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この旅行が終わったら別れるだなんて思ってもないことを言う牧野を冷静に見ていた。

「理由はなに?家の大きさなんてつまんないこと今更言わないよね?」

「つまらないこと?・・・私にとっては最も重要な事よ?類だって知ってるくせに・・・!あんな思いはもう二度と
したくないのよ!この旅行が終わるまでに答えを出さないといけないなら・・・ついてはいけない。
類とは・・・無理矢理引き離されるぐらいなら自分から離れたい・・・その方がキズつかないわ。」

「誰が引き離すのさ!そんなこと誰が決めたんだ?・・・それに俺の気持ちはどうなるの?行き場がなくなるよ!」

そう言ったらポロポロ涙を流して泣くけどこのことだけは許してあげられない。
泣いても抱き締めてあげない・・・その答えを変えない限り流してる涙を拭いてなんてあげないよ。


「残りの日数・・・思いっきり楽しみたかったのに・・・類のバカ!」
「バカはどっちさ!そんな作りものの笑顔なんていらない・・・バレないとでも思った?そんな気持ちで残りを楽しめたの?
なんでわかんないんだよ!どうして最初から諦めてしまうのさ!」

「だって・・・!類だって私のことは花沢には隠してるんでしょう?恥ずかしくて言えないんじゃないの?
だから自分の親にだって話してないんでしょう?!」

「・・・え?」


あれ?・・・そうだっけ?親に話していること、まだ牧野には伝えてなかった?
もしかして牧野は俺が親に内緒で付き合ってるって誤解してるって事?

「ちょっと待って・・・何か誤解してない?俺は牧野の事、もう両親には話してるけど・・・。
基本日本にはいないから会わせてないだけで、うちの両親は会いたがってるけど・・・言ってなかったっけ?」

「・・・・・・は?言ってないわよ!初めて聞いたけど・・・うそ!前、親には話してないって言ったよね?」

「・・・あの時はせっかくの旅行だから家のことなんて考えたくなくて・・・」

「内緒にしてるんじゃないの?こんな私が彼女だなんて言えなくて・・・。会わせたくなかったんじゃないの?」

「ううん、別に・・・確かにわざわざ会いに行かなくてもいいかと思って、せっかくだからフランスのノエル(クリスマス)に
連れて行こうと思ってたのは本当だけど?もう付き合い始めた頃に全部話してるよ」

だんだん2人で話が合わなくなってきた・・・お互いに何か勘違いとかしてる?
俺も大事なところは全然伝えてなくて、牧野も恐怖のあまり俺には一言も確かめられなかったってこと?
向かい合ったまま沈黙が続いた・・・牧野も俺も頭が真っ白で次の言葉が出ない・・・。

そうしたら別荘の後ろでクスクスと笑い声が聞こえた・・・もちろんそんなことするのは1人しかいないけど!
牧野と2人でその方向を見たら・・・「晴美さん」が腕組みをしたままこっちを見て笑っていた。

「あれ?・・・晴美さんどうしてここに・・・?」

牧野はすごくびっくりして「晴美さん」を指さしてキョトンとしていた。
「晴美さん」はもう隠れることもなく腕組みを解いて庭に入ってきて、その姿を俺たちの前に現した。
そして俺の横に立ってがぶっていた帽子を取った。俺と同じ・・・茶色の髪を見てもまだわかんないかな?


「ふふっ・・・ごめんなさいね!牧野つくしさん・・・私、晴美じゃないの」
「牧野・・・この人は俺の母さん・・・花沢 遥香、が本名だよ」


口をポカンと開けたまま牧野は呆然と立っていた。そして俺が肩をポンッと叩いたら我に返った。


「お・・・母さん?類の・・・?ホントに?」

「そうだよ・・・牧野から聞いたときに嫌な予感はしたんだよね。そんなに都合よく会う日本人なんていないでしょ?
それも場所を変えたのにだよ?どれだけ俺のストーカーしたんだよって感じでしょ」

「つくしちゃん、本当にごめんね!初めて会ったとき・・・あれ、演技なの。本当は具合なんて悪くなかったのよ。
ただあなたと知り合いになりたくて・・・悪かったわ。こうでもしないと類が会わせてくれなから・・・!」

母さんは具合を悪くした自分を一生懸命ホテルに運んでくれた牧野に感動したらしいけど、それが演技だったから
申し訳なくて謝りたかったと何度も頭を下げていた。


「言えばこうやって邪魔をしに来るつもりだっただろ?だから言いたくなかったんだよ・・・牧野の事を話したときから
何回も会わせろって煩くて・・・牧野が決心するまで変なプレッシャー与えたくなかったんだよ!」

「あら!私には類の言葉が足らないから彼女が不安になったとしか思えないわよ?説明不足は経営者としても致命的だわ!
あなたはもう少しキチンと人に気持ちを伝えることを勉強すべきだわ!ホント中途半端だから!
伝わらなかったらこうやって大事なことも悲惨な結果で終わることだってあるんだから!」

出たっ!いきなりの上司発言・・・副社長だからって毎回こういう説教ばかりで鬱陶しんだって!

母さんと2人で牧野の方を見たら、さっきと同じポーズのまま固まっていた。
おかしくなって・・・仕方がないから側まで行って抱き締めてあげた。

母さんはやれやれって溜息をついていたけどね。
でも、俺に抱き締められた牧野はそれではっと正気に戻って今度は俺を思いっきり突き飛ばした!

「なっ!なんてことすんのよっ!おっ・・・お母さんの前でっ!」

「別にいいじゃん・・・ベッドシーン見せたわけじゃないんだから・・・」
「きゃあぁぁーっ!!なんて言葉を出すのよっ!」

だから心配ないってば・・・。うちの両親は俺の前でも平気でハグしてキスできる人達なんだから・・・。
このくらいの会話でびっくりしたりしないって・・・。むしろ今の牧野の方が新鮮で面白いと思ってるよ?


********


「さて・・・本当の自己紹介も終わったことだし・・・お話ししましょうか!つくしちゃん」

テラスで3人・・・向かい合って椅子に座った。
俺の隣には牧野が座って、俺たちの前には母さんが向かい合うようにして座った。


「つくしちゃん・・・あなたの気持ちはスパで全部聞いたからもう改めてここでは聞かないわ。
類のこと、大事に思っていてくれてありがとう・・・あなたのような人が類の相手で母としては嬉しかったわ。
ほら・・・私たちの周りには地位だけを狙ってくる人が多いから・・・」

「でも・・・私は花沢家には・・・」

「似合わないって誰が決めたの?あなたが1人でそう思ってるだけでしょう?違うかしら・・・。
類も言ったでしょうけど、類と司君が違うように花沢と道明寺も違うわ。確かに家柄は大きくて縁遠いと思うかも
しれないけど、私たちだってあなたと何の変わりもない普通の人間ですもの」

「私が相手では類さんに迷惑がかかりませんか?だって・・・」

「つくしちゃんがその格式みたいな部分に弱すぎるのは問題だわ・・・私が気になるのはそこだけよ?
そんなもの気にしないで強く生きられるのなら花沢は歓迎します。でも弱いままならお断り!
私も主人も類の相手には家柄なんていらないの。どれだけこの子を愛してくれて支えてくれるかが大事なのよ」

スパの中でとんでもない話をしてたんだね?でもここはもう母さんに任せようと思うから口を出さなかった。
ただ牧野が震えていたからその右手を取って指を絡ませた。
小さい声で「大丈夫だよ」って囁きながら・・・でもそれも母さんには聞こえてて今度は矛先が俺に来た。

「類も類だわ!いくら口で守ってやるとか心配するなって言っても女は心配して当然なの!あなたはつくしちゃんに
迫るばかりで肝心な自分の土台ってもんを作ろうとしなかったでしょ?ただフランスに来いって言われても彼女は
困るだけよ?行って何をするの?どうやって暮らすの?・・・あなた、ちゃんとプロポーズなんてしてないんでしょ?
つくしちゃんは恋人でしょう?不安な気持ちの中身を気付いてあげなさいよ!・・・顔だけじゃダメなのよ!」

「わかってるけど・・・伝わってると思ったんだって!毎日一緒にいるんだから・・・」

「毎日が一緒だからこそ言葉が必要なの!・・・もう、なんにもわかってないんだから・・・2人とも!
愛してたら眼を見ただけでわかるだなんて嘘っぱちよ?わかるわけないでしょう?恋人でも他人なんだから!
いいこと?抱き合ってるだけじゃダメなのよ!・・・わかった?でも、暖め合わなきゃダメだけどね」


凄いセリフ・・・ほら!牧野が今度は真っ赤な顔して汗かいてるじゃん!
だから会わせたくなかったんだよ・・・この人説教は正論だけど自分が言った言葉がドン引きされてるって知らないから。


「母さん・・・もういい加減わかったからそろそろ牧野を解放してよ。まだ何も食べてないんだよ?
今日は2人で海で泳ぎすぎたから疲れてるんだよね。また、明日また話さない?」

「あら・・・そうやって追い出そうとするのね!・・・類ったら、早く2人になって確かめ合いたいのね?わかったわよ。
いつのまにそんなに男っぽくなったのかしら・・・」


昔から男だから・・・。一体俺を今何歳だと思ってるんだろう・・・。
文句を言いながら拗ねている母さんを牧野が笑いながら見ていた。

もうすっかり暗くなって夕日なんて見えなくなった・・・代わりに今日も満天の星空が見えそうだ。


隣にいる牧野の顔はすっかり穏やかになってて・・・
抱き締めたらすっぽりと俺の胸の中に入ってきた。


bari11.jpg
ルンルン類君復活!
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2017/08/10 (Thu) 17:39 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

さとぴょん様!今晩は!

すみませんねぇ!類君をコケにするお母さんにしたかっただけなんですよ。
なかなか類に「顔だけ男」という人はいないもんですから。

で、このお母さんのセリフは私が会社の若い子に言ったセリフ!
だって20歳そこそこの子ばっかりなんで毎日が恋愛相談なんですもの!
彼氏が転勤で遠くに行くとか、浮気されたとか、もう飽きたとか!

暖め合わないとね、は言ってないんですけどね。
それ以外は同じかな・・・言った後で自分でメモろうかと思いましたよ。

なかなかいいお母さんしています。会社でね。

2017/08/10 (Thu) 20:51 | EDIT | REPLY |   

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