FC2ブログ

plumeria

plumeria

考が無理矢理つくしに酒を飲ませてここまで酔わせたときいて唖然とした。
類のベッドに寝かされたつくしの苦しそうな寝顔を見て、ベッドサイドに座りそっとその頬に手を当てたけど起きる気配はない。

「カクテル飲んでたみたいだけど多分孝三郎が使う酒の種類を変えさせたんだと思うよ。そうじゃないとこんなにならないから」

「考は認めたのか?それを・・・」

「何も言わなかったから認めたと同じでしょ?牧野は店では立つことも出来なかったんだから。だから孝三郎から奪い取ってきたんだよ。
本当は総二郎を呼ぶつもりなんてなかったんだけどね」

振り向くと類は部屋の入り口に立ったまま・・・腕組みをして壁に縋った姿勢のまま俺たちを見ていた。
俺がつくしに触れているのを見たくはないんだろう、すぐに視線は外された。
呼ぶつもりいがなかったって事はここにつくしを泊めるつもりだったのか?それは・・・つくしが欲しかったからなのか。


「牧野がね、総二郎の名前を呼んだから・・・俺の目の前でお前を呼んだからさ・・・」

類の小さく呟く声が聞こえた。つくしがこの状態で俺を呼んだ?類の目の前で俺の名前を呼んだってのか。

「だから仕方ないじゃん。俺の腕の中で違う名前呼ばれたらさ、それ以上は出来ないでしょ?」
「何かする気だったのかよ・・・!」

クスって笑う類・・・サラッとすげぇ事言ってるけど、こんな状態のつくしに手を出す気だったのか!
少し呻き声が聞こえたからハッとしてつくしを見たけど、起きたわけじゃない・・・寝返りをうってまだ苦しそうにしていた。
普段全く飲まないから軽いアルコール中毒でも起こしたのかもしれない。口に掛かってる髪の毛をとってやると少し手を動かして
口元を拭ってる。だけど、その手もすぐに力が抜けて顔の横に落ちていった。


「類、悪かったな、面倒掛けて。考には俺から話をしとく。つくしを連れて帰るよ」

「まぁ、そのために呼んだんだからそうしてやって。でも、もう少し寝かせといたら?相当酔ってるから苦しいと思うし」
「いや、時間をおいても同じだろうからな。すまなかった・・・」

つくしを抱き上げて帰ろうとした俺に、類がつまらなさそうに・・・でも少し笑いながら声を掛けてきた。


「俺のプロポーズ・・・あっさり断わられたよ。こんな西門から救ってあげようと思ったのに俺じゃダメなんだって」

「・・・類、こんな状態のつくしに答えを求めたのか?馬鹿だな、お前も」

「馬鹿なのは総二郎も同じでしょ?大事なものって俺には一つだったけど、総二郎はどうなの?・・・牧野を幸せに出来ないなら
俺、許さないと思うよ。この次はないと思ってて。もし、また牧野を泣かせたら絶対に牧野が帰るって言っても帰さないから」


「大事なものなんて俺にも一つしかねぇよ・・・」

つくしを抱き上げると頭が下がらないように少しだけ身体を起こした状態で抱えた。
まだ力が入らない身体はぐったりと俺に寄り掛かる・・・少しだけ顔を近づけたらやっぱり酒の匂いがする。

「じゃ、帰るわ・・・サンキュ、類」

「ん・・・どういたしまして。でも、孝三郎は許せない・・・二度とさせないでよ?」

当たり前だ!と捨て台詞を吐いて、類の部屋を後にした。
エレベータの中でも一向に目を開けないつくし・・・その冷たくなった唇にそっとキスをする。


**


アパートに着いたらもう一度抱き上げて部屋まで連れて行った。
鍵は鞄の内ポケットにあるからそこから出して開けた。当然だが誰もいない冷めた室内・・・ベッドまで運んでそこに寝かせた。
類がそうしたのかもしれないけど一つだけ開けられたブラウスのボタン・・・まだ窮屈そうに見えたからもう一つボタンを外す。
その時、つくしの目が少しだけ開いて俺の方をゆっくりと見上げた。


「ん・・・?う・・・ん、あれ?総二郎?」

「あぁ・・・お前のアパートに戻ったぞ。・・・馬鹿だな、そんなに飲まされて・・・大丈夫か?」
「少し気持ち悪い・・・でも、大丈夫だよ。あれ?・・・でも花沢類が・・・」

「類から連絡もらったんだよ。お前が酔っ払ってるから迎えに来いって・・・今度ちゃんと礼でも言っとけ」
「そうなんだ・・・ごめんね、総二郎」

つくしが俺に両手を差し出す。それを掴んだら起き上がれないつくしの上に覆い被さるように、俺がつくしを抱き締めた。
千春のことがあってからはこんなに甘えてこないのに酒のせいでよくわかってないんだ。
まるで子供が母親に甘えるように、つくしは俺を離さなかった・・・何度も小さく名前を呼んで嬉しそうに微笑んだ。

「ばーか・・・そんなに酔ってるヤツは抱けねぇからな・・・もう休め。朝でいいからちゃんとシャワーは浴びとけよ?」

「うん・・・総二郎、大好き・・・」

「・・・そういう事は意識のあるときに言え!心配すんな、お前だけしか見てないから・・・」

最後につくしにキスをする。
深くて甘いキス・・・いつもはされるがままのつくしは酔ってるから少し大胆になってる。
いつもはしないくせに俺の中に舌まで入れて求めてくる・・・それに応えて俺も貪るようにつくしを求めた。

だけどこれ以上はヤバい・・・千春が西門にいる以上、つくしに危険が及ぶようなことは出来なかった。
つくしを離すとまたこいつは目を閉じて、すぅっと寝てしまったようだ。


「おやすみ、つくし。明日は二日酔いだな・・・」


冷たくなった頬をもう一度撫でてから、俺は部屋の鍵をかけて自宅に戻った。
車のドアを開けたらそこに残っている甘い酒の匂い・・・これが考のせいかと思うと許せなかった。


*********


自宅に戻ったら自分の部屋に行かずに考の部屋に向かった。
電気がついてる・・・考はもう帰ってきてると思った瞬間、ノックもせずにそのドアを勢いよく開けた!
考はベッドに寝っ転がって雑誌を読んでいたようだが、急に俺が入ってきたから驚いて身体を起こした。
俺はものも言わずに考の側まで行って、その胸ぐらを掴み上げた!びっくりした考は俺の手首を掴んで引き離そうと必死だった。

「何すんだよ・・・っ!離せよ、総兄!」
「やかましいっ!・・・お前、つくしに何をした・・・!何が目的であんなに酔わせたんだ!つくしが酒を飲めないことも知らなかったのか!
急性アルコール中毒起こしてるようなもんだっ!わかってんのかっ・・・!」


「マジで・・・?あのくらいでか!へぇ・・・知らなかった。つくしって飲めないんだ・・・で?だから何?」

「・・・お前、どうしてあんなことをしたんだ!つくしに何をする気だった!」

これが誰かに聞かれたらマズいとは思ったけど、俺にはこの怒りを止めることは出来なかった。
今ここでお袋が怒鳴り込んできてもいい・・・!とにかく考の態度が許せない。今でも薄笑いを浮かべる考にキレていた!
掴んでいる手に力が入る・・・それでも体格的に俺と同じぐらいの考は、自分の腕に力を集中させて俺を振りほどいた!


「総兄さ、何か勘違いしてるだろ!つくしは俺の婚約者だぜ?俺の自由だろ・・・それを花沢が来て連れて行ったんだ!
そっちの方がおかしいだろう!総兄のダチならよく言っとけよ!邪魔はお前だってな!」

「何だと・・・お前っ!」

我慢できなくなって思いっきり振り上げた拳を考の左頬に打ち込んで、考は勢いよくベッドの向こう側に転がり落ちた!
唇を切ったのか血が滲んでいる。それを右手でさっと拭うとすっくと立ち上がって俺を睨み付けてきた。

今度は俺の方に近づいてきて俺に殴りかかろうとするのを、顔に当たる寸前で交わして逆にもう一度殴りつけた。
考は2回も俺に殴られて床に倒れ込む・・・!その時にローテーブルに身体をぶつけてものすごい音が夜の西門に響いた!

「いってぇ・・・くそっ!よくも・・・!」
「お前と違って武道で鍛えてんだ・・・そんな荒っぽい攻撃なんて避けられて当たり前だ!なんでもかんでも中途半端なくせに・・・
偉そうにつくしの事だけムキになって婚約者面すんじゃねぇよ!つくしはお前には絶対に渡さない・・・覚えとけ!」

「何言ってんだ!総兄にはちゃんと女が用意されてるだろう!自分の方こそ立場ってもんを考えろっ!」


「・・・関係ねぇな!それこそ認めねぇよ!」


考としばらくの間睨み合いが続いた。
俺の立場だと・・・?最悪、そんなものお前にくれてやる・・・つくしが考に奪われるぐらいならこんな肩書きなんていらない。
つくしは嫌がっていたけど、俺は自分の好きなように茶を楽しむ場所があれば西門なんて名前はなくても良かった。


「でも・・・それが許されないのがこの西門だって・・・忘れんな!」


考のこの一言はそのうち現実となる。




love6.jpg
関連記事

Comments 4

There are no comments yet.
-  
管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます

2017/10/11 (Wed) 13:18 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: こんにちは!

えみりん様、今晩は!

えーっ!!過去には綾乃ちゃんもいたじゃないですかぁ!その時の家元夫人はもっと酷かったんだけどな。
若宗匠・・・書きたいなぁ。もっと時間があれば何か書けそうなのに・・・。
たしかあの話のつくしちゃんの出産が年末なんですよっ!!

いかん・・・!書かなくてはっ!!

で、辛くはなるかも・・・多分。私今ね、二つとも辛い場面になってるから自分のリアルが超暗いんですよ。
シリアス書くと実生活が辛くなるよねって先輩が言ったのがよくわかる・・・。
パソコン開いたら溜息が出る・・・(笑)

じゃあ、楽しいの書けや!って言わんといて~!!(どこの人?)

2017/10/11 (Wed) 19:29 | EDIT | REPLY |   
-  
管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます

2017/10/12 (Thu) 09:33 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

さとぴょん様!今晩は!

類つく終わったかな?やっと総つくに戻った?・・・良かった!
なーんか甘えるところを書くのは好きなんですよ♥この程度の甘え方が一番好きです。
このお話も後半はこんな感じが多いと思うんで、多分今が一番辛いとこ・・・。

どんよりしながら書いてますが、そのうち楽しくなるといいな!
(そんなわけないのがplumeriaなんだけどね)

低い山と深い谷で出来てますから・・・

2017/10/12 (Thu) 19:47 | EDIT | REPLY |   

Leave a reply