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plumeria

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あっという間に日にちは過ぎて、類はフランスへと旅立った。
空港まで行くと離れられないと、このお屋敷の玄関で類を見送った。

「つくし様、類様がいらっしゃらないからってそんなに沈まないで下さいませ。加代で申し訳ありませんけどお話し相手ぐらいには
なりますから。それに最近お食事も少なめですからお痩せになったのではありませんか?お身体にも障りますからお食事はちゃんと
摂らないといけませんよ?」


類が行ってから2日しか経っていないのに、もう何もする気が起こらなくてぼんやりとダイニングで座っていた。
目の前には朝食が並んでいるけど、食べたくなくてカフェオレだけをもらった。
せめてフルーツを、と言う加代さんに首を横に振って「いらない」と合図する。

「つくし様、大学はお休みにしますか?類様からのお願い事らしくて西門様がお迎えに来られてますよ?どうしましょう・・・」

「西門さんが?そう言えばそんなこと言ってたわね・・・わかったわ。少しだけお待ち頂いて?すぐに支度してきます」


類がフランスに行く前に、高城さんの事が気になるから、西門さんか美作さんをお迎えに来させるって言ってたのを思いだした。
そんな心配はいらないって言ったんだけど、私1人だと隙がありすぎてダメだって。
私が駐車場を一番怖がったからかもしれないけど、こうやってわざわざ来てくれたのに行かないなんて言えなかった。


支度を済ませて玄関を開けると、目の前に西門さんの家の車が停まっていて、ドアの外では彼が立って待っていてくれた。
いつものように黒い髪をサラリと靡かせて、私を見るなりウインクしてくる。片手をあげてヒラヒラとその手を振る西門さん。
きっと寂しがってると思ってわざと明るくしてくれてるんだ・・・この人は私たちのことを半分だけ知っているから。

「ごめんなさい、お待せして・・・類が変なこと頼んだみたいでごめんね。大変でしょ?私のことなら大丈夫なのに・・・」

「別に女を待つのも悪くないさ。出来たら朝じゃなくて夜がいいけどな!・・・じゃ、行こうか」

「・・・はぁ、そういうものなのね」

西門さんは朝っぱらからそんな会話をしながら私を車に入れてくれた。


車の中の雰囲気が違う・・・当たり前だけど隣にいるのが類じゃないだけでこんなにも不安になるものだろうか。
私はそんな表情を思いっきり出していたんだろう、クスッて笑う声がした。
ハッとして隣を見たら西門さんが口を押さえて笑ってる・・・しかも、少し涙まで出してない?

「なっ・・・なに?西門さん、どうしたの?私、何かおかしい?どこか変かしら!」

「違うよ!すげぇ警戒ぶりだと思ってさ!そこまで全身に力入れて車に乗る女見たことねぇし!・・・やっぱり類だなぁ!」

「何が、やっぱりなの?どういう事?」

「類に言われたんだろ?絶対に俺でも油断すんなって・・・そうだな、追加で誰にも触らせんなって言わなかったか?」


図星・・・まぁ、この人ならそのくらい言われても大丈夫だけど、なんだか恥ずかしくて窓の方に顔を向けた。
その後も色々とからかってくる彼に適当な返事だけして、大学まで早く着かないかと思っていた。
類と乗っているときは通学時間がやけに短く感じられたのに・・・窓に映っている西門さんの横顔に類を重ねて見てしまう。


いつもならもっと類が座ってる方に身体を寄せていたから、カーブがあっても支えてもらっていた。
だけど少しドキドキして車の向きに注意を払っていなかった私は、大きなカーブに差し掛かったときにふわっと身体が傾いた!

「きゃっ・・・!」

思わず西門さんの方に倒れ込みそうになったら、先に彼の腕が出てきて倒れないように支えてくれた。
驚いて眼を瞑ってしまったけど、眼を開けたらすぐそこにあったのは類とは違う黒い瞳・・・類とは違うフレグランスだった。
僅か10㎝くらいの距離・・・しかも私の髪が西門さんの顔に掛かってしまっていた。

「ご、ごめんなさい!ちょっと気が緩んでて・・・!」

「別につくしちゃんぐらい軽ければどうって事ないけど?それよりも・・・首筋から類の香りがする」

「えっ・・・?」


私は西門さんに感づかれたと思って慌ててその手を振り払った!その時に「違うわ・・・」何故かそう言ってしまった。
西門さんはびっくりした顔で私を見つめた・・・この人は勘がいい人だ!もしかしたら・・・もしかしたら・・・!
顔が熱い・・・!多分赤くなってる、それをどうか西門さんに近寄ったせいだと思ってくれたら・・・!
そんなことを考えながら自分の膝の上に置いた手を押さえ込んだ。でも微かに震えてるのが自分でもわかる。


「つくしちゃん・・・あんた、その意味分かってんの?」


西門さんは完全に気がついてしまった。

私が類とそういう関係になってるって気がついてしまったんだ!
何も言えなくて黙っていたら、それ以上西門さんも何も言わなくなった。この後大学に着くまでがどれだけ長かったか・・・。
大学について西門さんの車を降りたら、ドアを開けてくれた運転手さんに頭を下げた。そのまま彼の顔を見ずに校舎に入ろうとした。

「待てよ!1人で行かせるなって言われてんだ!・・・いいから、戻ってこい!」

少し怒ったような声で西門さんはそう言った。でも、振り向くことが出来ない。
その場に立ち竦んでいたら、左腕を掴まれて引っ張られた。転びそうになったけどしっかりと掴まれているからそのまま隣を歩いた。
すれ違う人は私たちを見て、いつもと相手が違うことに驚いているようだ。
それでもお構いなしに私を引っ張って、いつかの進路相談室に入れられた。ここは西門さんの隠し部屋のような場所・・・。

そこに入れられて、彼は内側から鍵をかけた。

そしてゆっくりと私の目の前まで来て、ジッと眼を見つめられた。


「な・・・なに?西門さん、なんでここに来たの?教室に・・・教室に行かなきゃ・・・」

「そんなことはどうでもいい。なんだ?さっきの反応・・・あんた、自分で何してるかわかってんのか?」

「何って・・・な、なにもしてないわ!変な事言わないで!」

一歩ずつ後ろに下がっていく・・・西門さんは一歩ずつ私を追い詰めた・・・ドンッと音がして私の後ろは壁だけになった。
そして西門さんは私の目の前で止まると、急に顔を近づけて耳元に唇を寄せてきた!

「いやぁっ!ちょっと・・・やめてっ・・・!」

突き飛ばそうとしたけど西門さんは私の手首を捕まえて動きを封じた!壁に押さえられるような形になった私は抵抗できずに
西門さんにされるがまま・・・でも、これ以上はなにもしては来なかった。

彼はほんの少し私を押さえ付けたけどすぐに離れてくれた。
びっくりした私はその場にガクンと崩れ落ちて、西門さんが寄せてきた耳元を手で覆った。唇が震えて歯が音を立てそう・・・!

彼は私を助け起こそうとはしない・・・そのまま近くの椅子に座って溜息をついた。



「いつから?」

「い・・・いつから?何がよ!」

「わかってないと思う?俺を誰だと思ってんの?・・・わかるよ、男の匂いなんてつけてたらさ、どういう関係かってコトぐらい。
それに首の後ろ・・・ちゃんと残ってるぜ?類の印・・・」

慌てて首を押さえたら、そこでニヤって笑われた!



「騙したの?・・・卑怯だわ!騙したのね!」

「騙される方が悪いんだって!まだまだ子供だね!つくしちゃん・・・でもさ、どうする気なの?・・類はなに考えてんだ?」

どうしよう・・・西門さんに知られてしまった。
私と類が身体を重ねてること・・・もしこれが他の人に知られるようなことになったら類の立場がなくなる・・・!
今は大きなプロジェクトの責任者だ・・・こんな事で花沢にスキャンダルなんてとんでもない!
それにお父様とお母様に知られたら・・・高城さんに知られたら!私は頭が混乱して息苦しくなってきた・・・!

「うっ・・・ゴホッ・・・!はぁっ・・・はぁっ・・!」
「つくしちゃん?・・・どうした?・・・おいっ!つくしちゃん!」


「くっ・・・るし・・・」

私はそのまま意識が遠くなってしまった・・・西門さんが支えてくれたのは覚えているけどその後のことはわからない・・・。


ごめん、類・・・

私の不注意で、西門さんに知られてしまった。


KOSU22.jpg
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Comments 4

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2017/09/26 (Tue) 09:17 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

わんこ様、こんにちは🎵

後半半分まで来たみたいです!さて、そろそろ役者が揃いましたから解明していかねば…
って、書く人が力不足だから困りました‼️
頑張って書かなきゃ伝わらないかも~❗

涼しくなったから、夜に集中しやすくなりました。
冬のお話も考え中です♥️

2017/09/26 (Tue) 12:56 | EDIT | REPLY |   
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2017/09/26 (Tue) 23:37 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

さとぴょん様!今晩は!

あっちもこっちもすみません!
どうしても総二郎の勘の良さを出したかった、と言う私の我儘からこんな事に・・・!
聞いたことあるんですよ。
男の人がね、本気出したら(どんな表現だっ!)女の人の香りでわかるんだって。
恋愛小説読んでたら書いてあったの。ほら・・・類君がね・・・やっちまったでしょう?

だからね・・・つくしちゃんの香りが変わったの。

・・・って、そんな馬鹿な!(笑)その小説のタイトルが思い出せないっ!

今日もありがとうございました。沢山のコメント嬉しかったです!

2017/09/27 (Wed) 19:35 | EDIT | REPLY |   

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