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<side加代>
「つくし様!つくし様ーっ!!誰か・・・誰か私のお嬢様をお助けしてください!誰かっ!!」

大勢の人達がものすごい形相で狭い車両内を動き回っていて、腰を痛めた私はその場からも動けずにつくし様が乗っていた車両を
覗き込んだ。そこはもう何も原型を留めてなくて、押し潰された座席がどこから来たのかわからないほどの惨状だった。
この中につくし様がいる・・・この暗くてねじ曲げられた空間につくし様が残ってしまわれたんだ。

こんな歳をとった私を助けるために!・・・ご自分よりも先に私を誰かに託して、そのまま追突の瞬間を向かえてしまったんだわ!
電気系統もやられたんだろう、車内は薄暗くて埃まみれでとにかく崩れた車両の天井までが床につくぐらいに変形していた。


瞬間思ってしまった・・・この中で生きていられるとは思えない。


私の目の前でつくし様が・・・そう思うと全身が震えて腰の痛みなんていうのもわからないぐらいに茫然としていた。
私にぶつかりながら沢山の人が逃げようとするけど、私はこのつくし様がいる車両にどうにかして戻ろうと必死だった!

「つくし様・・・つくし様・・・そんな、嫌でございますっ!つくし様ーっ!」


私が力一杯叫んだときに、私の肩を掴んでくる男性がいた。
ハッとして振り抜いたらスーツ姿の男性・・・私はこの人をみたことがあるような気がした。

「今、つくし様とおっしゃいましたか?それはまさか・・・花沢つくし様ですか?」
「はいっ!そうです・・・あなたはどなたですか?つくし様がまだ、この車両にいるんです!助けて・・・助けてくださいっ!」

「この車両にですか!それは・・・少しお待ちください!」

誰か知らないけどつくし様のことを知っている人とこんなニューヨークの地下鉄で出会うなんて・・・!でも、私はその男性よりも
つくし様が心配でヨロヨロと立ち上がって変形したドアから中を覗くようにして名前を叫び続けた。


「至急、専務に繋いでくれ!大至急だ!!早くしろ!」

私の後ろからその男性の声だけが聞こえる・・・他の人も喚いたり暴れたりしているけどその日本語だけが私の耳に届いていた。

「もしもし、西田です!司様ですか・・・大変なことが起きました!今、マンハッタンの地下鉄で事故が起きたのをご存じでしょうか?
その事故に花沢つくし様が巻き込まれておられます!それも一番被害のあった後部車両に閉じ込められておられます!」


その言葉にびっくりした!そうだわ・・・この人は道明寺司様の秘書の・・・西田様!
まさか道明寺の関係者がこの地下鉄に乗っていただなんて・・・!

「西田様・・・思い出しました!道明寺家の西田様ですね!お願いします・・・どうか、つくし様を助けてください!私なんかを救うため
につくし様が残ってしまうなんて・・・!私なんてどうでも良かったのに・・・っ!」

「落ち着いてください!今、司様に連絡したばかりですから!ここの救助体勢もどうなっているかわかりません。事故が起きてから
数分したってないのですから!とにかくあなたは救助が来たらここから出なさい。後は私が立ち会います。いいですね?」

「嫌ですっ!私はつくし様がここから助けられるまで残りますわ・・・類様になんてお詫びしたらいいのか・・・!」

私が連れ出さなければ良かったのに・・・経験だなんて言ってこんな地下鉄になんか乗せないでいつもどおり車を手配したら・・・!
どんなに悔やんでも悔やみきれなかった!もし・・・もし、つくし様に何かあったら私はもう生きていけない・・・っ!

そんなことばかりを考えながら大破した車両の中を見つめていた。
そこからは助けを求める複数の声が聞こえていたけど、それもどんどん小さくなっていく・・・そのうちに声はほとんどしなくなった。


「さぁ、もうすぐここに共助が来るでしょう。あなたがいては邪魔です。だから早くここを出なさい・・・いいですか?」

「西田様・・・つくし様は、つくし様は大丈夫ですよね・・・」
「それは何とも申し上げられません。この状態を見たらわかるでしょう?でも、望みは持つべきです」

望みを持つ・・・?まるでもう諦めた方がいいと言われたような気がして、私はその場に座り込み、床に頭をつけるようにして泣いた。
西田様の言うとおり間もなく威勢のいい足音が遠くから響いてきて、私達のいる後部車両にも救助隊が来たのだとわかった。
私は西田様に全身を抱えられるようにして前の方に移動させられ、救助に来た男性に引き渡された。


つくし様があそこにいるのに・・・私だけが地上に出るだなんて許されるんだろうか・・・!
身を切られるような思いとはこういう気持ちを言うのだろう・・・私は大きな男性の背中に負ぶさって事故車両から出された・・・。


*********

<side司>
西田からの一番始めの連絡は事故後僅か15分だった。
たまたま公用車が出払っていたことと、目的地が地下鉄の駅の真上だったことから珍しく西田はそれを利用していて事故に遭った。
だが、西田は後ろから3両目にいて特に大きな被害はなかったようだ。
たまたま潰された最後尾の車両を確認しに行って花沢の使用人に出会った!しかも、そこで聞いたのはつくしが巻き込まれたと・・・!


「急いで道明寺からも特殊救助隊を出せ!ニューヨーク市消防局がすでに現場に入っている!消防庁には俺から連絡を入れる!
救助隊はその指示に従って行方不明者の捜索に当たれ!そして絶対に花沢つくしを探し出せ!最後尾にいるはずだ!」

怒鳴りつけるように道明寺の警備室に電話を入れて、俺もすぐに現場近くの救助隊本部に向かった!
そこはすでに戦場のような有様で、多数の負傷者とシートに包まれた人間もいるようだ・・・あまりにも酷い光景に目を疑った・
この事故にあいつが巻き込まれたのか・・・つい、先日高城のパーティーで抱き締めたばかりなのに・・・!

この本部にいた責任者とみられる男に現状を聞いた。


「被害車両はどうなっている・・・救助可能なのか!?レスキューは入れたのか!」
「まだ確認中だ!だが報告ではかなり押し潰されている・・・難しいかもしれない」

「道明寺も救助に参加したい・・・入れるか!」
「今は無理だ!道明寺だろうが何だろうが今は混乱しているんだ!邪魔をするな!」

確かにこの状況ではニューヨーク市消防局の連中の邪魔になる・・・歯ぎしりをしながら現場の作業を睨み付けていた。
だがこれを伝えなくてはならない男がいる・・・せめて、この情報は俺から伝えてやろうと電話を手にした。
どう話せばいい・・・?類はこのニュースを速報で見ているだろうか。

僅かなコールであの類が電話に出た・・・このニュースを見てるな?直感でそう思った。


『もしもし・・・司?なんなの?突然だね』

「・・・類、落ち着いて聞けるか?いま、連絡が入った」

『どういう事・・・まさか・・・!』

つくしがニューヨークに来ていることを知ってるんだな。さすが・・・予感的中ってのはこういう時は残酷だな。

「・・・つくしが巻き込まれた。最悪だが一番後ろの突っ込まれた車両の中に・・・いるらしい」
『それは本当なのか・・・!どうやって確かめた!誰がそれを証言したんだ!そんな馬鹿な話があるわけがないっ!』

滅多に聞かない類の叫び声。いや、俺は初めてこんな声を聞くような気がした。

「落ち着けと言っただろうっ!今、こっちの警察に加えてうちの特殊救助隊も現場に来ている!死んだと確認されたわけじゃない!
まだ、発見されてないんだ・・・すぐにこっちに来い!それまでには見つけ出してやる・・・絶対にな!」

すぐに切られた電話の機械音を耳元で暫く聞いていた。
どれだけ焦って来るだろうか・・・本当に類がここに来るときまでにつくしを助けられるだろうか。

**

「・・・我慢できねぇな!」

現場責任者に止められたからってこのまま指をくわえて見ていることは出来ない・・・!
どうしても類が来るまでにあいつを無事に地下から出してやりたい・・・横を見ると道明寺の救助隊が首を縦に振った。
俺は隊員に片手を上げてGOサインを出す。慌てて作られた救助本部の横で、そいつらを無視した俺の大声が辺りに響き渡った!


「道明寺の特殊班は今から救助に向かう!!ただし、ニューヨーク市消防局の邪魔はするな!目指すは事故車両の最後尾だ!
その中に花沢つくしがいるはずだ!彼女を見つけ出して救助しろ!時間がない・・・急げっ!」
「Mr道明寺っ!勝手なことをするな!」

「責任ならいくらでもとってやる!・・・その前に助けたい女がいるんでね・・・!悪いが個人的に救助させてもらう!その時に見つけた
負傷者も救助するから心配すんなっ!」

俺の一言で一斉に道明寺の救助隊とレスキュー隊も地下に向かった!



そして反対に事故現場の方からやってきたのは埃まみれの西田だった。

「司様、こんなところまでいらっしゃったのですか・・・!うちのレスキューを出されたんですね?ニューヨーク市消防局長からまた
抗議が来ますが?」

「はっ!言わせておけ!それより中の様子はどうだ・・・ヤバいのか!」


西田は一言も言葉を出さずに首を横に振った。

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Comments 4

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2017/10/13 (Fri) 07:04 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: おはようございます!

えみりん様、おはようございます‼️(笑)

何故こんな場面でもお笑いに持っていくんですか(笑)
いやね、1日のお話の字数にも限度ってものがあるでしょう?マコッちゃんはまた今度~💦ってなるわけですよ。総ちゃんたちにも連絡しないといけないしね?
これで予定以上に延びちゃうんですよ~❗

アシタモタイヘンダヨ?ガンバッテヨンデネ…

私も気に入ってます(笑)

2017/10/13 (Fri) 09:27 | EDIT | REPLY |   
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2017/10/13 (Fri) 23:41 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

さとぴょん様!おはようございます!

そうそう!意外と私の好きな西田さんを使ってみました!
司君が公共交通機関を使うなんてどうしても想像出来ないから。

つくしちゃん・・・さて、どうなってるんでしょうね。申し訳ない・・・こんなヤバい展開にしてしまって。
誰か早く助けてあげてーっ!!

・・・って私か!・・・頑張る!

2017/10/14 (Sat) 10:07 | EDIT | REPLY |   

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