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<side総二郎>

普段滅多に行かない図書室・・・史学部専攻の俺は参考資料を探しに久しぶりにその部屋に入った。
何人かの学生が静かな教室で机に向かう中、小さな話し声が聞こえた。男と女の声・・・男はともかく女の方は聞き覚えがある。

気になってその声のする方に足を向けたら、類の妹が知らない男と話していた。
へぇ・・・この大学に彼女に声をかける勇気がある男がまだいたなんて。
あの類のガードを見ていたら誰もそんなこと出来ないと思ってたけどな。俺とあきらは例外として。

それにしてもつくしちゃんも司の時のような緊張感もなくてすごく自然に話してる・・・そっちの方に驚いた。

後ろ姿だから顔はわからないけど、少し興味があって2人の席に近づいてみた。


「よっ!つくしちゃん。珍しくお兄ちゃんじゃない男とお喋りしてんだ。類に怒られねぇか?」

「あら、西門さん!今日はどうしたの?図書館なんて珍しいね。あ、声が大きいかしら・・・」

「そう思うなら向こうに行かない?そこの彼も一緒にさ」

つくしちゃんに声をかけたとき、俺に背中を向けていた男はゆっくりと振り返って俺と目を合わせた。
ふん・・・まぁまぁいい男だ。類とは全然タイプが違うけど、どうしてこの子はいい男ばっかり惹きつけるんだろう。
司といい、こいつといい・・・まぁ、その中には当然俺とあきらも入ってるんだろうけど。

「つくしちゃん、その前にこいつ・・・誰?紹介してくんない?」

「えぇ、彼は西門さんと同じ3年生の高城誠さん。電子工学科なの。最近知り合ってね、今も偶然ここで会ったの」

偶然ね・・・俺が一番信用してない言葉かも。つくしちゃんにはわかんねぇかも知れないけど本当の偶然って滅多にないからな。
椅子から立ち上がった高城は体格的には類や司と同じ。武道の経験はなさそうだけど頭は良さそうだ・・・そんな眼をしている。
穏やかそうに見えるけど、こういうタイプって裏がありそうじゃん?類同様かなりの策士だったりしてな。


「高城さん、こちらは西門総二郎さん。茶道のお家元がお父様なの。彼も同じく茶道家よ。見えないでしょ?」

「初めまして。同じ年なら敬語は使わなくてもいいかな?西門くん・・・だね?よろしく」

「あぁ、こちらこそ。じゃ、向こうの席に移ろうか。ここだと他の生徒の邪魔だ」

俺は2人にそう言って図書室の一番奥に作られた閑談席に向かった。
何故かこいつの隣に彼女を置いておきたくなかった。類の気持ちを知ってるからなのか、こいつの正体がわかんないからなのか?
つくしちゃんの肩に手を置いて誘導する。高城という男は少し嫌そうな表情を見せながら俺たちの後をついてきた。
万が一類に見つかっても、この場合はつくしちゃん防衛対策で許してもらえるだろうから思いっきり肩を抱いていた。

閑談席も俺の隣につくしちゃんを座らせた。
高城は向かい側・・・正面から見るとやっぱりいい面構えだ。大学の女が放っとかないような気がするんだけど。

「で?高城くん・・・つくしちゃんに何の用?もしかして知らないのか?この子の兄貴のこと」

「まさか!もう忠告はされてるよ。妹に近づかないようにってね。花沢類・・・花沢物産の後継者だろ?有名だからね」

「ふーん・・・それでもこの子に話しかけるなんてすげぇ度胸だな。やめといた方がいいぞ?類は妹のことになると見境いないから。
あんまり手を出してると火傷するかもよ?」

そう言うとニヤッと笑いやがった。それがどうした・・・こいつがそう言ったような気さえした。
隣からの視線が気になって横を見たらつくしちゃんが困った顔で見上げてる。

「なんだよ・・・俺は類が暴走する前に注意しただけだろ?それともバラそうか?つくしちゃん・・・」

「やだっ!もう、そんな事言わないでよ!そんなに西門さんまで高城さんに怖い顔しなくてもいいのにって思っただけよ!
この前もね、私がぶつかった方なのに類がすごい顔で高城さんを睨むから大変だったの」

「類にとっちゃどっちが悪いとか関係ないもんな!つくしちゃんに触ったヤツはみんな敵だからな!」


「そうみたいだね。噂どおりの兄妹だ。でも・・・所詮兄妹だろ?それ以上には進めないって事だよね・・・。今日はこれで失礼するよ。
つくしちゃん、良かったらまた面白い話を聞かせてね。・・・西門くん、ご忠告は一応聞いておくよ」

高城はそう言って俺たちから離れた。
最後に見せた鋭い眼が何を意味してるんだか・・・俺の横を通り過ぎるときに見せた表情は笑顔だった。



「何者なんだ?つくしちゃん・・・あんまり類を刺激したらあの男、怪我するぞ?」
「怖い事言わないでよ!本当に類ならやりそうで怖いんだから!道明寺さんだって殴り倒したのよ?思い出しちゃう・・・」

類の性格知ってるんだから、この子が気をつければ問題ないんだけど。
何となく振り向いて高城の後ろ姿を見ていた。自信に満ちた男だ・・・何だか嫌な予感がするのは俺だけか?


*********

<side誠>
花沢つくし・・・彼女を初めて見たのは道明寺司との婚約発表のニュースだった。
まだアメリカにいた俺たちはその婚約パーティーに招待されていたけど、都合が悪くていけなかったから。

テレビ画面に映る彼女の美しさに一目惚れをしたのは本当だけど、その時はあの道明寺の婚約者になったばかりだから
当然だけど諦めないといけなかった。むしろ惹きつけられたのは、画面の中で見せた彼女の正直な態度だ。
きっと家が決めた婚約だったんだろうけど、普通このレベルの家庭は政略結婚なんて当たり前だから笑顔を作れるものだ。
しかも相手は道明寺司・・・見た目も立場も特別な男。むしろ飛びついたって無理ないはず。
それなのに明らかに自分の意思表示をみせる強さに心が動いた。

こんな女性に愛されたら幸せなのかもしれない・・・そう思ったんだ。

それがあっという間の婚約解消・・・彼女がどれだけ傷ついたかと思って調べたら意外にも元気にしていた。
その理由が花沢類・・・実はもっと面倒くさい兄貴がいたとはね・・・。


ちょうど都合良く日本に作る会社の為に家族で帰国。
何処の大学でも良かったけど、どうせなら彼女のいる英徳大学に決めたわけだ。

まさかあの時階段から降りてきて、俺の腕に飛び込んできたのが花沢つくしとは・・・それにあの時以上に綺麗になってた。
それに噂どおり、彼女から片時も離れないという花沢類にも会えた。
あの道明寺司の親友で、柔らかくておとなしいなんて聞いていたけど、全然違った。
妹のことだけでそうなのかは知らないけど、鋭くて油断できない男・・・って感じだったな。

あれは妹を見る眼なんかじゃないだろう。完全に恋人扱いだった。彼女にしてもそうだ。不思議だけど・・・。


図書室に入る彼女を見かけて、周囲を確認したけど珍しく花沢類がいない。偶然を装って話しかけることにした。

彼女は本を探すために棚にしか目がいっていない。すぐ側まで行ったのに男が近づいても見向きもしないなんて驚きだ。
俺も本を探すフリをしてゆっくりと距離を縮めていった。そして背中合わせになったところで動くのをやめて振り向いた。

「えっと・・・フランス語で書かれた童話があったはず・・・」
「あれ?・・・花沢さん・・・つくしちゃんだっけ?本探してるの?」

真横まで行って初めて気がついたように声をかけた。彼女はびっくりして俺を見たけどちゃんと覚えてくれていた。

「あ!高城さん、こんにちは。授業で使うフランス語の本をね・・・」
「つくしちゃんは外国語専攻なんだね。どれ探してるの?一緒に探してあげるよ」

「ありがとう。フランス語で書かれた童話集があったはずなの。青い背表紙の・・・あ!あったわ!上の方に・・・」
「どれ?・・・とってあげるよ」

小さな彼女には届かないところにあったのはラッキーだ。その本をとってあげると嬉しそうに笑顔を見せてくれた。
気がついているんだろうか・・・その笑顔にすごい魅力があるんだってこと。
兄貴のせいで多くの男がこの笑顔を遠くから見るだけになってるんだろうな。

「良かったら隣に座ってもいい?それとも、類くんに怒られるかな」

「ふふっ・・・いいですよ。類は今、どうしても受けないといけない講義を受けてるから来ないの。この間からサボってるから
今日は休めないらしいわ。ホント、頭がいいのは昔からだけど授業はちっとも真面目じゃないのよ」

「そうなの?つくしちゃんはお兄さんがあれだけ近くで煩いのに嫌にならないの?」

「ならないわ。類だからいいの・・・変わってるってよく言われるけど」

「花沢くんは恋人を作らないって聞いたけど本当なの?あれだけいい男なのに・・・何か理由があるのかな。誰か好きな人がいて、
でも告白できないとか・・・?つくしちゃんも本当は恋人が欲しいんじゃない?大学生だよ、今が一番楽しくないの?」

「恋人かぁ・・・私は特に欲しいとは思わないわ。類もそうなのかもね・・・今は私の世話で忙しいのよ!」


そんな話をしていたら今度は別の男が現われた・・・西門総二郎。茶道西門流の次期家元って男だ。
この男は調子のいい言い回しだが、花沢類同様、俺を彼女から離そうとしているのがすぐにわかった。
なんだか色んな男に守られているわけだね。それだけ人を惹きつけるものがあるんだろう。

あの道明寺でさえ噂じゃ花沢つくしを諦めきれなくて、ウイルソン社令嬢との婚約を解消したって言うんだから。
でも彼女の言葉から想像しても一番縛り付けてるのは花沢類・・・実の兄みたいだ。


「あれじゃ、可哀相な人生送るよね。正しい方向に戻してあげないと・・・」

その役目は俺が引き受けてあげるよ。・・・花沢類から引き離してあげる。


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Comments 2

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2017/09/04 (Mon) 05:44 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: おはようございます♪

えみりん様、おはようございます!

ソウナノヨ、マタアブナイヒトガアラワレタンデスヨ。

危ない人を書きたくなりましてね。普段おちゃらけてるからこういう人書くの下手なんですけど。
オリキャラって苦手なんですよね・・・いつも、人物設定を細かく書くんですけど、お話しの中で
違う動きをしちゃうんですよ~!

すでに最初に設定よりもワルになっています。(笑)

夜が涼しすぎて風邪引きました。今日は微熱があるんですが、会社を休めないよ~!
どうせ出るならドンッと出たらいいのに~・・・

2017/09/04 (Mon) 08:34 | EDIT | REPLY |   

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