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つくしが泣きながら報告をしてきたのは、総二郎に俺たちが関係を持ってることを知られたということだった。
どんな状況でそれがバレてしまったのかをつくしが言わなかった事は多少気になるけど、総二郎の事だから何気ないつくしの言葉から
悟ってしまったのかもしれない。
嘘のつけないつくしなら、簡単に総二郎の引っ掛けに騙されるんだろう。聞けば落ち込みそうだからそこには触れずにおいた。
原因なんて聞いても結果は変わらない。つくしをこれ以上悩ませたくなかった。


つくしはこれを重大事件のように感じて倒れたようだけど、俺に言わせたらそんなことはあまり問題ではなかった。
そして何も知らない総二郎は近親相姦って思っているだろうから、それを心配して必ず連絡をしてくるはずだ。

それならそれで、すべて話してしまおうと思った。

つくしの出生の調査は、もう俺1人では限界だった。
これに関しては花沢の力を使えない。裏社会に通じる美作や、西門の多方面に渡る情報網に縋りたいとは思っていた。
友人の手を借りてでも解明したい・・・真実を手に入れたかった。少しずつ溶け始めた氷はやがてすべて水に戻るように・・・



つくしの電話で起こされてから1時間、コーヒーを飲みながらこっちでの新聞を読んでいた。

花沢は今やフランスでも手広く事業展開しているから経済誌には毎日のように掲載事項があり、それを細かく読むのが日課だ。
これがこの先、自分の毎日の仕事になるのかと思うとゾッとする・・・何か自分に守るものがない限り耐えられない生活だ。

「司みたいに仕事の鬼にはなれないよね・・・時間があったら寝ていたいし・・・」

俺が参加する再生可能エネルギー貯蔵システムに関するニュースも話題としては大きく扱われていて、新聞の記事面を多く
占めている。こっちでは地元の企業も多く参加しているからテレビでも連日取り上げられていた。


♪~

案の定、総二郎からの電話・・・さて、どう説明しようかと思いながら通話ボタンをタップした。
今は日本は午後3時くらい・・・総二郎はまだ大学のはずだ。

「もしもし・・・どうかしたの?総二郎」

『・・・類、俺はお前を見損なったぞ!』

やっぱり怒ってる・・・っていうか今、総二郎がどう思っているか想像して笑うのを堪えていた。


「なにかあった?つくしの送り迎え、ちゃんとしてくれたの?俺が居ない間はあいつから守ってよ?総二郎」

『・・・つくしちゃんを守るのはどうってことねぇよ。問題はお前だろう・・・一体何考えてんだ?類』

「何怒ってんの?俺が何かした?つくしが何か言ったの?」

『お前、彼女を抱いてるだろう・・・この俺に付き添わせてそんなことがバレないとでも思ったのか?どういうつもりだ!妹だろうっ!
お前達の気持ちは知ってるさ・・・司の時からだからな!兄妹ってのを通り越して愛し合ってるってのは理解出来ねぇけど尊重してやる。
だが、それが身体にまで及んだらこの後どうすんだよっ!間違って子供でも出来たらどーすんだっ!』


総二郎の大爆発はいいんだけど、こいつ今、どこで喋ってるんだろう・・・その会話、誰にも聞かれないんだろうか。
スマホを耳から離さないといけないほどの大声で怒鳴る総二郎。
俺が返事をしないからいつまでも同じ事を繰り返し説教された。

「ごめん、総二郎。心配掛けて・・・説明したいから少し落ち着いてくれる?」

『はぁっ!?落ち着けだと?これが落ち着いていられるかっ!お前が・・・お前がまさかそんなこと・・・』

1年以上俺たちを心配してたんだから仕方がない。何故相談しなかった!って怒る総二郎には感謝の気持ちしかなかった。
心底心配してくれてるからこそ、ここまで怒っているんだろうから・・・。


「あのさ・・・違う頼みを聞いて欲しい。俺たち、そろそろ限界なんだ。説明するから落ち着いてくれない?」

『これ以上の頼みってなんだよ!常識範囲外のことなら断わるぞ!』

常識範囲外・・・か。それなら当てはまるかもしれないけどね。




「総二郎・・・・・・あいつ、俺の妹じゃないんだ」


電話口で総二郎の声がしなくなった。

「聞いてる?つくしは花沢の子供じゃないんだ・・・産まれてすぐにあいつはうちの家の前に捨てられていたんだ。それを養子にして
うちの両親が実子で公表したってわけ・・・心配したんだろうけど俺達は兄妹じゃないし、もちろん血も繋がっていない他人なんだ。
つくしの両親は未だにわかってない。今、その人達を探してるんだ」

『その話は・・・本当なのか?』

「まぁね・・・実はつくしが知ったのは司と別れてからだよ。それまではつくしも自分が捨てられた子供だなんて知らなかったんだ」

言葉を失った総二郎に今までの経緯を説明した。
つくしがうちの前に捨てられていたこと、その時の状況、そして小さい頃にどうして外に出さなかったのか。
花沢家の系統と違う容姿のつくしが英徳に入らなかった理由・・・つくしを世間から隔離して育てたのには色んな理由があったのだと。

そして俺は子供の時からつくしだけを見てきて、それがいつの間にか恋になり、今ではもう手放せない存在になっていることを。
どうして俺がそこまで司から取り戻そうと必死だったのか、初めてこの時、司と引き離すためにした小細工のことも話した。
総二郎は黙って聞いていたがこの時だけは「お前らしい」と笑っていた。


「総二郎、ごめん。もっと早く言えば良かったんだけど、こればっかりは何処で話したらいいかタイミングがわかんなくて」

『・・・バカバカしい!俺は今日の朝、つくしちゃんの様子でびっくりして、お前が無理矢理妹を犯したのかと思ってろくに講義も
受けられなかったんだぞ!大事な哲学史の講義だったのに・・・どうしてくれんだよっ!』

「あはっ!それはホントにごめん!自習しなよ、総二郎なら問題ないでしょ?」


この後に総二郎は声を一変させて俺に質問してきた。

『それで、別の頼みってなんだ?悪いが俺は人捜しってもんは担当外だ、それならあきらにも話した方がいいんじゃないか?
俺から話していいなら説明しておく・・・どうする?』

「ん・・・頼むよ。本当は俺が直接したいけどこれからしばらくはここでの仕事が詰まってて見動きがとれないからね。
つくしに連絡しておくから19年前のことを聞いてやってくれる?うちの加代がこの事をよく知ってるから同席させる。
調べる為の材料から探さないといけないんだ。でも個人情報保護法の関係で情報開示してくれない機関が多くて困ってる。
美作のシステムや西門の後援会資料とかでもいい。19年前に子供が絡む事件でも事故でも、なんでもいいから情報が欲しい。
本当に面倒なんだけど、どうしても高城が動く前につくしの出生を調べないと今度は止められないんだ。・・・ごめん、迷惑だろうけど」


総二郎はふんっと電話口で鼻をならした。

『迷惑だけど仕方ないわ!親友の頼みは聞いてやらないとな・・・じゃあ、あきらにも話すぞ?いいな!』


「ありがとう。それと、本当に心配掛けてごめん。危ない兄妹だって悩んだんだろ?」

『・・・マジ、焦ったわ!妹が兄貴の子供抱いてるとこ想像して汗が止まんなかったよ!』


あっははっ!って笑うけど、本当はそんな場合じゃないのにね!
それでもいざとなったら助けてくれる頼もしい親友に感謝だ・・・。電話を切った後、スーツに着替えて自宅を出た。
フランスの鈍い空の色・・・ひんやりとした空気に神経が研ぎ澄まされるようだった。

石畳に響く靴の音がやけに甲高い。


これで俺が日本にいなくても少しは調査に進展があるかもしれない。
歩きながらもう一度日本に電話を入れた。もちろん、相手はつくしだ。


「もしもし、つくし?あのさ、総二郎から電話があってね・・・」

この後つくしに全部報告して、総二郎やあきらと協力するようにと説明した。
すっかり落ち着いていたつくしは声も元通りで食事も摂れたらしい。

少しずつ・・・少しずつ俺たちのことを知っている人間が増えたきた。
何故だろう、解決なんてしていないのにどこかでホッとしている。

俺の目の前には花沢のフランス本社が朝日に照らされて白銀色に光り輝いていた。
エントランスに入ると一斉にスタッフが頭を下げる。俺は今日も無表情でこの人混みの中を通り抜けていった。


********

<花沢邸>

「じゃあね、類。お仕事頑張ってね」

電話が終わると側にいた加代さんが心配そうに私の顔を覗き込んだ。
もうすっかり落ち着いていたからベッドから起き上がって、ソファーでお茶を飲んでいるときに類からの電話はあった。

その話の中身は意外なもの・・・類は西門さんに全部話したと、そして西門さんから美作さんにも同じように話すという。
すでに自分では限界があったから情報網を持ってる2人の協力を仰いだと・・・。私は類が困っているのを知っていたから
それも一つの手立てだと思って賛成した。だから、2人が内容を聞きに来たら説明するようにとの指示だった。


「まぁ・・・大丈夫でしょうか。あんな由緒あるお屋敷のお二人まで巻き込んでしまっては・・・何か、問題でも起きたら大変ですわ」

「加代さん、本当にごめんなさいね。加代さんまで辛い目に遭わせてしまってるのね・・・でも、これが類の方針なら私はそれに
従うしかないわ。そして、それが正しいと信じる・・・今度、二人がここに来たらお願いね・・・私の側にいてちょうだいね」

手を伸ばしたら私を抱き締めてくれる加代さん・・・。



少し何かが動くような予感がしていた。


KOSU20.jpg

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Comments 2

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2017/09/28 (Thu) 22:12 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

さとぴょん様、こんにちは🎵

ストレートすぎた?笑ってやってくださいな!
今のお話が両方ともシリアスなので、交互に書くとわけがわかんなくなるんですよ(笑)

総二郎のキャラが多少違うのに、間違えてたりして。
あらー?ってなるときがあります。

全国のお兄様をお持ちの方、くれぐれもご自分のお兄様と…なんて想像しないでね?と、言いたい(笑)

睡眠ね、5時間とりたいけどとれない…
春までは激務なんですよね。それまで持つかしら(笑)

お気遣いいただきありがとうございます。
倒れる前には休むようにします!

2017/09/29 (Fri) 12:29 | EDIT | REPLY |   

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