FC2ブログ

plumeria

plumeria

牧野は嬉しそうに作った弁当を保冷バッグに詰め込んでいた。
調理長に頼んで作ってもらえば楽なのに、元々料理が好きなコイツはどうしても自分で作りたかったみたいだ。
何度か食ったことはあるが確かにに美味いと思う。だけどそれを素直に言えたことは一度もなかった。
そして今日の弁当も俺のためなのか、なんてガキみたいなことは今更聞かねぇけど。

「西門さん!こんなに作ったけど食べられるかな!余っちゃうと嫌だなぁ・・・」

「適量ってもんを考えなかったのか?・・・でも、お前が人一倍食うんだから心配ないだろ。
それよりもその格好で行く気だったら着替えてこい。今日はそんなスカートじゃ無理だ。ここにジーンズ置いてただろ?」

「えっ?なんでよ!ジーンズなんて暑いじゃん!これじゃダメなの?」

「ダメ!最低でもジーンズだな。本当はプロテクトでもついてるヤツがいいけど・・・まぁ、事故らないだろうしな」

「事故?・・・どういう事よ。プロテクトって・・・あの身体を守るヤツのこと?」


「そ!・・・なんたって今日はバイクだからな!」

そう言うと持っていた保冷バックを自分の足元に落とした。まぁ、牧野のことだから男のバイクの後ろなんて経験ないだろう。
何を想像してるんだか知らないが、行く前からそんなに赤い顔してたら実際に乗ったときはどうすんだ?

「お・・・女の子は乗せないって言ってなかったっけ?昔そう聞いたような気がするんだけど・・・」

「そうだな。ただの女は乗せないかな・・・牧野はそうじゃないから気にすんな!」

意外だけど覚えてたんだな、俺が今までバイクの後ろに女を乗せないって言ってたこと。
後ろにしがみつくように乗せる女なんて如何にも特別みたいな気がするし、それにバイクだと車以上にそいつの命を
預かるような気がして重たかったから。それに自分を解放できる時間だったから絶対に1人が良かったんだ・・・今まではな。
でも、牧野なら俺の愛車に乗せてもいいかって・・・こいつの命なら守れそうな気がした。

京都に行く前に牧野と海を見に行きたくなった・・・あの風を切るようなスピードの中をこいつと走りたくなった。
誰かに背中を押されてるような気がいつもしていたから、今日こそ牧野に気持ちを伝えたくて。


・・・でも、まさか途中で寝たりしねぇよな。


*****


「ねぇ、西門さん、本当にバイクで行くの?お弁当入れるところあるの?」

「後ろに入れるところはあるけど高温になるからな。念のためもう少し保冷剤もらってこい。一応それも保冷バックだろ?」

「バイクって言ってくれたら考えたのに~!絶対車だと思ったんだもん!」

それは悪かったとは思うけどお前を驚かせたかったんだよ!・・・サプライズってやつだ。
牧野は着替えるために自分の部屋に戻っていった。いつの間にか牧野の部屋には洋服ダンスまである。
まるで初めからこの家の娘みたいに、お袋が少しずつ増やした家具に囲まれていた。

そして、しばらくしたら牧野は両手に保冷剤を抱えてジーンズ姿で戻ってきた。

「ほら!これが上に着るライダースジャケット!暑いけどこれ着ないと日焼けするし万が一の時には少しでも
身体を守らないといけないしな!バイクなんて命がけだから、そのつもりで掴まっとけよ?」

「うそっ・・・嫌だ!万が一の時に西門さんとニュースになるの?」
「なんだ、その言い方は!それこそ光栄だろう!」


俺専用の駐車スペース・・・自動シャッターが開いたらその中に俺の愛車、ハーレーダビッドソンが輝いてた。
先日磨き上げたメタルブルーボディーのCVO リミテッド・・・数台ある中でも一番のお気に入りをを車庫から出した。


「うわっ!・・・本当に綺麗なバイク・・・大事にしてるんだね!」

「まぁな!こいつの手入れは誰にもさせないから、全部部品に至るまで俺が磨いてんだ。こいつの後ろに乗るのは
荷物以外ではお前が初めてだから光栄に思えよ?」

バイクの後ろにあるケースに作った弁当を入れて先に跨がったけど、どうしていいかわかんない牧野は横でモジモジしていた。
牧野用のヘルメットを渡してまずはそれをつけさせた。すげー似合わないから笑ってしまった!

「俺とあんまり離れるなよ。しっかり掴まっとけ・・・何処を持ってもいいけど手を離したら落ちるぞ。
落ちたら間違いなく死ぬと思え。結構スピードが出るけど安定はしてるから油断さえしなきゃ大丈夫だ」

「わ・・・わかった。スリル満点だね!」

後ろに跨がって恐る恐る俺のジャケットを握ってる・・・でもそんな後ろ持たれたらかえって俺が不安定だから
牧野の手を引っ張って俺の腹の方に持ってこさせた。牧野はその行為に悲鳴を上げてるけどまだ走ってもないのに・・・。
自分の身体が俺に当たってるから気にしてんのか?・・・それなら今まで何回もやってるけどな!


「行くぞ・・・振り落としたらごめんな!」
「冗談じゃないわ!落ちる前に蹴り飛ばすわよ!」

「上等だ・・・掴まっとけよ!」


重厚なエンジン音が邸内で響いた。その爆音が最高になった時、俺のハーレーは牧野を乗せて西門を出た!
閑静な住宅街ではこの音は迷惑だろうけどそんなこと今日はかまっていられない!
すでに牧野は後ろで大騒ぎしてるけど、この音とヘルメットで何を言ってるかなんてさっぱりだ!
俺はただ、自分を掴んでる牧野の手が緩まないように・・・たまにその手を掴んでやるだけだ。

俺たちは一気に都心を抜けて目的地の海に向かって走って行った。


********


西門さんと海に出かける事になっていたけど、まさか愛車のバイクで行くなんて思わなかった。
その宝物のように大事にしているバイクを見た時、出会った頃の彼のことを思い出していた。
親友の優紀が乗りたくても乗せてもらえなかった西門さんの後部席・・・どれだけ頼んでも断られたよね。
美作さん達も言ってたっけ・・・総二郎は絶対に女を後ろに乗せないって決めてるって。
理由は詳しく聞いてないけど、自分の車でも女性を乗せる車と絶対に乗せない車を区別してるって・・・

それはある意味では自分のテリトリーには他人を踏込ませないようにしてると思っていた。

それなのに私をその席に乗せるなんて・・・だんだん彼の特別な場所に自分が入ってることはわかっていた。
あの桐箪笥みたい・・・とても重要で深くて大切な場所に。


私には大きすぎるバイクに跨がった・・でもこんな事初めてだから西門さんの何処を持ったらいいんだかさっぱりわかんない!
こうしてみたらいつも線が細いと思っていた西門さんなのに意外と背中が広いんだ。
男の人って感じ・・・そしてあまりにも近いから自分の身体が当たりそうで怖かった。

掴まっておけばとりあえずは落ちないかな・・・って思って西門さんのジャケットの後ろをチョコンと持ったら急に前から
手が伸びてきて思いっきり前に引っ張られた!ドンッて西門さんの背中に自分の胸が当たってしまった!

「ちょっと!そこまでしないといけないの?!このままだと・・・ねぇ!聞いてるの?」

叫んでも爆音とヘルメットじゃ何にも聞こえてないってこと?
そして、いよいよ出るって時にヘルメットを外して声をかけられた・・・掴まっとけよ!って。
そりゃ掴まるわよ!振り落とされたら死ぬじゃないの!

出た瞬間、すでに反動で後ろに飛ばされそうになったけど西門さんが私の手をさりげなく持ってくれてた。
だからってわけじゃないけど・・・なんだか安心している自分がいる。


でも、この後のスピードにどれだけ絶叫したか!きっと彼は知らないと思うわ・・・。


ha-re2.jpg
関連記事

Comments 8

There are no comments yet.
-  
管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます

2017/08/15 (Tue) 12:48 | EDIT | REPLY |   
-  
管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます

2017/08/15 (Tue) 14:01 | EDIT | REPLY |   
-  
管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます

2017/08/15 (Tue) 16:07 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

でた‼️さとぴょん様の速報❗

いや、お約束したので…お待たせしました。
でも、バイクシーンだから!甘くはするけど期待はだめですよ?(笑)

マジで難しいけど何とか書きましたよ。
後ろで寝たのは私の実話!

2017/08/15 (Tue) 16:43 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

わんこ様、こんにちは🎵

あきらはゆっくりが似合いますよね~。
落ち着いた感じて、バリバリ動きそうにはないけど。
あきつく書いてる作家さんとお話すると結構面白いです。私の中にはないあきら像が見えて楽しいですよ。

さて、私の総二郎はちゃんと話せるんだか!
全く進まない関係をそろそろ進めないといけませんので頑張っていきたいと思っております!

私のとこは昨日が雨でした‼️
気温が下がったんでよく寝ましたよ。

早く涼しくなればいいのに~。

今日もありがとうございました。

2017/08/15 (Tue) 16:56 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

さとぴょん様!今晩は!

ここですべてエネルギーを使い果たしました。
バイク好きなんですけど文字にしにくくてですね・・・もう密着だけで勘弁して。
本当は後部座席はハーレーの場合そこまで掴まらなくていいって言う人もいたんですけど
イヤじゃないですか!離れてたら・・・くっつかないと!
BGMはポルノグラフィティのハネウマライダーでお願いします。
メタルブルーですから!

明日はどうだろう・・・いい感じにはなるんだろうか。
今からチェックしますね。

期待薄口でお願いします!

2017/08/15 (Tue) 20:09 | EDIT | REPLY |   
-  
管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます

2017/08/15 (Tue) 23:49 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

さとぴょん様!びっくりしました!

そうなんですよ・・・私も20くらいでしたけどね。
その時の彼がバイクに乗ってて隣の県までいきましてね・・・まぁ、ご想像通りですかねぇ。宿泊したんですよ。
帰り道で眠くなりまして・・・手が離れたんですよ。ポロッと・・・
怖かったですよ~!!まぁ、落ちたら気がついてもらえたでしょうけど時間が遅くなったんで飛ばしてましたねぇ。
今は生きてるから・・・言えるんですけど。

さとぴょん様もなかなかいい青春してるじゃないですかっ!
15・・・うーん、すごいなぁ。私は8・・・でしたよ。その時は。

何の会話?笑!今日は夢に見るかもしれません・・・。

それではお休みなさーい!

2017/08/16 (Wed) 00:55 | EDIT | REPLY |   

Leave a reply