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<side総二郎>
病室のベッドの上で少しだけ目を開けた清四郎叔父さんは確かに高城の母親を「美智子」と名指しした。
それは特別な関係であったと思わざるを得ない。まさか・・・とは思ったがそのまま質問を続けた。

「はい、高城美智子さんです。20年以上前に関西支部の後援会に入っていた高城工業の社長、高城勇作さんの奥さんですよ。
そして、今はアメリカで成功して高城コーポレーションという大企業の社長夫人です。大叔父さんはご存じなんですね?」

「アメリカで・・・そう言えば、アメリカに行かせたな。そうか・・・成功しておったのか。それは何よりだ・・・」

アメリカに行かせた?その言葉の意味はなんだ?大叔父さんがあの一家を渡米させたというのか?
また目を閉じてしまった大叔父。一つ大きな溜息のような息を吐いてから軽く咳払いをした。

「失礼ですが、大叔父さんとその人はどういう関係でしょうか。実はこの高城家が友人と少しトラブルを起こしていましてね。
高城勇作さんの息子の事を調べているのです。そうしたら西門と繋がっているようだったので気になっています。
教えていただけませんか?この高城家と大叔父さんは何か関係があったのでしょうか?先ほどの行かせた・・・というのは
どういう事でしょう。大叔父さんがこの一家を助けたのですか?当時は非常に困っていたようですが・・・」

立て続けに質問する俺に大叔父さんは一気には答えられるはずもなく、理解することも出来ないようだった。

「美智子は古い友人の妹でな・・・あれの旦那は筋の通った男で腕のいい職人じゃったよ。事業が上手くいっていたから西門の
後援会に入れたのは儂だ。それが・・・どうしてだったかな・・・会社が上手く回らんようになってとうとう倒産してしまってな・・・」

一部記憶が曖昧なんだろう、辿々しい説明で要領も得なかったが美智子とは男と女の関係ではなかったようだ。
その後もゆっくりとだが説明は続いた。

「工場や自宅を手放しても借金が残ってしまってな、それをどうにかせんと生きていかれんと泣きついて来たことがある。
その時に不憫でならんかったから肩代わりしてやったのだ・・・もう随分と前の事だがな・・・」

「大叔父さんが高城の借金を返済したというのですか?それこそ結構な金額では?そこまでしなくてはいけなかったのですか?」

「そうでもせんとあの子が困るじゃろう・・・」

あの子?あの子って言うのは高城勇作の事か?それとも美智子・・・まさか高城誠じゃねぇよな?
少しだけ大叔父さんの目尻に光るものがある。この人が話す内容の所々がわからなくて俺自身も混乱してきた。

「もう一度聞きます・・・大叔父さんと美智子さんの関係はなんでしょうか。ただの知り合いではなさそうだ・・・どこで西門と高城は
繋がっているんですか?お話しいただけませんか?」

「友人の妹じゃよ。それ以外の何者でもない・・・のう、総二郎よ、高城の息子は元気にしておるか」

「高城誠ですか?はい・・・元気にしていますよ。私と同じ歳で同じ大学です。お会いになったことはありますか?」

「あぁ・・・赤ん坊の時にな、そうか。元気か」


この後、急に呼吸が苦しくなった大叔父が噎せ込んだために看護師を呼んで救急処置が始まった。
俺はそこに立ち会ったが、酸素マスクを装着されて心電図なんかが運ばれてくる様子を見て、これ以上は無理かと部屋を出ようとした。
その時に看護師から呼び止められた。

「あの、西門様が何かお話しされてますけど・・・今なら少しは大丈夫ですよ」

「そうですか。では挨拶だけしておきましょう」

これだけ病院関係者に囲まれては聞きたくても聞かれない。それに大叔父もこれ以上は記憶が曖昧だろうから諦めることにした。
最後に一言挨拶をしようと顔を近づけると、その時に話した一言に驚いた。


「美智子の腹の中の子はその後、どうなったかの・・・」

「・・・え?」

「高城は可愛がってくれておるじゃろうか・・・」


その一言だけ話すと大叔父の容態は悪くなり、俺は部屋を出された。
美智子の腹の中の子?・・・高城誠は一人っ子だ。妹も弟もいないはず・・・大叔父は何を言いたかったんだ?
医者や看護師の声がやけに騒がしく、緊急事態の様子だったが、俺は廊下で1人立ち竦んでいた。


********


フランスに来てまだ数日、今日はプロジェクト参加企業による合同会議の前夜祭と称してパーティーが行われていた。
本来は女性をエスコートしなくてはならなかったが、パーティーの趣旨がこのプロジェクト起ち上げ記念のようなもの。
経済的な意味合いが強いためにそこまで強要されなかった。

父さんはフランスでも1.2を争う大企業の娘を俺のパートナーにと準備してたようだが、本人を目の前にして丁寧に断わった。
プラチナブロンドにブルーアイ、かなりの美人でこの会場でも目立っていたが、まさか断わられるとは思わなかったらしい。
そこの社長だろうか、父さんにフランス語で抗議していたようだ。頼んでもないのにそんな話を持ってくる方が悪いんだって。

なにやら揉めてるその場を離れて一人会場の隅でワイングラスを傾けていた。
もちろん父さんは激怒している。それでも、つくし以外の女性と腕を組む気なんてさらさらない。


そこに近づいてきたのは母さんだ。ここでは日本にいるより一段と華やかに着飾ってる。
東洋人とはいえ少し日本人離れした顔立ちの母さんは、こっちの女性と比べても見劣りなんてしない。
むしろ透明感のある真珠色の肌は、自分の母親ながら群を抜いて美しかった。


「類、こちらであなたに相応しいお嬢さんを見つけたいと思っているんだけど、どうしてもその気にならないの?」

「申し訳ありませんが、俺の気持ちは変わらないんです。つくし以外は考えていませんから」

「諦めなさい。あの子を実子として育てた以上、妹でしかないわ。気持ちはわかるけど・・・新しい恋をして欲しいのよ」

潤んだ眼で見上げてくる母さんだけど、それが作戦だって事はわかっている。
この人は女の武器ってものを知っているから、例え息子だろうがその眼を向けてくるんだ・・・無意識だろうけどね。

「新しい恋なんて必要ないんですよ。母さんには悪いけど、誰を俺の横に持ってきたとしても指一本触れることはないでしょう。
それで問題にされても困りますから、俺に女性を連れてくるようなマネはやめた方がいい・・・花沢のためですよ」


母さんの顔色が変わった。


「そう・・・まぁ、いいわ。つくしにもこれからは変化があるでしょうからね。よく考えたらいつも一緒だからいけなかったのよ。
少し距離を置けばあなたよりもつくしの方が新しいものを見つけるかもしれないわね」

「どういう意味ですか?」

「・・・そのうちわかるわ」

母さんは踵を翻して俺の前から去って行った。


つくしに変化が起きる?俺と離れて?


両親が何かを企んでいるような気がして妙に胸騒ぎがする・・・つくしに何か起きているのかもしれない。
俺はすぐにパーティー会場を後にして自宅に戻った。


**

時間を見たら午後6時・・・日本は夜中の1時だ。
流石に俺がいないあの家ではつくしはすでに眠っている可能性が高い・・・試しにメールを打ってみた。

”もし起きているなら電話が欲しい。つくしの声が聞きたい”

♪~
つくしからの電話はメールの後すぐに来た。

「つくし・・・ごめんね、そっちは夜中なのに」

『ううん、まだ起きていたもの。どうかしたの?類がこんなことするの初めてだね!』

「心配になったからさ。何か変わったことはない?あれから総二郎達とは話が出来てる?つくし・・・寂しいよね」


『ふふっ!寂しいに決まってるでしょ?・・・私が言うセリフを今日は類が言うのね。珍しいわ』

つくしの甘い声が耳元を擽る。
今までは温かい身体ごと抱き締めていたのに、今はこの無機質な機械音声・・・それでも愛おしくて堪らない。

「声が聞きたくなってさ。変だよね・・・まだほんの少ししか離れてないのにね」


『類・・・愛してる?』
「もちろん・・・つくしだけ見てるよ」

『早く会いたいね』


たった1人の部屋でベッドに倒れ込んでいる俺・・・結局、電話越しにつくしの声を聞きながら深い眠りについてしまった。


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Comments 4

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2017/10/02 (Mon) 06:14 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: おぉ~はようございます!

えみりん様、おはようございます❗

こんがらがってますね?
でた!容態急変!って思ったとおり(笑)
しばらくは類の話より、総ちゃんの調査でお楽しみください。
あきら、なにやってんのかな?(笑)

会社で仕事もせずに矛盾がないかを考えてます!
そろそろ次の準備もしなくちゃ‼️

今日は雨です。
雨好きとしてはうれしい(笑)けど、会社が忙しい日なのでうんざり…

2017/10/02 (Mon) 07:02 | EDIT | REPLY |   
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2017/10/02 (Mon) 11:43 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

わんこ様、こんにちは🎵

段々と真相に近づいてきました?
もう一捻りしてますが、ラストが見えてきそう(笑)

イベント(笑)‼️
もう、とんでもない感じです❗(笑)
全部読んだら疲れますよ?気を付けて、時間かけて読んでくださいね!
一応、あきらくん以外は書いたかしら…

楽しかったけど死にました(笑)いや、ほんとに!
ライントークが半端ないんですよ?1000越えなんて当たり前でしたから。激務が始まったころにお誘いうけたので2ヶ月以上、睡眠不足にもなりますよね(笑)
なんとか、公開まできたのでホッとしてます。

ぜひ、読みにきてくださいね♥️

2017/10/02 (Mon) 12:35 | EDIT | REPLY |   

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