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凄く気持ちが良くて、とってもいい香りがして・・・このままずっと寝ておきたい気分になっていた。でも・・・実は途中で気がついていた。
これは牧野の膝の上で、俺の肩には牧野の手があって・・・そして髪を撫でられてる。本当はすごく擽ったくて飛び起きたかったけど、この温もりをまだ感じていたかった。だから、寝とぼけたフリして牧野の手を掴んでいたんだ。

この手を離したくないな・・・まだ、何にも知らないのにね。この子のこと・・・俺は名前以外の何も知らない。

だけど流石に少し寒くなってきた。
もう起きなきゃ牧野も寒いかもね・・・膝の上に乗せてた顔の半分だけが妙に暖かい。バレたら怒られるかもしれないけど、目の前にある膝小僧に悪戯したい気分だったのを必死に押えてたんだよ?ふふっ・・・したら良かったかな。どんな反応したんだろう。


「はぁーっ!よく寝た・・・。牧野、寒くなかった?ごめんね、結構長く寝てたみたいで・・・」

「ううん、お仕事が大変なんでしょ?私の方こそ甘えちゃってごめんなさい・・・もう帰ろうか?」

「何で?俺ここにいるハシビロコウに会いたいんだよね!行こうか・・・多分ここから近いからさ」

ここでもキョトンとした顔して俺を見た。
あれ?何で今日はそんなに驚くわけ?・・・もしかして、牧野より俺の方が動物と遊んでるから呆れてるのかな。
首を傾げながらついてくる牧野の腕を引っ張って俺の今日の目的の一つ、ハシビロコウの檻の前まで来た。


「ねぇ・・・類。さっき言ってたハシビロコウって・・・どれ?」
「あれ。牧野の目の前にいるじゃん」

「これ、動かないわよ?人形じゃないの?だって・・・さっきっから一度も顔すら動かしてないもん」

「ハシビロコウって動かない鳥だから。元々夜行性なんだよ。昼間は背の高い草むらの中でほとんど動かない生活してるからね。羨ましいよね・・・鳴管が退化してるからほとんど鳴かないし、嘴を叩いて音を出したりはするんだよ?ただ寂しいのは単独生活なんだって!俺と似てるんだよね・・・だから気になるんだよ・・・この子」

「・・・ねぇ、何で類って動物に詳しいの?さっきから不思議だったんだけど・・・動物博士みたい!」
「あぁ!ハシビロコウもね、見たいときにはウガンダまで行ってたからね。そこにいるのはもちろん野生だけど、意外と懐いてたんだよ?」


「・・・・・・現地ってアフリカのこと?」
「そうだよ?どこだと思ったの?・・・まさか日本に生息してるなんて思ってないよね?」

「・・・・・・」

こうやって話す間もハシビロコウはピクリとも動かなかったけど、最後に俺が手を上げたらくるっと顔を向けてきた!これには牧野もびっくりしていた。さっきの白フクロウといい、この子といい、そういちろうといい・・・俺は鳥ウケするらしい。

この後に向かった「爬虫類館」は牧野が走って逃げた・・・女の子には無理だったのかな?ワニとヘビとカエル・・・確かに不気味かもね。しょうがないから俺1人でこいつらを見て、最後にカメと握手した。それを遠くから恐る恐る眺めてる牧野が可愛らしい。

男ってこんなもんだよ?本当は逃げないでしがみついてもらいたかったのに。


「動物に触るのなんて久しぶりだった~!・・・やっぱり飼われている動物は可哀相だね。閉じ込められてるんだもんね。自由に外に出たいだろうね!」

その時、牧野が持っていた缶ジュースをボトッ!と落として真っ青になっていた。


「牧野?・・・どうかしたの?」
「・・・ううん、何でもない。ごめんなさい・・・ぼーっとしちゃって・・・」



まただ・・・また、牧野が震えてる。

理由はわからない。でも、確かに彼女は何かに怯えてる。それだけはわかる・・・少し、動いてみようか。
俺は牧野の手を持って今まで来た道をただ黙って戻っていった。それまでに会わなかった動物たちの檻を横目に、繋いだ手の震えが止まるまで何も言わなかった。


**********


車に戻ったけど、多分類はおかしく思ってるはず・・・西園から東園に戻る途中もずっと手を握ってくれていたけど一言も会話はなかった。こんなに楽しく過ごしたのに最後に動揺してしまうなんて・・・

「自由に外に出たい」・・・この言葉は一番聞きたくなかった。
そしてそれを類に話す勇気はまだない・・・私のあのアパートのことを話す事なんて出来ない。

これを知られたら類は私の事を軽蔑するわ・・・。


類が車のドアを開けてにっこり笑った。
これで最初で最後のデートは終わりって事ね。それなら、頑張って笑顔を作ろう・・・明日からは普通に店員とお客さん。
そう思っていたのに・・・。

「ねぇ、牧野・・・観覧車乗りに行こう?俺、1回乗ってみたかったんだ。時間ない?行っても大丈夫?」

「観覧車?どこの?」

「お台場の・・・あのデッカいヤツ!」
「うわぁーーっ!!ホント?乗ってみたーーいっ!」

「クスっ・・・その前に食事しよう?流石にお昼を抜いたからお腹空いたでしょ?何がいいかな・・・和食?イタリアン?それとも中華?フランス料理は・・・2人ともドレスコードに引っ掛かるよね。どこにしようか・・・」

「滅多に食べないから・・・中華にしようかな!」
「了解っ!お台場の近くまで行ってからにしようか」

類の車は静かにお台場に向けて走りだした。無理に笑顔を作ろうかと思ったけど、これは本当に乗ってみたかったから一気に気分を浮上させた!・・・うん、そう!浮上させたのよ!そうでもしないと今日一日の思い出が暗いままで終わりそうだったから。


類が連れて行ってくれたのは、お台場のHホテル内にある中華のお店・・・私が想像していたのとは随分違ってて、ここはどう見てもそんなに安いとは思えないんだけど?私のお小遣いで払えるのかしら・・・なんて事を考えていたら、このお店の支配人さんがものすごい慌てた顔で走ってきた。

「これは・・・花沢様、いらっしゃいませ。前もってのご予約でしたらご準備をすぐに出来ましたのに・・・」

「うん、別に時間はいいんだ。後で彼女と夜景を見に行きたいからまだ余裕があるからね。今日のはお任せコースで頼んでいい?女性に優しいものであんまりこってりしてないものがいいな・・・デザートまで頼むね」

「畏まりました。それではお部屋はこちらでございます。お飲み物はいかがいたしましょうか」

「車だから・・・お茶でいいよ」


・・・なんなの?この凄い会話はっ!
類は凄くサラリと会話してて慣れてる風だけど、私はもう小さくなって彼の後ろを隠れるようにして歩いた。類がそれを見て「何してんの?」って笑うけど、こんなお店で食べたことがないんだもの・・・緊張して足が震える!

「心配しなくてもここは個室だから誰も見ないよ?大きな口を開けても笑うのは俺1人だから!遠慮しないでゆっくり食べな」
「あっ・・・あの、私そんなにお金持ってなくて・・・」

「お金?・・・そっか、そういう事?ん~・・・じゃあ、明日のモーニング、牧野の奢りでどう?」


あのね・・・どう考えたってここのお値段と「陽だまり」のモーニングがイコールだとは思えないわよ?それなのに類がそうしてくれって言うから、今日は食べさせてもらうことにした。

出てきたものは、冷菜の盛り合わせ、鮑の上湯蒸しスープ、5種類の小籠包、上海蟹の姿煮、中国野菜の和牛炒め、麻婆豆腐に餡掛チャーハン、最後にデザートプレート・・・。
どれもすごく美味しくて、喋ってる場合じゃなかった!美味しいって繰り返す私を見て類はいつも大笑い!これも食べてってお皿のものを私にばかりまわしてくる。類も食べてって言うと、私を見てるだけでお腹がいっぱいになるんだって!

「はい・・・デザートも全部牧野だよ?俺はこんなの無理だから」

「あんまり食べてないんじゃない?お腹痛いの?」

「ううん・・・幸せすぎて喉を通らないだけ」


この時、どうして気がつかなかったんだろう・・・類の手があんなに熱かったのに。


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本当はこれを載せたかったけど(笑)怖すぎた!
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2017/11/19 (Sun) 06:18 | EDIT | REPLY |   
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2017/11/19 (Sun) 09:15 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: おはようございます!

えみりん様、おはようございます!

そうそう!ハシビロコウなんですよっ!
もうこれをえみりん様がコメントくれたときに本気で「管理画面」に入ってる?まさかの?・・・
って思いましたもん(笑)あのコメントの時はもうこれを書いていましたのでね!

でもね、トップ画像にハシビロコウ入れたらドン引きされると思って止めたんです。
第1話でコンゴウインコに驚かれたようなので(笑)
コンゴウインコに白フクロウにハシビロコウ・・・どんな鳥好きなんだっ!(笑)

カメはゾウガメのつもりでした。ダメかな・・・握手したら!
うちの亀吉も(手の平大)そう言えば爪が痛い・・・餌をあげるときに手を出すんですけど見たら結構鋭いですよね!

もう冬眠したんですか?うちの子・・・まだ遊んでる。
早く冬眠したらいいのに・・・。

今日もありがとうございました!

2017/11/19 (Sun) 09:48 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

凪子さーん、おはようございます!

そうなの?動くの?
・・・なんて事だ!動かないはずじゃないの?(笑)しかも・・・飛ぶの?

ネット情報が違うじゃないかっ!凪さんに聞けば良かった(笑)
こんな土地にいたらこれが一番困るんですよね~・・・

ほとんどが東京なのに東京を知らない人が書くっていう悲劇💦泣くわ~!


皆さん、つくしちゃんちの同居人をすごい予想してくれるんだけど
これは流石に(笑)身内ネタ・・・(爆)

玄関開けたら・・・(これ以上はお腹痛くて書けない💦)
朝から爆笑!ありがとうございました!

2017/11/19 (Sun) 09:58 | EDIT | REPLY |   
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2017/11/19 (Sun) 11:28 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

さとぴょん様!爆笑っ!!

今度はオオカミ少年っ!・・・いやいや、私にことをどんな話を書く人だと思っているんでしょうか!
玄関開けたら・・・(もういい?)

そうそう!ハシビロコウ・・・こいつを書きたかったんですが、さっき凪さんから
「上野動物園のハシビロコウ、めっちゃ動くよ」って言われて大爆笑!

うそやん・・・みたいになってます。

動かない鳥なんだから、動くなよっ!って言いたい(笑)

で、観覧車っ!自分は高所恐怖症だから観覧車に乗ったとしても耳塞いで眼を閉じます。
所謂、無意味状態です。

どうしよう・・・観覧車でも情報が違っていたら・・・東京の皆さんは笑って許してほしいわ。

2017/11/19 (Sun) 17:18 | EDIT | REPLY |   

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