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plumeria

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順調に海に向かってバイクを走らせていたけど、牧野は始めてのバイクで緊張してるだろうから休憩はこまめに取っていた。
目的地に近い海沿いのコンビニエンスストア・・・ここで牧野が喉が渇いたって言うから飲み物を買いに行かせた。
俺はバイクから離れるわけにはいかないから、愛車に身体を預けて牧野が帰って来るのを待っていた。

そこに店内から出てきた2人組の女・・・如何にも頭が弱そうな厚化粧の女が俺を見るなり寄ってくる。
今まで海で遊んでいたのか見てくれと言わんばかりの格好だ。

「ねぇ!すごく格好いいバイクじゃん?1人で走ってるの?あなた東京の人?」
「写真撮ってもいい?出来たらさ、一緒に撮ろうよ!それ以外にも教えて欲しいんだけど・・・電話番号とかさ!」

「後ろに乗っけてくれないかなぁ!こんなの乗れたらサイコーだよねー!」

言葉遣いも荒々しい、なんの色気もない女・・・この俺に話しかけるだけでも大した勇気だ。
そう思ってちょっと横目で睨んだけど、そいつらは気にする様子もなく俺のすぐ側まで近づいてきた。
昔の俺でもこのタイプには手を出さねぇな・・・チラッと見ただけですぐにそいつらから視線を外して完全無視。
返事をする気にもならなくて黙っていたらそいつらは俺のバイクに手を伸ばして触ろうとした!

「触るんじゃねぇよ!このハーレーに触っていい女は限られてんだよ!気安く声もかけるな!
悪いけど俺の後ろに乗れる女は1人しかいないんでね・・・早くどっかに消えてくれ。・・・目障りなんだよ!」

普段はどんな女でもそんな言葉は出さないんだけど、自分で言ったくせに驚いてしまった。
どっちかって言うと調子よく断るタイプだったのに。
何故か今日は他の女とは話しもしたくない・・・この後のことを意識してんのか、いつもよりイラついた。

怒った2人組はブツブツ言いながらどこかへ消えていく。
汚い言葉を吐いてるようだったがそんなことはどうでもいい・・・牧野が座ってる後部座席に目をやるとさっきまで
そこに座っていた跡がある。ここに乗ってもいい女・・・そんな言葉を出した自分がおかしかった。

その後にコンビニエンスストアから出てきた牧野はその手に飲み物と、予定外に自分用にとアイスを持っていた。
今の女達がいなくて良かった・・・あれだけ叫んだのに出てきた女がこれだ!逆に無茶苦茶馬鹿にされるんじゃねぇか?
牧野は俺の横でハーレーに縋って俺に飲み物を手渡した。


「はい!西門さん、ジンジャーエールね!」

「で、お前はアイスか?早く食えよ・・・それと、俺のバイク汚したら許さねぇからな!」

「汚れたら洗えばいいんでしょ?いいよ、洗ってあげるから・・・洗い物、得意なのよ!」

牧野に洗わせたらスチールウールか何かでゴシゴシこすられそうな気がする・・・考えただけでゾッとした。


随分と走ってきたから牧野はここで大きく背伸びをしていた。
駐車場から見える海・・・今日の海はすごく穏やかで波も小さかった。
いつからこんな休みを取っていなかったっけ・・・そんなことを考えながら隣の牧野を見たら俺の横で大あくびしてた。
そして何にも考えていないような顔してアイスを口に入れながら同じ海を見ていた。

「そろそろ行くか?もうすぐ目的地だからな!」

「うん!天気が良くて気持ちがいいね!初めてだけどバイクもなかなかいいもんだね!」

「そうか?牧野はしゃべれないから嫌だろ?」

「ううん。初めはそう思ったけど走ってみたら西門さんが近くて安心できるよ。思ったより怖くもなかった」

そう言って牧野は自分のヘルメットをかぶって俺よりも先にバイクに跨がった。


安心できる・・・か。

それはどっちにとったらいいんだ?男としてみていないから安心なのか、俺が守っているから安心なのか。
今度は牧野の方が早くしろと手招きして俺を呼んでいる。
苦笑いしながら俺もヘルメットをかぶって牧野の前に跨がる・・・素直に腰に回る手に何故か焦った。

バイクの音を響かせながらコンビニエンスストアを出て目的地に向かう。
随分慣れたのか牧野の手はリラックスしていて俺の背中に自分の身体を預けていた。
カーブを曲がるときに牧野の手が強く俺のジャケットを掴むのがわかるからわざと傾けてしまう・・・。
しがみつくその手が何となく嬉しくて。

今日連れて行こうとしたのは湘南にある小さな浜・・・このあたりは人も多いけど俺が行くのは少し外れた場所で
今はもう使われていない灯台のある寂れた海岸・・・元は埠頭だったと思われるひっそりとした場所だった。
昔、この場所を偶然見つけた・・・ほとんど誰も来ないのに海は綺麗で夕日が沈むことろがよく見える。

時々何も考えたくないときにバイクでここまで来て、ただ海を眺めていた・・・そんな時期もあったっけな。



そこについたら牧野は意外そうにその周りを見渡していた。

「ここなの?誰もいないなんて不思議だね!この辺は何処に行っても人が多いのに。ここ西門さんのお気に入りなの?」

「まぁな・・・でも、綺麗な場所だろ?向こうにある灯台から海を見るのがいいんだって!」

牧野は煩い東京から離れて静かな海に来たからなのか、また大きく背伸びして海風を吸い込んでいた。
ライダースジャケットを脱ぐとTシャツ一枚になって、ヘルメットをとったらその長い髪が風に靡いた。
見慣れているはずなのに・・・景色が海になっただけで牧野の横顔が今まで以上に女っぽく見えた。

「牧野、日焼けするから帽子かぶっとけよ。後ろのケースの中に入れて持ってきてるから」

「うん、ありがとう!さすが西門さんだね。気が利くね!」

牧野はバイクの後ろからキャップをとりだしてかぶった。その後持ってきたシートを駐めたバイクの前に置いて
作ってきた弁当を並べた。まるで小さい子がするままごとのような昼飯に気恥ずかしくなった。

中身はうちの厨房から持ってきたんだからすごく豪勢に飾られたおかずが並んでる。
もちろん牧野手作りのものも沢山あって、特に一口サイズに握られたおにぎりがカラフルに置かれていた。
青のりやゴマ、シャケをコーティングさせた上に中には具材が入っているらしい。なんて面倒なことしてんだって笑った。

「お前、朝から良くこんなに作ったな!旨そうじゃん・・・で、これ何?」

「あぁ、これはね大葉とツナを入れた芋餅っていうの。こんなの食べないでしょ?料理長さんも驚いてたもん!
あとこっちのおにぎりはね、中身が全部違うのよ。何が食べられるかは私でもわかんないの。
西門さんが苦手なものが当たったら私が食べてあげるね!さっ・・・どうぞ!」

「誰が作ったのかがわかれば大丈夫。基本知らない人間が作ったものは食わないから・・・」

「え?じゃあ、ファミレスとかダメなの?食べに行くのが初めてのお店はどうすんの?」

「あぁ・・・基本ダメだな。あいつらの紹介とかで行くんなら大丈夫だけど」

そう言うと持っていた皿を並べながら呆れたように呟いた。

「全く贅沢なんだから!どんな所だって一生懸命作ってるのに・・・これだからお坊ちゃまはっ!」


「じゃあ、これからはお前が作ってくれりゃいいんじゃねぇの?」


牧野のお喋りと手が止まった。


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Comments 2

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2017/08/16 (Wed) 13:22 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

さとぴょん様、こんにちは🎵

いえいえ、さとぴょん様には負けますよ✨
私なんてしょぼい青春ですよ。でも、懐かしいですね~❗楽しかったなぁ…。

私もお弁当は失敗しましたね。
ま、人には向き不向きがあるのよ、と逃げます。

帰るまで甘々でぶっ飛ばしたいと思います‼️
帰るまでにはラブラブになりたいが…(笑)

2017/08/16 (Wed) 15:47 | EDIT | REPLY |   

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