FC2ブログ

plumeria

plumeria

次の日になってつくしの足の包帯を取ってみたら、腫れが引いていて痛みもとれたらしい。歩くのに問題はなさそうだったから予定通り
鳴子峡に行ってみることにした。
朝食は部屋ですませて、その後のコーヒーを飲んでいたら何となく昨日の夜の妙な音のことを思いだした。

庭の露天風呂を見ると回りは確かに他の部屋と離れていて、覗けるようにもなってないし・・・でも確かに違和感のある音だったような・・・。
首を傾げたけど、まぁ特に問題も起きてないし、つくしは逆上せたけどあの後ちゃんと意識が戻ったし。
気にしすぎかと思いながら着替えを済ませた。

今日の夜は仙台の方にホテルをとっていたから、荷物を全部車に移していつでもでられるように準備完了!・・・って思ったら、やっぱり
つくしの姿がないっ!また俺に何も言わずに彷徨いてるな?でも、行き先なんて一つしかないから土産物屋を覗きに行った。

そこでしゃがみ込んで何かを探しているつくしを発見。側に寄ってみるとここの伝統工芸品のこけしを見ていた。
「鳴子こけし」・・・東北地方で産まれたというこけしはこっちの温泉地の土産としては有名らしい。中でも宮城県は盛んに作られているようだ。


「気に入ったものがあるのか?こけしマッチ・・・?何だそれ?」

「可愛いでしょう?今度類さん達が帰ってきたらあげようと思って色々種類を揃えてるの!ふふっ、面白いんだもん!」

「類にマッチ?・・・すげぇ似合わないんだけど」

「総二郎さんにも買ってあげるね!これなんかいいと思うの!」

人生のともしび・・・そう書かれたこけしマッチのなかのヒヨコマッチってのが俺らしい。・・・意味がわからん!


「それとね?これ・・・記念に買っちゃおうかな?って思ってるの!どお?」

「何だかイヤらしい笑顔のこけしだな・・・不気味じゃねぇか?」
「総二郎さんに似てるんだもん!」

こいつ、俺の事を何だと思ってるんだ?この超ニヤけた顔のこけしが俺に似てるだと?お前はこけしを旦那に持ってるつもりか!
ちょっと睨んでみたけど全然気にしていないつくしは沢山のこけしグッズを抱えて会計に走って行った。
こけしと男って・・・他ではあんまり言わない方がいいぞ?わかってんのかな?・・・いや、わかんねぇか!

**

鳴子峡は鳴子温泉と中山平温泉の間にある渓谷だ。丁度今が紅葉の見頃・・・岩石が連なっているのと渓流地の対照が見事だ。
新緑の頃も美しいらしいが、やはり秋の紅葉が一番だろう。ここでも散策道があるからその比較的整備された箇所を選んで歩くことにした。


「あら、総二郎様、つくしさんおはようございます。昨日はご馳走様でした・・・これからお散歩ですか?」

再び後ろから聞こえたのは美和子の声・・・もう会わないと思っていたのに鳴子峡までついてくるとは・・・!意外と太い神経してんな?
この俺たちの間に入る隙間があるとでも思ってんのか?

「美和子さん!昨日は急にお帰りになるからびっくりしました!美和子さんもここに来てたんですね?今から散策道に行くんです!
ご一緒しません?えっと・・・お一人ですか?」

「えぇ。連れのお友達は先に帰りましたから・・・」

「じゃあ、決まりですね!一人は寂しいですもんね!」

・・・入る隙間は十分にありそうだ。



クラクラする頭を抱えて俺は2人の後をついて行く羽目になった。つくしが美和子の腕を掴んでる・・・その手は普通俺の腕じゃねぇのか?
そう思うけど楽しそうなつくしを止めることも出来なかった。年の近い友達が少ないからはしゃいでるのかもしれない。
橋の上から渓谷を見下ろして大声を上げてるつくしを美和子が後ろから冷たい眼で見ている。まさかと思うが突き落とさねぇよな?
そんな心配をするほどこの美和子の視線は怖かった。

3人で散策道に入って暫く行くと人が疎らになってきて少しひんやりとした場所に来た。
つくしは例のごとく清流の近くまで行って遊んでいる。そこまで危ない場所でもないし、俺はそれを少し離れた休憩所のベンチで見ていた。
美和子がその近くまで一緒にいたがつくしを置いて俺の所まで戻ってきた。

「総二郎様、つくしさんが少し寒いようですわ。お車に上着があるようなので持ってきて欲しいと・・・お願いできますか?」

「え?あぁ、そう言えば冷えてきましたね・・・すぐに取ってきます。申し訳ないがつくしを宜しく・・・眼を離さないで下さいね」

「えぇ・・・もちろんですわ」

確かに冷えてきていたから気になっていたんだ。俺は急いで車までつくしの上着を取りに行った。
美和子の事は気になるが全く人がいないわけじゃない・・・急いで戻れば大丈夫だろうと散策道を逆走していた。


*********


「つくしさん、総二郎様が先に行くっておっしゃって・・・そのぐらいにして進みませんか?はぐれてしまうわ」

「え?総二郎さんが私達を置いていったんですか?もう・・・!せっかちなんだから!仕方ないですね・・・行きましょうか!」

「えぇ・・・そうしましょう」

総二郎さんが先に行くだなんて思ってもみなかった!今まで一度も私を置いていったことなんかないんだもの。
そりゃ、川遊びをするって言ったら嫌な顔していたからかもしれないけど!急いで歩いてまた転けたらいけないからゆっくり下を見ながら進んでいた。
暫く歩いても総二郎さんの姿が見えない・・・そんなに先に行ってしまったのかしら。


「うわっ・・・リンドウが咲いてる!可愛いっ!」

「つくしさん、こっちの道が早いようですわよ?本道から少し外れますけどこの先で合流しますから行きませんか?」

「そうなんですか?じゃあ、そうします!ありがとう、美和子さん」

散策道でリンドウが咲いている道を山の方に向かって歩いて行くことにしたけど、このリンドウが気になって仕方がなかった。
本当はこの場所で咲いているものは動かさない方がいいんだけど、試しに後で一株持って帰ってみよう・・・西門の裏庭でなら
この山リンドウも育つかもしれないし。総二郎さんと会えたらここに戻ってこようと思ったけど、こんな山道ではわからなくなるかもしれない。
何か目印になるものをって思ったけど、生憎何も持ってなかった。持っているものは・・・でも、総二郎さんに怒られるかしら。
そう思ったけど、唯一持っていた「それ」をリンドウが咲いている道の端にポトッと落とした。
そして美和子さんの前を元気よく歩いて行った。

もう、どのくらい歩いただろう。息が上がって少し疲れた頃だった。それにどんどん足元が悪くなってる・・・。
総二郎さんに追いつきたくて必死だったけど、よく考えたらこんなに進んでも追いつかないほど総二郎さんが先に行くなんて?

「この先は少し道が細くて急ですから。つくしさん・・・気をつけてね」

「はーい!大丈夫です。足ももう痛くないし・・・・・・あれ?美和子さん?」


振り向いたけど、たった今声を掛けてくれた美和子さんがいない・・・誰もいない山道で私は一人になっていた。
耳を澄ませても誰の声も聞こえない・・・山鳥の声と木の葉が風にざわめく音だけで人の気配がしなくなった。少し下を見たらさっきの
清流とは違う小さな川が見える・・・結構傾斜のある崖の上にまで来ていたみたい。


「美和子さん?どこですか・・・美和子さん?」


今来た道を戻ろうとして向きを変えたら、木の陰からヌッと一人の男の人が現われた!見たこともない全然知らない人だ!
そしてその人が急に私の方に向かって手を伸ばしてきた!!


「きゃあぁーっ!・・・総二郎さん!助けてぇっ!」



kouyou7.jpg
関連記事
Posted by

Comments 6

There are no comments yet.
-  
管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます

2017/10/30 (Mon) 13:27 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: こんにちは!

えみりん様、今晩は!

えぇ!危険なんです!非常にヤバいんです!
この2人が平和に終わると言うことはございません!

こけし・・・こけしマッチがお気に入りです。確かにこけしそのものはいらないけど(笑)
宮城をしらべた時にこけしマッチに1人で笑ったんですよ!この時代にこのマッチを作ってるだなんて!

で、インコ好きの私なのでひよこマッチ♥

・・・ふざけまくっています。はい!

つくしちゃん、大丈夫かしら・・・まぁ、総ちゃんがすぐ来るだろうから・・・いっか!(笑)

2017/10/30 (Mon) 20:11 | EDIT | REPLY |   
-  
管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます

2017/10/31 (Tue) 10:08 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

わんこ様ーっ!!ありがとうございまーすっ!!

うそっ!ホントに持ってるんですか?すごーいっ!!
始めて見たときに大笑いしたんですよ!1人で!・・・だってマッチに・・・顔がっ!(笑)
嬉しいですっ。個人的には色んな顔がセットになってるものが欲しい・・・。

で、引っ張る?・・・いやいや、これは長く書いたら止まんなくなります(笑)
でも、あと何話になるのかまだわかんないです。あと3話くらいかな?今度は11月2日です!

宜しくお願いします!


2017/10/31 (Tue) 19:47 | EDIT | REPLY |   
-  
管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます

2017/11/01 (Wed) 15:22 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

さとぴょん様、今晩は!

あら!見て下さいました?可愛いでしょう!!ひよこマッチ・・・。
人生のともしび・・・F4にはそんなともしびはいらないような気もしますけどね!
超豪華シャンデリアの下で生活してるし。
総ちゃんにはぼんやりとした薄暗い明かりが似合いそうだけど。

やっぱり総ちゃんは和室だよね!!って思うのは私だけかしら。

グレーテル・・・(笑)さとぴょん様が言うとこの話はエロかったっけ?と瞬間思った私。
童話でしたね?・・・あはは!

2017/11/01 (Wed) 22:27 | EDIT | REPLY |   

Leave a reply