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つくしの父親、牧野晴男はすでに他界していた。それはつくしの戻る場所が高城しか残されなかったということだった。
美智子の話だとこの牧野という男は高城家がアメリカに渡ってからすぐに結婚し、男の子が1人いるらしい。
だが、つくしの存在も知らないこの家族にはもう何も話すことはない。美智子は大阪に行ってもこの牧野家を訪れることはしなかったと言った。


「大阪に行って清四郎様から話を聞きました。牧野さんは私達がいなくなった後に会社経営が上手くいかなくなって苦労したと・・・。
勇作さんとは親友だったのに、私の事があったから助けを求めなかったんだろうと思います。アメリカに行って数年は勇作さんとも
連絡は取り合っていましたけど、それも段々と少なくなっていって・・・5年前に心労から病気を患い亡くなったそうです。
勇作さんも私のことを気にして亡くなったことを言わなかったんでしょう?・・・本当に驚きました」

高城勇作は黙ったまま、握った拳を膝の上で振るわせ、唇を噛みしめていた。
妻の裏切りを20年も経って告白され、それが自分の親友だとわかれば無理もない・・・花沢の両親もこれには何も言えなかった。


「どうしてだ・・・!あの時の晴男ならお前にそんな要求をすることぐらいわかっただろう・・・っ!それなのに・・・」

「どう思われても仕方がないけど、牧野さんは始めからそのつもりで呼んだわけじゃないのよ。始めは本当にお金を融通してくれる
つもりだったの。でも、私があまりに勇作さんの話をするから・・・段々頭にきたみたいで・・・それで、急に態度を変えたのよ・・・」


どのくらいの時間、誰も言葉を出さなかっただろう。
暫くしてから話を切り出したのは父さんだった。

「それで、高城さんはつくしをどうするおつもりですかな・・・類の希望は私達も聞いてはいるんだが、それを叶えるための協議に
入れるんだろうか・・・この子は花沢の娘として公表しておりますからな。それ相当の説明がないと花沢としても動くことは出来ん。
父親がいないとなれば引き取るのは母親の美智子さんだが・・・どうされるのかな」

重い空気の中で父さんの低い声が響いた。つくしの今後をどうするのか・・・美智子は勇作氏にこの場で話を持ち出した。

「私はつくしちゃんに何もしてあげられなかった・・・だから、せめてつくしちゃんの願いを叶えたいと思います。どうかしら・・・。
勇作さんが承知してくれたら、高城の娘として引き取って・・・そして落ち着いたら類さんと一緒にさせてあげたい・・・そう思っています。
無理を承知でお願いします・・・!」

「私の子供としてだと・・・!晴男の子供を・・・自分の子供にしろというのか!それでなくても誠でさえ私の子供ではないのに・・・!
あの子を自分の息子だと思えるようになるのでさえ時間がかかったのだ・・・!やっと、今になって誠を誇りに思えるようになったんだ!
それなのに、今度は・・・娘だって?そんなことをすぐに答えられると思うのか!」


勇作氏は聞いたばかりの話で感情的になり、美智子にはキツい言葉を投げつけた。
纏まりそうにない会話・・・今にも泣きそうなつくしは必死に涙が溢れるのを堪えているようだった。その手を握る俺の手にも力が入る。
加代は俯いたまま、総二郎とあきらはテーブルに肘をつき脚を組んだまま黙って俺たちの事を見守っていた。
父さんと母さんは高城夫婦を見つめたまま、この2人の会話が落ちつくのを待っていた。


「私の事は許さなくてもいいんです。もし、勇作さんが高城を出ろというなら出ていきます。でも、その前につくしちゃんのために
私の最後の頼みを聞いてもらえないかしら・・・!お願いします・・・お願い・・・」

「・・・!!」

美智子は勇作氏に向かって、まるで土下座でもするかのように身体を折り曲げて頭を下げた。小さな声が何度も聞こえてくる。
「お願い・・・」そう繰り返して身体を震わせた。
それでも勇作氏はそれに返事をしなかった。美智子から視線を外し、真一文字に結んだ唇からは強い拒絶しか感じられなかった。

このままだと何の結論も出ずに今日の話し合いは終わってしまう・・・そう思っていたときに言葉を出したのはつくしだった。


「もう、いいです。おば様・・・ありがとう。よくわかりました・・・私のことは産みたくて産んでくれたんですね?私の幸せを祈ってくれたんですよね。
それだけで十分です・・・全部話してくれてありがとう。これからのことは類や両親と話します。おじ様・・・私の存在がおじ様を苦しめたのね・・・
でも、おば様のこと許してあげて下さい。私のことはもういいですから・・・」

「つくし・・・!」

俺が言葉を遮ろうとしたら、逆に俺の腕からすっと離れて立ち上がった。
そして美智子の隣に行ってその手を握った・・・美智子は少し驚いたような顔でつくしを見つめて、口元をハンカチで覆っていた。
花沢の両親はそんなつくしを優しい眼で見ている。俺だけが妙に不安な表情をしているような気がしてならなかった。


「おば様・・・私はその牧野さんっていう人のことをお父さんだとは思えないわ。でも、その分おば様に愛されて産まれてきたんだって
思うことにします。だから、もういいんです・・・おば様がこれ以上辛い思いをしなくていいんですよ。私はたとえこれから先、兄妹の
ままでも類がいてくれたらいいんです。一番好きな人が側にいてくれるから・・・何とか頑張れると思います」

「でも・・・!それでは、あなたと類さんが結ばれることはないわ・・・あなたこそ私のように辛い思いをしてはダメ・・・!せっかく大好きな
人と巡り会えたんですもの・・・その手を離してはダメなのよ!」

つくしの手を握り返して美智子は声を大きくした。
勇作氏はそれでも首を縦には振らない・・・つくしの存在を認める事は出来ない、そう全身で訴えていた。

**

「失礼します・・・旦那様、お話し中、申し訳ございませんがお客様がお見えでございます」


執事が声を掛けてきたのは美智子とつくしが話し合っている時だった。こんな時に父さんに来客?みんなが一斉に父さんを見た。
父さんも心当たりがないようだった。

「誰だ?今は大事な話の最中だ。断わりなさい。そんな予定のない客とは会う必要はない!」

「それが・・・今日のお話しのことで、こちらの高城様に一言お話がしたいと言っておいでですが?」

「今日の事で?・・・誰だ!・・・・・・いいだろう。そういうことなら入ってもらいなさい」

執事が一度応接室を下がってから、この部屋にいる全員が入り口を見つめていた。
そしてガタガタと何かの音を響かせながらやってきたのは意外な人物だった・・・!一番始めに大声をあげたのは総二郎だ。



「え?・・・大叔父さん?!なんでこんな所に大叔父さんが来るんだよっ!・・・って、高城?高城じゃねぇか!お前・・・」

総二郎が椅子から立ち上がって驚いた、その視線の先にいるのは西門清四郎・・・そして車椅子を押しているのが高城誠だった。
驚いたのは総二郎だけじゃない。西門清四郎と面識のない俺も、両親も、つくしも声も出さずに部屋の入り口を見つめた!


「清四郎様・・・っ!まさか、ここで会うとは・・・!久しぶりです。高城勇作です・・・覚えておいでですか?」

「・・・おぉ、高城の・・・久しぶりじゃな。美智子もこの前はよう来てくれた・・・。少し話の邪魔をするが許してくれ、花沢さん・・・」

車椅子に酸素マスクを付けた老人が、穏やかな顔でこの部屋に来た。
後ろからそれを支えるのが自分の血を受け継ぐ息子・・・それはこの老人が一度だけでもと願ったことなんだろう。
もう会うことも無いって思ったのに・・・俺は高城の方を見て呆れた顔で笑ったようだ。高城はそれをチラッと見て眉間に皺を寄せた。

「イギリスに行ったんじゃなかったの?」

「・・・忘れ物があっただけだ。そんな眼をしなくても行くよ」


最後の大詰めに入った。



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平均年齢高っ!!
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2017/11/04 (Sat) 06:28 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: おはようございます!

えみりん様、こんにちは。

あはは!そうそう!面会謝絶でしたねぇっ!
えっと・・・明日誠の回想があるから(笑)総二郎と誠を会わせてなかったから、会わせたくなりました!
ごめんねぇっ!!それだけなの!

で?・・・第三章?・・・ないない!ここから早く逃げたいのにっ!!
え?結婚してからのトラブルってなに?・・・今度はファザコンとか?
つくしちゃんと娘ちゃんで類の取り合い?・・・ドン引きっ!!

2017/11/04 (Sat) 10:06 | EDIT | REPLY |   
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2017/11/04 (Sat) 11:25 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

さとぴょん様!爆笑っ!!

期待を裏切らないのはさとぴょん様のコメントですよ!
もうね・・・なんでわかったかな・・・「これで納得して!」・・・まさにその通り!!
サスペンス劇場にはありますよね?こんなシーン!もう、今となっては懐かしのサスペンス劇場ですが
ここで再現しようと思ったんです!そうそう!

そうね・・・2時間ドラマで言えば今は1時間45分くらいか?

そういう時にはこんな爺さんが出てくるもんなんです!!
酸素ボンベ付けてね♥こんなシリアスな場面でもお笑いを持ってくる私・・・あはは!

後はゴールテープを切るだけとなりました!!
暫く休もうかな・・・マジで疲れました(笑)

2017/11/04 (Sat) 13:56 | EDIT | REPLY |   
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2017/11/04 (Sat) 17:21 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

さとぴょん様!ごごごっごめんなさいっ!!

ついつい愚痴っただけなんです!休みたいけど、実は総ちゃんの話しもあるから休めないの(笑)
しかも私には初のクリスマスもあるし・・・総ちゃん誕生日来るし。12月は何かと忙しいのです!!

このシスコンにやられて(笑)体力と精力・・・じゃない気力を奪われました。
それだけなのよ?申し訳ございません・・・。

今のとこ、出来るだけは書いていこうかと。
そうしないと二次の世界の私の母「Gip様」が怒るんですもん!

逃がさないわよ・・・つて言われたばかりです~!!怖いよ~!!

2017/11/04 (Sat) 18:41 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

さとぴょん様!ご指摘ありがとうっ!

酸素ボンベは背負うヤツですが医療用のつもりだったのよ!(笑)
誤解を招くので酸素マスクにしました!!

爆笑っ!!いや、間違ったわけじゃないの!いいわけだけど・・・医療用もあるのよっ!!

ダイビングみたいになりましたね!

2017/11/04 (Sat) 23:07 | EDIT | REPLY |   
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2017/11/05 (Sun) 22:53 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

さとぴょん様!、ご理解ありがとう!!

私も南の海が見えました!爺さんがマンタの背中に乗って・・・もう、やめようね(笑)

2017/11/05 (Sun) 23:04 | EDIT | REPLY |   

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