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plumeria

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<sideAKIRA>
牧野が類にダンスの練習相手を願いでたと聞いたときはショックだった。
自慢じゃないけどダンスなら4人の中じゃ俺がダントツだろうって自負していたから。

もし、踊りたいなら俺の所に来るだろうって思っていた。それが一番牧野が言いにくいと思っていた類だったなんて意外だった。
あいつを相手にして踊れるのか?それよりも俺の方が良くないか?・・・俺はもうこの気持ちが届かないのは知っているから
せめて練習相手でいいんだ。ここを卒業する前の数日間を牧野と過ごせたらそれでいいんだ。

牧野は気がついていない。どれだけ俺がお前を見つめていたかなんて・・・まるでわかってないんだ。
俺も口にも態度にも出さなかったから、自分でも意外と演技が上手いんだ・・・なんて思っていたよ。

司を目で追う牧野を、いつも隣に類を従えてる牧野を、もう何年間見てきたんだろう。


「花沢類がね、ダンスを教えてくれるって・・・ちゃんと覚えてるかなぁ。随分前に、少しだけ美作さんに教えてもらったよね」

「・・・どうだろうな。牧野は今まで教えた中じゃあ手を焼いた方だからな。類の前に俺が復習してやろうか?」

「あはは!大丈夫だよ!・・・でも、厳しかったらどうしよう・・・泣くかもしれないね!」

「泣いたら俺の所に来いよ。慰めるついでにダンスもみっちり教えてやるから」

この会話の後、嬉しそうに立ち去る牧野を見て、何とも言えない寂しい気持ちになったのを覚えてる。
総二郎を無理矢理連れ出して、夜の街に飛び出して久しぶりに無茶やったっけ・・・総二郎が呆れるぐらいの酔い方をしたな。
滅多に酔いつぶれることなんてない俺が立てなくなるほど飲むなんて、総二郎に抱えられて自宅に届けられたのなんて初めてだった。


「何があったんだ?あきらが自分を見失うのなんて初めて見たぜ!お兄さんが相談にのってやろうか?」

「バカいうな!総二郎に相談することなんかないっての!俺にだってこんな気分になるときぐらいあるさ・・・ほっとけよ!」

次の日にラウンジで総二郎にからかわれながら、少し離れた場所にいる類と牧野を見ていた。
ダンスなんて言葉で説明なんてしたってダメなんだって・・・身体で覚えるんだから。
それでも牧野は類に質問攻めだ。それはダンスのことじゃなくて、ただ類と話したいだけなんじゃないのか?
そういう風に見えて仕方なかった。わかっているのにジェラシーだけは一人前にあるんだって思ったら自分の事なのに可笑かった。


********


それは急な電話だった。うちのお袋のドレスを貸してやってくれっていう類からの電話・・・もちろん断る理由はない。
その日の夕方に牧野は美作に来てお袋と楽しそうにドレス選びをして、牧野にあうものを選んで着ていた。
クリームイエローの可愛らしいものだ。今まで制服でしか練習しなかった牧野は、鏡に映るドレス姿に感動してテンションが上がっていた。

俺が見ててやるから類と踊ってみろと言ったけど、これがびっくりするほど踊れてなくて呆然とした。
見ている方が緊張するほどのガチガチ感と、不安だらけの表情・・・類に至っては悲壮感が漂ってないか?
踊りはじめて僅か数十秒で曲を止めてしまった。とても見ていられなかったから。

「お前達、何やってんの?踊ってねぇじゃん・・・気持ちって今どこにあるんだよ。お互いに気持ち入れてないだろ?」

偉そうに説教なんかして・・・本当は牧野の手をとって踊れるのに本気に見えない類に腹が立ったのかもしれない。
自分から頼んだくせに上の空の牧野にも・・・だ。


類から牧野の手を奪うようにしてパートナーを変わった。
お前を一番綺麗に踊らせてやりたい・・・この気持ちは類に負けてないって思ってるから。


「行くぞ・・・緊張しなくていいから俺のリードに合わせればいい。牧野のペースで移動するからな・・・」

「うん・・・お願いします」

曲はThe closest thing to crazy   牧野に合わせて本当にゆっくりしたものを選んだ。

そして一歩脚を出した牧野・・・すごく自然に俺のリードに合わせてついてくる・・・回転で遅れても慌てることもなかった。
余計な力も入らずに踊っている牧野に小声でアドバイスをだすと、小さく頷いてそれに従う。
牧野の背中に当てている手でその身体をもっと近づけるけど、戸惑うこともなくくっついてくるんだ。
重ねた左手が熱い・・・思わず俺の方が握り締めてしまいそうになる。

「いいぞ。そのままのペースでついてこい。脚は横に曲げるなよ?・・・胸を張って、でも腰に力を入れないで・・・」
「うん・・・何だか踊りやすい」

そうだろうな。さっき類と踊っていたときとは全然違う・・・踊ることに神経を集中させてるから身体も良く動いてるんだよ。
何でそれがさっき出来なかったか・・・そんなことはわかりきってるんだけど。


フロアの端には最悪な表情の類がいるんだけど、牧野とのワルツを途中でやめることなんて出来なかった。
結局最後まで踊り切って、牧野はその場に座り込んだ。今まで踊り切った事なんてなかったんだろう。
そして類に言われた一言・・・「練習相手を選び間違えたんだよ」・・・牧野はその一言にショックを受けていた。

「今日からは俺が牧野のダンスを見てやるよ。その方が上達すると思うぜ」

自分でも驚いた。もしかして、今・・・類に聞こえるように言ってないか?



類が帰った後の牧野は呆然とそこに立っていた。。

「牧野、どうする?今日はもうやめとくか?それとも練習する?・・・俺はどっちでもいいけど」

「美作さん・・・練習するよ。どうしても上手くなりたいんだもん。どうしても・・・」

「そうか。じゃあ、もう少し今の曲で練習しようか、いきなり早くするとこんがらがるだろ?」

牧野の手をもう一度とってホールドを組むと、やっぱりさっきのように自然と身体の力が抜けてて楽になってる。
俺の腕を掴む指も硬さがとれて自然だった。

曲がかかると俺が声をかけなくても脚がついてくる。
少しアレンジしても戸惑うことなくそれに応えていた。また、さっきよりも綺麗に踊れているようだった。

「牧野・・・なんで踊れてるか知ってるか?」
「え?・・・踊れてる理由?」

「このまま踊りながらでいい・・・類と踊ってるときは何を考えてるんだ?」

その一言でガクンと牧野の動きが悪くなった。全身に力が入って俺のリードが伝わらない!途端にステップが踏めなくなった。
そして俺の脚に躓いた拍子にドレスの裾も踏んで、前のめりに倒れそうになったから慌てて抱き留めた。

「きゃっ・・・ごめんなさいっ!美作さんっ!・・・あれ?美作さん・・・?」

倒れたとはいえ俺の腕の中に入ってきた牧野を抱き締めてしまった。
もう・・・離すことが出来そうにない。自分の胸に押し当てるように牧野の頭を抱え込んだ。



牧野・・・お前は誰となら踊れるんだ?
お前を一番綺麗に踊らせることが出来るのは誰だ?


Shall We Dance? 俺はお前とだけ踊りたいんだ。


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2017/09/18 (Mon) 11:31 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

みわちゃん様、こんにちは~!

すみませんねぇ、またあきら君に辛い思いをさせてしまって・・・。
この話、類つくなんだか、あきつくなんだかわかんないですよね!
私はあきら君のこんな感じが大好きなんです。(あ、ごめんなさい!)

いつかもう少し長いあきらのお話が書きたいですねぇ。最近特に思います。
ただ・・・時間がない!


台風はほとんど影響がありませんでした。
子供が関西にいるので気になりましたが、大丈夫だったみたい。
いつも台風が来ると進路予想図と睨めっこですが最近は私が住んでいるところには来ないんです。
でも、被害が出る所があるんで毎回心が痛む・・・少しでも進路が変わると天と地ほど被害に差が出ますものね。

人の住んでないところで終わればいいのに・・・

今日はありがとうございました!

2017/09/18 (Mon) 18:23 | EDIT | REPLY |   

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