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花沢邸に戻ると一斉に使用人達が玄関前に集まってつくしを取り囲んだ。みんなが口々につくしの無事を喜んで中には泣き出す者も
いるぐらい・・・つくしは顔を赤くしてここでも花束を受け取る。加代にも同じく同僚や後輩が取り囲むとこっちは加代が泣き出した。
そんな光景を総二郎達がニヤニヤしながら見ている。


「色々ありがとう・・・持って来てくれたんだよね?部屋に行こうか」

「つくしちゃんはいいのかよ?」

「うん・・・後でいいよ。今は疲れてるだろうから・・・」

つくしと加代のことは執事に任せて、総二郎とあきらを連れて自分の部屋に向かった。
そう言えば、俺とつくしの事は電話で話しただけだから、こうやって面と向かって話のは初めて・・・今更照れくさいなんて感情も
ないけど、こいつらの方がやたらニヤついてるのがすごく気になる・・・案の定、部屋に入ると報告よりも先にそのことを聞いてきた。


「類・・・!お前、いつ頃そうなったんだよっ!どんな気持ちなんだ?妹から女になるって・・・!」
「・・・そういう表現やめてくれる?俺には始めから妹なんていないから・・・」

「でもさ、それで育ったんだぜ?普通我慢できなかったらとっくの昔に押し倒してないか?よく19年間我慢したよな!」
「・・・我慢なんてしてない。時々抱き締めるぐらいなら子供の時からしてたし、一緒に寝たこともあるし・・・」

「「マジで・・・?」」

そういうことは聞かなくてもいいんだよっ!本気で話すとでも思ってんの?
ちょっと冷たい視線を送ると2人共が呆れたように苦笑いする。片手を出すと総二郎が上着の内ポケットから封筒を取りだした。

「冗談はそのぐらいで・・・ほら、これが鑑定資料。一応信頼性はあるぜ?MIMASAKAの研究所で鑑定してるからな。どうしても不服
なら公的機関でもう一度すりゃいいだろう。どうせ結果なんて同じだろうけど」

「ありがとう。西門の大叔父さん、具合どうなの?」
「どうだろうな・・・あんまり長くはないかもしれねぇな・・・多分、今でも面会謝絶だと思うぞ?」

「高城美智子が先に日本に戻ってるはずだ。おそらくつくしの本当の父親のところに会いに行ってる。関西の人間だろうと思う・・・
そいつから逃げて東京で産んだらしいから。もしかしたら清四郎さんに会いに行ってるんじゃないかな・・・そんな気がする」

総二郎は西門が絡んでいるから少し複雑な顔をする・・・でも、高城は西門に戻ることは否定したから縁戚関係になることはない。
それにあいつが日本を離れてイギリスを拠点として仕事をすると聞いて余計に引っ掛かるものがあるんだろう。
お互いに気に食わないと言っていたくせに、「俺には一言もないのかよ!」とぼやいていたから。


「高城は大学にも退学届けが出てるらしいな。優秀な生徒だったから電子工学科の教授が嘆いてたぜ?次の論文大会だっけ?
高城を出す予定だったらしいからな。まぁ、高城の頭脳なら大学の論文なんて問題外だろうけどな」

あきらが総二郎に向かって言うと、「関係ねぇよ」って顔を背けた。


「近いうちに高城美智子がうちで全部話してくれるはずだ。その時は立ち会ってもらえる?証人・・・だからさ」

「つくしちゃんの父親についてか?それって全然見当もついてないんだろ?」

「多分・・・西門にもどこにも関係ない人物じゃないかな。でも、今から探して会いに行くって言うぐらいだから犯罪者の類いじゃなさそうだけど。
後はそこがはっきりしたらつくしの籍を抜くための協議に入る・・・そこまではうちの両親も了承済みだから。問題は今までどうして
花沢がつくしを育てたかってことを世間にどう報道するかだけど・・・」

「そこは結構な作文が必要だな・・・司とも堂々と婚約させたし!確かお前のバースデイパーティーでは娘として公表してるしな」

「・・・そうなんだよね」


本当の父親のところに戻るのなら、そこがどんな家なのかで対応が変わる・・・なぜ花沢で育ったのかはその時の相手次第だ。
まぁ、除籍さえ出来るなら説明なんていくらでも誤魔化して発表するんだろうけど。
こんな時は今までの噂が味方になってくれるかもしれない・・・異常な兄妹愛、これがそうではなかったと世間はすぐに納得するだろうな。
そのぐらい俺達はわかりやすかったはずだから。

希望通りに進むのか、予想外の展開になるのか・・・どちらにしても美智子の連絡待ちだった。


********


その日の夜、つくしは俺の部屋にいた。

疲れ切ったつくしは夕食も軽くしか食べられなかったけど、その表情は穏やかで、やっと帰ってこられた自分の家に安心していた。
加代は溜まっていた疲れがドッと出たのか熱を出して早々に休んでしまった。
フランスからは電話があって、父さんはつくしの事を母さんから聞いたらしい。早めに日本に帰ると約束してくれた。
それまでは今までと同じ、大学と会社を行ったり来たりの生活が続くがフランス行きを断わったのだから仕方がなかった。

「それではこちらに戻るのは早くて来週ですか?おそらくそれまでに高城家からも連絡はあるでしょう。忙しいのに申し訳ありません。
つくしと一緒に待っています」

『そうだな・・・何とか来週には戻ろうと思う。母さんも伝えたと言うが、お前達はまだ兄妹だからな・・・わかってるな?類』

「ご心配なく。つくしはまだそんな体調ではありませんよ?軽傷とはいえあちこちに包帯をした状態です。無茶なんてしませんよ」



そう・・・無茶はしない。

つくしは俺の部屋に入るといつものようにベッドの横のラグの上に直に座って、俺はその身体を包むように後ろから抱き締めてる。
そして目の前にあるテレビをつけて眺めている。見ているわけじゃないんだ・・・ただそこに映っている映像を目で追ってる。
そんなつくしを抱き締めたまま肩に顔を乗せてつくしの胸の前で両手をクロスさせる。つくしは俺の腕を掴んで自分の身体を俺に
預ける・・・この時間がとても好きだった。

「つくし・・・ここ痛む?」
「ん?もう痛くない・・・包帯取っちゃおうかな・・・」

「取ってあげる・・・つくしはそのままでいいよ」

つくしの右腕にある包帯をゆっくりと外した。そこに見えてきたのは一筋の傷跡・・・でも、もうすっかり塞がっている。
そこにキスすると恥ずかしがって傷を隠そうとする。そのほかの包帯もつくしに何も言わずに外していった。

左の手首も膝下の包帯も・・・いくつかある包帯は全部外してみた・・・でも、どこの傷も綺麗に治りかけてる。やっと、いろんな物から
自由になったつくし・・・そんなつくしを正面から両手で抱き締めた。

「良かった・・・綺麗に治ってる。それにこうしてこの部屋にも戻れたね・・・」

「うん・・・ありがとう。類・・・」

「こうして早くつくしを抱き締めたかった・・・」

つくしを抱き上げてベッドに運んだ。もちろん今日は身体を合わせる気なんてなかった。
ただこうやって抱き締めていたいだけ・・・つくしの体温を感じていたいだけ。
だけど、自然と重なる唇がどんどん深く、甘くなってくる・・・つくしの腕が背中を掴むと、その細くなった指にも力が入ってる。

少しだけ顔を離してつくしの瞳を覗き込んだ・・・もしかして泣きそうになってる?潤んだ眼で見上げてくるつくしの瞼にもキスをした。


「それ以上煽っちゃダメだよ・・・まだ、治りかけで傷があるんだから」

「そんなんじゃないもん・・・でも、類が泣きそうな顔で見るからよ・・・」

「泣きそうなのはつくしの方でしょ?ほら・・・今でも眼が赤いよ?おいで・・・怖くないように抱いててあげる」


まだ夜になると地下鉄の事を思いだして怯えるつくしを、こうやって全身で抱き締めてやりたかったんだ。向こうの病院だと手を握る
のが精一杯だったから・・・日本に帰ったら絶対にこうやって眠ろうって思っていたんだ。そうしたらつくしも安心するよね・・・。
そのうち俺の腕の中で小さな寝息が聞こえてきた。今夜はこのまま朝までぐっすり寝られそうかな・・・?

俺の方はそんなつくしを傍で見ながらこれからのことを考えていた。

高城美智子はつくしの父親を探せたのだろうか、そして父親はつくしの事を認めるんだろうか・・・もし認めなかったらどうなる?
うちの両親はどう出る?つくしが高城に籍を移せば上手くいくんだろうか・・・。
静かにねているつくしの髪を撫でながら、ただぼんやりとそのことを考えていた。


『妹を宜しく・・・』 高城誠の言葉がこんな時に思い出された。
『自分の幸せのために道を選べよ・・・』 司がつくしにそう言ったらしい、その言葉も頭に中に浮かんでくる。


いつの間にか俺もつくしを抱いたまま深い眠りに落ちていく・・・。


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2017/11/01 (Wed) 15:16 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

さとぴょん様!爆笑!!

なに?そのうちな・・・って!このお話はもうないからっ!・・・あれ?ないよね?
そんな場面じゃないよね・・・ねぇ?

そう言えばこのシスコンって・・・R場面少なかったような。
まぁ、冬のお話で頑張ろっと!

2017/11/01 (Wed) 22:40 | EDIT | REPLY |   

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