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「高城社長・・・まだ考えは変わりませんか?」

俺の言葉に勇作氏は今までと違う反応を見せた。
美智子の話の時は興奮していたようだが、西門清四郎氏の言葉で幾分落ち着いた・・・そんな感じだった。
そのタイミングを見逃さなかった父さんも空かさず言葉を続けた。

「高城さん・・・どうですかな?つくしの事は受け入れられないだろうか・・・。もし、感情だけの問題ならここはどうだろう。ビジネスで
考えてみては・・・?」

「ビジネス・・・?それはまたどういう意味ですか?」

「高城コーポレーションの娘が花沢に嫁ぐのです・・・つまり企業としても縁戚関係になるわけだ。今後は高城に花沢がサポートし、
うちのシステム関連事業を任せる感じで協同経営する。もちろん、合併などと無粋なことはしない。あくまでも共立関係だ。
そうお考えになってつくしの事を高城に引き取る。親子としての感情は持たない・・・不都合がありますかな?」

「・・・・・・いや、それは出来ませんな」

「勇作さん!・・・どうしてもダメですか?花沢さんのご意見に私は賛成だわ・・・私の事を見たくないのなら出ていきますから!」

父さんの申し出を聞いても、美智子の再三の願い出も受け入れられない、と高城社長は断わったのだと思って一同の顔が硬直した。
しかしこの後、高城社長は大きく息を吸うと、はぁーっ・・・とそれを吐き、父さんを真っ直ぐに見つめて次の言葉を出した。


「娘をビジネスに利用することは出来ません・・・と、いうことです。花沢社長・・・弁護士を通して話し合いましょう。つくしさんはうちの
娘として一度籍を戻す手続きを取ります。その後のことは本人達の気持ちに任せましょう・・・それでいいですかな」

「勇作さん・・・本当に、本当にいいんですか?つくしちゃんを高城に迎えても・・・!」

「あぁ・・・晴男の話はもう聞きたくもないが、それもこれも会社の為に動いたせいだろう。元々お前は会社の経営になど口を出して
はおらんのだから、倒産の責任は私にあったのに苦労をかけてしまった。子供が出来ないのも私の身体が原因なのに何一つ
文句を言わなかった・・・。お前も自分が産んだ子供を持ちたかっただろうに、責めてばかりですまなかった・・・」


美智子の眼から涙が溢れた、同時に少し悲しそうに高城誠が笑った・・・。

つくしはそんなこの家族に温かい微笑みを向けた。その中には入れないのだろうか、自ら近寄ろうともせず言葉もかけず、3人を見つめていた。
いいんだよ?今だけなら高城家に入っても・・・俺が眼で合図したけどつくしは軽く頭を振った。自分はここでいいと・・・花沢の両親に
眼を向けた。今度はうちの両親がつくしに優しい笑顔を向けていた・・・その時、初めてつくしも涙を流した。


「類・・・お前の思い通りになったか?つくしもこれでいいんだな?両家の弁護士が動けばそれなりに早く手続きは終わるだろうが
今後の事はもう少し時間をかけようと思うがどうだ?」

「時間を・・・どのくらいでしょう。つくしはこのまま花沢で過ごしていいんですよね?」



雨が止んだ・・・。
高城家がつくしを受け入れてくれると話がついてから、何となくこの部屋にも穏やかな空気が流れていた時だった。
急につくしが席を立って、この部屋にいるみんなに向かって話し始めた・・・それは、俺だけが衝撃を受ける内容だった。

「あの・・・私はこの家を出て、高城家に移ろうと思います。本当に私を受け入れて下さるのでしたら・・・ぜひ、そうしていただけませんか?」

「つくし・・・!どうしてそうなるの?この家を出る必要はないだろう!」

びっくりして俺までが立ち上がってつくしに詰め寄った!
俺から離れて高城家に住む?今まで一度もそんな事をしたいなんて聞いてない!
認めてもらえたら今度は兄妹じゃなくて恋人としてこの家に住むんだとばかり思っていた・・・誰にも遠慮なくこの家で過ごせると。


******


高城のおじ様が私を娘として迎えてくれると言ってくれた。ビジネスじゃなくて、娘として・・・その一言は嬉しかった。
産んでくれたお母さんとその旦那さん・・・って事になるんだね。そう思ってこの家族を見ていた。そして目の前には「いとこ」なのに
兄になる誠さんがいる。この人とも血の繋がりはあるんだ。
何も知らなかった19年間・・・不確かだった私の土台が少し固まってきたような気がする。

崩れかけていたものが、支え合って元に戻っていく・・・そんな感じだった。


隣を見たら今度は19年間育ててくれたお父様、お母様が優しい顔を向けてくれている・・・少し行き違うこともあったけど、それも
本当の親子として考えてくれたからこそ・・・この人達に愛されて育ったことは間違いない事実だった。
それは私の宝物・・・私が両親と呼べるのはこの2人しかいないと思ったのは本当だ。


だけど、この時思ってしまった。

今までと同じっていうより、普通に恋をしたい・・・みんなみたいに彼を恋する時間を持ちたいって思った。
朝起きて類の事を考えて、学校で出会って食事をして・・・別れを惜しんで夜になったら恋い焦がれて電話して・・・
そんな普通の恋をしたいと思ったの。贅沢な悩みなんだろうけど、肌の温かさを求めるのに距離を感じる切なさを持ってみたい。

我儘かしら・・・?でも、そうしたかったの。

「あの・・・私はこの家を出て、高城家に移ろうと思います。・・・ぜひ、そうしていただけませんか?」
「つくし・・・!どうしてそうなるの?この家を出る必要はないだろう!」

「ごめんね・・・でも、高城のおば様は19年間一緒にいなかったんですもの・・・ほんの少しだけ親孝行したいじゃない?産んでもらった
からこそ類とも会えたんだし。もし・・・本当に花沢の家に、類のお嫁さんになれるんならそれまでは高城で一緒にいたいの。
ダメかしら・・・お父様、お母様」

「あなたらしい意見だわ。つくし・・・好きなようになさい。どうせそのうちここに来るんでしょう?ねぇ、あなた」

「そうだな・・・類には少し冷静になって会社のことを考えてもらわんといけないしな。距離を置くのも良かろう。それにフランスのほうも
まだ途中だし、お前はそこの責任者だろう?今はそっちを片付けたらどうだ?」

類は納得できないみたいだった。親孝行って・・・自分を捨てた人にそんな感情を持つのか?って言いたそう・・・。
立ち上がってみんなに話しかけた私の片腕を掴んで離さない・・・そんな類を呆れた顔で見ている花沢の両親は苦笑いだし。
この部屋の一番窓際で一連の話を聞いていた西門さん達がそんな類を説得するように言葉を発した。

「類!つくしちゃんの言うことは正しいと思うぞ?いいじゃねぇか・・・ケジメってもんだよ!このままだと兄妹の感覚が残ったままだぞ?」
「そうそう!・・・新鮮さが欲しいわけよ!恋人ってのは少し知らない部分がある方が燃えるんだって!」

「勝手な事言って・・・!もう19年間一緒なのに何で今更離れるんだよ・・・!その方が不自然だよ!」


そんな類の手を握り返して、その瞳を見つめた。私の大好きは類の瞳・・・私だけが映ってるその瞳を見つめた。
類は急に照れたように少しだけ赤くなる・・・ふふって笑ってそのまま類に抱き付いた。

そう・・・みんなの前で。


「類の事が大好き・・・花沢の両親も大好き。加代さんも・・・この家が大好きなの。いつかまたここに戻ってこれる日までは高城の
両親の側にいてもいいでしょう?毎日会えるし、話だって出来るよ?」

「うん・・・じゃあ、今度からはデートも待ち合わせ?夜は電話だけ・・・1人で大丈夫なの?」

「大丈夫だよ・・・1人じゃないでしょ?怖くなったら飛んできて?」

類の手が私の背中に回った時・・・


「いい加減視しろよっ!!二人っきりの時にしたらどうだ!目障りなんだよっ!」

誠さんが怒った!!


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2017/11/06 (Mon) 00:55 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

さとぴょん様 こんにちは

そうそう、結構むりやりエンドに向けているんですよ!
マドンナたちのララバイ、いいじゃないですか!ボリュームMAXでガンガン流してください!!

昨日まで爺さんネタだったんで少し楽しくしてみました。
でも、ごめんねぇ!もうお楽しみのシーンはない・・・かな?

今からあったらびっくりか!!最近この話しかさとぴょん様としてないからなぁ!(笑)


2017/11/06 (Mon) 13:40 | EDIT | REPLY |   

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