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plumeria

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次の日、お茶会があるというので家元夫人について準備のお手伝いをしていた。
さすが、西門本邸で行われるだけあってお客様の顔ぶれもすごいし、茶懐石のお支度も大変そう・・・。
お弟子さんが、急用で家元夫人を呼びに来たので一人で今から着る着物を用意していた。

「昨日はびっくりしたなぁ・・・。あんな人っているんだね・・・」

総二郎さんもすごいイケメンなんだけど、あの柔らかい感じが今までになくて・・・こういうの恋っていうのかしらねぇ・・・

「また、会えるかなぁ・・・」

「おい!何ぼーっとしてんの?」

「ぎゃっ!びっくりした!!いきなり声かけないでよ。心臓に悪いじゃないの」
「ふん。どうせあきらの顔でも思い出してたんだろうけど、あいつは子供には扱えないヤツだからな。どうしてもってなら牧野の家元に言ってやろうか?」

何て人なの!これでも一応今のところはあなたの婚約者でしょう?!品物じゃないんだからねっ!!

「もう!せっかく着物選んでたのに・・・えっと・・どっちにしようかな。ん~・・・」
「今日の、まだ決めてなかったのか?間に合わねーぞ?そうだな・・・こっちだな」

「なんで?」
「俺の着物と合わせてあるから」
「・・・・・・」
「何か不満でも?つくしちゃん?」

え?あら?な、なに?ちょーーーっと近くない?30センチくらいのとこまで顔がっ!!顔が近づいてるんですけどーー?!

****

俺と揃いの着物がそんなに気にいらねーか?揃いったって柄であって色じゃねーし。
そんなに難しい顔しなくたって。こいつ、今何考えてんだ?
そう思ったら、つい近づきすぎてて・・・

「なっなっ・・・なんですかっ?近すぎない?」

「睫毛が・・・鼻についてる」

「えっ?!」

「ぷっ・・・あはははっ・・・じゃあな。今日の茶会は家元夫人について見とくだけでいいよ。まだ、何もわかんないからな」

そう言って部屋をでた。ちょっと振り向いたら一生懸命鏡で確認してやがる。ついてもない睫毛をさがして。

ふん、あの様子じゃやっぱり昨日のことか。仕方ないけどな。あんな堅苦しい世界にいたら、あきらみたいなヤツは特にまぶしく見えるだろうし・・・
やっぱ、会わせるんじゃなかったかな。

****

茶会も終わったその日の夕方、今度は意外なヤツが現れた。

「総二郎様、花沢様がおみえです」
「類が?わかった。俺の部屋に通して」

こりゃ、困ったな。あきらであれなら類だとどうなんだ?
会わせないってのも変だし。


『久しぶりだね、総二郎。フランスから今日の朝帰ってさ・・・って あれ?誰?その子』
「・・・・・・」

「久しぶりだな、類。一年半ぶりか?・・・おいっ!お前、固まるなっ!」

やっぱりだ!眼、見開いて固まってやがる!!これ以上ないくらいわかりやすい性格だな!

『なんなの?どうしたの?・・・・・・その子?病気?』
「ある意味病気・・・ちげーよ!華道牧野流家元宗家の娘でつくしっての。なんていうか・・・行儀見習いみたいなもんだよ」

軽く後ろ頭を小突いてやると、意識が戻ってきたようだ。

「あっ・・・牧野つくしと申します。すっ・・・すみません」
『あぁ・・びっくりした。初めまして?』(ニコッ)

ニコって・・・類、お前大人になったんだな。昔っから知らない人間には笑いもしなかったくせに。
ほら見ろ!あきらを上回るお前の王子スマイルにド中心撃ち抜かれてんじゃねーか!!

「類さん?るいさんっていうんですかっ?何て名前までフランス的なっ!素敵すぎます!これからも宜しくお願いいたしますわ!」

『フランス的って・・・』

「類、ほっといてやってくれ!昨日はあきらにやられて、今日はお前。2連発でテンパったんだろーよ。なんたって一度も彼氏作ったことないような女だからな。いきなりハードル高すぎるっての」

『ふーん。そういうこと』

****

あぁ、なんなの?この薄茶の髪と薄茶の瞳は!ホントに日本人なの?私なんてド直毛の真っ黒で、眼だってやたら黒いのよ!
憧れるわっ!それに・・・この人なんかいい香りがするわ?ほら西門さんって線香みたいな香りじゃない?

****

「誰が線香だっ!あれはサンダルウッドってんだ!!どうでもいいが、お前もう自分の部屋に戻れ!二日も続けて俺のダチに色目なんかつかうなっ!」
「失礼なっ!あなたこそ邪魔しないでよっ!」

くっそー、この女!なんでだ?なんで今日も俺がイライラしなくちゃいけないんだ!

「邪魔だと?類は俺の客だっての!な、類っ」

おい、お前まで固まるなよ。その天使の微笑みだかなんだか知らないが、その顔のまま固まるなっ。

『・・・俺、やっぱ帰る・・・』

類は後ろ向きのまま手をひらひらさせて帰って行った。フランスの土産だけおいて・・・
残ったのは真っ赤になったこいつと、いまだ頭に血の上ったままの俺。


疲れた・・・


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