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目が覚めたのは自分の部屋だった。

ぼうっとして何が何だかわからない・・・ここが自分の部屋だということはわかったけどどうしてここに戻っているのか覚えてない。

どうしたんだっけ・・・。
朝大学には行ったはず。車に乗って・・・あれ?誰の車だっけ・・・今日は違う車で類じゃない人と・・・

類じゃない人・・・?


そこまで考えた時、頭の中に西門さんが浮かび上がってきた!
「いつから?」・・・あの質問をした彼の顔が!呆れたような笑顔を向けてきた・・・黒い瞳が細く光ったのを思い出した。

ガバッと掛けられていた羽布団を払いのけて、起き上がろうとしたらまたクラッとしてベッドから落ちそうになった!
はぁはぁと息が荒くなり、今日大学で起きたのと同じような症状が襲ってくる・・・!

「嫌だ・・・どうして?なんなの・・・苦しいっ!」

ベッドの横には加代さんを呼ぶためのコールベルがある!なんとかそこまで手を伸ばしてそのボタンを押した。
すぐに加代さんは来てくれるはず・・・その足音が近づいてくるのが聞こえたらホッとしたけど、息苦しい状態はまだ続いていた。
ベッドに俯せに倒れ込んで自分の胸を押さえ込んでる・・・心臓が苦しいのか喉が苦しいのか全然わからない!

一応ノックはするものの私の返事を待たずに加代さんは小走りでベッドまで来てくれた。


「まぁ!つくし様・・・大丈夫でございますか?ゆっくり呼吸をいたしましょう・・・大丈夫ですからね。落ち着いて下さいませ。
ほら、ここは自宅ですわ。つくし様のお部屋ですよ?加代もおりますからご安心なさいませ」

「加代さん・・・私、どうしたの?・・・どうしてここに・・・」

「つくし様、少しお話しは控えましょう。大丈夫ですよ、発作はすぐに治まりますからね」

背中をさすってもらって「大丈夫」と何度も言葉をもらったら、段々落ち着いてきて呼吸が出来るようになった。
一口水をもらってもう一度ベッドに横になると、加代さんが側にあった椅子に座って手を持ってくれる。
小さい時からお世話になったこの手の温かさに安心して目を閉じた。握り返したら応えてくれる・・・お母様みたいな手だった。


「つくし様は過呼吸になられたようですわ。お疲れもあったんでしょう・・・倒れられたから西門様がお連れ下さいましたの。
びっくりしましたけど、ゆっくり休めば良くなりますから心配ないですよ。類様が向こうに行かれてから睡眠がしっかりとれてないの
でしょう?今日はもうお休み下さい。何かあったらベルを鳴らして下さいませね。私はすぐに来ますから・・・」


「西門さんは・・・何か言ってなかった?」

「え?西門様ですか?いいえ、なにも・・・何かあったのですか?」

「ううん、何でもない。ありがとう、加代さん。少し休むね・・・」


ドアが閉まる音がして部屋がシーンとした。
ここまで西門さんが運んでくれたということは最後まで一緒だったのは彼だと言うこと・・・やっぱりあれは本当のことなんだ。
夢だったらどれだけいいか・・・もしかしたら香りなんて気のせいかもしれない。私の態度だけで悟られてしまったんだ。

日本にはいない静お姉様が知っているのとはわけが違う。
あれだけ毎日一緒にいる人に知られてしまった・・・これがどのくらい類を困らせるの事なのかがわからなくて涙が出る。
時計を見たら午後1時・・・もうお昼も過ぎていた。


フランスとの時差はサマータイムで今は7時間・・・フランスは朝の6時。

類が起きているなんて思わなかったけど、私はどうしていいかわからなくてもう電話を耳に当てていた。
コール音が何度か響いてるけど類がでない・・・諦めて耳から離したところで類の気怠い声が聞こえてきた。



『もしもし・・・つくし?どうしたの?・・・今そっち何時?』

やっと聞こえてきた声に、慌ててもう一度電話を耳に当てる。
いつもは嬉しくてドキドキする状況なのに、今日の電話は正反対だ・・・怒られるんじゃないかと不安で手が震えた。

「ごめんね、類。まだ寝てたんだね・・・今、日本はお昼の1時だよ」

『講義サボってるの?ダメだよ・・・ちゃんと受けないと。それとも俺の声が聞きたくなったの?』

絶対にベッドの中だ・・・シーツにくるまって寝てるのね?電話を枕元に置いていたのかしら・・・いつもはそんなことしないのに。
たった2日前までここにいたんだから懐かしいってわけじゃないけど、機械を通して聞こえる声はいつもより甘く感じた。
声が聞きたくなったの・・・って、そんなんじゃないよ。側に来て抱き締めて欲しいよ・・・。


『つくし・・・何があった?』

「え?・・・どうしてわかるの?」

『わかるよ・・・だって、つくしの声だから・・・困ったことでも起きた?もしかして泣いてるの?』

どうしてわかるんだろう。私は声に出してないのに。
なんで今、私の頬を涙が伝ってるって感じるんだろう・・・まるで、今ここで私を見ているかのようだった。

『ゆっくりでいいよ。俺は時間があるから。つくし、大学じゃないね?家にいるの?』

「うん・・・今は自分の部屋にいるわ」

『そう・・・どんな大事件が起きたの?なんでも言ってみなよ。その悩み事、俺が引き受けてあげるから』

引き受けてあげるからって・・・その言葉を聞いたときに我慢できなくなって電話を持ったまま泣き声を出してしまった。
私が泣いてる間中、類が電話口で「つくし・・・大丈夫だって!」って声をかけ続けてくれた。
また過呼吸になってはいけないと、深呼吸をして気持ちを落ち着けた。

そして、やっと話が出来るようになったのは15分も経ってから。そんなにも長く、ずっと待っていてくれた。


「ごめんね、類に謝らないといけないことがあるの。私の不注意で・・・あの」

『俺に謝ることならつくしが俺の側を離れるってことだけだけど?そんな気になったの?それなら聞かない』

「そんなんじゃない・・・!あの、西門さんに、西門さんにね・・・」

どう言えばいいんだろう・・・車でのことを話したらいいんだろうか。
それとも相談室で起きたことを全部話したら、2人の関係が崩れてしまう?バレてしまったことだけを話してもその経緯を聞くよね?
私は西門さんの名前を出したところから、再び言葉を詰まらせた。



『総二郎に勘づかれちゃった?つくし・・・そうだろ?』

「・・・・・・類?」

『あれ?違った?』


今度は類の言葉に驚いた。
本当にそれが何でもないことのように・・・私の悩み事なんてまるでちっぽけなことみたいに類はさらっと言葉を出した。

「どうして・・・わかったの?私、なにも言ってないのに・・・」

『どうしてだろう・・・わかるんだよね。つくしが思ってることも悩んでることも、これだけはもしかしたら唯一兄みたいな感じかな・・・
小さい時からつくしの話し方の癖も間の取り方も聞いてるからね・・・大抵内容がわかるんだよね。それで総二郎って言われたら
そのぐらいしかないでしょ?』

「ごめんなさい・・・でも、どうしよう」

類の声が段々寝起きの声からはっきりしたものに変わってきた。
まだベッドかもしれないけど、甘かった声から頼もしい声に変わっていて、それが私を安心させてくれる。


『本当はね、そろそろあいつらに話して協力してもらおうかと思ってたんだ。いずれは話すつもりだったし、ちょうどいい機会だよ。
心配しないでいいよ。総二郎には俺が話すし、どうせあいつはそんなこと気にもしてないと思うから。・・・むしろ心配してると思う。
事実を知らないから、ヤバい兄妹だって慌ててるはずだからね!大学には総二郎に迎えに来てもらうのが恥ずかしかったら1人で行く?
その代わり、絶対に高城に何言われてもついて行かないでよ?婚約だなんてあくまでも内々なものだからね』

「大丈夫なの?私はこのままでいいの?・・・次に西門さんに会ったらなんて言えばいいの?」

『おはようって挨拶しとけば?』


「もうっ!!類!私は真剣なのに・・・クスッ・・・もうっ!」


この後も少しだけ話をした。
フランスはもう寒いとか、1人で寝るのが嫌だとか、会議に出たくないとか・・・さっきと違ってまるで子供みたいに話す類の声。
今日の出来事が何でもなかったかのように、私もベッドに腰掛けて笑っていた。

『いつか2人で旅行しようよ。フランスに限らず、世界中をさ・・・地図も電話も持たずに行くんだ』

「ふふっ・・・誰にも邪魔されずにってこと?そうね、行けたらいいよね。・・・いつか」



ありがとう・・・類。

私をいつも助けてくれて・・・。いつも私に人を愛する勇気をくれて・・・。
こんなにも苦しい恋をしているのに、何故か温かい気持ちにさせてくれて・・・。



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Comments 4

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2017/09/27 (Wed) 07:15 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: おはようございます!

えみりん様、こんにちは🎵

そうですね~❗100いかないと思ってたのになぁ…
いきそうですよね。このままだと…
6月に始めたんだっけ?まさか、冬まで引っ張らないよね~❗って思いながら書いてます。

さて、もうすぐ事件がおきますよ?
ふふふ…
待っててくださいね!

2017/09/27 (Wed) 12:28 | EDIT | REPLY |   
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2017/09/27 (Wed) 23:05 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

さとぴょん様、こんにちは🎵

あらら、大丈夫かしら。
私も人の事を言えないけど、無理せずゆっくりしてくださいね。
睡眠不足が続いてるんですよね。会社が遅いから1日平均3時間かな…。
ちょっとヤバイですよね?(笑)
倒れないように頑張ります‼️

2017/09/28 (Thu) 16:43 | EDIT | REPLY |   

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