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つくしを後ろから抱き締めたまま、「帰さない」と言葉を出した。
つくしは驚いて振り返ろうとしたけど、すぐ横には俺の顔がある・・・向けようとした顔を元に戻した。

「つくし、話があるんだ。聞いてくれないか・・・俺、多分今じゃないとこの話をお前に出来ないと思う・・・」

「総ちゃん?どうかしたの・・・と、取り敢えず、この腕を離してくれないかな・・・」

「嫌だね・・・このままにしとけ。つくしは俺の方を見なくてもいいから」

面と向かってなんて言えるか!
つくしの両手を俺の手が包み込んだまま背中から強く抱き締める、そして大きく息を吸い込んだ。



「考の事だけど、・・・断われ」

「えっ?・・・断われって・・・まだ返事はしてないのよ。でも・・・どう言えばいいのかわかんないよ」

「いいから断われ!お前は・・・つくしは何処にもやらない。俺がお前を守ってやるから・・・だから断われ!」

つくしの身体がピクリとも動かなくなり、震えていた手も止まった。
どのくらい時間が経ったのかよくわかんなかったけど、あまりにも長い時間動かないから心配になって腕を緩めてみた。
そしたらぐらっと身体が傾いて、俺の方に倒れかかってきた。その時の顔は真っ白・・・目だけは大きく見開いていた。
その時に我に返ったのか、「はっ!」と小さく声を出して急に俺から飛び退いた!



「な・・・何だよ!聞いてたんなら何か言えよ!こっちがびっくりするじゃねぇか!」

「だって!今・・・今なんて言ったの?総ちゃん、今なんて・・・」

「何で同じこと何回も言わなきゃいけないんだよっ!1回で聞いとけ!・・・まったく!」

つくしはその場に座り込んでさっきよりもデカい眼をしていた。
そこまで驚かなくても・・・って思ったが、つくしの目の前に俺も胡座をかいて座った。


「わかったのか?考との話は断われ。つくしは誰にも渡したくないから・・・つまりはそういう事だから断わってくれ」

「総ちゃん・・・本気で言ってるの?総ちゃんは次期家元だよ?・・・私じゃダメだよ」

「ダメなんかじゃねぇよ。俺がお前じゃないとダメなんだから・・・何処にも行かせたくないんだ。つくし・・・」

俺はまだ伝えたいことが沢山あったんだけど、我慢できなくなってそこに座り込んでいるつくしの手を引き寄せた。
そして今度は俺の膝の上に乗せてそのまま抱き締めた・・・つくしはゆっくりと俺の胸に顔をうずめてくる。
また泣き出したんだろう・・・小さく声がする。子供みたいな声だ・・・懐かしくて少し笑ってしまった。


「なんで笑うの・・・総ちゃん」
「お前が子供の時によく泣いてただろ?それと今のお前・・・全く同じだからさ。泣き方も声も・・・懐かしかったんだよ」

「総ちゃん・・・小さい時、泣いてたらすぐ来てくれたよね」
「あぁ、お前の声が聞こえると気になって俺が寝られねぇんだよ」

「総ちゃん・・・でも、小学生の頃は全然遊んでくれなかったよね」
「悪ぃな、ガキだったけど照れてたんだよ。お前が眩しかったんだって・・・」

「総ちゃん・・・北海道で助けてくれたよね、あの時は探しに来てくれて嬉しかった」
「そうか、つくしがいなくなったら困るからさ。必死で探したよ。今度連れてってやるよ・・・おばさんの好きな向日葵畑にな」

「総ちゃん・・・道明寺の時に怒ってたの、本当は嫌だったの?」
「当たり前だ!司になんかお前を渡せないだろう!そりゃ、俺がつくしを無視しまくったから何も言えねぇけどさ」


「総ちゃん・・・じゃあ、どうして他の女の人の所に行ったの?」

これだけは流石に答えにくい。
黙っていたら俺の胸からクスって笑い声が聞こえた。

「お前・・・俺で遊んでるだろう?顔、上げろよ!」
「嫌だよ・・・今はこうしていたい。総ちゃんの顔見たら泣くもん。これ以上泣いたらまたブスになるって言われる・・・」

昔、そんなことも言ったっけな。そんなことを思ってるわけじゃなかったけど、つい口から出る言葉がつくしを傷つけてたんだろうな。
抱き締めたまま、つくしの髪を撫でてやる。そのうちに息苦しくなってきたつくしはそっと顔を上げて俺の方を見てきた。
もうその眼も鼻も真っ赤で、思わずブホッってむせるように笑ってしまった!

「やだ、もう!・・・総ちゃん、だから嫌だって言ったのに!眼が腫れちゃう・・・タオル貸して?」

「タオルなんかなくていいじゃん・・・こっち向いてみな」

つくしが赤い眼をこすりながら俺に眼を向けたから、そっとその瞼にキスをした。
まだ少し泣いてるからしょっぱいんだけど・・・そんなことしたからびっくりして眼を固く閉じてしまう。

「涙止まっただろ?そっちもやってやる・・・」

なんてわざと耳元で囁いてもう片方の瞼にもキスした・・・その後、つくしの唇を塞いだ。
いつか夜遊びを咎められてカッとなってつくしに強引にキスして引っぱたかれたな・・・今日はそんな乱暴なキスじゃない。
つくしの後ろ頭に手をまわして長い・・・長いキスをした。
唇が離れたら、今度は俺がつくしに質問攻めだ。つくしの身体の向きを変えさせて後ろから抱き締めるように座った。
つくしは俺の胡座の中にすっぽりと収まった。


「お前・・・なんでガキの頃、祥兄じゃなくて俺にくっついてたんだ?」
「だって、総ちゃんの側が楽だったんだもん。居心地が良かったの」

「お前・・・なんでいつも俺が帰ったとき起きてんだよ・・・絶対に寝てなかったよな?」
「うん、総ちゃんが誰かの所にいるのが嫌だったから、帰ってきたら安心して寝られたのよ」

「お前・・・祥兄に何か言われたろ?付いてきてくれって言われたんじゃねぇの?」
「言われたけど断わったの。総ちゃんがここにいるから離れられないもん」


「類のプロポーズ・・・聞いてどう思ったんだ?」


今度はこの質問につくしが黙ってしまった。
うそっ!・・・少しは気持ちがあったのか?そう思って慌ててつくしの顔を見たら・・・笑っていた。

「やっぱり俺で遊んでるだろう!ホントはどう思ったんだ?まさかお前・・・!」

「花沢類は好きだよ。でも、それは友達としてだよ・・・でも、彼は本気でしょう?多分そうだと思うの。何年間も言われてるんだもの。
だから、それに応えられないのが本当に辛いの・・・だから困ってる」

「困る方が類に失礼だって思わねぇか?あいつは確かにつくしの事が好きなんだろうけど、身勝手なヤツじゃねぇよ。
つくしが幸せになればそれが一番だってわかるヤツだ。類がそんなことを言い出したのは俺のせいだろう・・・。
俺がはっきりさせないからあいつ、腹が立ってんだよ」



すでに時間は0時を回った。
つくしはそれを気にして西門の自分の部屋に戻ろうとしたけど、俺はこいつをこの部屋から出す気なんてなかった。
ゆっくりと手をとってつくしを立たせると、すぐ奥にあるベッドルームに向かった。

「そ・・・総ちゃん!ちょっと待ってっ!あの・・・」

「ん?何かマズかったか?別にいいだろ・・・もう十分話したしな」

慌てるつくしが面白くて、クローゼットから俺の服を出してやった。
それをポンッと投げ渡すとポカンと口を開けてる・・・まるで子供みたいに色気もクソもあったもんじゃねぇ!

「その奥のシャワールーム使って来い。で、これが着替えな。俺はこっちのマスター用のバスルームで済ませてくるから。
まだ一緒には入れねぇよな?俺はいいけどつくしは無理だろ?・・・それとも、こっちに来るか?」

俺はニヤリと笑ったが、つくしは真っ青になった。

「いやっ!シ、シャワールーム借りるわ!それとこれもっ!じゃあねっ!」



そして俺がシャワーを済ませてベッドルームに戻ると、オロオロするつくしがいて少しも俺に近づかなかった。

「馬鹿か!今日いきなりお前に求めたりなんかしないって・・・!お前の性格ぐらい知ってるんだからな!早く来い!
見たらわかるだろうけど、ここでお前と寝たって余裕があるんだよっ!ほら・・・来いよ」

手を差しだしたら、ようやく諦めたのかつくしはベッドの端からモゾモゾと入ってきた。
その手を引っ張って中に入れ、俺はすぐ横に寝っ転がった。


すぐ側にあるこいつの顔・・・。
なんでここに来るまでに20年も掛けたのか・・・それを全部一瞬で吹き飛ばせるぐらいの幸福感だった。


koi29.jpg
ここでは何もないから・・・期待持たせたらごめんなさい!
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Comments 4

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2017/09/26 (Tue) 18:51 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

花様・・・!全く(笑)

これで寸止めする私がすごいでしょ?
絶対有り得ないっ!総二郎に限って!


手を繋いで寝るだけだなんて・・・そんな、馬鹿な!(笑)

理由は一つしかない・・・あのストレスですよ。そんな気分になれない(笑)

2017/09/26 (Tue) 19:48 | EDIT | REPLY |   
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2017/09/26 (Tue) 23:52 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

さとぴょん様!今晩は!

我慢できるわけがないじゃないですかっ!ねぇっ!
そこを寸止めさせるんですよ!

多分・・・総二郎の朝の様子で笑っていただけたら嬉しいな(笑)
私はこの話(男の人の朝事情)はイマイチわかんないんですけどね(笑)

苦しいってホントなのかな・・・男の人に聞くわけにもいかないしね。

風邪引いてしまいました。
さとぴょん様はその後、具合はどうですか?

少しずつ秋が深まりますから、お身体の方もお気をつけて。
ものすごく弱い私が言うのもなんだけど・・・

2017/09/27 (Wed) 19:41 | EDIT | REPLY |   

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