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まさか、こんなところであの時の女の子に会うとは思わなかった。
しかも名前と会社名までバレたのなら、この子を俺の監視下に置く必要があるかもしれない。それとも、いくらかの口止め料を払えばあっさり東京から出ていくか・・・

いろんな事を考えたけど、たった今起きた出来事で頭の中が纏まらない。
取り敢えずT町の旅館ではなく、俺が私用で使うマンションへ連れて行くことにした。


そこで少しこの子と話してから、今後の事を決めようか・・・と助手席を見たら、この子は窓の外を見て「仕事が・・・」と呟いてる。あの時も仕事を探してあんな格好をしていたんだろうか。
まさかの売春行為・・・・・・いや、そんなタイプでもなさそうだし、あんな格好で誘っても男はなかなか引っ掛からないんじゃ?
そもそも何歳だろう・・・高校生じゃなさそうだけど。

買春や売春は「売春防止法」という法律で禁止されているが、それをした人が罰せられることはない。でも売春・買春行為を斡旋する行為をした場合や、場所を提供した場合、この子が18歳未満だった場合は逮捕される。
もしかしたら、そんな輩に捕まってるとか・・・?
それなら、其奴らを警察に突き出したらこの子は自由になれるかも・・・と考えて、「あの時、誰がが一緒にいたのか?」と聞いたら・・・


「いえ、あの時は1人でした。実はあの日から働くはずだったお店でトラブルがあり、速効クビになったんです。そこも住込みだったので、追い出されて行き場がなくて・・・」
「・・・あんた、家は?」

「ボロいアパートに住んでいましたが、家賃が払えなくて追い出されました」
「・・・・・・なんか話が長くなりそうだね。もう少しで着くから、そこで聞こうか」

「何処に行くんですか・・・」ぐ~~きゅるるるるるる・・・・・・
「・・・まずはテイクアウト出来そうな・・・・・・いや、こんな時間にはないか。じゃあコンビでいい?」

「・・・・・・あ、お金を返さなきゃ!」
「それも後でいいから」


人間の腹があんなに鳴るなんて思わなかった・・・と言うか、初めて聞いた。
だからなのか恐怖心が湧いて、急いでコンビニに立ち寄り、この子を連れて店内へ・・・何でもいいから適当に買えというと、おにぎりを1つ、手に持った。
それ以外は要らないのだろうか・・・いや、そんなはずはない。
さっきの音を思い出せば、そのぐらいで腹が満たされるとは思えなかった。でも現時刻を考えれば、もう少し胃に優しいもの・・・明日の朝の事もあるし、サンドイッチとスープとか・・・


「こんなのは?うどんって食べやすいんじゃないの?」
「いえ、本当にいいです!お金、あんまり使えないんで・・・それに最近はおにぎり1個ってのが普通でしたから」

「・・・・・・金額は気にしないで。取り敢えずこのぐらいあれば空腹をしのげるだろ?」
「あ、あの・・・!」
「時間が無いからもう車に戻っときな」


手に持ってるおにぎりも奪い、俺が精算を済ませた。
そして車に戻ると彼女はションボリと助手席で丸まってる・・・自分の話し方が冷たいんだろうとは思ったが、どうしていいのか判らなかった。

再び車を走らせ、そこで聞いたのはこの子の名前・・・「あんた」と呼んでもよかったし、聞く必要もなかったんだけど、何故か質問してしまった。
そうしたらすごく悩んで、「私は・・・」って言ったっきり数秒間の沈黙・・・まさか「指名手配」されてるとかじゃないよな?とチラ見したけど、警察に追われてる人間が人混みの中を歩いてる訳ないし、と困惑。
でも、少ししたら真っ直ぐ前を見て、その目を光らせた。

いや、そんなに勇気出して言うこと?
ただ、名前聞いただけなのに?


「ま、牧野・・・つくしと言います」
「えっ?」

「えっと、牧野つくし・・・珍しいけどホントですから」
「つくしが名前なの?渾名じゃなくて?」
「いや、名字に渾名で自己紹介する人いないんで」
「・・・歳は?高校生じゃないよね?」

「25歳ですけど」
「・・・・・・・・・・・・・・・」


えっ?!この顔で25歳・・・同い年なのか?!(←3月生まれ)




**************************




こんなイケメンが・・・あの花沢物産の専務さんが・・・何故あんな汚いビルから飛びおりてきて、私を掻っ攫ってこんな外車に乗せ、「帰すわけにはいかない」なんて言ったんだろう?

もしかしたらこのまま殺されて東京湾に沈められるとか・・・
それとも山の奥に連れて行かれて捨てられるとか・・・いや、捨てられるならまだしも、そこに埋められるとか?!
それとも、それとも・・・って考えていたら怖くなって、窓の外を見てこの人の事を考えないことにした。


そうしたら頭に浮かんだのはやっと見つけた旅館の仕事のこと・・・明日面接に行って、運が良ければそのまま住んじゃおうと思っていたのに、このままだと行けない。
どうしようかと悩んでいたら、花沢さんにあの日の事を聞かれた。


「あんたとぶつかった時だけど・・・あの時、誰がが一緒にいたのか?」
「いえ、あの時は1人でした。実はあの日から働くはずだったお店でトラブルがあり、速効クビになったんです。そこも住込みだったので、追い出されて行き場がなくて・・・」

「・・・あんた、家は?」


それを聞いてどうすんの?と思ったけど、もしかしたら私を消した後の証拠隠滅とか・・・それなら無駄だと思ってすでに「野宿」状態だと話したらドン引きしてるみたい。
そりゃそうだと自分でも納得・・・でも事実だから仕方がない。そうしたら「もう少しで着くから」って言葉が出て、私は再び窓の外を見た。

・・・どう見ても都心のど真ん中。
もしかしたら・・・東京湾の可能性大?!
ヤバいと思って「何処に行くんですか?」って聞いた瞬間、緊張も相まってお腹が鳴った!しかも自分でも過去一ってぐらいの音量で!!


「すみませんっ///!!」
「・・・まずはテイクアウト出来そうな・・・・・・いや、こんな時間にはないか。じゃあコンビでいい?」
「・・・・・・あ、お金を返さなきゃ!」
「それも後でいいから」


最後の晩餐がコンビニ・・・可哀想だから何か食べさせてやろうってこと?!
死刑囚だって最後には好きな物を食べさせてもらえるって言うもんね?
その前にお金を返しておこうと思ったんだけど、それは後でいいって・・・最終的には私の荷物から抜き取るからいいってこと?!

もう何が何だか判らなくて、この先何処に行って何をされるのかと思ったら怖くて・・・本当にコンビニの駐車場に停めたけど、私の足はガクガクで立てなかった。
でも彼は助手席のドアを開けて「降りて、自分で選びな」って・・・そんな事を言われても、食べる気分にならないって!

ここでも仕方なく彼の後について店内に入り、商品を見ずに掴んだのは140円の「あさり海苔佃煮」のおにぎり・・・それを見た花沢さんが、「うどんって食べやすいんじゃないの?」ってそれを見せてくれたけど、うどんを温める時に何か入れるつもり?!と勘繰ってしまった。


「いえ、本当にいいです!お金、あんまり使えないんで・・・それに最近はおにぎり1個ってのが普通でしたから」
「・・・・・・金額は気にしないで。取り敢えずこのぐらいあれば空腹をしのげるだろ?」

「あ、あの・・・!」
「時間が無いからもう車に戻っときな」


私だけ先に車に戻れって事は、やっぱりご飯に細工を?!
・・・って、こんな場所でなにも出来ないだろうと思うと急に脱力・・・車に戻って頭を抱え込んでいたら、花沢さんが信じられないほどの量を買って来たから驚いた。
聞けば「明日の朝も食べるだろ?」って・・・私の処分は明日以降なんだと思ったら、嬉しいのか悲しいのか判んなくなった。


「・・・なんでそんなに悲しそうなの?てか、あんたの名前は?」
「私は・・・・・・」


どうして名前を聞くの?!
今から手にかける人間がどんな名前かなんて知らなくてもよくない?!

そうは言っても偽名なんて思い浮かばないしで超焦った!
でもこんな所で嘘つく理由もないし、それならせめて本名を教えて、この人が自分のした事を一生後悔すればいいと・・・自分が東京湾で見付けられた時の事を想像して、グッと手に力を入れた。


「ま、牧野・・・つくしと言います」
「えっ?」
「えっと、牧野つくし・・・珍しいけどホントですから」

そう、大抵の人は1度聞き返す・・・でも本当に「つくし」なんだもん、文句なら親に言ってよ!と、この時はかなりイライラしていた。・・・多分空腹からだと思うけど。
花沢さんは運転しながらも「渾名じゃなくて?」なんて言うけど、名字+渾名で自己紹介する人なんていないって!


「・・・歳は?高校生じゃないよね?」

高校生?!何年前の話をしてるのよ!!
こう見えても立派に成人してますけど?!💢そう言ったら今度は花沢さんが固まった。


「・・・それはごめん。もう少し若いかと思ってて・・・」
「いいです、よく言われるんで。それよりも聞いていいですか?」

「なに?」
「・・・今から何処に行くんですか?」

「S町に俺のマンションがあるから、そこに行くけど」
「マンション?!花沢さんの部屋にですか?!」


自宅マンションで犯行に及ぶの?!それってリスク高くない?!
てか、無関係の男性の部屋で見付かったら、お父さん達吃驚するよね?!

私の脳裏にはサスペンスドラマのように、床に書かれた人型が・・・マジで生きた心地がしないままこの高級車はS町に到着し、私の目の前には想像より低いけど、緑に囲まれたマンションが現われた。
聞いた事がある「低層階レジデンス」・・・あぁ、ここが私の最後の場所かと、涙目でそれを見ていた。


「何泣いてんの?荷物持って早く降りて」
「・・・・・・・・・はい」




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Comments 4

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2023/03/19 (Sun) 09:32 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

ビオラ様、こんばんは。

コメントありがとうございます。

あっはは!!
あの「何故こんな場所に来るんだ?!」ってヤツですね!

あれ、毎回「来ないで~~~っ!」って端っこに行くんだけど、
「じゃあ平らなところで話せよ!」って突っ込んでました。


うんうん彼が現われるかもしれませんよ?
類君、捕まっちゃうかも!(笑)

2023/03/19 (Sun) 23:24 | EDIT | REPLY |   
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2023/03/19 (Sun) 23:27 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

シナモン様、おはようございます。

コメントありがとうございます。

2人の考えてることが正反対で💦
つくしちゃん、悲惨な日常を送ってるもんだから考えることが突飛過ぎて(笑)

でもそんな場面に出くわしたら普通は○されると思うでしょうね(笑)
類君、それだけ怪しい事してるし!

もう完全にコメディだと判ったでしょ♪
今、シリアスなお話を書きたくない気分なのよね~~💦

2023/03/20 (Mon) 08:53 | EDIT | REPLY |   

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