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ダンスが終わって今度はあきらの所に戻ると嫌味にも手を叩いて迎えてくれた。

「やっぱり俺の方が踊りやすかっただろ?でも、苦手っていう割にはつくしちゃん、上手だと思うよ?練習頑張ったんだな!
類と練習してるの?もし今より上手になりたいなら美作においで?教えてあげるよ」

「大丈夫!類のレッスンだけで十分だわ!こう見えて厳しいんだから・・・外国では踊る機会が多いからって、怒られてばっかりなの。
美作さんの足を3回も踏んじゃったのは申し訳ないけど、これでも始めた頃よりは上達したのよ」

あきらにそう話すつくしの耳元で囁いてみた。

「ダンスにはならなかったけどね・・・」

「・・・!!」

そう・・・一応ダンスのレッスンだって言いながら花沢のフロアで曲もかけてホールド組むまではいいんだ。
でもこれだけ近づいて踊っていたら嫌でもその気になる・・・つくしの腰がぐっと近づいたらもう我慢できなくて抱き締めてしまうんだ。
そしてそのままキスしてしまう・・・そうなったら抱きかかえて部屋に戻る。それが毎回だからつくしは上達しないんだ。

まだ、秘密をバラしていない時は逆に気持ちが高ぶるのを悟られないために、レッスンそのものから逃げていたから。

真っ赤になったつくしをあきらが笑ってからかった。
俺はこれをどこかで見ているだろう高城に、あえて見せつけたかったのかもしれない。


********

<side誠>

「ご覧になった?さっき類様は誰とも踊らないからって私たちを避けたのに、あの妹とは踊ってらしたわ」

「本当に!なんで妹なのかしら・・・まるで恋人のような扱いでしょう?道明寺様と取り合いになったって実は本当じゃないの?
よくわからないけど妹ってそこまで可愛いかしら・・・信じられないわね」

「それに美作様まで・・・あら、もしかしたらお相手は親友の美作様なのかしら?」


すぐ側にいる女性達は花沢類の話で盛り上がっていた。
確かに見れば見るほど整いすぎる男だ。容姿だけの話じゃない。あんなに物静かで前に出ない感じなのに今回のプロジェクトには
彼の頭脳が貢献していると言うし・・・まったく読めない男だ。野心があるようには見えないが実は違うのか?

何を考えているのかわからない。俺もよく人には言われるが、この男だけは扱いにくいし思い通りに動かない。



「誠君、少しいいかな」

その声で振り向いたら、そこにいたのは花沢夫妻だった。

「花沢社長、どうかされましたか?あ、そうだ・・・両親に会っていただかないといけませんでしたね。申し訳ありません。
その件でしたか?」

「あ、いや、まぁ、そうなんだがね。君の話を聞いてから類ともよく話したんだが、どうもやはり類は妹に執着しすぎてるようでね。
私たちが何を言っても聞かないのだよ。今日も見てのとおりだ・・・私たちも今まで気がつかなかったのは恥ずかしいのだが・・・。
どうだろう、つくしの事を誠くんに頼みたいと思うのだよ。そちらのご両親にも話したいと思うんだがね」

「え・・・?えぇ、もちろん私は喜んでそのお話を進めていただきたいと思います。両親もさっきつくしさんにはお会いしたんですが
素敵なお嬢さんだと言ってましたので喜ぶと思います。では、両親を呼んできますね!ここで少しだけお待ち下さい」


なんて事だ!・・・花沢社長の方からこの話を持ち出してくるとは思わなかった!
今から両親を連れて社長の所に行き、こっちから申し込むつもりだったのに・・・ラッキーだったな!

両親はちょうど他の招待客との挨拶が終わって、自分たちの席に戻ってきたばかりだった。
疲れたような表情を見せる母さんだったがそんなことを言ってはいられない。
少し興奮しているのが自分でもわかる・・・でも、このチャンスをどうしても手に入れたかった俺は周囲の目も気にせず2人に声を掛けた。


「父さん、母さん、お疲れだとは思いますがこちらに・・・花沢社長がお話しをしたいとおっしゃっているのでお待ち頂いてます。
来てもらってもいいですか?お嬢さんとの事を許可して頂けそうなんです」

「花沢社長が?おぉ!そう言えばまだ挨拶を済ませていなかったな!美智子、すぐに行こうか」
「はい。申し訳ないことをしましたねぇ、そんな重要な方への挨拶が遅れてしまって・・・」

「花沢社長はそのぐらのことを気にされる方ではありませんよ。でも、急いで下さい」

ここで、いつもなら反応してこない母さんが変な質問をしてきた。
俺の眼を見ずに俯きながら小さな声で・・・まるで、いけないことを聞くかのように周りを気にしている。


「ねぇ、誠。花沢様はどちらにお屋敷があるのかしら・・・あなたは行ったことがあるんでしょう?」

「え?・・・花沢社長のご自宅ですか?S町ですけどどうかしましたか?洋風のね、母さんがびっくりするようなお屋敷ですよ」

「S町のお屋敷・・・?」


母さんがここで何かを考え込んだけど、それは今、どうでもよかった。花沢の家が何処にあろうと関係ない!

何故急ぐんだろう・・・俺は焦っていた。珍しく・・・焦っていた。
ここでまたあの男が邪魔をしてきそうな気がして。

花沢類はまだ何も知らずに美作と彼女と話し込んで笑っている。おそらくあの男も俺を眼では探しているはず・・・。


ふっ・・・残念だったな!あと少しで俺の勝ちだ・・・!


********


視界の端で高城が両親を連れてどこかに行くのが見えた。
かなり急いでいる。あの男が初めて焦りというものを見せたような気がして、その動きを眼で追うと、その先にいたのはうちの両親だった。
父さんと母さんが高城に連れてこられたあいつの両親と挨拶を交わしているのが見えた。
そして妙に笑顔の高城・・・うちの両親に礼を言ってるようだった。高城一家が何故揃って頭を下げているんだ・・・?


「類、どうかしたの?怖い顔になってるわ」

「うん・・・あの向こうで高城の両親とうちの両親が話してるんだ。ただの挨拶とは思えない・・・何だろうって思ってね」

「・・・え?」

つくしも俺と同じ方向を見た。ついでにあきらまで・・・俺たちの視線の先には奇妙な5人がいる。
深く頭を下げているのは高城の母親だ。うちの母さんは流石にそこまでは下げないだろう・・・これがプライドの高さの差だ。
そして父親同士は握手をしていた。

「なぁ・・・、花沢と高城ってまだ協同事業ないよな?そして、こんな席では契約はしないもんだ。って事は何の握手だ?」

「さぁね・・・会話も聞こえないのにわかんないよ。儀礼的なもんじゃないの?この世界はなに考えてるんだかわかんない人しかいない。
そうでしょ?・・・面倒くさいね」

「確かにな。気楽な学生ももうすぐ終わるし、これからは面倒だよな!」

あきらがそんなことを言ってる間も俺の眼はあの5人から離れなかった。
そのうち花沢の両親と高城の両親は離れた・・・そして、あいつは睨み付けていた俺の方に向いてニヤリと笑った。
勝利宣言のつもりだろうか、さっきまでの苛立ちはなくむしろ落ち着き払った笑顔に背中がゾクッとした。

やっぱりそうか・・・!この場で話し合ったのはあいつとつくしの事だ。
うちの両親は向こうからではなく、こっちからつくしの事を頼むと申し出たんだろう。だから高城はあの笑顔を見せた!

「類・・・怖いわ。どうしたのかしら」

「つくしは心配しないでいい。後のことは任せてくれたらいいよ・・・もう、そろそろ帰ろうか」

「お父様達はどうするの?」

「別々に帰ろう。あきら悪いんだけど送ってくれる?」


両親には断りを入れて美作の車で先に会場を出た。

あきらにはわからないように、つくしの手は俺の手の中にしっかりと握られている。
この繋がっているものをどうして引き裂こうとするのか・・・どうすれば繋ぎ止められるか、その答えを必死で探していた。


でも、答えは一つしかなく、まだそれを解明できる材料は何もなかった。



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Comments 4

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2017/09/22 (Fri) 07:21 | EDIT | REPLY |   
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2017/09/22 (Fri) 07:47 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

てるてる様、おはようございます。

面白くなるかしら・・・(笑)
そのご様子では誠君のことを警戒していらっしゃるのね?

じれったいとは思いますけどつくしちゃんのことがわかるのはもう少し先・・・
イライラさせますがお待ち下さいませ。

愕然と茫然と・・・(笑)

今日はありがとうございました!

2017/09/22 (Fri) 08:22 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: おはようございます!

えみりん様。おはようございます!いつもの時間で安心しました。

ジレジレさせてごめんなさい。
総二郎も美智子さんも類までもが何か意味深なことばっかり!
私は今回本当にない知恵を振り絞って人物相関図を書いてるんですよ(笑)

今からドドンと進んで行く・・・はずなのでもう少しジレジレして下さい。

うちはすでに雨降ってます。気がついたら彼岸花咲いてるし。
こんな事書いてたら月日が経つのが早いのね・・・歳をとるのも早いってこと?ひえ~!!

この前まで猫書いてたのに~!!

2017/09/22 (Fri) 08:29 | EDIT | REPLY |   

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