FC2ブログ

plumeria

plumeria

それは突然の出来事だった。
本当に普通に過ごしていた平日のお昼間・・・何一つ変わったこともなく、楽しい一日の真っ最中だったのに・・・。

いきなり起きた地下鉄事故に驚いて加代さんと2人で抱き合って踞っていた。
周りの人達も茫然と立ち尽くす人、震えながら座り込む人、怪我をしてハンカチで顔を押える人・・・幸い私たちは目立つ怪我はなかった。
ただ加代さんに抱き締められているものの、ガタガタ震えて床に座り込んでいた。


「大丈夫でございますか!つくし様・・・あっ!・・・痛いっ!」
「加代さん?加代さんの方が怪我したんじゃないの?私を庇うから・・・っ!」

「つくし様は私の命よりも大事なお方ですから、このくらいのことは当然ですわ・・・!本当に大丈夫なんですね?」
「私はなんともないわ・・・でも、どうにかしてここから出ないと!火災が発生してるんじゃないのかしら!」

「でもここは地下ですわ!とにかく救助を待ちましょう!」


だけどこれだけで治まらなかった。
ちょうどお昼前でラッシュ時だったのが災いして、私たちの乗っていた車両のすぐ後ろから次の電車がすでに追いつこうとしていて
ブレーキを掛けたけど間に合いそうにない!・・・このままだと最後尾の私たちのところにあの電車は突っ込んでくる!

「逃げろぉっ!もう、間に合わない!このままだとこの車両は潰されるぞっ!」
「いやぁあっ!死にたくないわっ!みんな前に行くのよっ!早く・・・早くっ!」

口々に叫んでいく人達に私はともかく加代さんが上手く反応出来なかった。さっきの衝突でどこか痛めたのかもしれない・・・!

「加代さんっ!立てる?なんとかして前の車両に行くわよ!・・・もう時間がないわ!」
「いえ、加代は早く動くことが出来ません!つくし様は先にお逃げなさいっ!いいから早くっ!」

「ダメよっ!加代さんも行くのよッ!立って!!・・・加代、立ちなさいっ!」

キキキキキーーーーィ!!ギギッーッ!!
「きゃあぁーっ!加代さんっ!逃げてェっ!!」

「つくし様っ!!つくし様ぁっ!!」

私は加代さんを全身の力を出して引きずって、隣の車両に移したら誰かが加代さんを奥の方に避難させてくれた!
良かった・・・少しはこの最後尾から離れられた・・・!この後、私ももう少し奥に逃げようとした時、誰かに突き飛ばされて横向きに
倒れ込んでしまった!それは最後尾の車両の出口ぐらいの場所で、みんなが一斉に隣に移ろうとしていたので通路を塞がれていた。
もう、後続車の光はすぐそこまで来た・・・!


次の瞬間・・・!!

ガッシャーン!!バキバキバキッ!!ガタンッ!

「いやぁあっ!類っ!類ーっ!!」

最後に類の名前を叫んだのまでは覚えている。
私はそのまま光と闇の中に巻き込まれてしまった・・・その後のことはなにもわからない。



意識が薄れていく中で類の笑顔だけが見えた。


*********


<フランス>
日本に帰るようにと告げるためにつくしの電話を鳴らすけれど一向に繋がらない。念のため加代にもかけたけど出なかった。
何故か不安になって「つくし」と表示されたスマホ画面を見ていた。・・・まぁ、出ないのなら仕方がない。
高城がこっちにいるんだからそれこそ心配しなくてもいいのに、何故か胸騒ぎがしていた。


『類・・・』

つくしが呼んだような気がして顔を上げて部屋を見回した。
だけど、こっちにいるはずもない。空耳だろうか・・・つくしの声をもう何日も聞いていないから?
落ち着かない気分のまま、休憩時間になったのでモニタールームのテレビをつけた。

そこで見たものはついさっき、アメリカで起きた地下鉄の大事故のライブ映像。死傷者が多数出ているというものだった。

「タイムズスクエア・・・ブロードウェイ当たりか・・・つくしには関係なさそうだね、こんな地下鉄なんて乗らないだろうし」

テレビのモニターには地下から運び出された何人もの怪我人と救急車や警察車両、野次馬が山ほど映っていて大惨事の様子が
流れていた。事故を起こした車両は前方が大破し、そこで死者が出ていて火災も発生したようだ。
そして後続の電車が急ブレーキを踏むのが遅れたのか事故車両に突っ込んでしまったために最後尾の車両が形もないほど
潰れてしまってそこでも多数の死者が出ていた。

「へぇ・・・結構酷い事故だな。高城のマンションはセントラルパークって言ったっけ・・・大丈夫だろうけど騒がしいだろうな」

あの賑やかなタイムズスクエアに似つかわしくない救急隊員の服装と鎮火のために消防士までが地下鉄入り口に大勢いた。
そして次々に助けられていく怪我人と、数人の乗客。無傷だった人も唖然としてその場に立ち竦んでいる。
泣きわめく人もいれば動けない人もいる。座り込んで頭を抱える人や、走ってどこかに逃げるような人まで様々だ。

その時に大型テレビのモニターに映った1人の女性・・・男性に抱えられてふらつきながら出てきた女性に目がいった。


「あれ・・・もしかして加代?・・・まさか・・・!」


加代によく似た女性が映ってる・・・顔は見えないが俺が加代を見間違えるはずがなかった!
ドクン・・・と心臓が鳴った。次には心拍数が上がってきて手の平にジワリと汗が滲んだ。

そんなはずはない。あれは加代じゃない・・・そう言い聞かせるけど、あれが加代だと確信する自分がいる。
加代がもし助けられたのなら、若いつくしは尚更心配ないんじゃないのか・・・たまたま加代が後から助けられたのかもしれない。
何もわからない状態なのに、自分に都合のいい想像をしながら急いでスマホを手に持った!

どこにかける気だ?勿論・・・つくしにっ・・・!


そう思ったときに突然の着信・・・!司からだ・・・!
このタイミングで何故司から電話があるんだ・・・!ニューヨークにいる司から・・・まさか!
俺は震える指でその通話を押した。今から伝えられる話がどうかこの事故とは無関係であるようにと願いながら耳に当てた。

「もしもし・・・司、なんなの?・・・突然だね」

わざと事故に触れずに声を出したけど、多分少し震えていたと思う。


『・・・類、落ち着いて聞けるか?いま、連絡が入った』

「どういう事・・・まさか・・・!」


『つくしが巻き込まれた。最悪だが一番後ろの突っ込まれた車両の中に・・・いるらしい』


さっきテレビが言っていた、後続車に突っ込まれた車両につくしがいた・・・?

「それは本当なのか・・・!どうやって確かめた!誰がそれを証言したんだ!そんな馬鹿な話があるわけがないっ!」
『落ち着けと言っただろうっ!今、こっちの警察に加えてうちの特殊捜査班も救助に向かわせた!死んだと確認されたわけじゃない!
まだ、発見されてないんだ・・・すぐにこっちに来い!それまでには見つけ出してやる・・・絶対にな!』

司に返事をする前に俺はこの施設から飛び出して花沢の屋敷へと向かっていた。
どうやって走り抜けて車まで辿り着いたのかも覚えてない!ただ、身体全身が熱くて額から汗が流れ落ちた!


あの惨劇の中にまだつくしがいるだなんて・・・!

この現場からパリまでの道を猛スピードで走りながら、助けを求めるつくしの顔を思い浮かべていた。


14920628650.jpeg
本文中にご不快に思われる表現があるかもしれません。
申し訳ありませんがこの内容は5話程度ございますので
苦手と思われた方はご退出くださいませ。
関連記事

Comments 6

There are no comments yet.
-  
管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます

2017/10/12 (Thu) 06:36 | EDIT | REPLY |   
-  
管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます

2017/10/12 (Thu) 09:03 | EDIT | REPLY |   
-  
管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます

2017/10/12 (Thu) 11:37 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

さとぴょん様!今晩は!

あはは!司がいきなり出てくるからどなたからか言われるとは思っていました。
書く順番が悪かったと反省・・・次でわかります。
どうしても類君にすぐ教えたかったんですっ!
(本当は昨日の夜にしまった!と気が付いたんですがすでに公開5分前で修正を諦めました)

お許しを~!!

2017/10/12 (Thu) 19:30 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: おはようございます。

えみりん様・・・今晩は!

コードブルーに染まりすぎだからっ!山P来ないからっ!(笑)
しかも、ホントの事故現場にはあんな若い子、来ないんじゃないかな・・・?
山Pとかに処置されるの恥ずかしくありません?応急処置でしょう?
可愛いパンツじゃなかったら嫌ですよね?あ、どっちかって言うとブラか・・・。

そんな問題じゃないか!
でも、会社で倒れた人がそのまま救急車で病院に行ったときにすぐ手術担ったんですけど
可愛いパンツで良かった~!って後で言ってました。

外出時は上下セットの可愛い下着でいきましょう!(何の話だ?)

2017/10/12 (Thu) 19:36 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

わんこ様、今晩は!

RHマイナスAB型ですか?どこかでそんなドラマがありましたかねぇ・・・少し記憶があるようなないような。
最初はそれも考えましたよ。(笑)
どっちかって言うと花沢の両親から輸血できないと言われたって感じで・・・。そこで、実の親じゃないってわかるように
しようかと思ったんですが、その前に類が話してしまうシナリオに変えたのでボツになってしまった・・・。

まだ前半を書いてるときにすでにこんがらがって、自分の中で解決するのに随分掛かりました(笑)
何度も言いますが、簡単なお話にしたいと思います!

この冬は暖かいお話を・・・と、夢みています!

2017/10/12 (Thu) 19:56 | EDIT | REPLY |   

Leave a reply