FC2ブログ

plumeria

plumeria

西門の車を呼んだ場所までの道、牧野が必死についてくるのを待たずにズンズン歩いていた。

「待って~」ってな声が聞えるけど無視!今の自分の顔を見られたくなくて、浴衣の裾をバッサバサ揺らしながら速度を落とさず進んだ。誰にぶつかろうが、誰かに声を掛けられようが止まれない。いや、この俺に声を掛けるヤツなんて居ないだろう・・・自分では見えねぇが、そのぐらい恐ろしい顔してる気がする。

そのうち交差点になって牧野が追い付くと、ハァハァいいながら呼吸を整える、それを見ても「大丈夫か?」なんて言わない。
信号が青になったら再び俺の足は牧野を置き去りにした。


「ちょっとぉ~!どうしてそんなに速いの?少し待って・・・足が・・・!」
「・・・・・・・・・」

「西門さん、あのっ・・・なんか怒ってんの?ねぇ、なんで無視すんの?」
「・・・・・・・・・」

「足が痛い・・・西門さん、あのさ、もうタクシーで帰るから・・・先に行って」
「・・・・・・・・・はぁ💢!」


信号を渡りきったら仕方なく立ち止まり、クルッと振り向いたら牧野はヒョコヒョコ足を引き摺りながらマジで痛そうな顔をしていた。それを見たらほんの少し罪悪感みたいなもんが湧いたが・・・それよりもさっきの態度が気に入らない方が強くて笑えない。

あれだけ立て続けに男で痛い目に遭ったのに、同じ事を繰り返してるような気がして。
次に何かあっても俺はもう助けてやらねぇからな!って思うが、よく考えたらこいつは俺が動いた事を知らない。だからこうやって怒ること自体、理解出来ないのは当たり前。

あぁ、そうだ!俺は勝手に動いたからな!!


そして亀のようなトロさで俺の横まで来ると、苦笑いしながら「先に帰ってていいよ」。


「・・・もう少しだけ歩けるか」
「え?でも、西門さんが急いでるって事は用があるんだよね?私はゆっくりじゃないと歩けないから・・・」

「この先まで行くと車が通ってる、そこまで頑張れねぇのかって言ってんだよ!」
「なんで怒るのよ~~~!そりゃ私だってそこまで行かないとタクシー拾えないし・・・」

「ド阿呆!この混雑で鈍臭いお前にタクシーが拾えるか!いいからあの先まで歩いてこい、すぐ近くまで車回してくるから!」
「・・・・・・・・・は~い」


そう言うとまた牧野を人混みの中に残し、自分だけが歩き出した。
この感情は・・・まさか、○○なのか?と自分に問うが答えが・・・・・・いや、そんな馬鹿な!!

この俺が・・・・・・・・・この俺が?!




*************************




「はぁ~、いたたたた・・・」

履き慣れないから下駄の鼻緒で足の指が痛い・・・それを少しズラしては歩き、また痛むから止まりを繰り返して、漸く車が走ってるところまで来た。
それでもまだ人は多く、確かにタクシーに乗ることなんて出来そうにない。

やれやれとそこら辺のビルの壁に縋り、西門さんの車が何処から来るのかとキョロキョロ・・・でも、よく考えたらあの赤い車じゃないはずだから私が探しても見つからない。
こんな場所に立って見つけてもらえるのかなって思ってたら、黒い車がスーッと目の前に停まった。そして窓が開いたら顔は見えないけど「牧野、来い!」って怒鳴られて、慌ててそこまで痛い足で走った。

駐車場じゃないから早くしないと・・・って思うけど浴衣だから動きにくい。
車まで行ったけど乗ることにモタモタしてたら、中から手が出て来てグイッと引っ張られた!!

「うわぁっ!ちょっとぉ!」

「出せ!」
「畏まりました、宗家に戻りますね」

勿論引っ張ったのは西門さんで、私はすっごい変な格好で後部座席に座ってると言うか、倒れてるというか・・・どっちかって言うと倒されてる感じだ。
西門さんはここでもブスッとしてて、引っ張った手はもう腕組みして浴衣の袖の中・・・目を閉じて口を尖らせ、何考えてるのかさっぱり判んない。


・・・ハッ!もしかしたら・・・光流さんとの約束があったとか?
花火が終わったら何時までに帰ってねって・・・それなのに私がグズグズして高瀬君と話していたから怒ってるとか?

いや、それならそれで言ってくれないと判んないし!


「・・・あの、西門さん・・・ごめんね」
「・・・何が?」

「その・・・私の考えが甘くて・・・」
「・・・判れば別にいいけど」(←視点がずれている2人)

「今度から気をつける・・・申し訳ない」
「・・・・・・俺も急がせて悪かった」


一応謝ったら機嫌は少し良くなったみたいだけど、どうして顔は反対側なんだろう?




***********************




自分が甘いって事に気が付いたって言うから少しはホッとしたが、今度は顔がニヤけてしまった・・・。
だから牧野の方を向けなくて、首だけ90度真横・・・車の窓ガラスに映った自分の顔にもドン引きした!

「今度から気をつける」・・・そう言うんだから、もう変な男には引っ掛からねぇだろう。
これで俺も一安心、少し冷静になってまずは自分のココロと向き合わねぇと、なんて考えてるうちに宗家に着いた。
今日は俺の車じゃねぇから正門前で降りると、牧野は少し痛めた足をまだ引き摺ってた。それを見ると速歩をさせた分、自己嫌悪・・・「見せてみろ」と、門灯の前で言うと、牧野が痛む足を前に出した。


「・・・少し血が滲んでるな。これじゃ少し歩いても酷くなるから下駄を脱げ」
「裸足で歩くの?」

「阿呆!女を裸足にして歩かせられるか!いいから脱いで下駄を手に持て」
「う、うん・・・」


脱ぐのも痛そうな仕草だったが、脱いでしまえば楽になったのかニコッと笑い、そいつを手に持った。それならって事で、牧野の背中と膝の後ろに手を回してフワリと抱き上げた。
それに驚いて「きゃあぁ!」と叫んで首を絞め・・・じゃない、首に手を回してしがみついてきた。


「ちょっ、西門さんっ!怖いから降ろして!」
「怖くねぇって、落とさねぇし」

「でも重いからっ・・・!」
「全然重くねぇし。しかもこれ、初めてじゃねぇから(背中だけど)」

「えっ?うそ、いつ何処で?」
「バーカ!お前が酔い潰れた時だろうが!」

「・・・・・・あっ、そっか・・・」


この状態で正面玄関から戻ると、志乃さんが出てきて「まぁまぁ、大変!」と。
そして急いで救急箱を持って来ると言って奥の間に戻り、牧野は玄関近くの部屋に連れて入った。そこにはちゃんとこいつの荷物が纏められていて、畳の上に降ろすとペタンと足を投げ出して座った。

その時の情けねぇ顔。
折角の浴衣も着崩れて、髪も少し乱れたがやっぱりよく似合っている。この姿で人混みに連れて行かなくて正解・・・あのチャラ男以外の男にもガン見されるのは間違いない。
・・・俺の見立てに間違いはなかったな、と思えた。


「ねぇ、西門さん・・・」
「なんだ?」

「花火、楽しかった・・・今日はありがとう!」
「・・・・・・おぅ///」





にほんブログ村 小説ブログ 二次小説へ
にほんブログ村
応援、宜しくお願い致します♡
関連記事
Posted by

Comments 2

There are no comments yet.
-  
管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます

2021/02/22 (Mon) 13:52 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

パール様、こんばんは。

コメントありがとうございます。

・・・・・・って、爆笑ーーーーっ!!

いやいや、そんな事出来ないでしょ!
そして何故あれだけベスト30まである?!(爆)絶対おかしいいって!!
そんなに書いたっけ?!

てか、私的にはねぇ・・・

泣きは花音がフランスに旅立つ時の総ちゃんの見送り方・・・かな?
最後は「800円の男」かも(笑)

後は判んないや(笑)
好きな場面だと、向日葵の再会とか・・・かな?

ってか、よくもまぁここまで書いたもんだ(笑)
自分でも吃驚した💦


あぁ、お話はこんな感じでラストに近付いて来ました!
もう一波乱あるけど、宜しくね~~♪

2021/02/22 (Mon) 22:47 | EDIT | REPLY |   

Leave a reply