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plumeria

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西門さんが連れて行ってくれたのは小さいけど上品な・・・隠れ家的なお店だった。
まるで普通の家みたいな造りでお店の名前すら探さないとわからないほど小さく出しているだけ。


「いらっしゃいませ。総二郎様、お久しぶりですねぇ・・・さぁ、奥へどうぞ」

「急にごめんね。女将さん・・・今日も任せるからさ。こいつはなんでも食えるから!」

「はいはい・・・わかりましたよ。総二郎様にはいつものね・・・」

いかにも慣れていそうな感じ・・・でも、この女将さんは年齢的に西門さんの許容範囲外だわ。
・・・ってなに考えてるのかしら。この人と私はただの知り合い・・・わたしにとっては男友達だもの。
4畳半くらいの狭い部屋・・・西門さんにこんな狭い部屋のイメージがなかったんだけど・・・意外だわ。
お品書きも何もないから向かい合って座ったけどどうしたらいいかわからない。

正面に西門さんが座ってる・・・こんなの今までで初めてかもしれない。すごく緊張する・・・。


「お前、今なにしてんの?OLやってんの?」

「うん。後藤商事ってとこなんだけどね。まぁ、小さい会社よ。みんなの会社に比べたらね・・・
西門さんはちゃんとお茶やってるの?お家元お元気かしら・・・随分お会いしてないから」

「元気してるよ。人使い荒いから地方とかよく行かされんだよ!昨日まで金沢だったし・・・」

今日再会してから初めてまともに彼を見ていた。
おしぼりでその手を拭く・・・そんな何気ない仕草すらなんて綺麗だと思うのかしら・・・。
切れ長の目元・・・さらさらの黒髪、凄く綺麗なラインの唇・・・憎たらしいほど整ってる。
嫌になるわ・・・この人の前で女やってるの!完全に負けてるんだもの。


「で?・・・さっきの男は?どうしてお前に頭なんて下げてたんだ?そうまでして別れてくれって頼まれたのか?
わざわざあんな女を連れてきて?」

「まぁ・・・見ての通りよ。私とはこれ以上進めそうにないんですって!」

「お前、甘え下手だからな!男と同格がいいんだろ?そりゃ振られるよ!・・・女は可愛くないとな!」

そう!女だからって特別扱いされるのは嫌だったし・・・守られてるって感じにもなりたくなかった。
常に対等でいたかったから・・・金銭的にも精神的にも。弱いなんて思われたくなかった。
でも・・・振られる要因は他にあると思うんだけど。


「悪かったわね!だって可愛くする方法知らないんだもん!これでもお化粧だって頑張ってるのよ?」

「そういう意味じゃねぇよ。牧野が本気で恋してないからだよ」


「・・・え?」


なんでなの!一発で当てられてしまったってこと?恋に本気になれないって・・・。

「俺が教えてやろうか?・・・本気の恋ってヤツ」
「なんでよ!さっき3年ぶりに再会したばっかりじゃないの!」


ここで女将さんがお料理を運んできてくれた。
和食って言うけど創作料理で何となく見た目はフレンチみたい!凄く綺麗で美味しそう・・・!
食べるのがもったいないってこういうことを言うんだよね?それまでの微妙な空気を全部忘れて
目の前の料理に夢中になっていた。

そしたら西門さんが突然とんでもない事を話し始めた。


「牧野・・・お前、今までの自分を変えたくないか?」

「はっ?そりゃ・・・もうちょっと可愛い女にはなりたいわよ?何よ・・・急に!」


「1年間恋人やらないか?その間にお前を恋する乙女に変えてやるよ。その間は俺の言うことを全部聞くこと!
どうだ?その平凡な毎日に刺激が出来ると思わないか?」

「どうしてそうなるの?・・・本気で言ってるの?」

「本気に決まってるだろう!どうせ俺はまだ結婚なんて押しつけられたくないし、お前はろくな恋も出来なくて困ってるし・・・
いい提案だと思ったんだけど?それに相手はこの俺だぜ?・・・断るのか?」

どこまでが本気なのかしら・・・これだから昔からわからないのよ、この人だけは。
私は西門さんがお酒のグラスを持ってゆっくりと口に運ぶのを見ていた。・・・思わず自分の箸が止まってしまう。


「なに?そんなに見つめて・・・やっぱり俺ってそんなに美しいか?お前、自慢できるぞ?」

前言撤回!ナルシストな上に自己チュー過ぎるわ!

「何言ってるのよ!そんなふざけたこと出来ないわよ。恋愛ってもっと純粋で真面目じゃないと!
遊んでるわけじゃないんだからね?そんな事ばっかり言ってるから家元達が心配するのよ?」

「卒業できるかもしれねぇぞ?・・・鉄パン!」

「・・・は?」

何で知ってるのよ!そりゃ、当たってるけど外から見えるものでもないのに?!
しかも好きで守ってるわけじゃないのよ!その直前までは何度もいったけどその人のことが本気で好きかどうか
わからなくて・・・実行できなかったのよ!

「なにブツブツ言ってるんだよ。じゃあ、決まりだな!で・・・・それは何だ?」

「決まり?なにが決まったのよっ!もう・・・勝手なんだから!で、これはね・・・さっき別れた男のために買った
誕生日プレゼントの腕時計なの!・・・渡す前に別れたから」

「振られたの間違いのくせに!・・・って言うかお前、その男の誕生日に店の予約までして振られたのか?
すげぇ可哀想な女だな!・・・その男腕時計が欲しかったわけ?」

「知らない。だってわかんなかったからこういうものならいいのかと思っただけ」

なんだか散々な言われようだけど?いいじゃない、別れたで!振られたって言うより傷つかなくていいんだから。
そして急にこの腕時計の包装に気がついたのか、質問されたから正直に話したら大きく溜息をつかれてしまった。

「なにが欲しいのか聞いたのか?」
「聞くものなの?誕生日プレゼントなんて・・・」

今度はテーブルに頭をつけて伏せられてしまった!何なのよ、その態度は!


「あのな・・・牧野。子供じゃないんだから!なんでもいいと思うところがすでに間違ってるよ。
俺たちぐらいになったらプレゼントなんてものは今、欲しいものか好きな物、趣味で集めてるものとか?
そいつの喜ぶものにしろよ。聞きもしないで渡して興味がなかったり嫌いなブランドだったらどうすんだ?
お前、その男のこと何にも知らないから選べなかったんだろ?腕時計なんて好みがあるぞ?」


そんなにはっきり言わなくても・・・。
私が恋愛音痴になったのはあんた達、4人のせいじゃない!

本気で恋することに恐怖があるのよ!
あんた達の誰かを好きになっても叶わないことだらけで・・・諦めることだけ覚えたようなもの・・・。
だから誰かを好きになってもその手を掴む前に引っ込めてしまう癖がついたんじゃないの!


それに・・・目の前にいるこの人が一番その原因だったのに!


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Comments 2

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2017/07/18 (Tue) 13:52 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

さとぴょん様!こんにちは~!

総二郎の本気は怖そうですよね・・・逃げられない感がある気がする。
迫り来る感じでしょうか。
このお話は軽いんですけどねっ!

さて・・・どちらが先に認めるかな?この恋・・・!

しばらくは友達以上恋人未満で言葉だけで萌えさせます!!

どうぞ、気障な総二郎をお楽しみ下さいませ!

2017/07/18 (Tue) 19:27 | EDIT | REPLY |   

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