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plumeria

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牧野の身体がゆっくりとベッドに沈んだ。俺の首に両手を回したまま・・・お互いに目を離せないまま。

そしてゆっくりと唇を重ねると牧野の手は俺の首から背中へを移動した。
キスはどんどん深くなる・・・リップ音を響かせながらまるで吸い付くようなキスをしていた。
そして唇から下に移っていって首筋にも舌を這わす・・・顔を横にずらしながら俺の舌の感触に小さな声をあげた。
せっかくのドレスだけどこんなもの要らない・・・背中に手を回してファスナーを降ろしたら牧野の白い肌が露わになった。

「すごく綺麗・・・優しくしてあげるね」
「イヤだ・・・そんな言い方したら恥ずかしいよ・・・」

「どうして?恥ずかしくなんかないよ。2人しかいないし、もう牧野しか見ないから・・・」

その後、俺たちは夢中でお互いの身体を求め合った。
その行為さえ初めての牧野は怖がりながらも俺を受け入れてくれた。
惜しげもなく晒された白い肌に、俺は何度も紅い痣をつけていく・・・小さかった甘い声はそのうち女の喘ぎ声に変わっていった。
そして何度も名前を口にする・・・自分の名前を呼ばれることがこんなにも嬉しかったことってあったっけ・・・。

「類・・・類、大好き・・・類の事が大好き・・・」
「もっと言って・・・もっと愛してあげるから・・・牧野、俺の名前呼んで・・・」

牧野と身体を繋げた後のことは、もうよく覚えていない。
覚えているのは俺の背中に爪を立てられたときの痛みと、耳から入ってくる牧野の甘い声・・・それと熱すぎる牧野の身体だけ。

最後の方はベッドのきしむ音がすごくて、ラストを迎えた牧野は悲鳴と共にそこに倒れ込んだ。
そして牧野の横に寄り添うように倒れ込んだ俺も、肩で息をするほど・・・全然優しくなんかなかったかもしれない。

「はぁっ・・・はぁっ・・・もう、類ってば・・・」
「ごめんね・・・牧野が可愛かったから・・・やめられなかったんだよ」

でも、まだ離すことが出来なくて、また熱い身体を引き寄せてしまうんだけど・・・。
どれだけ重ね合っても足りないような気がして、意識が飛んでしまうまで牧野を抱き続けた。

そして眠りについたのはもうすぐ朝日が昇るってぐらい空が白っぽくなってからだった。


*********


朝日が眩しく部屋を照らす頃・・・類と同時に目が覚めた。日に透けてる髪が余計に茶色くて綺麗・・・。
あの岩場の上で見た類の横顔・・・あの時と同じ顔が今はこんなに近くにある。

「おはよ・・・牧野」
「類・・・お、おはよ・・・」

昨日のことを考えたら顔から火が出そうなほど恥ずかしかったけど、目があったらすぐにキスされた。
そしてくるまってるシーツごと力一杯抱き締められた!その力強い腕も、もうこれで最後だって思うと泣けてきたけど。


「ありがとう・・・類。ごめんね、我儘言って・・・」

「どうして謝るの?俺は諦めてないけど?」

「・・・え?」


類はベッドから降りたけど服を着ていない男の人の身体なんて、こんな明るい所で見たことがないから慌てて隠れた!

「ちょっと!・・・ごめん、類!早く何か着てよっ!顔が出せないよ!」
「あれ?ごめん・・・そうだったね。ちょっと待ってね、服はここのを着てもいいよね?」

引き出しからここで着ていたものを取りだして、懐かしそうに着ていたけど私はどうやってここから出たらいいのかわかんない!
シーツから出られなくて1人ベッドでアタフタしてたら、類はクスクス笑ってキッチンの方に移動してくれた。
その隙に大急ぎで服を着て、大慌てでぐちゃぐちゃになったシーツを洗濯機に放り込んだ!

脱ぎ散らかしたドレスとスーツも、なんだか見てたらすごく恥ずかしくて、一つ一つ拾いながらハンガーに掛けていく。
それを椅子に座って楽しそうに眺めていた類がキッチンから声を掛けてきた。

「相変わらず忙しい人だね!ねぇ、朝ご飯、待ってるんだけど?」

「え?あぁ・・・そうだったわね!今日はやっぱりご飯かな・・・すぐに作るね!」

朝っぱらから大きな音で洗濯機が回ってて、エプロンを着けて誰かのために朝ご飯を作る・・・。
例え今日が最後だとしてもすごく嬉しかった。
そして前のように類がテーブルに出すのを手伝ってくれる・・・久しぶりに並ぶ2人分の食器が懐かしい。

「久しぶりだ!このちょっと焦げた卵焼き・・・!俺の一番好きなヤツ!」

「一言多いわよ!元居候さん!」

目の前で大笑いする類を見て、同じように笑ったけどちょっと涙が出たのを見られなかっただろうか・・・。


「良かった・・・ちゃんとここに並んでるんだ。このマグカップ、捨てられたかと思ってた」

目を細めて見ていたのは館林で買ったお揃いのお土産。
それを食器棚から出してテーブルの上に置いた。そして前みたいに食後のコーヒーは類が入れてくれた。

小さな部屋の隅っこで肩が当たるぐらいの距離・・・いつの間にか類の肩に頭を乗っけてぼーっとしていた。
類の手が私の膝に置かれてる。自然と顔を向けたら唇が重なる。
もうこんなこと、いけないんだって思うけど、求めずにはいられなかった。


「牧野・・・素敵な夏だったよ。でも、忘れないでね・・・このままじゃ終わらないから」

「どういう事?・・・でも、もう今年の夏は終わるよ。もう私たちも会わない方がいいよ・・・」

そう言ったけど軽く笑った類は私の額にもキスしてた。
そしてお昼過ぎてから花沢に戻っていった。タキシードを丸めて手に持って・・・。


急に部屋で一人になった私はまたポツンとなって、シーンとした部屋で呆然と座っていた。
朝はあれだけ動けたのに、夕方はその干した洗濯物も取り込むことが出来ない。やっと動けたときはもうすっかり暗くなっていた。

暗くなってるのにどこかからつくつくぼうしの鳴き声がする。秋の訪れを知らせるセミだ・・・。


「もう夏も終わるんだね・・・何だかすごく暑い夏だったなぁ・・・」

昨日のことを思い出すと急に顔が火照る・・・これをいつか思い出に出来るのかしら。
類が言った「諦めない」って言葉の意味がわからなかったけど、もう彼と会うことはないんだろうって思っていた。


今日は一人でこのベッドに潜り込む・・・隣を探るように手が動くけどもちろん誰もそこにはいない。


*********


それから数日後、仕事を辞める先輩と引き継ぎをしていたら、もう1人の先輩から会長室に行くように言われた。
今日は特に何も予定が入ってなくて、会長はずっと部屋にいるはずだった。それに私1人に頼む仕事もまだないはずなのに。

不思議に思いながらドアをノックしたら、会長が「お入り」と言ったのが聞こえた。


「失礼します・・・会長、何か御用でしょうか・・・・・・あれ?」

「こんにちは・・・牧野、相変わらず目が落ちそうだね!」


会長室に入ると目の前のソファーに座っているのは類だった。会長と向かい合わせてなんだか楽しそうに話している。
類はクスクスと笑いながら目を丸くした私をからかってきた。

「え?・・・どうしてここにいるの?もしかしてお仕事の打ち合わせ?・・・いや、会長とはしないよね?」

「うん。プライベートで来てるんだ。大森会長に頼みたいことがあってね」

「頼みたいこと?類がプライベートで?・・・意味がわかんない」


会長がいるのに何故か類としか話してない・・・慌てて会長の側に行くと、逆に類の隣に座るようにと言われた。
もうなにがなんだか・・・言われるままに類の隣に座ったけど、あの日以来だから恥ずかしくて顔が見られなかった。
なんとなく類が私を見ているような気はするけどわざと反対を向いていた。

「牧野さん、あなたを初めて見た時に、随分と人を惹きつける人だと思ったが、この花沢くんまでとは・・・たいした人だねぇ、君は。私の目に狂いはなかったようだ」

「いえ、そんな・・・これには色々とありまして・・・」

会長の言葉に気恥ずかしくなって両手を振って否定した。惹きつけたんじゃなくて、拾っただけなんだけど!
でも隣から優しい声が割り込んできた。

「ごめんね・・・全部話したんだよ。この夏のこと・・・」

類は会長と目を合わせて笑っていた。
私がここに来るまでの間、何を話したんだろうなんて思っていたけど、そのうち会長はとんでもない事を言った。


「今、彼から1つ提案を受けてね。牧野さんと正式にお付き合いをしたいからこの大森に間に入ってくれないかと・・・
それなら牧野さんの気持ちも聞かないといけないと思って呼んだのだよ」


「え?・・・どういう事ですか?」

隣の彼はずっと笑顔のまま、まるでアパートの部屋にいるかのような穏やかな表情を私に向けていた。


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Comments 2

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2017/08/29 (Tue) 13:14 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

さとぴょん様!今晩は♥

あはは!そう言っていただけると有り難いです。
よく考えたら8月いっぱいで終わらせなくても良かったんですよね・・・。
何故か8月末を目指してたんですよ。そしたらSummerVacationが少し伸びてしまったので
こっちを縮めたんです。今頃言うなって感じですが、9月に入っても良かったんだ・・・。

相変わらずバカですよね。すみません・・・。展開が早いと皆さん思っているだろう・・・。
反省してばかりの夏ですよ。

そんなこんなであと2回・・・さらりと行きましょうか。

2017/08/29 (Tue) 19:41 | EDIT | REPLY |   

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