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plumeria

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7月の梅雨明け・・・とにかく蒸し暑くて今にも夕立が来るんじゃないかと思っていた仕事帰りだった。
やっぱり突然降ってきた雨に慌てて傘を差して、近道になる公園の中を走って自分のアパートまで急いでいた。

公園の真ん中あたり、小さなベンチのある所まで来たらそこに1人の男の人が座っていた。
雨の中傘も差さずに・・・髪の毛から足の先までずぶ濡れで、ただ目の前の小さな池を眺めていた。

こんなに薄暗いのになんで濡れたままでじっとしてるんだろう・・・
その人があまりにも可哀想に思えて私の足がそこで止まってしまった。
そして何故かベンチのほうに向かって歩いた・・・放っておけないような気がしたから。


「あの・・・どうしたんですか?もう随分と濡れてますよ?」

声をかけるとその人は顔を少しだけ上げて私を見た。
その人を見た瞬間ドキッとした・・・あれ?男性だよね、この人・・・こんなに綺麗だけど。

「えっと・・・このままだと風邪引きますよ?傘がないなら送りましょうか?この辺にすんでるの?」

その人はすぐに視線を私から外して、また呆然と池を眺めている。私の声が聞こえていないのかと心配になった。
彼は何も声を出さなかった。もしかしたら話せないんだろか・・・この雨で筆談?・・・スマホで?
色々考えたけど私の傘をこの人にも差しだして・・・せめて頭が濡れないようにした。

「私の声、聞こえてますよね?ここから動きましょうよ!家に帰りにくいならとりあえず私の家に来て身体を拭きませんか?
本当に風邪引いちゃいますよ?・・・肺炎になったらどうするの?」

そう言って彼の手を取った・・・。
うそっ・・・その手は雨に濡れているのにすごく熱い・・・この人もうすでに熱があるんじゃないの?

「ちょっとごめんなさい!」

額に手を当てたらすごい熱だった!とにかくここから連れて帰らないと本当に肺炎を起こしてしまう・・・!
私は自分も傘を閉じて、この人を抱えようと片腕を彼の脇の下に当てたけど・・・この体格差はどうしようもない!

「ちょっとあなた!このまま死にたくなかったら少しは自分で歩いてもらえないかな!私のアパートがすぐそこだから
頑張ってそこまで行くわよ!ね?・・・少しでもいいから力出して!」

私はこの180㎝超えてるだろう彼を片手に抱えて、自分もずぶ濡れになりながら必死でアパートを目指した。
彼は少しだけ自分で歩きながら・・・でも3歩も歩いたら倒れてしまうぐらい弱っていた。

「ほら!・・・もう少しだから・・・目の前なんだからっ!」

もう目の前にはアパートがあるんだけど私の部屋は不幸にも2階だった。
雨が目に入って痛いんだけど・・・とにかくこの大きな彼を一段ずつ上がらせてなんとか自分の部屋に着いた。
もう鍵を出すのが精一杯・・・ドアを開けて彼を引きずるようにして中に入れた。


「なんでなの?普通に仕事から帰っただけなのに・・・」

はぁはぁ言いながら自分も玄関で座り込んでしまった。
信じられないけど自分の部屋の入り口にびしょ濡れの美男子が寝てる・・・理解しがたい現実だった。

「あれ?・・・そう言えば着替え・・・着替えがないわ。私のはどう考えても無理だし・・・」


でも、寝れたまま放置するわけにもいかない・・・こうなったら仕方がない・・・脱がすしかないじゃない?!
私はバスタオルとタオルケットを持ってきて倒れている彼の身体を拭こうとしたけどやっぱり濡れた服の
上からってのはダメよね?

「もしもーし!ちゃんと声をかけてるからね?黙って脱がせたりしてないわよ?今から脱がすけど身体拭くためだからねー!
聞いてるよねーっ!あとで怒らないでよーっ!・・・・・・やだ、もうっ!」

濡れたサマーセーターを脱がせてもう一度身体を拭いた。そして上からタオルケットを掛けて・・・
当然だけど下は後でもいいよね?


「ちょっと近くの店まであなたの着るもの買いに行ってくるからここで待っててよ?・・・すぐに戻るからね!」

今度はこの人を取り敢えずここに置いといて、大急ぎで近くの店に服を買いに走った!
突然の大出費じゃないの?でも本当にあそこで死なれたら・・・冗談じゃないわ!見捨てたみたいで一生後悔する!

同棲経験のない私には男の人のサイズなんて全然わかんなかった。でも緊急事態ってことで身長が高そうだから
大きなものを2~3枚・・・もうスポーツ用でいいよね?と呟きながらTシャツと短パンを手に取った。

で・・・問題は下着・・・どれがいいんだろ。
まったくわかんないからいわゆるトランクスなるものを3枚・・・手に取るのも恥ずかしかったけど急いでレジに走った。


アパートに戻ったらやっぱり玄関前に彼は倒れたまま・・・高熱もそのままだった。
タオルケットをとって裸の彼を見たら、すごく色っぽくて・・・何故か1人なのにキョロキョロしてしまう!
どうして助けた私が悪いことしてる気分になるんだろう!

「ちょっと!今から服着せるから・・・少しだけ身体を浮かせてよっ!・・・いい?」

何となく彼も身体を動かしたから急いでTシャツを着せた・・・ここまではいいのよ。
問題はこのジーンス・・・こんなもの脱がせたことなんてないんだけど・・・どうしようっ!
もう心臓がバクバクしてて手が震える・・・でもここは勇気を出さないとって震える手に力を入れた!
目を反らせながらベルトを外して・・・もう後はしたこともないけど看護師の気分になってジーンズを下げていった!
そして恐る恐るそこに触ったら・・・あれ、そこまで濡れてない?

「よ・・・良かったわ!じゃあ短パンだけはかせよう!」

次はここから動かさないといけなかった。まだここは玄関のすぐ横だったから。
でもこの大男をまた抱えるのももう限界・・・仕方ないから自力で起きてもらおうとまた大声で叫んでみた。

「今度は起きて歩いて?!10歩ぐらい歩いたらもうそのまま寝てもいいから!・・・言うこと聞いてよ~っ!」

耳元で叫んだら彼はうっすらと目を開けて私を見たからもう一度同じことを言った。
彼はヨロヨロと立ち上がって部屋の奥へと進んだ。1人暮らしの部屋だからそんなに広くない・・・13歩でベッドまで行けた。
そしてベッドの上に倒れ込むように崩れ落ちたから、その後はなんとか真ん中で寝かせた。


「私の晩ご飯まだなんだけど・・・もういいや、なんだかお腹いっぱいだわ・・・」


疲れすぎた私はこの日晩ご飯を食べられなかった・・・。

そして彼のおでこには冷却シートを貼って体温を測ったら39.2度・・・なんて立派な高熱!
夜間救急を調べていたら急に後ろから声が聞こえた。


「寒い・・・」

「は?・・・あなた、しゃべれるの?それなら早くしゃべってよっ!名前は?名前なんて言うの?」


「花沢・・・類」


るい?・・・変わった名前ね・・・

病院に行こうにも保険証がない。
結局この日は朝まで様子をみることにして彼の身体を拭くことに専念していた。


asa17.jpg
今度はしっとりとした恋?物語です。
朝顔でお届けします。
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2017/08/14 (Mon) 00:25 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

さとぴょん様、おはようございます。

あはは!そうでしょうね!絶対にさとぴょん様はここで転けると思いましたよ。
でも読み返したら・・・触ってみたって書いてたけど、何処をだよっ!って自分で思いました。
書いたときは多分変な気はなかったんだけど、ジーンズ脱がして触るって・・・ねぇ!
トランクスじゃなかったら余計に怖いわ!
しかもこの表現で濡れてないわけはない!1話めから書けなかっただけかも。
どこがしっとりしてるんだろう・・・。

まぁ、このお話は後半でお楽しみ予定・・・若干ですが。

2017/08/14 (Mon) 08:33 | EDIT | REPLY |   

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