幼馴染みの恋愛事情・147
「こんにちは、西門さん。奇遇ですね」
そう言って現われた陽子・・・いつものようにニコニコしているが、流石にここまでされるとその背後に思いっきり黒い羽が見えた。
何故ここまで追い掛けて来たのか、なんて事は少し考えれば判ること。でも俺にその気がねぇのと、たとえ第一印象でその気になったとしても、人妻と聞いた時点でアウト。
他人のものには全く興味がない。
聞けば旦那と子どもは暢気にカピバラを見ているらしい・・・それなら母親であるお前も行けよと言えば、陽子は不敵な笑みを浮かべてきた。
そして出した言葉は・・・
「つくしちゃんは?」
「あいつはトイレに行ってます。こんなところで会うとややこしくなりますよ」
「うふふ、ややこしくなっても構いませんよ。せっかくだからいい事教えてあげましょうか?」
「・・・・・・・・・いい事?イヤ結構です。今から席を取らないといけないので」
「は?」
「聞こえませんでした?あいつがバードショーを楽しみにしてるので、席を2人分取らないといけないんですよ」
そう言ってクルッと向きを変え、観覧席の階段を降りようとしたら・・・
「待って、西門さん!」
真っ赤な顔でそう叫び、突然俺の腕を掴んできた。
回りの客達も何事かと俺達を見てる・・・この状況を作り上げることが狙いなのはすぐに判った。
こんな大勢の前で、女に恥をかかせるようなマネをしない・・・そう思ったんだろうが、それは相手次第。
自動車教習所ではつくしに纏わり付いて探りを入れ、俺を見ると意味ありげな笑顔で近付いてくる、オマケにストーカー紛いな行動をとる、そんな女に容赦なんてしない。
俺はどんどん増えてくる客の中で、掴まれた腕を大袈裟に振り解いた。
そして回りに聞こえるような大声で、「旦那さんに刺されたくないんで離してもらえる?」と言ってやった。
瞬間ザワッとするスタジアム・・・陽子は耳まで赤くして俺から手を離した。
でもすぐに「冗談は言わないでくださいよ~」と笑って誤魔化し、客達は再び動き始めた。
・・・てか、早くしないとマジで席が埋まる!
「・・・に、西門さん、騙されてるのに・・・!」
「騙されてる?それがいい事ですか?」
「そうですよ!騙されてることが判ったら、つくしちゃんから逃げられるでしょ?」
「逃げる・・・俺がつくしから?別にそんなつもりはないですけど」
「でもつくしちゃん、他にも男が居るんですよ?!」
またまたザワッとするスタジアム・・・今度は泣きマネが始まった。てか、それが本当だとしても陽子には何の関係もないはず・・・こいつ、自分が結婚してることを忘れてねぇか?
しかも、その男ってのは・・・・・・
「ご心配なく。その男は倉田と言って、あいつの会社の先輩で既婚者です。しかも奥さん溺愛で最近子どもまで出来てる、幸せの絶頂に居るような人ですから」
「えっ?!」
「つくしから倉田に送ってもらったって聞いたんで、間違いないですよ。しかも倉田なら俺とつくしのことを知ってるので、間違っても手を出したりしないと思いますから」
「・・・・・・・・・・・・」
「完全にあなたの勘違いですよ。それじゃ、俺達は今から2人でショーを楽しむので、あなたは旦那さんのところにお戻り下さい。
ちなみに俺、他人の”物”に手を出すつもりは1㎜もないんで!」
俺はもう振り返らずに階段を駆け降り、急いで開いてる席を確保!ほぼ中央の前から2番目だったが、ここならつくしも満足だろうと、ドカッと座った。
そして5秒後、チラッと振り向くと陽子が去って行くのが見えた。
・・・どんな旦那か知らねぇが、近くに居るのに堂々と浮気紛いの事をしやがって、と呆れた。
そして「総二郎、何処~?!」の声が聞こえて、反対側を振り向くとつくしがキョロキョロしていた。だから立ち上がって「ここだ!」と言うと、嬉しそうに駆け降りてきた。
「うわぁ~~♪いい席だねぇ♪」
「お姫様のご希望通りだろ?」
「ここだったら手を挙げたら指名されるかな~♥」
「・・・・・・お前、何する気だ?」
******************************
トイレを済ませて急いでスタジアムに戻ると、もうそこはすごい人集り・・・総二郎が何処に居るのか判らなくて
「総二郎、何処~?!」
と叫んだら、スッと立ち上がった黒髪の彼。
そうしたら回りの人が総二郎を見て「きゃあ♥」って感じで真っ赤になってる・・・でも彼は私だけを見て「ここだ!」って♪
あぁ~~~っ!すごい優越感~~♥
中身はともかく、外面は最高だから~~♪
なんてことを心の中で叫びながら階段を降りた。
そして総二郎が伸ばしてきた手を取って席に座り、もうドキドキのワクワク!チラッと隣を見たら総二郎はまだ後ろを見てたから・・・
「なに?誰かいたの?」
「いや、別に・・・」
「そう?それにしてもいい席だねぇ♪」
「お姫様のご希望通りだろ?」
「ここだったら手を挙げたら指名されるかな~♥」
「・・・・・・お前、何する気だ?」
そんなこんなで始まったバードショー。
まずは目の前の森の中からハクトウワシが飛んで来て、私の頭上スレスレをギューーーン!!と!
「きゃああああぁっ!カッコいい~~っ!!」
「おい、少し静かにしろ💢!」
ハクトウワシは空の王者と呼ばれ、羽を広げると2mを越える大きさ。頭の部分が真っ白で、何と言ってもイケメン!舞い降りる姿は圧巻で、アメリカ合衆国の国鳥に登録され、国章にも描かれてる。
ハリスホークは頭脳明瞭で、群れで狩りをする賢い鳥らしい。
イラニアンワシミミズクは夜に狩りをするために羽音を立てずに飛び、めっちゃ静かに低空飛行・・・これも私の頭のすぐ上を飛んでて、手を伸ばしたら捕まえられるかと思った。
そう言うと総二郎が「手がなくなるぞ」って言うから怖かったけど。
ダルマワシは他のワシと比べると尾羽が短いため、体を大きく揺らしながら飛行するんだって。
そんな風に大型猛禽類の飛行を堪能していたら、スタッフさんのひと言が・・・・・・
「ではここで、お客様の中でハリスホークを手の乗せてみたいと言う人、いますかぁ~~~?!」
来たあぁ~~~~~~~っ!!
「はいはいっ!!」
「えっ?!」←総二郎
「沢山手を挙げてくれましたねぇ~~~、誰にしようかなぁ~」
「はいはいはいっ!!」
「・・・え~~~~っと・・・(子どもがいいんだけど)」
「はいはいはいはいっ!!」
「・・・そこの元気のいいお姉さん・・・前にどうぞ・・・」
やったあぁ~~~~~~っ!!
************************
確かに檻の中にいる猛禽類とは違うダイナミックで豪快なショーだった。
1km先から谷を超えて飛んでくるタカやワシ、マジでぶつかるかと思うような低空飛行、疑似とは言えハンティングの様子も見られて思ったよりは楽しかった・・・とは思う。
ガキだとビビって逃げ出す、あるいは大泣きするのも判る。
そんなことよりも、だ!!
「・・・・・・そんなに怒らなくても」
「怒られるような事をしたのはお前だ💢あんなものは普通子どもにさせるもんだ!」
「でもお姉さん、指名してくれたし~」
「あれだけ吠えりゃ指名せざるをえないだろうがっ💢!」
「だって、こんな機会滅多にないし~~~」
「それでもだ💢!!」
ハリスホークを手に乗せて大喜びしたのを、他の子どもが泣きそうな目で見ていたのに・・・しかも、その後でヨウムとの会話タイムでも大声出して手を挙げて・・・
隣にいた俺まで白い目で見られて恥ずかしかったのなんのって!
やっとバードショーが終わったから逃げるように席を立った。
そして約束通り、バーベキューガーデンで食べ放題・・・中途半端な時間だったから人が少なく、ここでつくしは削り取られた体力を回復。
食い終わったのが16時で、そろそろここを出ないと東京に戻るが夜になるから出口に向かうと・・・
「総二郎、お土産買いたい~~~♪」
「土産?誰に?」
「会社の人とか、あの人この人・・・とにかく、お店に行って来る~~♪」
「・・・あいよ」
そして買って来たのはマヌルネコの化粧ポーチ(桃子用・下着のアドバイス料として)、スナネコ ソックス &ハシビロコウのぬいぐるみ(自分用)、和柄の扇子・ハクトウワシ柄(俺用)・・・って、茶席でそんな扇子使えねぇだろ。
宗家にと言われたが内密なので却下したが、何故かネクタイを3本・・・
「ハクトウワシが祥兄ちゃんで、ナマケモノが考ちゃん♥」
「俺は?」
「総二郎はハシビロコウだよ~~」
「・・・・・・・・・・・・」
ハシビロコウ柄のネクタイって・・・いつ、着けるんだ?

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何故ここまで追い掛けて来たのか、なんて事は少し考えれば判ること。でも俺にその気がねぇのと、たとえ第一印象でその気になったとしても、人妻と聞いた時点でアウト。
他人のものには全く興味がない。
聞けば旦那と子どもは暢気にカピバラを見ているらしい・・・それなら母親であるお前も行けよと言えば、陽子は不敵な笑みを浮かべてきた。
そして出した言葉は・・・
「つくしちゃんは?」
「あいつはトイレに行ってます。こんなところで会うとややこしくなりますよ」
「うふふ、ややこしくなっても構いませんよ。せっかくだからいい事教えてあげましょうか?」
「・・・・・・・・・いい事?イヤ結構です。今から席を取らないといけないので」
「は?」
「聞こえませんでした?あいつがバードショーを楽しみにしてるので、席を2人分取らないといけないんですよ」
そう言ってクルッと向きを変え、観覧席の階段を降りようとしたら・・・
「待って、西門さん!」
真っ赤な顔でそう叫び、突然俺の腕を掴んできた。
回りの客達も何事かと俺達を見てる・・・この状況を作り上げることが狙いなのはすぐに判った。
こんな大勢の前で、女に恥をかかせるようなマネをしない・・・そう思ったんだろうが、それは相手次第。
自動車教習所ではつくしに纏わり付いて探りを入れ、俺を見ると意味ありげな笑顔で近付いてくる、オマケにストーカー紛いな行動をとる、そんな女に容赦なんてしない。
俺はどんどん増えてくる客の中で、掴まれた腕を大袈裟に振り解いた。
そして回りに聞こえるような大声で、「旦那さんに刺されたくないんで離してもらえる?」と言ってやった。
瞬間ザワッとするスタジアム・・・陽子は耳まで赤くして俺から手を離した。
でもすぐに「冗談は言わないでくださいよ~」と笑って誤魔化し、客達は再び動き始めた。
・・・てか、早くしないとマジで席が埋まる!
「・・・に、西門さん、騙されてるのに・・・!」
「騙されてる?それがいい事ですか?」
「そうですよ!騙されてることが判ったら、つくしちゃんから逃げられるでしょ?」
「逃げる・・・俺がつくしから?別にそんなつもりはないですけど」
「でもつくしちゃん、他にも男が居るんですよ?!」
またまたザワッとするスタジアム・・・今度は泣きマネが始まった。てか、それが本当だとしても陽子には何の関係もないはず・・・こいつ、自分が結婚してることを忘れてねぇか?
しかも、その男ってのは・・・・・・
「ご心配なく。その男は倉田と言って、あいつの会社の先輩で既婚者です。しかも奥さん溺愛で最近子どもまで出来てる、幸せの絶頂に居るような人ですから」
「えっ?!」
「つくしから倉田に送ってもらったって聞いたんで、間違いないですよ。しかも倉田なら俺とつくしのことを知ってるので、間違っても手を出したりしないと思いますから」
「・・・・・・・・・・・・」
「完全にあなたの勘違いですよ。それじゃ、俺達は今から2人でショーを楽しむので、あなたは旦那さんのところにお戻り下さい。
ちなみに俺、他人の”物”に手を出すつもりは1㎜もないんで!」
俺はもう振り返らずに階段を駆け降り、急いで開いてる席を確保!ほぼ中央の前から2番目だったが、ここならつくしも満足だろうと、ドカッと座った。
そして5秒後、チラッと振り向くと陽子が去って行くのが見えた。
・・・どんな旦那か知らねぇが、近くに居るのに堂々と浮気紛いの事をしやがって、と呆れた。
そして「総二郎、何処~?!」の声が聞こえて、反対側を振り向くとつくしがキョロキョロしていた。だから立ち上がって「ここだ!」と言うと、嬉しそうに駆け降りてきた。
「うわぁ~~♪いい席だねぇ♪」
「お姫様のご希望通りだろ?」
「ここだったら手を挙げたら指名されるかな~♥」
「・・・・・・お前、何する気だ?」
******************************
トイレを済ませて急いでスタジアムに戻ると、もうそこはすごい人集り・・・総二郎が何処に居るのか判らなくて
「総二郎、何処~?!」
と叫んだら、スッと立ち上がった黒髪の彼。
そうしたら回りの人が総二郎を見て「きゃあ♥」って感じで真っ赤になってる・・・でも彼は私だけを見て「ここだ!」って♪
あぁ~~~っ!すごい優越感~~♥
中身はともかく、外面は最高だから~~♪
なんてことを心の中で叫びながら階段を降りた。
そして総二郎が伸ばしてきた手を取って席に座り、もうドキドキのワクワク!チラッと隣を見たら総二郎はまだ後ろを見てたから・・・
「なに?誰かいたの?」
「いや、別に・・・」
「そう?それにしてもいい席だねぇ♪」
「お姫様のご希望通りだろ?」
「ここだったら手を挙げたら指名されるかな~♥」
「・・・・・・お前、何する気だ?」
そんなこんなで始まったバードショー。
まずは目の前の森の中からハクトウワシが飛んで来て、私の頭上スレスレをギューーーン!!と!
「きゃああああぁっ!カッコいい~~っ!!」
「おい、少し静かにしろ💢!」
ハクトウワシは空の王者と呼ばれ、羽を広げると2mを越える大きさ。頭の部分が真っ白で、何と言ってもイケメン!舞い降りる姿は圧巻で、アメリカ合衆国の国鳥に登録され、国章にも描かれてる。
ハリスホークは頭脳明瞭で、群れで狩りをする賢い鳥らしい。
イラニアンワシミミズクは夜に狩りをするために羽音を立てずに飛び、めっちゃ静かに低空飛行・・・これも私の頭のすぐ上を飛んでて、手を伸ばしたら捕まえられるかと思った。
そう言うと総二郎が「手がなくなるぞ」って言うから怖かったけど。
ダルマワシは他のワシと比べると尾羽が短いため、体を大きく揺らしながら飛行するんだって。
そんな風に大型猛禽類の飛行を堪能していたら、スタッフさんのひと言が・・・・・・
「ではここで、お客様の中でハリスホークを手の乗せてみたいと言う人、いますかぁ~~~?!」
来たあぁ~~~~~~~っ!!
「はいはいっ!!」
「えっ?!」←総二郎
「沢山手を挙げてくれましたねぇ~~~、誰にしようかなぁ~」
「はいはいはいっ!!」
「・・・え~~~~っと・・・(子どもがいいんだけど)」
「はいはいはいはいっ!!」
「・・・そこの元気のいいお姉さん・・・前にどうぞ・・・」
やったあぁ~~~~~~っ!!
************************
確かに檻の中にいる猛禽類とは違うダイナミックで豪快なショーだった。
1km先から谷を超えて飛んでくるタカやワシ、マジでぶつかるかと思うような低空飛行、疑似とは言えハンティングの様子も見られて思ったよりは楽しかった・・・とは思う。
ガキだとビビって逃げ出す、あるいは大泣きするのも判る。
そんなことよりも、だ!!
「・・・・・・そんなに怒らなくても」
「怒られるような事をしたのはお前だ💢あんなものは普通子どもにさせるもんだ!」
「でもお姉さん、指名してくれたし~」
「あれだけ吠えりゃ指名せざるをえないだろうがっ💢!」
「だって、こんな機会滅多にないし~~~」
「それでもだ💢!!」
ハリスホークを手に乗せて大喜びしたのを、他の子どもが泣きそうな目で見ていたのに・・・しかも、その後でヨウムとの会話タイムでも大声出して手を挙げて・・・
隣にいた俺まで白い目で見られて恥ずかしかったのなんのって!
やっとバードショーが終わったから逃げるように席を立った。
そして約束通り、バーベキューガーデンで食べ放題・・・中途半端な時間だったから人が少なく、ここでつくしは削り取られた体力を回復。
食い終わったのが16時で、そろそろここを出ないと東京に戻るが夜になるから出口に向かうと・・・
「総二郎、お土産買いたい~~~♪」
「土産?誰に?」
「会社の人とか、あの人この人・・・とにかく、お店に行って来る~~♪」
「・・・あいよ」
そして買って来たのはマヌルネコの化粧ポーチ(桃子用・下着のアドバイス料として)、スナネコ ソックス &ハシビロコウのぬいぐるみ(自分用)、和柄の扇子・ハクトウワシ柄(俺用)・・・って、茶席でそんな扇子使えねぇだろ。
宗家にと言われたが内密なので却下したが、何故かネクタイを3本・・・
「ハクトウワシが祥兄ちゃんで、ナマケモノが考ちゃん♥」
「俺は?」
「総二郎はハシビロコウだよ~~」
「・・・・・・・・・・・・」
ハシビロコウ柄のネクタイって・・・いつ、着けるんだ?

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