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届いた着物を牧野と並んでしまっていたらなんだか妙な気分になってきた。
この桐箪笥に着物が入るなんてまだまだ先だと思っていたし・・・そもそも牧野の着物だぞ?
それにさっきの自分の行動にも、自分で言っておきながら驚いていた。

あの時・・・東が牧野に着物を合わせているのを廊下の向こうから見て異常なほど腹が立った。
東はもちろんだが牧野まで赤い顔して、その肩をあいつに触らせやがって・・・隙だらけじゃねぇか!

この夏用に作った着物はとくに出番があるわけじゃなかった。だからまだ許せたけどこの浴衣は別だ。
これは俺の浴衣と対の生地・・・同じ職人が染めた柄違いのものだったけど、それを牧野が選んだのは偶然だった。
だからってわけじゃねぇけど、この浴衣を牧野に合わせてやるのは俺だと思っていたから。

そんなこと牧野は全然気がつかないんだろうけどな。



「西門さん、どうしたの?やっぱりここに入れるのやめとく?私もちょっと気になるし・・・」

「なんでお前が気にすんだよ!いいから・・・早く片付けて事務所に戻れ。そろそろ西村さんが怒るぞ?」

はいはいって暢気な顔して答えてやがる。


「夏が終わったらまた作りに行くんだけどせっかくだからお前にも作ってやるよ。次に頼むのは俺の初釜用だけど
そうだな・・・お前には正月用の振り袖かな。ここはその頃行事が多いから、お前も着物を着る機会があると思うぞ」

「こんなに暑いのにお正月の話?・・・季節感ないんだね!でも私にはもういいよ。従業員に着物作る雇い主なんて
いないと思うよ?それに、そんなことされたらまた嫌がらせ受けるかもしれないじゃん!」

「嫌がらせ?・・・何度かあるのか?」

一瞬、しまった!って顔して視線をずらした。・・・西村さんから少しは聞いてるけど誰にも言わずに我慢していたのか?
牧野の肩を掴んで俺の方にその身体を向けさせた。少し眉根に皺を寄せて困った顔をしている。


「俺がお前をここに入れたことで、もし誰かから何か言われたらすぐに知らせてこい。ここに来るヤツはお前が
思ってるより腹黒い連中が多いから我慢してるだけじゃ何をされるかわかんねぇぞ?
俺にはお前をここに入れた責任があるからな・・・絶対に1人で解決しようとすんなよ!・・・いいな!」

「う・・・うん!わかった、わかったから、その肩に力入れるのやめてくれない?痛いんだけど・・・」

「真面目に話してるんだ!どうなんだ?・・・今までどんなことをされたんだ?」

「・・・心配しなくていいよ。あんた達のせいで陰口言われるのなんか学生の時で慣れっこだから!
言いたい人には言わせておくし、そんなことで負けないわよ!それに事務所の人はわかってくれてるから。
それよりも手を離してってばっ!・・・肩にアザが出来たら労災申請するわよ!」

「特別手当の範囲内だ!」
「えっ?危険手当って雇い主からの暴力だったのっ?!」

労災とか暴力とかはぐらかしやがって!・・・俺が真剣に話してるのに、少しぐらい我慢できねぇのかっ!
なんだか理解してるのかどうだかわからない牧野は、軽く笑いながら最後の浴衣を丁寧に桐箪笥の中にしまった。



その後、牧野が事務所に向かう途中であることを思い出した。

「あ、そう言えば類とあきらから電話があったんだ。2人とも今日本に帰ってるらしいぞ。お前の事話したら会いたいってさ。
西門で働いてるって教えたら類がものすごく怒ってたけど・・・どうする?会いに行くか?」

「ホントに?懐かしいなぁ・・・もちろん会いたいよ!いつ会えるの?」

「なんでそんなに嬉しそうにするんだよ・・・街の中で俺と再会したときには喜ぶ前に大声で怒鳴りつけたくせに!
全然嬉しそうにしなかったよな!・・・この差はなんだ?」

「あれ?そうだっけ?・・・あっ!だって、捕まってたからだよ!喜ぶ暇もなかったじゃん!」


類達に会えるって聞いた牧野は一気にその表情を変えた。
東がこいつに着物を合わせてたときもそうだったけど、なぜか類達が相手でもすごく腹が立ってきた!
でもこんなことでムカついてるなんて牧野に知られるのも癪だから、あくまでもそこはポーカーフェイスを突き通す!


「いつにしようか・・・次の木曜日はどうだ?お前予定なんてないだろ?」

「その予定なんてないだろってのは気に入らないわね・・・ここで働き出してから誘ってくれる人も激減なんだから
そりゃ予定なんてないわよ。西門さんだって知ってるくせに・・・」

「元々誘われることもなかったヤツが見栄張るんじゃねぇよ!」

「失礼ね!これでも昔は結構いたのよ!・・・このあいだもね、神奈川から支部の人が来てた時に誘われたのよ。
でもね、私と飲みに行きたいって声をかけてくれたのに後でその人の方からキャンセルされたのよ?・・・おかしくない?」

「神奈川の?・・・まぁ、残念だったな。でもあそこには独身者はいなかったぞ?危ない関係に進まなくて
良かったじゃねぇか。不倫なんてお前には似合わねぇよ!しかもお前、酔うととんでもない醜態さらすくせに・・・」

西村さんが神奈川にヤツに忠告でもしたんだろうな・・・確かにぽけっとしてるから狙われたな?


「でも誰か1人くらい食事に誘ってくれてもよさそうなのに・・・そんなの西門さんしかいないんだよね」
「充分贅沢じゃねぇか!」

そりゃそうだろう・・・ここでは俺が睨み効かしてるんだから誘う奴なんて出てくるはずはねぇよ!
こいつは知らないだけ!さっきの東や神奈川のヤツみたいにこいつを狙ってるヤツは他にもいるんだから。
ただそいつらが牧野に近づいたら西村さんが阻止してくれているはず。・・・頼んでるからな!


例え仮とはいえ1年の契約期間中だ・・・お前の安全は守ってやらないとな!


*******


次の週の木曜日・・・類とあきらは俺が予約した店に2人揃ってやってきた。

俺は牧野をドレスアップさせて先に待っていた・・・この俺のところにいるんだから今までの牧野じゃないとこ見せないと!
黒いドレスの牧野は顔はともかく大人の感じ・・・広く開いた背中のライン、意外とこれが色っぽくて良かった。
もしかしたらこの2人に火をつけねぇかな・・・失敗だったか?・・・そんなことを考えていた。

そして店内に入るなりこの俺を無視して類は牧野に抱きついた!


「牧野っ!久しぶり・・・あんた、どうしてたの?連絡もくれないで3年経ったら西門で働いてるなんてどういうことさ!」

「もう!花沢類ったら相変わらずだね!息がしにくいから離れてよっ・・・西門にお世話になったのは最近なの。
偶然、西門さんと再会してね・・・やっぱり深く追求しないで?・・・答えにくいから!」

そうだろうな・・・恋人1年契約させられたうえに「寿退社」までさせられて、その後は西門で強制労働させられたなんて
類が知ったら今度は花沢でも強制労働させようと必死になるはず・・・。
そして類は抱きついたまま牧野を離そうとしない・・・まったくなんにも成長してねぇな!

苦笑いのあきらは類と牧野の横を素通りして俺の所に来た。


「総二郎も久しぶりだな。どうした・・・機嫌でも悪いのか?顔が怖いぞ?」

「別に・・・なんでもねぇよ。久しぶりだな、あきら」

そうは言うけど眼はしっかりとあの2人のほうを向いてた。
あきらはもちろんすぐにわかるから意味ありげに薄く笑ってやがる。


「気になるんだ・・・で、いいのか?放っといて・・・相手は類だぞ?」

「良くはねぇけど・・・久しぶりだから仕方ねぇよ。このくらいは許してやらねぇと類が拗ねるだろ?後が面倒くさい・・・
それに俺はほぼ毎日牧野といるからいいさ。あいつらも話したいことは沢山あるだろうしな」

「あれはお前の趣味か?・・・失敗したな!あんなに女っぽくさせたら類がまた夢中になるぞ?
でもマジで綺麗になったな。女ってのはこのくらいの年は一番変化するのかもな。あの牧野がねぇ・・・」

グラスを片手にあきらと酒を飲んでる間、類と牧野は席をカウンターに移して2人で話し込んでた。
後ろから見てたけど肩がくっついてねぇか?ノースリーブのドレスなんてやめときゃ良かった!
それに背中もここから見たらやっぱり開きすぎてる・・・なんでこんなの選んだんだろう。

「やだっ!花沢類!・・・そこは違うったら・・・あのね?・・・」
「いいじゃん!これからは帰ってきたら絶対会おうよ!・・・それでさ・・・」


なんの会話だ?何がイヤで、何が違ってて、それでさ・・・の次はなんだっ!


「総二郎・・・お前随分可愛くなったな。もしかして今は遊んでないんだ・・・総二郎?・・・総二郎っ!」


あきらが何か言ってるみたいだが全然耳に入んねぇよ!


LOVE8.jpg
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Comments 6

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2017/08/02 (Wed) 13:05 | EDIT | REPLY |   
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2017/08/02 (Wed) 13:33 | EDIT | REPLY |   
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2017/08/02 (Wed) 16:16 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: こんにちは

えみりんさま、こんにちは✨

私、なんでこんなときでも司くんを呼ばないんだろう。ちょっと反省しました。
彼が来たら話がどっかに持っていかれるからかな?
あんまり書けないんだけど、今度は総二郎と司くんのバトルでも書こうかな…無理かな。

明日は類くん目線でいきますよ?

今日もありがとうございました❗

2017/08/02 (Wed) 16:47 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

花様、病んでるね…。

わかった!リクエストしたのね?

次回の私のお話で、花様を出して総二郎とエロチックに書いてあげよう!それでどうだ?
私の技術では満足しないだろうが、それで許しておくれよ…。

なーんて!(笑)仕事しようよ!

2017/08/02 (Wed) 16:55 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

さとぴょん様、こんにちは🎵

いやん、可愛いでしょう?総二郎のヤキモチっ!
類がばっちりくっついてるのを後ろからどんな顔でみてるやら!

着物を脱がす…いや、やっぱり書いてみたいわ~。
って思うんですよ。でも、そんな想像というか場面がわかんないので勉強します。
エロいですよね。書ける人が書くとエロなんですよ。
私が書くと、笑えるだろうなぁ‼️(笑)

よし、勉強しよう!
(忙しいといいながら、なにしてんだか‼️)

今日もありがとうございました❗

2017/08/02 (Wed) 17:05 | EDIT | REPLY |   

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