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plumeria

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人混みを掻き分けて牧野を探していたら通行人がなにか話しているのが聞こえた。

「あの子・・・ヤバくない?」
「確かに・・・あんなところに一人でいたら襲ってくれって言ってるようなもんじゃない?・・・彼氏いないのかな?」

一人でいる女?もしかしてと思ってそいつらが指さしてる方を見たら・・・薄紫の浴衣とデカい男が眼に入った。
まさかとは思ったけどあの日と同じじゃねぇかっ!マジで隙だらけなヤツだな!

見つけたからにはもう後は連れて帰るだけだったけど、急に男が牧野に襲いかかったのが見えて慌てて駆け寄った!

「いやぁあっ!、何するのよっ!」

その声で一気に俺の怒りのスイッチが入り、頭に血が上るのがわかる・・・俺の目標が一点に定まった!
牧野がその男を突き飛ばして身を屈めたからその隙間に足を入れて思いっきり蹴り上げた!

「この野郎っ!!誰の女に手を出してんだっ!ふざけんじゃねぇよっ!」

振っ飛ばされた男はもう一度立ち上がろうとしたから今度はその胸ぐらを掴み上げて首を絞めた。
男は顔を赤くさせて苦しがってる・・・だが俺はその腕を緩めることは出来なかった。

「いい度胸してんじゃねぇか・・・ただ相手が悪かったな!この俺の女に手を出したらどうなるか教えてやるよ・・・!
覚悟しやがれっ!絶対に許さねぇからな!」
「うるせぇっ!・・・この女が俺を殴りやがったから・・・せっかく可愛がってやろうと思ったのによ!」

「頭悪いな、お前!どう見ても俺に勝てるはずがないだろうよ!・・・このド阿呆がっ!!」

そしてもう一度思いっきりその顔面を殴りつけた!・・・牧野はわけもわからずその場にうずくまってた。
その男がまだ意識があったからとりあえず倒しておくかともう一度鳩尾に蹴りを入れて気絶させた!

着崩れた浴衣を元に戻して牧野の方に眼をやると、ビビって踞ったまま・・・せっかくの浴衣も乱れていた。

凄く腹が立っていたから本当は平手の一つも考えたけど、やっぱり側に行くと自然と抱き締めてしまった。
どれだけ怖かったのか・・・小さな身体を余計に小さくして肩を震わせていた。
俺の手が抱き締めた瞬間、牧野はビクッとした。


「良かった・・・間に合って」

そう言ったのは本心から・・・やっとこの腕の中に戻ってきたかと思うと安心した。
牧野も同じだったのか俺が抱き締めたら急にわんわん声を出して泣き始めた。
もう両手で俺の浴衣に縋り付いて・・・せっかく戻した俺の浴衣も再びとんでもなく崩れてしまったけど。

「お前が急にいなくなったりするからだろ?何回おんなじことやったら気が済むんだ!いつでも都合良く俺が来るわけじゃ
ないんだからもう少し考えて行動しろよ!・・・で、なんで裸足なんだ?」

「だって、あの人が下駄を放り投げたから・・・だから取ろうと思って・・・」

確かに少し向こうに牧野の下駄が転がっている。
震えている牧野をそこに置いて、その下駄を取ってきた。早いとこここから動かないと気分が悪い!
牧野に下駄を履かせて立たせようとすると今度は腰を抜かして立つことが出来なかった!

「襲われて腰ぬかしたのかっ!まったく世話ばっかりかけやがって・・・ほら背中に乗れよ!負ぶってやるから・・・」
「イヤだ・・・浴衣だもん。そんなこと出来ない・・・」


それもそうか・・・流石に浴衣では無理か。
仕方がないから牧野を正面で抱きかかえてすぐ近くの石段まで運んだ。
ちょうど倒れている男も見えないような場所・・・比較的綺麗なその場所に牧野を降ろして座らせた。
まだ泣きじゃくってる牧野の下駄を脱がせてその鼻緒を直してやる。

これが痛くてあんな場所で休んでいたんだろうから・・・牧野の足の親指が真っ赤になっていて痛そうだった。
いや・・・元々はこんな物履いてるのに全力で逃げる方が悪いんだけど!


「なんで急に逃げたんだよ・・・俺がそんなに嫌われるようなことを言ったか?」

「だって・・・道明寺と比べたのか何て言うから・・・私はそんなこと考えたこともなかったのに・・・」

「馬鹿じゃねぇの?俺が本気でそんなこと気にすると思うのか!比べられてもいいぜ・・・俺は司と比べられても
負けてるなんて思ったことはないから!負けてんのは身長ぐらいじゃね?・・・ん?・・・体重もか!」

「・・・ぷっ!そんなのこそ比べないよ!」


少しは笑顔が見えたけど、今度は汚れた浴衣に眼がいったらしくまた泣き出した。
そりゃ仕方がないな・・・いくら芝生の上とはいえ押し倒されりゃ汚れはついちまう・・・。
牧野はその汚れた所をしきりに気にして手で拭いていた。

「どうしよう・・・せっかくいろんなもの我慢したのに結局汚しちゃった・・・」

「このぐらいなんでもねぇよ。ちゃんと専門家がうちにはいるんだから・・・お前が気にしてくれたのは嬉しいけど
そのために我慢なんてしなくていいんだ。それよりか襲われて破られたら処分だったな!縁起が悪いから・・・
よし!これでどうだ?・・・もう立てそうか?歩けるなら帰ろうぜ」

牧野にもう一度下駄を履かせると今度は立ち上がって歩けそうだった。
下駄も少しは楽になったのかどこか気まずそうではあるが笑顔を見せた。
そしてうちの車が待っているその方向に向かって帰ろうと歩き出したらいきなり大声を出した。


「あっ!・・・ちょっと待ってて!・・すぐに来るから」

そう言ったら牧野はもう片付けはじめた出店の方に走っていった。
そういえばお袋からもらった小遣い・・・牧野は何にも使ってなかったっけ。

後からついていってみたらそこはおもちゃの出店・・・一体何を買うんだろうと思って待っていたら牧野が戻ってきた。
その手に大きな袋を持って・・・嬉しそうに笑っていた。


「これね・・・おば様とやろうと思って・・・」

「は?・・・お袋とこれをやるのか?・・・そりゃ、喜ぶんじゃねぇか?意外とあの人子供だから!」


*******


やっぱり足を痛めた牧野は歩くのが難しかったから西門の車を近くまで呼んだ。
その車が迎えに来るまで牧野と手を繋いで会場の隅で話し込んでいた。
司の名前が出たついでに学生時代を思い出しながら昔話をした。

「お前は司の事を追いかけてた割には類と良く一緒にいたよな?あの時には類と何にもなかったのか?」

「ないよ!花沢類は色んな事言ってたけど・・・もう毎回同じ事言うからハイハイって返事だけしてたって感じ?」

「そりゃ類が可哀相じゃねぇか?あれだけお前に夢中だったのに・・・意外と罪な女だな!」

「西門さんの方が罪な男だよ!あの頃は毎日日替わりだったよね・・・よく覚えてるよ、あの頃の西門さん。
見る度に横にいる人が違うから心配してたんだもん。この人いつか刺されるだろうなって・・・」

「何処の誰に刺されるんだよ!そんなヘマはしねぇよ!・・・ってか、心配してくれたんだ?」

そう言うとちょっと頬を赤くして眼をそらせた。


「そうだよ。心配したよ・・・ヒヤヒヤしてたと思う。だって本気になってる子だっていたと思うもん。それなのに・・・」

その後の言葉はもう出さなかった。
でも何気に可愛い事言ってる・・・恋じゃないとしても多少は昔から気に掛けてくれてたんだと思うと嬉しかった。
繋いでる手に少し力を入れると牧野も同じように応えてくれていた。


西門の車がやっと迎えに来たからそこに行こうと立ち上がったけど牧野は上手く立てなかった。
さっきまでなんとか歩いていたけどやっぱり捻挫をしているようで足が少し腫れている。

「お前・・・なんでもう少し早く言わねぇんだよ!これって少し前から熱持ってただろ?腫れてきてるから冷やさないと・・・」

「家に帰ってからでいいよ・・・そこまで痛くないよ?自分でも気がつかなかったんだから」

ここから自宅までは車でも40分ぐらいはかかるはず・・・すぐ側にあった自販機でジュースを買って牧野の足に当てた。
運転手に急いで自宅まで戻るように言って、牧野は後ろの座席に寝かせた。
浴衣だから身体がキツいだろう・・・もう何処にも寄らないから牧野に言って帯を解いてやる。

「足を捻挫してるから下げないで座席に上げとけ。帯だけは解いたけど別に変な気があってやったわけじゃねぇからな!
自宅に着いたらお前からも説明しろよ?俺が無理矢理脱がせたように言うなよ!」

「わかってるって・・・!そこまで言わなくても陥れたりしないわよ!・・・ありがとう、楽になったよ」

俺の膝の上に頭を乗せて牧野は疲れたのかそのまま寝てしまった。
なんて無防備な寝顔・・・こんな顔誰にでも見せてんじゃないだろうけど俺の前では晒しすぎじゃねぇか?

運転手もいるし牧野はこれでも怪我人だし・・・!一人で悶々としながら自宅までの時間牧野の寝顔を見ていた。
牧野の手が俺の膝の上にあるんだけど・・・そこがものすごく熱い気がした。
これって牧野が熱いんだか俺が熱いんだか・・・そう思ったとき牧野の額に手を当ててみた・・・!

あれ?・・・こいつ、熱が出てないか?


「おいっ!少し急げ!・・・牧野が熱を出してる・・・!西門に連絡して医者を呼んでおくように言ってくれ!」

「は、はい!かしこまりました!」

運転手はすぐに西門に連絡を入れてスピードを上げた。
牧野はもう汗をかいてて眼を開けようともしなかった。少し身体が震えている・・・牧野の急な変化に動揺した!

牧野の顔に流れる汗を拭いてやりながらその手を握っていた。



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Comments 2

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2017/08/12 (Sat) 00:05 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

さとぴょん様!大爆笑!!

すごいわっ!それはすごいわっ!
そんな事言われたのもすごいけどお姉さんナイス!ですわ!!
へぇ~!海ってそういう場所なんですねぇっ!自慢じゃないけど何もないです。
彼氏と海に行ったときですら甘い思い出はないんだけど?
ひたすら必死に泳いで疲れてかえった気がする・・・。

海でね・・・男の見るところが限られているってことは知ってますけどね。
私、太ももの内側の結構ヤバいところに火傷したことがあって(自宅で熱湯がかかって)
お医者さんに行ったら、そこのお医者さんが「将来こんなところに火傷の跡があったらヤバいねぇ」
って言ったんですよ。何故か母が嫌そうな顔したんですが、意味がわかったのは大人になってから。
だから水着が苦手でした。

はい!今日も関係ないお話しをしてすみませんでした!

ありがとうございました。お返事していただけて嬉しかったです!

2017/08/12 (Sat) 00:41 | EDIT | REPLY |   

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