がそのまま手をつけられない状態で残っていた。

俺が入っても顔を向けないつくしの側に行って、同じようにベッドに座った。


「どうしてそんなに落ち込んでるのさ。あの時、やっぱり何かあったの?それとも俺には言えないこと?
驚かないから何でも言っていいよ?・・・それでつくしの気持ちが治るなら」

「ううん。本当に何もなかったんだよ。ただね・・・事実なんだって思ったらいろんなことがどうでも良くなってしまって。
何も考えたくないし、何もしたくないの。それだけだよ・・・」

「でも、食事ぐらいは摂ってよ。加代も随分と心配してずっと泣いてるし、母さんも今は会社に行ったけど
今まで家から出られなかったんだから・・・みんなが心配してるよ?」

やっと、つくしは俺の方を見た。
随分顔色が悪い・・・もともと痩せているのにまた小さくなってしまった。
堪らなくなって・・・そっとつくしを抱き締めた。やっぱり・・・細くなってる。

「つくし・・・まだ婚約しただけでつくしは花沢の子だよ?道明寺の人間じゃないんだけら諦めないでよ。
言っただろ?俺がつくしを守るって・・・」

「覚えてるよ・・・でも、怖いんだよね。道明寺が言ったのよ・・・私が何かしたら花沢にとんでもない事が起こるって。
そしてそれが類にも影響するんだって・・・それを忘れるなって・・・」

なんだ・・・その程度のこと?
花沢が・・・と言うよりつくしが問題を起こして婚約破棄にでもしたら道明寺が花沢を攻撃するって?
そんな言葉を信じたんだ・・・つくしが経営に詳しくないからって司もそんなくだらないことを言ったのか?
いや、逆に考えたらそうまでしてつくしに行動を起こされたくないってことか・・・。

司が本気だから・・・つくしを離したくないんだね。


「俺の事を想って悩んでたの?それなら心配いらないよ。そんな事ぐらいなんともないから・・・。
司とつくしの間で起きた事なんて経営には影響なんてしないよ。つまり、俺も困らないってこと!
そんな事よりもこんなに痩せたことの方が一大事だよ!下に降りて加代にデザートでももらわない?
甘いのが苦手な俺が付き合うから・・・ね、そうしよう?」

「ふふっ・・・そんなに喋る類は珍しいね」

「つくしのせいだよ!あんまりにも静かだから怖いんだって!」

少しだけ笑ったつくしの手を取って部屋を出た。
でもふらついたつくしは階段を降りるのも怖そうだったから、俺が抱き抱えて下に降りた。


「お姫様みたい・・・類がこんなに力持ちって思わなかったんだよね」

「失礼な・・・!前にもこうしてあげただろ?このくらいの力はあるんだってば!寝てばっかりだと思ってるだろ?
つくしの1人ぐらい平気だよ・・・あ、覚えてないんだ。貧血起こして倒れてたから」

「ちゃんと知ってるよ。類が道明寺と戦ったときでしょ?あの時の類は格好良かったね・・・。
私は初めて見たけど・・・類が喧嘩するとこなんて」

「そう?・・・男だからね、大切な人は守らないと」

つくしの腕は片方俺の肩に掛かっていてその指先に力が入るのがわかる。
顔を見たら赤くしたまま眼を反らせて階段の下のほうを見ていた。



ダイニングにこのまま降りたら加代がびっくりして近寄ってきた。

「まぁっ!類様もつくし様も・・・なんてことしてるんですか!もしご両親に見られたら・・・」

「別にいいじゃん!それよりも加代、つくしが全然食事してないから何かデザートでも出してよ。
栄養のあるもので食べやすいもの・・・約束だから、一応俺にも・・・」

「はいはい・・・つくし様、少しはお元気が出ましたか?いろんなことが起きたから疲れましたでしょう?
でも、すぐにここを出るわけではありませんわ・・・加代もおりますから何でも言って下さいませ・・・」

「うん・・・ごめんね。心配かけて・・・ありがとう」

加代が準備してくれる間、つくしと学校の話をしていた。
あまり行きたくはなさそうだけど、成績のことも進学のこともあるからそろそろ行こうかと。
でも一番の問題は司に会うかもしれないということだ。


「類・・・実はね、私道明寺に言ってしまったの・・・類のこと好きだって。ごめんなさい・・・お友達なのに」

「・・・別にいいよ。知られたんなら知られたで・・・俺はかまわないよ」

「だからね・・・道明寺が言ったの。類のことを忘れさせてやるって・・・それが怖かったの。
忘れないよって言ったけど、道明寺には私を振り向かせる自信があるらしいわ・・・
その言葉の意味がわからなくて・・・不思議でしょう?類を好きだって言ったのに怒らなかったのよ?
それでも婚約は解消してくれないんだって・・・」


司が俺たちの気持ちを知ったわけか・・・。
これはある意味つくしが問題行動を起こすより厄介かもしれない。
もうひとつ・・・また監視しないといけないことが増えたわけだ。


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