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「うわ、頭痛い・・・あれ?ここはどこ?・・・」

目が覚めたらどこかの倉庫みたいな場所に転がされていた。
周りには誰もいなくて異常に蒸し暑い・・・かび臭いから普段は使われてない場所なのかも知れない。
私は縛られているわけでもなくて身体は自由に動かせたから、立ち上がって少しその倉庫の中を歩いた。

「一体何だったの?・・・総二郎さん、また怒ってんじゃないかなぁ・・・黙って消えちゃったから。これで2回目じゃない?
でも今回は本当なんだけど・・・まさか、今回も道明寺さんじゃないよね?」

確かに前は道明寺さんに拉致されたけど一応紳士的な誘拐だったと思う。・・・ちゃんと名乗ってたし。
今回は誰がやったのか全然わからない。私に突きつけたものも本当に拳銃の類いだったのかしら。
そしてドアの目の前に来た。ドラマで言えばこのドアを開けたら誰かが見張っててもう一回捕まるのよ・・・多分。
そう思ったけど勇気を振り絞ってドアを開けた・・・ギギッと重たい音が響いて、その音で誰かが来ないかとドキドキした。


「あれ?・・・誰もいない。もしかして・・・出られるんじゃないの?」

ドアを開けたけど誰もいなくて物音も声もしない。足音を出さないように下駄を脱いで、それを手に持って歩いた。
薄暗い廊下を静かに歩いて行くと前方に電気のついてる部屋が見えた。少しだけドアが開いたままだ・・・。
でももう少し行けば表に出られるドアがあったから、なんとか通り抜けようとしたときに中にいた男達の話声が聞こえた。


「本当にこんな事で西門総二郎ってヤツが、その時期家元ってのをやめるのか?もしかしたら女よりも立場のほうを
優先するんじゃないのか?一生もんだろう?家元なんて・・・」

「さぁな・・・俺たちはそんなこと気にしなくていいんじゃねぇか?山崎の旦那が言ったことさえやれば金はもらえるだろう」

「失敗したらもらえないんじゃねぇの?」


・・・なんの話?総二郎さんが次期家元をやめる・・・って辞退するってこと?
いつの間にそんな事になってるわけ?こう見えても私だって次期家元夫人として頑張ってるんだけど?
総二郎さんが次期家元にならないんなら、もしかしてもっと自由で楽しく暮らせるのかしら・・・。
でも、あの人からお茶取ったら残るものって遊び心だけなんじゃないの?夜遊び復活・・・冗談じゃないわ!

裸足で下駄持って、その部屋の扉の陰に張り付くように立ったまま男達の話の続きを聞いていた。


「女好きで有名な西門総二郎があの嫁に夢中なのは本当らしいからな。どこが良いんだかさっぱりわかんねえけどなぁ。
嫁を傷物にしたくなかったら家元辞退の証書にサインしろってんだろ?するかな・・・俺らには関係ないけどよ」

「今まで連れてた女のほうがよっぽど色っぽいだろうに・・・知ってるか?銀座のエトワールって店の夏美って女も西門に
熱入れてるらしいんだけどよ。嫁が来た途端に飲みにも行かなくなったらしいぜ?嘆いてたもんなぁ!」

「・・・あの子供みたいな嫁でか?」

黙って聞いてりゃ、何がエトワールの夏美よっ!
大体私が止めてるんじゃないわよ?総二郎さんが自分の意思で行かないようにしてんのよ?だって自宅に妻がいるんだもの!
で、誰が子供なのよっ!実はもう立派な大人なのよ・・・福岡で本物の大人になったんだからっ!


「あの女をいつまで捕まえとくんだ?山崎の旦那はもう脅迫状でも西門に送ったのかな・・・」

「知らねぇよ。金持ちのすることは俺たちにはわかんねぇけど、連絡があるまで逃がさなきゃいいんだろう?西門が要求に応じたら
連絡する場所にあの女を連れて行きゃいいんだったよな。で、あの女まだ寝てんのか?」

「まぁ、あんな小さな女じゃ俺たちを倒せねぇだろうからな。念のため縛った方が良かったかな」


脅迫?・・・山崎って言えば関西西門の代表じゃないの?
どうなってんの?関西が東京を乗っ取ろうとでもしてるの?・・・総二郎さんはそんなこと一言も言わなかったのに。
もしかしたら・・・私が知らないだけでみんなはこの事を知っていたの?


この前、牧野のお父様がわざわざ西門に来て、なんだか挙動不審だったのもこのせいなのかしら。

私は突然現われたお父様の言葉を思い出した。そして帯に手を当てた・・・。


***

<10日前の西門邸・回想>

「つくし、元気にしてるのか?総二郎君とはなかなか上手くいってるらしいじゃないか。私はそれが嬉しくてなぁ・・・
お前を男性から引き離して育てたから世間知らずで男運がなくて・・・そのうえ女らしさに欠けてるお前が総二郎君を虜にするとは
思ってもみなかったもんだから・・・あの百戦錬磨の総二郎君を・・・」

「お父様・・・ものすごく失礼なことを真顔で言うの止めてもらえません?元はと言えばこの私があっちの世界に詳しくないのは
牧野の家のせいですから!これでも総二郎さんについていくのは精一杯なんですよ。毎日が体力勝負なんです。
私の何処がいいのかなんて言わないで下さいね?・・・これでも多少は傷つくんですから!」

久しぶりに来た牧野のお父様にとんでもない事を言われて、とんでもない返事をしてしまった!

自分たち家元同士が仲いいからってほぼ強引に見合い結婚させたことを、実は気にしていたってわけね?
でも結果オーライとはこのこと・・・意外にもラブラブになってしまったから、もうそこのとは良しとしよう!

茶道界でも華道界でも私たちの熱愛ぶりは有名らしくあちこちから冷やかされるのには慣れてしまった。
でも実の親から言われると流石に照れるものね・・・。


でもお父様はこの時、妙なものを私の目の前に出した。
それは牧野家に伝わる薬草を入れる包み。ご先祖は色んな植物でお薬を作っていたらしいから薬草秘伝書ってものがあった。
しかも色が茶色・・・これは毒草の粉末を入れるものだけど?


「つくし・・・これは私が先日作ったものだ。中身はドクゼリの粉末だ。知っているだろうが毒草としての効果はかなりあるがほとんど
死には至らないものだ。こういう世界は何が起こるかわからないから常に自分を守るために持ち歩きなさい。
荷物に入れてはならん。着物なら帯の内側にでも入れておけ。いいか?念のためだ」

「なんでですか?そんな物騒なことは起きませんよ。・・・え?まさか総二郎さんに?」

「なんで自分の旦那に毒をかけようとするんだ!お前が万が一何かの事件に巻き込まれたときに使えと言ってるんだ!
この世界は表から見えないところで何かと起きるものなのだよ。私だって母さんだって持ってるんだ」

そういうこと?私は総二郎さんが浮気した時に彼に使うのかと思ったわ。
心配性なお父様だこと・・・でもここは親孝行ってことで素直に言うことを聞いておこうっと!


「じゃあ、トリカブトで作れば良かったのに」
「お前は殺人犯になりたいのか?・・・アレは一発で逝くぞ?」

お父様は山ほどその包みを置いていった。どれだけ事件が起きると思ってんのかしら・・・。


***


「しかし・・・茶道っていうのも上品なようで中身は汚ぇなぁ!親戚同士で家元争いなんて!関西のボンボンが家元になりゃ少しは
俺たちにも金が入ってくんのかな?こっちの西門じゃそんなもんないだろ?」

「俺たちにこんな事頼んだんだ・・・この先は西門も俺たちの金蔓だな。ってことはやっぱり西門総二郎には辞めてもらわないと
いけねぇなぁ・・・その時期家元ってのをよ。」

「まぁ、あの嫁と交換で言うこと聞けばいいけどな。聞かなかったら嫁と一緒に始末だな・・・」


なんですって・・・私と交換ですって?
ちょっとこれは今までになくマズいのでは?・・・でも巾着ごとスマホも落としたし。
持ってても取り上げられたんだろうけど、どうやって総二郎さんに知らせたらいいかしら・・・。

考え事をしていたらつい、指先が緩んでしまった。そして指に引っ掛けていた下駄の鼻緒がスルッと・・・慌てた時には遅かった!
落ちた時に大きな音をたてたから勢いよくドアが開いて2人組の男が私の目の前に立ちはだかった!
落とした下駄を拾い上げて、私はその2人と向かい合って立っていた。


「いい度胸してるじゃねぇか!ここから出ようとするなんて・・・流石あんなデカい家に嫁に入るだけのことはあるな。
肝が据わってらぁ・・・でも、残念だがまだ帰らせるわけにはいかないんでね・・・倉庫の中に戻ってもらおうか」

「なっ・・・なによ!私をここに監禁したって無駄よ!あんた達が動く前に総二郎さんが来てくれるもの!」

「俺たちの会話を聞いたのか?まぁ、いいや。とっとと奥へ戻れっ!それとも縛られたいのかっ!」


「きゃあぁーっ!触んないでよっ!いやぁあっ!・・・」

男がいきなり腕を掴んだから出せる限りの大声で叫んだみた!!
冗談じゃないわよっ!誰もこんなサスペンス望んでないっつーのっ!!


yjimageKRN4HG6M.jpg
↑ドクゼリでございます。真似しちゃダメよ?
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2017/08/24 (Thu) 13:23 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: こんにちは

えみりん様、こんにちは🎵

毒草…結構調べましたよ。トリカブトは洒落にならんだろう!って思いながら調べてたら面白かった‼️
ドクゼリはなかなかヤバいみたい。
トリカブトの次に名前がでてました。

思わず煎じかたまで調べましたよ。

さぁ、明日は総二郎が乗り込んで参ります‼️(笑)
頑張ってもらいましょう!
パソコンが治ればいいのに…

2017/08/24 (Thu) 14:03 | EDIT | REPLY |   
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2017/08/24 (Thu) 23:11 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

さとぴょん様!たすけて~!!

そうなんですよ。どうやらパソコンというよりも私のブログに何らかの不具合が起きているようなんです。
だから更新は出来るんだけど修正や見直しがしにくくて・・・。
焦りましたよ・・・こんな日ですから特に!

スマホなら出来るんですけど画面が違うからやりにくい。
自宅に戻って確認してたらやっぱりミスがあって・・・ショックでした。しょんぼり・・・。

今はFC2に問い合わせ中なんです。治らないと非常に困る・・・。変な汗が出る~!!

データが消えたら泣くかも知れない・・・。

コメ返なのに愚痴ってごめんなさい!!

2017/08/25 (Fri) 00:17 | EDIT | REPLY |   

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