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京都駅でレンタカーを手配し、真っ直ぐ嵐山に向かった。
旅館へは18時着だと伝えていたみたいだけど、折角だからって連れてってくれたのは京福電鉄嵐山線、通称“嵐電”の嵐山駅。
そこに近付くと、もう暗くなった景色が明るくなって・・・

「・・・・・・あ!確かここって・・・」
「そう、キモノ・フォレストって聞いた事があるだろ?」

「うん!うわぁ、ここだったんだぁ~~」
「まぁな。グルッと見ても15分もありゃ回れるから」


ここは駅であるにも関わらず、リニューアルして改札口を廃止し、駅の敷地全体が自由に出入りできる広場になってるんだって。ホーム内にもお店があって、電車に乗らなくてもそれが利用できるし、足湯もあるらしい。
その中でも目を引くのがキモノ・フォレストと言う「友禅の光林」・・・京友禅の生地をアクリルで包んで高さ約2mのポールにして、それを構内や線路脇なんかに立てて、京友禅の林が出来上がったってワケだ。
その数600本で、しかもポールの中には電球色のLEDがあるから、ちょっとオレンジっぽい光りになっててすごく綺麗だった。


「うわ~~~!ここは道になってんだね~」
「やっぱり人が多いな・・・つくし、人にぶつかるから手を貸せ」
「・・・・・・///・・・子どもじゃないし」
「いいから」


ここでも総二郎は私の手を握り、幻想的な中って事もあり顔が熱くなって・・・でも、この光りのせいで私の耳が赤いことも判んないだろうと思った。
クリスマスツリーじゃなくて、こんな和風な光りの中・・・なんだかこれも素敵だなって思いながらゆっくり歩いてたら、同じようにポールを見詰める恋人っぽい人たちも数組いた。
みんな幸せそうに腕組んで・・・その中に1人がこっちを見て「うわ、いいなぁ~」って言った瞬間、その彼氏もこっちを見て・・・

「なんだよ・・・悪かったな、こんな顔で!」
「あはは、冗談だよ~~!あんなイケメンなら隣に立つのも勇気いるんだから、私には裕介でピッタリだよ♪」
「それ、褒めてないだろ?」
「え~~、そうかなぁ?イケメンは3日で飽きるって」

「・・・・・・・・・・・・」


確かに総二郎の隣に立つのは勇気が要る・・・でも3日で飽きたりはしない。
なんたってもう20年以上だもん!

そんな事を考えてたら、総二郎が「どうかしたのか?」ってニコリ・・・そして握った手を総二郎のコートのポケットに入れられた!慌てて「ちょっと///!」って言うと、「俺にピッタリなのはお前だから心配ねぇよ」って・・・あの人達の言葉が聞こえてたんだと思って驚いた。
だから私も「飽きたりしてないから///」って・・・それを聞いてクスクス笑ってた。



着物の小径を抜けると小さな池があり、これは「龍の愛宕池」って言うパワースポットなんだとか・・・

「天龍寺がすぐ近くにあるから名付けられたんだってさ。この池の龍に祈ると希望が叶って、この水に手を浸すと幸せになれるらしいぞ」
「ほんと?!じゃあ早速・・・」
「冷たいからやめとけ。幸せなら訪れただろ?」
「はぁ///!!よくそう言う台詞をサラッと言うよね?!」

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「くくっ!んじゃ宿に行こうか」
「・・・・・・・・・///うん!」


もちろんここでも写真を撮った。
暗いから私の照れ顔が誤魔化せてよかった・・・・・・



************************



お袋が言ってた温泉旅館は渡月橋を渡った先にあった。
だからそこを通ろうとしたら、つくしが「渡月橋って木製の橋じゃないの?」って真顔で言うから・・・

「たまにそう思ってるヤツがいたけど、お前もそう思ってたのか?」
「だって映像でしか見た事がないから・・・」

「木造なのは欄干部分だけで、ほかは鉄筋コンクリート製だ」
「うわぁ!そうなんだぁ~~~!知らなかった・・・・・・」
「京都観光名所のアレコレも教えねぇとダメだな・・・」
「ん?どう言う意味?」

「・・・・・・あ、あそこだ」


つくしが不思議そうな顔をしたのを無視して、俺は旅館の灯りを指差した。



「いらっしゃいませ、東京の西門様ですね?西門流の家元夫人からお電話いただいております」

玄関に出て来たのは白磁の京小紋を着た女将で、40歳ぐらいの色っぽい女性だった。
京小紋とは京都府の伝統工芸品の染め物のこと。多彩で模様が大きく、京友禅の影響も受けて華やかさがあることが特徴だ。柄も季節に合わせて椿の花・・・実に品良く着熟していた。

「こんばんは~」
「急な予約で申し訳ない」

「とんでもございません。茶道宗家の奥様からご予約だなんて驚きましたわ。ちょうど空きがひと部屋あってようございました~」

「そうなんだ~♪」
「・・・・・・・・・(本当か?無理矢理空けさせたとかねぇよな?)」


ここはお袋が勧めるだけあって、宿泊人数も限られた極上の宿・・・仲居の立ち居振る舞いも上品で、飾られている調度品や絵画も素晴らしかった。
畳敷きの廊下を歩き、どんどん奥に行くと・・・そこはやっぱり離れの露天風呂付き。しかも純和風の旅館なのに、入り口にはクリスマスリースが掛けられていた。


部屋に入ると、この旅館の特徴なのだろうか、和モダンなベッドにソファーもあった。
そして小さいがクリスマスツリーも・・・それが庭にある露天風呂の横にあり、風呂に入りながらイルミネーションを楽しめるようになっていた。
つくしは初めだけ「綺麗~~~♪」と喜んでいたが、そこにある風呂を見て石化。
何を思い出したのか、慌てて部屋に戻って来た。


「それではお料理をお運びします。今日はクリスマスですので特別メニューですから、存分にお楽しみ下さいませね~」

そう言って出されたのは純和風な温泉宿とは思えないフランス料理。
前菜盛り合わせは赤と緑の野菜が中心でリンゴと蜂蜜のミルフィーユ付き。
シュークルートとベーコンのサラダにチーズのキッシュ、オニオングラタンスープと鮮魚のブイヤベース仕立てが続いて、牛頬肉の赤ワイン煮込み。
「なんだかお部屋とアンマッチだね!」と言いつつ、赤ワインを飲みながら食事は続いた。

そこで話したのが明日の日程・・・一乗寺には午前中に行って、昼飯は爺様と一緒だというと、つくしは急にナイフとフォークを止めて溜息をついた。


「なんだ、腹一杯なのか?」
「違うよ~~、お爺様と食べるなんて、絶対味が判んないって~~」
「そうか?久しぶりだから緊張するだけだろ」
「いやいや、昔から苦手だからさ~~~」

「爺様の大事にしてた姫林檎の盆栽を割った事とか覚えてねぇと思うぞ?」
「・・・・・・そんな事したっけ?」
「茶事の日に、石庭の中に入って砂をグシャグシャにしたのも忘れてるだろうし」
「・・・・・・それ、考ちゃんじゃないの?」
「あと爺様の好きだった掛け軸の鯉に油性マジックで眉毛描いたのも・・・」
「マジで?!」

「何か言われたら謝っとけ」
「・・・総二郎、一緒に謝ってくれる?」


明日、爺様に会う意味もお袋の着物の意味も・・・その時に話してやろう。
今日は折角のクリスマスイブだから面倒な話はそのくらいにして、2人の時間を楽しもうと思った。

食事が終わったらデザートのブッシュドノエルを食い、その後はのんびり露天風呂を楽しんだ。
つくしは俺が襲わねぇかと心配したようだが、この離れはすぐ近くに他の部屋があり・・・ここではちょっと不味い。それに京都の冬の寒さは格別で、とてもじゃねぇがこんなところで素肌に夜風は無理。
明日大風邪引くのもイヤだから、おとなしく湯に浸かり・・・つくしはちょっと複雑な顔をしていた。

俺達の横ではクリスマスツリーが光り、そこにあったオーナメントの赤いリボンを見た俺は・・・


「つくし・・・もうすぐ誕生日だな」
「へ?あぁ、そうだね~~~」
「何か欲しいものあるか?」
「えぇ~~、そうだなぁ~~~、運転免許証かな!」

「阿呆、それは自分で勝ち取れ。そうじゃなくて・・・・・・何もねぇの?」
「・・・ないなぁ・・・総二郎とご飯食べられたらそれでいいけど?」
「それ、毎日じゃね?」
「あはは!だね~~~♪」


そう言って手で水鉄砲を作って湯を飛ばしていた。
「ガキだな!」と言うと、「昔、宗家の裏庭にプール出して遊んだじゃん?」と、今度は俺が覚えてねぇ話をしてやがった。


「・・・じゃ、俺が勝手に選ぶわ」
「ちょっと!高価なものはダメだからね?そ、それと・・・平日だからお休みは取れないから///!」
「判ってるって♪」
「・・・どうでもいいけど、足伸ばすならタオルで隠して///!!」

「いいからいいから♪」
「良くないっ!!」


そんな可愛くない事を言うつくしを抱き上げ、この後は部屋の中で・・・・・・オトナのクリスマスイブを楽しんだ。





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Comments 2

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2023/03/17 (Fri) 12:46 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

パール様、こんばんは。

コメントありがとうございます。

そうそう、あっさり過去形よ(笑)
そんな3回も書くわけないじゃん!!

その代わりにすっごくラブラブしてるでしょ?だからそれで我慢してね♪


あっはは!
確かに、そこまで悪戯してんのに、どうして気に入られてるのかしらねぇ💦
普通出禁だよね、これ!


あちゃ~~~!その日に雨は辛いねぇ💦
うんうん、4月には晴れたらいいね♪
ちなみに、うちの娘は昨日これまでの仕事を辞め、20日に新しい会社に入ります。
どうかお天気になりますように・・・・・・。

母、チョイ心配です(笑)

2023/03/17 (Fri) 23:20 | EDIT | REPLY |   

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