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plumeria

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<side類>
牧野は俺の胸に抱かれるようにして、俺が額にキスをしても拒絶しない。
それは酒のせいかもしれないけど、このまま自分のものにしたくて抱き締めていた腕の力を強くした。

「牧野、返事くれない?まだ、待たないとダメ?」

「花沢類・・・この前はごめんね。おば様のこと、許してあげてね・・・」

家元夫人の事なんて始めから気にもしてない。あんな席で何を言われようが俺が聞きたいのは牧野からの返事だけだから。
他の人が言う言葉なんて信じない。だから、あの時も少しも慌てなかったし驚きもしなかった。
俺にとっては牧野の口から出る言葉以外は耳に入らないから。



「花沢類・・・ごめんね。私はあなたの申し出を受けることは出来ない・・・」

暫くしてから胸に顔を押しつけるようにして小さな声で呟くように声を出した。

俺の腕の中なのにそんな言葉を出した牧野は少し泣いているみたいだった。
わかっていたけどやっぱりショックだね。でも、牧野の最後の優しさなのかもしれない・・・俺に抱かれたままだなんて。
その小さな手は何も掴まないまま硬く握られている。そんなに力なんて入れなくてもいいよ・・・?


「そう・・・ちゃんと伝えられたの?あいつは牧野の事を受け止めてくれた?俺がいなくても大丈夫?」

「大丈夫って・・・それはわかんない。でも、ちゃんと確かめたから・・・」

確かめたって・・・そういう事なの?酔ってるからって随分と酷いこと言ってるよ?
それでもまだ離せなくて、俺の腕の力だけがまた強くなる・・・これ以上抱き締めたら牧野が壊れるかもしれないね。

「ねぇ、牧野。最後だからさ・・・牧野も俺を抱き締めて」
「・・・え?」

「その膝の上に置いてる手・・・それで、俺の事を抱き締めてくれたら、それで全部終わりにする・・・牧野」

ゆっくりと俺の背中に回ってくる牧野の手が背中に当たると、もう一度頭を抱え込むように俺の胸に押し当てた。
なんて温かいんだろ・・・これが俺のものにならなくて、あいつが持っていくかと思うとものすごいジェラシーが湧き上がる。
それでも牧野の笑顔だけが見たいから、これで俺は手を引いてあげる・・・20年間の想いはすぐには消せないけどね・・・。


「花沢類・・・ごめんね、でも・・・ありがとう」

「約束だからね。絶対に笑顔でいて?・・・もし、笑顔がなくなったらその時は俺が迎えにいくから」


ふふって少し笑った後に牧野はすぅ・・・っと寝てしまった。
無防備に俺の肩に頭を乗せて、子供のように安心して寝てるみたい。
ゆっくりとまたベッドに寝かせて、少し乱れた髪の毛を直してあげた・・・そして、眼を覚まされないようにそっとキスをした・・・。


今度こそあいつを呼ばないとね。


*********


突然夜になった電話の相手は類だった。
こんな時間に何の用だ?・・・しかも。先日西門から締め出しを食らったと聞いても俺は連絡すらしていなかった。
本当はお袋のしたことに謝罪でもしなくちゃいけないんだろうけど、つくしにプロポーズをした類に掛ける言葉は見つからなかった。

このまま切れればいいのに・・・そう思ったけど意外と類の電話はしぶとかった。
いつもならこんなに長く鳴らさないくせに!しかも相手が俺なのにここまでしつこいなんて・・・仕方なく”通話”をタップした。


「もしもし・・・何時だと思ってんだよ。どうした?・・・類」

『やっと出た・・・あと5回出なかったら俺が貰おうと思ったよ。迎えにこない?お姫様』

「は?どういう意味だ?・・・まさか、類のところにつくしがいるのか?」

『変な言い方しないでよね。どっちかって言うと総二郎のところの内部事情が問題でしょ?いい加減にしないと許さないよ?』

類が何を言ってるのかさっぱりわかんなかったけど、類のマンションの場所を聞いてつくしを迎えに行くことした。
ジャケット一枚だけ手にとって慌てて車を走らる。俺の家の内部事情ってことは考が絡んでるって事か?
今日は桜子と会うんだって言っていたのに、なんで最後は類の部屋にいるんだ?しかも、電話が類からってどうしてだ?
嫌なシナリオしか浮かばない。とにかくマンションに行って本人から聞かないと・・・アクセルを踏込んでマンションへと急いだ。

***

類のマンションに着いたらゲスト用の駐車場に停めて、急いで最上階を目指した。
最上階の一番奥にあいつ名義の部屋があるらしい。初めて知らされた新しいマンション・・・どう見ても1人暮らし用じゃない。
日本で暫く仕事をするとは聞いていたが、そのために購入したわけでもないだろうに!下心が丸見えだってんだ!
そんな類に焦りを感じながら静かに上がるエレベーターの中で1人、イライラしていた。

部屋のインターホンを押すと、中から自動ロックが解除されてドアが開いた。
中に入るとリビングには類が1人で座ってて、入ってきた俺に苦笑いしてる・・・だけどこの部屋につくしはいなかった。


「類・・・あいつはどこだ?迎えにこいって言ったくせに・・・どこにいるんだ?」

「奥のベッドルーム。今はよく寝てるよ」

「ベッドルーム?なんで類の部屋のベッドにあいつが寝てるんだ?」

ぐっと握られた拳を類が見逃すはずもない。だけど顔色一つ変えずに横目で俺を見ている。
そして、ゆっくりと立ち上がったら俺の方に向かって歩いてきた。その眼はいつもの類じゃない・・・凄い怒りを感じた。
滅多にこんな表情を見せない類がここまで感情を表に出すのは珍しい・・・だけど、そこまで怒る理由はなんだ?

「総二郎、西門はなにやってんの?そんなに牧野を縛り付けたいの?」

「どういうことだ?今日はつくしは桜子とメシを食いに行ったはずだけど、なんでここで寝てるんだって説明の方が先じゃねぇのか?
話次第じゃ俺の方がお前を許さねぇぞ。その前につくしのところに行ってくる・・・」

類の横を通り過ぎようとしたときにガシッと肩を掴まれて引き寄せられたかと思うと、両手で襟を掴み上げられた!
油断してたとはいえ、いきなり類がこんな事をするとは思っていなかった。ぐっと首を絞められて、思わず類の手首を掴んだ!

「なにすんだっ!手を離せ・・・!いきなりどうしたんだ!」
「どうしたって?・・・総二郎がちゃんと守らないから牧野があんな目にあうんだろうっ!俺が偶然見つけなかったら今頃・・・!」


「・・・何があった?類・・・つくしに何があったんだ?」

類は俺を掴んでいた両手を投げるように離して、俺はその反動でそこにあったソファーに倒れ込んだ!
類は珍しく息を荒くしていて、俺を見下ろした・・・こいつの怒りはどこから来ているのかわからなかったけど、立ち上がった俺は
類を無視して奥のベッドルームに向かった。

そこに赤い顔をしたつくしが寝ていて、特に乱れた様子もない。
ただ、酒臭い・・・つくしはこんなに酔うほど酒を飲んだのを見たことがなくて驚いた。

「つくし・・・どうしたんだ?なんでお前がこんなに酒なんて・・・」



「孝三郎に飲まされたんだよ・・・無理矢理、っていうか騙したんだと思う。アルコール度数をかなり上げたんだよ」

「考が・・・つくしを?」


「そう・・・だから牧野が俺に会わなかったらどうなっていたと思うの?総二郎」



koi42.jpg

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Comments 4

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2017/10/10 (Tue) 16:59 | EDIT | REPLY |   
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2017/10/10 (Tue) 18:01 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

さとぴょん様!今晩は!

あはは!出た!類つく第二弾!どうみても類の話しに見えてしまう!
切ない類君は大好物です。申し訳ないっ!総ちゃんが活躍してなくてっ!!

多分どこかで総ちゃんがスタンバイしてるはずだから。
もう少し待っててね!(ホントかどうかはわからんが・・・)



2017/10/11 (Wed) 00:26 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: お疲れさまで~す、アチィ(汗)

えみりん様、待って?ちょっと待って?

それはないんじゃありませんか?(笑)考と・・・ですか?そんなもの書く気はございませんよ?
いや、どうしても必要なら書くけど、読みたい?(笑)

総二郎と比べてたりしてね・・・いかん、想像してしまった!
と、言うところでこれを読む頃にはあっちの話がヤバいかな?

ふふふ・・・。夜も昼も申し訳ない

2017/10/11 (Wed) 00:38 | EDIT | REPLY |   

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