FC2ブログ

plumeria

plumeria

牧野にこのジンバランで有名なスパに行ってもらおうと思って予約を入れていた。
いつも忙しくしている牧野はいつも自分の事は一番最後にまわしてばかりで自分磨きって事をしないからね。
せめてここではお姫様気分でゆっくりしてもらいたくて。

「いいのに・・・私は特に疲れてなんかないんだよ?なんだか恥ずかしいよ・・・スパなんて」

「どうしてさ。俺のために綺麗になろうって思ってくれたら良くない?それだと気にならないだろ?
贅沢だと思うから嫌なんだろ?でもさ・・・寝ちゃうぐらい気持ちいいらしいよ?なんだったら気が済むまで寝ておいでよ!」

「・・・類じゃあるまいし!寝ないわよ・・・知らない人が触ってるんだよ?」

「触ってるんじゃなくてマッサージだよ!ほら、早くして!予約の時間に遅れるから!」

食べるときと遊ぶときは自分から急ぐくせに、こうやって気が乗らないと途端に鈍くなる。
特にそれが贅沢だと思えることは本気で嫌がるんだ。

牧野を引っ張って車に乗せてスパまで走らせた。途中もまるでつかまった犯罪者のように落ち込んでる・・・。
そこまで嫌がらなくてもいいのに・・・だんだんおかしくなってきて笑うと背中を叩かれた!

「あのね?はっきり言うけど・・・その、脱がなきゃいけないんでしょ?それがイヤなのよ・・・!」

「だって女性だよ?マッサージしてくれるの・・・それでもダメなの?」

「うん・・・知らない人に触られるの苦手・・・マッサージって直接肌に触るでしょ?」


「俺は・・・?知ってるからいいの?そこが気になるんだけど」

今度は真っ赤な顔で思いっきり肩を殴られた!馬鹿じゃないのっ!って怒鳴りながら・・・!
嬉しいけどそこまで力一杯殴らなくても良くない?運転手が驚いて振り向くから牧野は暴力を全否定してたけど。

そしてスパについてから牧野を強引にフロントに預けた。泣きそうな牧野に手を振って・・・俺はスパを後にした。
今からは「晴美さん」を探さないとね・・・絶対にまた邪魔をしに来るはずだから!


スマホを取りだして・・・かけるのはフランスにいる父さん。
だって本人にかけても絶対に出ないよね?それが本当なら!

「もしもし・・・俺だけどあの人そこにいるの?・・・それとも日本に戻ってるの?」

『類か?あの人とは・・・そんな言い方はないだろう!何があったか知らんがお前の事を心配して日本に慌てて帰ったぞ?
今頃そっちじゃないのか?私には何の連絡もないが・・・会ってないのか?』

「ふう・・・ん。いいんだ、それなら。多分まだ会ってないだけだと思うから。じゃあね、父さん」

ホントに世話が焼ける人だらけだ!早く見つけないと・・・何処で何をするかわかんない人だから。
このあたりのホテルにいるはず・・・牧野がスパしてるうちに見つけてやる!
今度はこの辺りのリゾートホテルに電話をかけまくるハメになった!


********


「牧野つくしさん・・・ですね?どうぞこちらで少しお待ちください」

日本語で対応してくれるなんてさすが類が見つけるところだわ。
そしてなんてゴージャスな待合室・・・こんなところに来る人はみんなお金持ちなんだろうな・・・。
私なんてホントに場違いな気がする。周りの人は見るからにお金持ちみたい・・・こういうのを味わうから嫌いなのよ。

顔を上げて他の人と見比べるのがイヤだからずっと下を向いて順番を待っていた。
そしたら1人の女性が入ってきて私の前でその足が止まった。すごく綺麗なゴールドのミュール・・・。

「あら・・・?つくしちゃん!・・・また会ったわね!」

「え?・・・晴美さん?うわぁ、本当によく会いますね!」

顔を上げたらそこに立っていたのは晴美さんだった。と、いうことはこの派手なミュールの足はこの人?
今日の晴美さんはオレンジのリゾートスタイル・・・派手な柄だけど晴美さんが着ていたら上品に見える。
本物のお金持ちってこういう人のことを言うんだろうな。
類もたくさんブランドもののドレスを買ってくれたけど私が着たらどうも馬子にも衣装・・・って気がする。
人間を引き立てるはずの服が、私が服の方を引き立てているような・・・どうしてかしら、どうも卑屈になってしまう。


「今日はスパなのね!彼が申し込んだんでしょう?あなたに綺麗になって欲しいって!」

「はぁ・・・そうみたいですね・・・」

「あら・・・どうしたの?随分暗いわね?・・・彼と喧嘩でもしたの?」

「いいえ、喧嘩なんてしませんよ、っていうか喧嘩にならないんです。こう見えて仲はいいんですよ」

「・・・話してみない?悩みがあるなら聞くぐらいは出来るわよ?」

優しそうな晴美さんの声と、ここが旅先でこの人とは日本では会わないと思ったからなのか・・・
わたしは晴美さんに自分の事を話してしまった。

「彼はとても大きな会社の跡取りなんですよ。だから、私みたいな一般家庭の子は釣り合わないんです。
だって彼が良くてもそれ以外が全員反対してたら、私だけじゃなくて彼にも悲しい思いをさせるかもしれないでしょう?
彼のことは大好きだしずっと一緒にいたいけど・・・いつかは別れることを選ばなきゃいけないのかなって・・・。
もしかしたらこの旅行が最後になるかもしれない。彼は来年・・・早かったら年内には日本を離れますから。
それに付いてきて欲しいなんて言うんですけど無理じゃないですか!・・・・・・だから迷ってるんです」

「どうして、別れることしか選択肢がないの?」

「それは・・・二度と同じ思いをしたくないからです。今の彼の前にも同じような立場の人と付き合いましたけど
やっぱりダメでした。その時に助けてくれたのが今の彼ですけど・・・彼の家もきっと同じだわ。
こんな私を受け入れてはくれないと思います。ちゃんとした家から相手を迎えたいでしょうから」

晴美さんは凄く真剣に話を聞いてくれた。
多分この人もそうやって選ばれた人だろうからわかるかどうかは疑問だけど。

「彼は何て言ってるの?彼はそのことを両親には言ってないの?」

「彼は私の家のことなんて気にしてないと思います。私にもそれは関係ないっていつも繰り返し言うんですけどね。
ご両親にもまだ言ってないと思います・・・もしわかったら反対されるって思ってるんじゃないかしら。
この旅行が終わったら返事を欲しいと言われました。でも決心がつかなくて・・・怖くて仕方ないんです。
それに私の親が問題なんですよ。ホントに恥ずかしいんですけどね・・・」

「あなたのご両親が?どうして?・・・反対してるの?」

「逆なんです!もう・・・昔からお金持ちとの結婚ばかり夢見て、呆れる人達なの!だから・・・イヤなんです。
もし彼の家が許してくれて一緒になっても今度は私の親が迷惑かけそうで・・・」


少し時間が経ってから晴美さんは私に問いかけた。

「あなた、何が得意なの?自慢出来ることが一つでもあるかしら?」

急になんでそんな質問をするのかと思って晴美さんを見たけど彼女はいたって真剣だった。
今まで色んなところで出会ったけど今日のその眼が一番真剣だった。

「自慢ですか?・・・そんなものはないけど、勉強は好きです。新しいことを覚えたりするのは得意かな。
知りたがりだから調べ物も好きですね。あとは健康かな?・・・体力には自信があります」

「だったらいいんじゃないかしら?この恋を突き進んでも・・・机に向かうだけが勉強じゃないわよ?
企業でトップに立つ人を支えるための勉強をするつもりがあるならいいと思うわ。それに健康第一でしょ?
あなたはいいものを持っているわ・・・良く彼と話し合ったら?」

私には晴美さんの言葉が随分他人事で気楽に答えられたような気がして少し腹が立ってしまった。
突き進めって言われても・・・類のことが本当に好きじゃないなら当たってく砕けろって言うのもありだけど
真剣に愛しているから臆病になるのよ・・・話すんじゃなかった!なんて事を心の中で思った。
そんな気持ちが顔に出ていたのかもしれない。


「ごめんなさい・・・嫌な言い方したかしら。でもそこまで愛してるのに別れることばかり考えてるみたいだから
若いのに残念だなって思うのよ?断られてもいいじゃない・・・突き通せばいつか本物になるのよ?
鬼みたいな親でももしかしたら喜んでくれるかもしれなくてよ?彼のことも少しは信じてあげたらどうかしら」

「信じてないわけじゃないんです・・・私が臆病なだけですから」


その時に順番が来て私は呼ばれたその部屋に向かった・・・入る前に振り向いて晴美さんに頭を下げた。
もう一度見た彼女は悲しそうに笑っていたけど・・・。


スパは確かに気持ちが良かった。
全身のマッサージにフェイスパック、フットリフレクソロシーと言う足裏マッサージも・・・
気持ちが良かったけど、晴美さんに話したことをもう一度考えていたらとても寝る事なんて出来なかった。

bari.jpg
関連記事

Comments 2

There are no comments yet.
-  
管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます

2017/08/07 (Mon) 01:56 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: おはようございます(夜中ですが)

えみりん様、おはようございます!

こんなバレバレな展開ってのも先が読めてなかなかいいでしょう?
ルンルン類君もだんだんそうはいかなくなるんですよ。
晴美さん・・・次は何処であらわれるんだ?そろそろご対面か?
こんな短編の場合は何でもありで楽しいなぁ!

台風、大丈夫ですか?
私のところは強風域で終わりましたから良かったけど
もし暴風域にいるのでしたらお気をつけ下さいね!
一度台風の目!って言うのを見たことあります。
本当にぽっかりと空いてるんですよね~!

確かあの時は実家に被害がありましたよ。直撃は怖いです・・・。

ではお気をつけて~!!

2017/08/07 (Mon) 08:30 | EDIT | REPLY |   

Leave a reply