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plumeria

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なんとか薬で頭痛を抑えて茶道会館へ出勤をした。
まだ少し気持ちが悪くて頭が重い・・・事務長に二日酔いだとバレないように一生懸命明るいフリをしたけど顔が引きつるのがわかる。
書類を見ながら考えているのは昨日の出来事だった。

花沢類のマンションで彼にプロポーズを断わったのは思い出したけど、その時の言葉はどうだったっけ・・・。
ずっと抱き締められていたような記憶もあるんだけど傷つけるような言い回しをしなかったかしら。

それに確かに花沢類に抱きかかえられていたんだけど、もう次の記憶は自分の部屋なんだよね・・・。
いつ総二郎が来てくれたんだろ・・・もしかして総二郎にもとんでもない事言ってないよね?自分の行動にまるで自信がなくて 、
次に会ったら何を言えばいいんだか・・・そう思っていたら事務長が何度か私に声をかけたらしい。全然気が付かない私の側まで来て
肩を叩かれて初めて振り向いた。
事務長がクスッと笑ったので何かと思ったら、私が手に持っている書類の向きが逆さまだ・・・!慌ててその書類を持ち直していたら
今度はボールペンまで床に落としてしまうほど動揺してしまった!


「どうかしたのかね?今日は具合でも悪いのかな?」

「あっ!いいえ、そんなことはありません。申し訳ありませんでした・・・少しぼーっとしてて・・・し、仕事します!」

「いや、私はいいんだがね・・・ほら、向こうだよ」

事務長が指をさした方を見たらクスクス笑っている総二郎がドアの横に立っていた。
今日の私が二日酔いなのを知ってるからからかいに来たのね?眉間に皺を寄せて思いっきり嫌な顔をしたら彼が吹き出した!

「なんだよ!その顔は・・・念のため様子見に来たのにホントに具合悪いんだ・・・じゃあ、昨日のアレは覚えてねぇな?」

「えっ!昨日のアレって何?私やっぱり何かしたの!?」

「あぁ!結構すごかったなぁ・・・教えてやろうか?」


仕事中なのにそんな会話をするもんだから、事務長の方が気を効かせて出て行ってしまった。

慌てて傍まで行くと総二郎は茶道会館のドアを閉めて私を抱き締めた・・・桜子の言った言葉を思い出しちゃう。
必要以上に抱き締めてきませんか・・・?ホントだ!総二郎はあの夜以来、私をすぐに抱き締めてくるんだね。
今から茶事でもあるのかしら・・・今日の着物は総二郎が茶会の時に気に入ってよく着ているものだった。 濃紺の袴にブルーグレーのお召着物。
私も一番好きな組み合わせだった。それに口紅が付かないように顔を横に向けて寄り添った。

微かに香るのは白檀をベースに特注しているっていうフレグランス。これも私の一番好きな香りだ・・・。


「総二郎・・・ごめんね。昨日はなんだか迷惑かけたんだね。あんまり覚えてなくて・・・で、私何をしたの?」

「ん?迷惑ってのは違うな・・・つくしが何をしても俺には迷惑じゃない。迎えに行くのも送っていくのも俺だけの役目だからな。
迷惑かけたんなら類の方だろ。いつでもいいからちゃんと礼だけ言っとけ。あいつがいなかったらお前・・・考にヤられてたぞ」

「はっ?!考ちゃんに?考ちゃん・・・そのつもりで私をあそこに連れて行ったの?」

やっと離してくれた総二郎だけど、今度はやけに切なそうに魅惑的な表情を私に向けてきた・・・なんだろう今度は・・・!
そして耳元まで顔を寄せると耳朶に少しだけ舌をくっつけて囁いてきた!もう背中がゾクゾクして震えが来る・・・!

「昨日の夜・・・すげぇ色っぽいキスくれたんだけど・・・マジで嬉しかった。また頼むわ」

「はぁっ?!・・・私がっ、私がそんなことを総二郎にしたのっ?!」

「そう!マジ興奮した・・・お前が酔ってなかったら絶対に突入したのに、そこでつくしがダウンしたんだよ!」

今までの頭痛なんてどこかに飛んで行ってしまうほどの衝撃・・・!またそんなことをしたのっ?!
総二郎からの一言で真っ赤になった私はすぐ側の椅子に倒れ込むようにして座った。
そして総二郎も隣の席に座って、今度は腕組みして怒ったような顔をしている。あれ?・・・今度はなんだろうって思っていたら・・・。


「説明してもらおうか・・・どうしてあんな事になったんだ?お前、桜子と茶を飲みに行ったんだろう?なんで考と酒飲みに行ったんだ?」

「桜子とお茶した後にそのお店の前で偶然考ちゃんと出会ったのよ。それで、お稽古の日だから帰ろうって言ったのにお屋敷に
稽古を 休むって電話して無理矢理・・・強引なんだもん!全然私の話なんて聞いてくれなくて・・・!」

「どうにかして帰られなかったのか?さっきは軽く言ったけど本当に考にヤられたらどうすんだ!今度から絶対について行くなよ!
類がたまたまその店にいたからいいようなもんの、いつもそんなに都合良く助けなんて来ねぇからな!」

「・・・ごめん」


総二郎が怒ったら本当に怖い。
顔が綺麗なだけにその目で睨まれたら絶対に反論なんて出来ないのは子供の時からだった。その頃から怒る時は必ず腕組みをする。
私はいつも正座させられて総二郎に怒られていたっけ・・・そんなことを思い出していたらおかしくなってクスって笑ってしまった。
総二郎はそれを見てムッとしていたけど、だんだん笑いが止まらなくなって涙が出てきた。

「お前って女は・・・!」
「ごめん・・・!子供の時から怒り方が変わんないからおかしくなっちゃって・・・!」

そう言ったらまた腕を引っ張って抱き寄せられる・・・私は素直に総二郎の胸に顔をうずめた。

「類のプロポーズ、断わったらしいけど、それも覚えてねぇのか?あいつ、すっげぇショック受けてたぞ」
「・・・断わったことは思いだしたの。でもなんて言って断わったのかがわかんなくて・・・しかもそんな大事なことを酔っ払って答えた
んだって思ったら・・・酷い女だよね」

「ほんとだな・・・バカなヤツだ」

顔を上げたら総二郎のキスが来た。
とても優しくてとても甘い・・・大好きな総二郎のキスが来た。


********


お昼過ぎてから、もうすっかり気分も良くなって、茶道教室で使うお抹茶の注文をするために本邸の事務所に向かっていた。
総二郎とも話が出来て・・・まぁ、甘い時間も過ごせたしって事で何となく笑顔になっていた。

ここの事務所にはお家元と家元夫人、それと総二郎の今日の予定が記入されたボードがある。チラッとそれをみると総二郎は
後援会副会長のお屋敷での茶事と書かれていた。
最近はこうやって大事な茶事を任されて、色んな所に出向いていく総二郎を嬉しく思っていた。小さい頃からの稽古の積み重ねが
無駄にならなくて、少しずつお家元に認められているんだって感じることが出来るから。


「牧野さんって来たらいつもそこを確認するのね!ご本人から聞けばいいのに・・・それとも仕事の話はしないのかしら?」

真っ赤になった顔を注文書で隠しながら部屋を見回したら、みんながニヤニヤしながら私の顔を見ていた!実は私の気持ちは既に
バレバレだったのかしら!そう思ったら恥ずかしくて逃げるように事務所を出ようとした!

「そ、それでは、こちらのお茶が入荷しましたら会館までお知らせください。宜しくお願いします!」
「はい、わかりましたよ。おそらく明後日には入るでしょうから、また声をかけますね」

慌ててドアを閉めて大きく息を吐いた。そして茶道会館に戻ろうとしたときに、正面から歩いてくる着物姿の女性が目に入った。
長い黒髪で凜とした表情の綺麗な人・・・それが千春さんだとすぐに気が付いた。西門であんな上品な着物を着て歩く人なんて
お稽古に来たお嬢様ぐらいしかいないもの。それに、今はそんな時間じゃない。だとすれば彼女しかいなかった。

向こうも私を見ている。だけど、事務服の私がここで暮らしてきた人間だとは思わないだろう。ましてや総二郎とのことなんて・・・。
急に至近距離で顔を合わせるとは思ってもいなくて、無視も出来ないし、かといって話すこともないしで気が動転してしまった。

「あ・・・こ、こんにちは!」

「・・・ごきげんよう。あなたはどちらの方かしら?お見かけしたことがございませんね・・・」

「失礼しました。私は茶道会館の事務員です。普段はこちらに来ないので会ったことがありませんでしたね」

自分の名前が何故か出せなかった。事務員だと言えばこの人はそれ以上聞いてこないと思ってそうしたのに、こんな時に限って
この人は現われる・・・そして私の名前を呼んだんだ。


「あら!つくしちゃん、どうしたの?本邸に用事があったの?」

「つくし・・・ちゃん?」

家元夫人が離れた処から私たちを見つけて嬉しそうに寄ってきた。
千春さんは私の名前を聞いて驚いたように、私を上から下までジロリと見ている。そして目付きが鋭く変わった。


この人は私の事を知ってるんだ・・・総二郎と私の事を誰かから聞いている・・・そう思った。


「少しお話がしたいわ。お時間作れないかしら、つくしさん」


総二郎・・・どうしよう!今度は千春さんに捕まってしまった!


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Comments 2

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2017/10/13 (Fri) 23:35 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

さとぴょん様!おはようございます!

総二郎にお説教されたいのは私も同じーっ!正座して足が痺れて、そして倒れ込みたいっ!
ってな妄想をしてしまいました。多分、倒れ込んでも避けられてしまうとは思うけど。

服を脱がせたのは女の子です。え?変態?
まぁ、周りには男もいましたけど、皆喜んでいたような・・・?
夏でしてね、サマーセーターだったのを覚えてます。

新幹線はね・・・駅員さんに両脇抱えられて連れ出されたんですよ。あれは恥ずかしかったなー!
ただし、朝起きて知らない人と・・・それは一度もありません!はいっ!!

2017/10/14 (Sat) 10:03 | EDIT | REPLY |   

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