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あきらからの連絡でつくしの母親が高城美智子であるという確証は持てたが、おそらく父親だろうと思っていた西門清四郎は可能性がないとわかった。
それに驚いて暫く電話口であきらも俺も無言になった。

それじゃあ、誰が父親だ?それは高城美智子、本人に聞くしかないって事か・・・。

「あきら、ありがとう・・・無理をさせたんだろうね。つくしが眼を覚ましたら伝えるよ」

『あぁ・・・どうなんだ?怪我の方はもう大丈夫か?意識はまだなんだろ?・・・お前まで倒れるなよ?』

簡単に今のつくしの様子を話して電話は切った。俺の後ろにはまだ震えた状態の彼女が立っていた。
その目は治療中のつくしの方に向いている。


「少しお話をしなくてはいけませんね。まだつくしも意識が回復していない・・・この部屋でもいいですか?」

「はい・・・」

まだナースやドクターがこの部屋にはいたけれど、話すのは日本語だ。彼らにはわからないだろうからこの特別室のソファーに
向かい合って座った。美智子は緊張のあまりハンカチで何度も手を拭いている。口元も震えているのか指を当ててその震えを止めようとしていた。


「先ほど、あなたはつくしの胸の痣を見て驚かれた・・・それは何故ですか?」

「わ・・・若い娘さんなのにあんなところに痣があるのはお気の毒な気がしただけです・・・それだけよ」

「それなのに随分と動揺されていますが、本当はあの痣に見覚えがあるのではないですか?」

「・・・ありませんわ」


やっと治療が終わったんだろう、病院関係者がこの部屋から出て行って、残ったのは俺と高城美智子、意識が戻ってないつくしになった。

俺は美智子の前だけどつくしの傍まで行って髪を撫ででやった。その手は頬に伸びていって両手で顔を包んでやる。
それを美智子は不思議そうに見ている・・・そうだろうね、この人は俺がつくしと兄妹として育ってるって思っているだろうから。

「つくし・・・早く目を覚まして・・・待ってるから」

そう言ってつくしの唇にキスをした。


多分、それを見て驚いたんだろう。高城美智子は目を見開いて俺の方を見ていた。
誰もいなくなったから俺はつくしの傍で、その手を握ったまま美智子に話を続けた。

「驚かれました?そうなんです・・・俺とつくしは戸籍上兄妹ですけど、今では恋人として暮らしているんですよ。それが何故だか
わかりますか?」

「・・・ご、ごめんなさい。突然のことで驚いてしまって・・・まさか、あなた達がそんな関係って・・・!」

「戸籍上と言ったでしょう?つくしは花沢の子ではありません。つくしは・・・19年前の春に花沢の屋敷の前に置いていかれた子・・・
親に捨てられた子なんですよ。それを花沢の両親は特別養子縁組として迎え入れたんです。うちの母親がもう子供を産めなくなったので
つくしをすごく可哀相に思ったんでしょう・・・すぐに手続きを進めてね、俺の妹になったんですよ」

高城美智子の手が止まった。今度は俺の方を見ずに正面の窓を見つめていた。
おそらくその向こうの風景なんて見ているわけじゃなく、19年前の自分の姿でも思い出しているのかもしれない。


「俺はまだ2歳でしたけど、その時のことはよく覚えてるんです。そして・・・子供の時からつくしだけを愛してきました。ずっと、誰にも
言わずにね。つくしが道明寺の婚約者だったことはご存じでしょう?あの婚約解消の時にすべてをつくしに話したんです。
だから、つくしも自分が花沢の子供じゃないって事はもう知っている。そして俺たちはお互いに離れられない関係になりました。
つくしの親を探すのに必死で1年以上になりますよ。受け入れるまでは時間が掛かりましたけど、今は本当の親に会いたいってね・・・」

「・・・知っているの?そのことを?」

「俺がそうしたんです。もう誰にもつくしを渡したくなくて、つくしも俺に兄以上の感情を持っていてくれてると確信していましたから。
誠君が現われて少し状況が変わりました。まさか、こんなに早くつくしを求める男性が現われるとは思ってもいなかった。
それから俺たちは高城コーポレーションと高城誠の調査を始めて、意外な所であなたと西門清四郎さんが浮かび上がったんです。
・・・まだ、説明が必要ですか?」

「・・・いいえ。もう結構よ。でも、私には関係がありませんわ」



「さっきの電話・・・あなたのDNA鑑定の結果だったんですよ」

「え?・・・DNA鑑定?」

高城美智子は一気に顔色を変えた。まさかもうそこまで俺たちが調査を進めていたなんて思わなかったんだろう。
あくまでも無関係を貫くにはどうしたらいいかを考えていた最中に、俺がこの言葉をだしたってところか。

「あなたとつくしの親子関係は証明されました。鑑定結果が見たいなら日本でお見せします。不服というなら再検査も応じますよ?
こっちは非合法なやり方であなたのサンプルを取り寄せましたからね。正規の方法で鑑定してもいいですよ」

黙って目を閉じたまま、暫く俯いていた高城美智子は大きく息を吐いた後に言葉を出した。


「・・・・・・いえ、もういいわ」

「ただし俺たちが父親だと思っていた西門清四郎氏は違うと判定された。父親は誰です?失礼だが高城社長ではありませんね?」


この言葉にも過剰反応した。
再び震えが美智子を襲った・・・俺たちが高城社長に子供を作る能力がないことを知られていると悟ったんだろう。
そうなると今度は自分たちの息子、高城誠の出自が問題視されるからだ。

「高城家にも影響が出ることも知っているんです。でも、自分勝手と言われればそれまでですが、つくしは両親がわからないと
花沢家から籍を抜けない・・・一緒になることが出来ないのです。すでに18年間、つくしは花沢の娘として生きてきた・・・。
今更、捨てられていた子供だとはうちの両親も公表できないのです。出来るとしたら、それなりの家柄の子供であったと証明しない
限りそうはしないでしょう。幸い高城家なら問題はない・・・問題はないが父親が誰なのかをまずは教えていただきたいんです」



「・・・考えさせて下さい。類さん、ごめんなさい。時間をください」


高城美智子は涙を流しながら俺に時間をくれと言った。
仕方がないかもしれない・・・ほんの1時間前までこの人はつくしのことを自分の娘だとは思っていなかったんだから。

美智子は帰る間際にもう一度つくしの顔を見に行った。
そして震える手でつくしの頬を撫でていた。何度も何度も小さい声で「ごめんね」と繰り返しながら・・・。


「あなたはつくしを置いたのが花沢家だと知らなかったのですか?」

「はい・・・私は東京の人間でしたけど花沢って家のことは知りませんでした。大きなお屋敷が建てられたとは聞きましたけど、丁度
その頃に大阪へ行きましたから。そのお屋敷を選んだのは私が大きなお腹を抱えて散歩をしていた時に、とても可愛らしい男の子が
お庭で遊んでいるのを見かけたからです。とても幸せそうに・・・だから、産まれた子供を縋るような気持ちで門に置きました。
このお屋敷ならあの子供さんが可愛がってくれるんじゃないかと思ったからです。育ててもらえるかどうかもわかりませんでしたけど・・・。
今思えば、あれは類さんだったんでしょうね・・・お名前を確認しなかったのはこの後に自分が探さないためでした。
門は大きすぎてどこにお名前があるかもわからなかったわ・・・それもいいと思ったんです。なんて酷い話でしょうね・・・」

つくしの手の上に美智子の涙が一つ落ちたけど、つくしの身体はまだ反応がなかった。

「日本で初めてつくしさんを見たときに、何故かすごく不思議な感覚を覚えました・・・一目でわからないなんてバカな親ですね。
だってこんなに綺麗に育ってるんですもの・・・」



「すべてを話して下さるのを待ちます・・・つくしが目を覚ましたらまた会いに来て下さい」


高城美智子は俺に深く頭を下げて病室を出た。
ようやく母親が認めてくれた・・・だけど、複雑だった。


今日もつくしの手を握ったままこの病室で眠れない夜を過ごした。


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Comments 2

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2017/10/19 (Thu) 13:35 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

さとぴょん様・・・こ、今晩は・・・。

お父さんね?うん、そう!お父さん・・・ヤバい(笑)
とんずらしたくなりましたっ!!もう暫くお待ち下さい!!

これ以上深く追求してはいけません・・・plumeria、逃走準備にはいりました!


2017/10/19 (Thu) 20:08 | EDIT | REPLY |   

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