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日本に戻ってきて数日、寝込んでいた加代も起き上がれるようになって、つくしが付き添って歩く練習・・・なんてものをしていた。
加代は結構酷く腰を痛めていて歩きにくそうだったけど、また昔のように俺たちの世話をするんだって張り切っていた。

俺たちのって言うより、その子供・・・加代はすっかりその気になっていて自分の孫のつもりで頑張るんだと言ってたっけ。
それはこの後、うちの両親と高城が揃ったときにすべて決まる・・・もうすぐ運命が変わる時が来る。加代の願いが叶うかどうかは
その日を待たないとわからない。

俺はリビングの窓からつくしと加代が手を取り合って練習するのを見ていた。
一生懸命つくしに縋りながら一歩を踏み出す加代・・・ここにも「親子」のような姿を見る。2人・・・いや、3人の母親に愛されたつくしがそこにいた。

随分と今日は頑張ったみたいだ。加代はつくしの肩に手を置いて歩いて部屋の中へと戻ってきた。

「類、見てくれてた?加代さん、今日は1人で歩けたわ。お医者様にも少しずつ練習するように言われたから、このまま続けましょうね?加代さん!」

「つくし様・・・私の事は宜しいのですよ?そろそろ大学の方も考えませんと・・・」

大学はつくしがアメリカに行った時からは休んだままだった。もうすぐ1ヶ月近く休むことになる。成績なんて問題はなかったが
単位を落とすわけにもいかないから、加代の言うとおりそろそろ行かないとね・・・わかってはいるがなかなか行動に移せなかった。
それはこの度の事故を報道されて、再び司とのことを噂されるのが怖かったためだ。もしかしたら高城と渡米した事も知られている
かもしれない。

何かと陰口を言われているつくしはそんな事全てが鬱陶しいんだろう。


「そうね・・・いつまでも家に閉じ籠もっていられないわね。もうマスコミの人もいなくなったし・・・類はどうするの?」

「大学は父さん達との話が終わるまでは行かない。つくしはカウンセリングもあるし、俺には仕事もあるしね。加代もそんな心配せずに
自分のリハビリを頑張りなよ。ちょうどいいよ・・・つくしの足のリハビリにもなるからね」

まだ行かないでいいって遠回しに言うと少しホッとした顔をする。


それよりも高城美智子からの連絡がないことが気になっていた。つくしの父親が見つからなかったんだろうか・・・。
両親の帰国が待ち遠しいような、少し恐怖でもあるような・・・落ち着かない日々を過ごしていた。


********


そして次の週になってようやく父さんと母さんが揃って帰国した。
花沢家の玄関では使用人が整列して一斉に頭を下げる・・・つくしは依然と変わりなく俺の隣に並んで両親を出迎えた。


「お帰りなさいませ。お父様、お母様・・・この度はご心配をお掛けしました。お医者さまのカウンセリングもちゃんと受けています。
もうすっかり良くなりましたわ。傷跡も残りませんでしたからご心配なく!」

「おぉ・・・つくし!思ったより顔色が良さそうだな!心配したよ・・・すぐに行けなくてすまなかったな。許しておくれ・・・」

「まぁ、アメリカで見たときよりも随分元気ね!本当に良かった・・・ごめんなさいね。あなたが退院するまでついてあげられなくて。
でも、類がいたから大丈夫だと思ってね・・・いつも、肝心なときは傍にいなくてごめんね?」

父さんと母さんは2人でつくしを囲むようにして、その顔を手で触れたり、髪を撫でたりしている。母さんはここでも泣きそうになっていた。
父さんはすぐ横に車椅子で小さくなっている加代にも声を掛けた。加代の方は何度言っても責任を感じるんだろう、俯いたまま顔を上げなかった。


「加代、身体の具合はどうだ?すまなかったね・・・加代に大きな負担を掛けてしまったな。仕事のほうは気にしないでゆっくりしなさい。
長い間うちで働いてきたんだから有給休暇だと思って休養するんだ。そうしないともう回復に時間がかかる歳なんだからな?」

父さんの言葉に加代は顔を手で覆って泣いていたけど、それをつくしが背中をさすって慰めていた。何度も声にならない謝罪を繰り返す。
そんな加代に父さんは言葉を続けた。


「加代が泣くことはない。元はと言えば私達がつくしの気持ちを考えずにアメリカに行けと命令したようなものだ。むしろ、加代が
いてくれて助かったよ。礼を言う・・・いつも、つくしの側にいてくれてありがとう」

「とんでもございません!旦那様っ・・・!加代の命でございますから・・・つくし様も類様も、加代の宝物でございますから・・・!」

震える声で両親にそんな事を言った。加代はもう一つ・・・俺たちのことを両親に黙っていたという背徳の想いがあるんだろう。
母さんとはアメリカで会っていたからそこまでは思わなかっただろうけど、当主である父さんを前にして加代は涙が止まらなくなったんだ。
取り乱した加代は他の使用人に車椅子を押してもらって奥の部屋にと下がっていった。その後ろ姿を不安そうにつくしが見ている。
そして、振り返ると父さんの真横に行って、その袖口を掴んだ。

「お父様・・・加代さんの事は怒っていらっしゃいませんよね?私は加代さんにずっと助けてもらいました・・・とても大事な人です」

「ははっ・・・怒ってなどいないさ。心配はしなくていい・・・それよりも2人には話がある。私達の部屋に来なさい」


つくしは父さんの服から手を外して、今度は俺の方に近寄ってきた。
俺はつくしの背中に手を当てて、「大丈夫だよ」と、一言だけ囁く・・・父さんと母さんの後をついて階段を上がっていった。

**

父さんの部屋に入ると、すぐに中央のソファーに向かい合って座った。父さんと母さん・・・俺とつくしはその正面に並んでいた。
使用人にお茶を運ばせて、俺たちの前には紅茶のいい香りが広がった。


「さて・・・話というのはお前達の事だ。話は母さんから聞いた。まずはつくし・・・お前には隠していた事は謝らなければならんのだろうな。
でも、施設になどやらずに育てたいと思った私達の気持ちはつくしにもわかって欲しいのだよ。それは・・・理解してくれるか?」

「もちろんです・・・お父様、お母様には感謝しています。そして、これからも私の両親はお二人です・・・私の方こそ、それをお許し
いただけるのかしら・・・もう、他の誰もその名前では呼べません・・・」

「そうか・・・それは嬉しい言葉だ。私達もつくしの事は一生、自分たちの娘だと思っているよ。そして・・・類、そろそろ話さないか?」


父さんが言うのはつくしの親の名前だ。
母さんにもアメリカで言わなかった・・・日本に戻ってからと伝えていたから、それを教えろと言うことだろう。
つくしの眼がもっと不安になる。隣で震えるつくしを感じるけれど、もう後には引き返せない。少し緊張しながら俺はその名前を口に出した。


「つくしを産んだのは、高城コーポレーション社長夫人、高城美智子さんです。本人もアメリカでそれを認めました。つくしとも対面して
お互いに話し合った・・・つくしは彼女を認め、高城美智子さんはつくしに謝罪した。後はつくしの父親の報告を待っています」

紅茶を飲もうとした母さんの手が止まり、父さんの眼が一段と大きく開いた。


「・・・何だって!た、高城の?・・・あの高城の社長夫人がつくしの?」
「まさか・・・!どうしてそんなっ・・・じゃ、じゃあ、誠くんとは兄妹だったの?!」

「それは違います。実は高城誠も養子でした。高城夫妻には子供が出来なかったんです。でも、今お話しできるのはここまでです。
つくしの父親のことも含めて本人から説明を聞こうと思います。今、彼女は相手の男性に会いに行っているはずです。
それ以上は俺もまだ知りません・・・。会えたのか、認めてくれたのかさえ知らないんです。その男性がつくしの存在を知らないそうだから。
戻ってきたら必ず連絡すると約束しましたから、高城社長を含めてここで話し合いの場を持とうと思っています」


父さんと母さんは顔を見合わせて驚いていた。
簡単にだが誠の説明をしておいた。誠の母親が美智子の姉であること。父親が西門の人間であること・・・その経緯を少しだけ。
もし、この事実を知らずに高城と婚約をさせていたらと思うと・・・両親は複雑な心境のまま、高城美智子を待つと言った。


「お父様、お母様・・・私は花沢で育って幸せでしたわ。お二人も・・・そうでしたか?」

「つくし・・・初めてあなたを抱いたとき、私がどれほど嬉しかったか教えてあげたいわ。あなたの産みの親が誰であれ、私の手の
中に神様が下さった天使だったのよ?・・・今でもはっきりと覚えてるわ」

「ありがとう・・・お母様。これからも親子ですね」


抱き合ってる2人共に光るものがある。
これからも親子・・・そうだね。これから本当の意味で「花沢つくし」にならなくちゃ・・・ね。


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2017/11/01 (Wed) 15:33 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

さとぴょん様!今晩は!

うんうん!もうすぐラストですもの!やっと終われる・・・泣きそう!
誰だ、こんなややこしい話しにしたのはっ!!ラブ度が低すぎるっ!!

もうキレそうです・・・(笑)
自分で書いてて何だが、もういいって!爺さん達の話はっ!と思ってしまう。

そう言いながら今日も爺さんの事を書いています・・・とほほ!清四郎めっ!

2017/11/01 (Wed) 23:09 | EDIT | REPLY |   

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