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「よおっ!!類!つくしちゃん、こっち!こっち!」
「何だ!元気そうじゃん・・・!お帰り!」

日本に着いて一番始めに空港で出迎えてくれたのは西門さんと美作さんだった。
2人とも沢山の報道陣に囲まれながらも全然気にせずに私達の方に寄ってきて抱き締めてくれる!その光景には類も溜息ついて
いたけど加代さんの車椅子を押しながら黙っていた。もちろん、思いっきり嫌そうな顔は見せていたのは言うまでもない。

「ただいま!ご心配かけました・・・でも、運が良かったのね。少ししか怪我しなかったの。凄いでしょう?」

「つくしちゃんに怪我させたら、類が激怒してニューヨークの地下鉄潰すとでも思ったんじゃねぇの?ま、ホントに大怪我してたら
そんぐらいするだろうしな!」

「西門さんったら!・・・そうだ!私がいない間に凄く動いてくれたんでしょう?・・・ありがとう。まさかあんな短時間にいろんなことが
わかるなんて思わなかったわ。美作さんもありがとう。向こうでちゃんとお母さんと話も出来たの・・・嬉しかったわ」

「つくし・・・その話はまた後でね」

ハッとして回りを見たらすごい数の報道陣・・・!この人達ががいたんだって事をすっかり忘れていた。
でも、この騒ぎの中で会話なんて聞こえてないだろう。慌てて類の横に逃げたら2人が大笑いしていた。


「花沢つくしさん、もうお怪我の方は大丈夫なんですか?向こうで助けてくれたのは道明寺司さんでしたね!」
「その後ももしかしたらお付き合いがあったんですか?もう一度婚約するかもなんて噂も出ていますよ?」
「高城コーポレーションの御曹司との噂はどうなんでしょう?事実ですか?2人の男性に愛されてるってことですよね?」

ここでも凄い質問が飛んでくるけど、類に言われたように一言も答えず・・・でも、堂々としていてと言われているから前を向いて
笑顔を向けていた。だけど、自然と類にしがみついてる・・・これはまだ歩きにくいからだと思われたのかもしれない。
迎えの車までの距離を左右に西門さんと美作さんに守られて進んで行く・・・私の耳元で西門さんが呟いた。

「実はもう少ししたら類との婚約でも発表すんじゃねぇの?それが一番のニュースだよな!」

「なっ・・・!なんて事言うのよっ!今ここで・・・もうっ!!」
「え?・・・今ここで言ってもいいけど?」

加代さんまで「えっ!?」って驚いて類の方を振り返った!クスって笑いながら「冗談だよ」って答えてる類・・・。
でも、いかにもやりそうで私も含めて全員が類の方を見ていた・・・。


迎えの車に乗り込んで、車は真っ直ぐに花沢の自宅を目指す・・・後ろからは美作さんが運転する車がついてきていた。
加代さんは助手席に座っていたから後部座席には私と類の2人だけ・・・これは本当に久しぶりのことで自然と私達の手は繋がれた。
まだ手首に残る包帯を類がそっと撫ででくれる。小さな声で「痛くない?」って聞いてくるから頷いたらその手を引き寄せられた。
ほんの少しだけ近づく距離・・・毎日こんな風にしていたのに久しぶりだからすごくドキドキしていた。
加代さんはつかれたのかウトウトしている・・・類はそれを見ていたのかしら。私の顔に手を添えるとゆっくりと近づいてきた・・・。
そして一度軽いキスをする・・・少しだけ離れたら、今度は深いキスが来た。

握られた手の指が強くなってお互いの手の甲に爪をたてちゃう・・・それでも、離れることが出来なかった。
あれから何日も経つのに、今でも自分がここに戻れたことに感謝している。それを確かめるかのように類に抱き締められていた。

**

「なぁ・・・類とつくしちゃん、くっついてるよな・・・」
「あぁ!後ろから見られてるなんて・・・つくしちゃんは気が付かねぇだろうな。類はわざとだな!」

「そうだろうな。あいつ、たまーにそうやって変な牽制するよな!」
「・・・意外と自分の持ち物には執着があるんだよ。昔から忘れ物しても貸してくれなかったぜ?」

「・・・いつの話だよ!」
「そうだな!幼稚舎の頃かな・・・ははっ!」

こんな会話が後ろの車でされていたなんて・・・確かに私達のシルエットが後ろから見えてるなんて思いもしなかった・・・。


*********

<side高城美智子>
私が犯した19年前の過ちをすべて類さんに知られてしまった。
私が一生誰にも言わずに、心の中だけのあの子の幸せを願って生きていこうと思っていたけれど、神様はお許し下さらなかったんだろう。
それもまた仕方のないこと・・・私のした事は許されることではなかったのだから・・・。どれだけ責められても受け止めなくてはいけない。
そう思っていたのに、あの子は私を許してくれた。ただ、父親が知りたいと・・・それは当然のことだけど何も知らない勇作さんにも
すべてを話さなくてはならなかった。もちろん誠にも・・・。

姉、今日子の産んだ誠を勇作さんと相談の上、高城の実子として育てた・・・勇作さんは自分のせいで跡継ぎが出来ないことを
申し訳なく思っていたけど、私自身はそこまで気にしていなかった。一生2人ならそれでもいいと・・・夫婦なんて色んな形があって
いいものだから、子供がいないことを気にする必要はないと思っていた。

そんな時に、あの西門の血を引く誠が産まれて、育てられないという姉の代わりに私が育てたのだ。それは、まさに神様からの
贈り物のように思えた。とにかくこの子を幸せにすることだけを考えて仕事にも打ち込んだのに・・・。
まさかの事業失敗で大きく変わったのは会社だけではなかった。

この時に私が迂闊なことをしなければ・・・高城も誠もこんなに傷つけることはなかっただろうに。


この日、一足早くに日本に帰国していた私は大阪に向かっていた。
目的はある人物に会うためだった。1人は西門清四郎さん・・・誠の父親で高城を救ってくれた恩人だった。
そして、姉がたった一度恋をした人・・・。

今は身体を壊して入院中だと西門の関西支部で聞いた。何の約束もしていないけど一目会えたらいいと思ってそこに向かっていた。
もう1人はつくしちゃんの父親・・・実は今はどこにいるのか知らなかった。それを聞けるのは清四郎さんだけだと思った。


大阪にある大きな総合病院に着くと、最上階の特別室を訪ねた。
とある部屋の前に行くと「面会謝絶」の文字・・・1人の看護師さんに頼んでみることにした。

「すみません。高城美智子と申しますが、西門清四郎さんに少しだけお会いしたいのです。ご本人に確認していただけませんか?
少しだけでいいんです・・・東京から来たとお伝えいただけたら・・・」

「あ、はい。そうですね・・・あまり、お話は出来そうにないんですが、先生とご本人に確認してみますね?お待ち下さい」

看護師さんは私の話を聞いてくれて、お医者様と患者である清四郎さんに私との面会が可能かをたずねてくれていた。
そして、先生からは少しならと許可をもらい、清四郎さんからも来るようにとの返事をもらえた。


「今日は幸いなことに西門さんがお話しできそうなんです。時々はお話も難しいんですけどね・・・ただし、お時間は制限させて
いただきますね。10分間なら宜しいですよ。どうぞ・・・こちらへ」

「ありがとうございます!すぐに終わりますから・・・挨拶をするだけです」

看護師さんの後に付いてその病室入ると一番奥に彼は横たわっていた。
何かあればお呼び下さいね、と言葉だけ残して看護師さんは出ていく・・・私はゆっくりと清四郎さんの側に行った。

「清四郎さん・・・美智子です。お久しぶりです・・・わかりますか?」

そう声をかけると閉じていた目を薄く開いた・・・そしてその少し白っぽくなった瞳で私の方を見ている。
その瞳に私の姿はちゃんと映っているんだろうかと心配するぐらいの衰え方で、思わず私は涙ぐんでしまった。
姉が恋い慕ったこの人はこんな感じじゃなかったから・・・間もなくこの人も姉のところに行ってしまうんだろうかと思うほどに
その命の期限というものを感じずにはいられなかった。

「清四郎さん・・・今日はお聞きしたいことがあってきました。お話、出来そうかしら」

「・・・美智子・・・か?懐かしいのう・・・」

掠れたような声で清四郎さんは答えてくれた。これは20年ぶりの声・・・最後にあったのは西門関西支部の会議室だったわね。
その時とは随分変わったけど、話が出来そうなのですぐに本題に入った。昔話が出来るほどの体力も時間もなさそうだったから・・・。

「一つだけ聞きたいんです。高城の友人の牧野さん・・・牧野晴男さんは今どこにいるんでしょう。ご存じではないですか?」

「・・・ま、きの?牧野産業の・・・晴男のことか?」

「そうです。勇作さんの親友で、高城を西門に紹介した人です。探しているの・・・今はどこにいるのかしら」


「晴男はもうこの世にはおらんよ・・・儂よりも先に逝ってしもうたわ・・・」

「・・・・・・え?本当に?」


目の前の老人が嘘をつくとは思えなかった。
私が忘れたくても忘れることが出来なかった・・・あの日の出来事の相手がすでに亡くなっていたなんて・・・!

つくしちゃんの幸せそうな笑顔を取り戻せるかと思ったのに・・・!
あの子のためにたった一つ残されていた希望が絶たれてしまったんだろうか!

再び眠ってしまった清四郎さんの横で茫然と立ち尽くしていた。次に私に出来ることは何だろう・・・必死でそれを考えていた。


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す、すみません・・・!ノークレームでお願いします。
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2017/10/30 (Mon) 00:49 | EDIT | REPLY |   
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2017/10/30 (Mon) 05:53 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

さとぴょん様!おはようございます。

あはは!やっぱりその反応ですか?ですよね~!!
もう色んな名前を出すのが大変だったので晴男くんを持ってきました!

でも。原作の晴男パパが頭に出てくるので大変・・・!ここでギャグにする気はなかったんです(笑)
さとぴょん様が凄く予想してたからどうしようかと・・・えへへ!

しかも他界させてるし。どんだけ酷いんだ?私・・・      

2017/10/30 (Mon) 08:00 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: おはようございます!

えみりん様~!おはようございます。

そ、そうなのよ!まさかの牧野晴男・・・(笑)
ここまでしんみりと書いてきたのに、最後の方でこんなギャグみたいなことにしてすみませんっ!
絶対にガクッ!とくると思ったんだけど、もう変えることが出来なかったの(笑)
私も書きながら、あの晴男パパが出て来るから笑うんだけど、もう新しい名前を出すのが大変で・・・。

この名前でそのほかの事を忘れてしまうほどの衝撃だったかしら?ほほほほ・・・

2017/10/30 (Mon) 08:07 | EDIT | REPLY |   

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