FC2ブログ

plumeria

plumeria

あれから数週間後、私は花沢から高城つくしになった。
弁護士さんの必死の工作で何とか裁判所に除籍申請をして認められ、花沢の戸籍から外れた。

そしてその1ヶ月後。
ここは東京の高級マンションの最上階・・・私はここの一室で暮らしていた。



ピピピピピピ!

スマホのアラームが鳴って眼が覚める。
窓越しに降りそそぐ朝日が眩しくて目を細めた。季節はすっかり冬に向かっていてベッドから出るのが嫌な感じ・・・。
本当は暖房が効いているんだけど、いつまでも潜り込んでいたいようなベッドの温かさだった。

「つくしちゃん!もう起きなさい。大学に送れてしまうわよ?もうお父さんは会社に行ってしまったわ」

「はーい・・・起きまーす」


ここは花沢ではない。
毎朝高城のお母さんがご飯を作ってくれていた。これはいくら会社が大きくなっても自分でしたいと言うお母さんの願いだったみたい。
使用人はいない。お掃除もお母さんがやっていたから、以前とは違って新鮮な毎日だった。

朝食はご飯と味噌汁って決まってる。毎日違う具材で食卓に並んだ。テーブルにはお花もフルーツもなくて簡単なダイニング。
それでもとても幸せな空気が流れていた。高城のお父さんが読んだ新聞がそこに置かれていて、経済欄が一番表に出されていた。
そこに書いてあるのはフランスのこと・・・類達が頑張っている再生可能エネルギーの貯蔵システムプロジェクトが順調に進んでいると
書かれていた。もちろんこれには道明寺系列で高城も参加しているから他人事ではなかったんだ。

ご飯を食べながら記事を読んでいた。
道明寺が今はそのフランスに行ってるみたい・・・少しだけ水素複合貯蔵システムの工事が遅れているからって様子を見に行ったって書いてある。
あまりに真剣に読んでたから完全に手が止まってる。そうしたら急に新聞が私の目の前からバサッと消えた!

「こら!食べながら読むんじゃありませんよ?ほら、早く食べて支度しなさい。また類さんが怒ってここまで上がってくるわよ?」

「あっ!ホントだ・・・もうこんな時間!急がなくっちゃ!」

「つくしちゃん!今日、類さんにあったら明日の時間・・・もう一度聞いておいてね?大阪に行く時間のことだけど」

「うん、わかってる」


明日は大阪の西門清四郎さんの自宅に挨拶に行くことになっていた。
清四郎さんはあの後、暫くして容体が悪化し、一昨日亡くなった。昨日が葬儀で西門さんは大学を休んでもう一週間前から大阪に行っていた。
私達はいろんな騒動を避けるために葬儀に参加せずに、明日、みんなで向かうことにしていた。
花沢の両親はスペインに滞在していたから、類と私・・・そして高城の両親の4人で行くことになっていた。
誠さんは清四郎さんが危篤になったと連絡をしたけど、イギリスから戻ってはこなかった。もう、挨拶はしたからいいと・・・帰ってこなかった。


急いで支度をしてマンションのエレベーターを降りるときにふと思い出した。
あの日、花沢で話し合いが終わった時に西門さんと誠さんが言葉を交わしていた時の・・・何とも言えない余所余所しさ。


**


話し合いが全部終わってからのこと・・・清四郎さんが別室で手当を受けていたから、誠さんはそこに行こうと踵を翻して部屋を出ようとした。
それを止めたのは西門さん・・・隅にあるデーブルに肘をついたまま誠さんの背中に向かって声をかけた。

「待てよ・・・俺には一言もないわけ?仮にも親戚の端っこにいるんだけど?」

「・・・ふん!俺は西門とは関係ない。父親は高城勇作だけだからな!勘違いするな・・・お前の家の伝統も財産も何の興味もない。
ただ、真実を知ったからにはどんな男か見てみたかっただけだ。この俺の父っていうんだからな・・・だけど、思ったより弱ってて驚いた。
その人がどうしても東京に行くなんて言い出したから仕方なく付き添ったんだよ!・・・それだけだ」

「でもさ・・・これからまた大阪に連れて帰るんだろ?最後の親孝行ってか?」

まったく・・・!2人とも全然素直じゃない。呆れて見ていたら類が可笑しそうにクスクス笑って私の肩に手を置いた。
「総二郎が楽しそうだ」って言って・・・そうなの?楽しいの?・・・そう言えば少しだけ笑ってるかもしれない。
それは誠さんも同じだった。言葉はキツいのに眼が笑ってる?

「ホント・・・こうしてみるとよく似てるわ!」

「「どこがだよっ!!」」

ほらね?突っ込み方まで同じタイミングなんだもの。少し切れ長の瞳が照れくさそうに見つめ合ってるの!
美作さんまでが肩を震わせて笑ってる。よく見たら花沢の両親も高城の両親もそんな2人を見てクスクス笑っていた。

「みんなで笑うところかよっ!・・・まぁ、いいや!お前、イギリスに行くんだろ?何かあったら連絡して来い・・・相談ぐらいなら乗ってやる。
金の心配はないだろうから、あるとしたら女の口説き方くらいだろ?下手くそだからな!」

「馬鹿にするな!・・・そこだけはいつか西門の血が出てきて上手くいくようになってるはずだよ。今回みたいな失敗は二度とないから!」


そう言って顔を赤くして帰っていったっけ・・・。
本当のお父さんの葬儀に来なかったけど後悔しないのかしら。エレベーターが1階に着くと今からボタンを押そうとした類に出会った!
もう少しでぶつかるところだったのにふわっと抱き締められて、私の耳元で小さく囁く・・・「おはよう!愛してるよ」


**


「明日の事なんだけど、類は大学休める?私達は朝の9時頃もう家を出ようと思うんだけど・・・類はどうする?」

「ん・・・今晩から行かない?久しぶりにさ・・・ちょっとした旅行みたいで良くない?」

「・・・あのね?何しに行くかわかってるの?清四郎さんの葬儀に行けなかったから西門に挨拶に行くんだよ?」

「わかってるよ?その時だけ真面目にしてたらいいんでしょ?今晩から行こうね!」


・・・もう!何を考えてるんだか!それでも少し笑ってる・・・隣の恋人のせいで、私も顔が赤くなってるような気がする。


大学までの道をいつものように花沢の車で向かってる。
変わったことと言えば、少しだけ景色が変わったぐらいで車内の様子は変わらなかった。繋がれた手はいつもと同じ場所にある。
傾いたときにわざと抱き締める仕草も、我慢できなくなったら寄せてくる唇も以前と何も変わらなかった。

大学で私の姓が高城になったことは箝口令が敷かれてみんなにはバレなかったから、ここでも前と変わらず類と過ごしていた。
道明寺とのことも1ヶ月過ぎれば噂にもならなかった。

「おはよっ!つくしちゃん!」
「あら、美作さん!おはようございます。美作さんは大阪には行ったんだっけ?」

「あぁ・・・昨日まで行ってたよ。総二郎と向こうでずっと飲んでてさ。いや、関西弁の女は色っぽさよりもノリが良くてさ!」
「そんな事聞いてないよ・・・ホント、見境ないんだから!」

いつものようにふざけて教室まで行くもの前と同じ。



変わったこと・・・それは・・・。


***********


「はぁっ・・・はぁっもう、類っ・・・ダメぇっ!」
「まだダメ・・・まだ、足りないって・・・ほら、こっちも」

類に言われるがままに、その日の夜から大阪のホテルの部屋にいた。スウィートルームでの一夜・・・真っ白なベッドの上で類から
全身を攻められるように愛されていた。これが一番変わったことかもしれない・・・今までは優しかったのに随分と激しく求めてくる。
まるで噛みつかれるようなキスをされる・・・そんなに熱っぽい眼で見ないでって頼んでも全然聞いてくれない。

見下ろしてくる瞳は優しい獣のように私の全てを奪っていく・・・絡みついてる指は私の耳の横で動きを封じ込められてて、類の舌が
私の身体を這っていくのをビクビクしながら受け止めるだけ・・・!

「うんっ・・・あぁっ!そこ・・・そこはダメっ!も・・・う、る・・・いっ!はぁっ!」
「どこ?どこがいいの?・・・ここ?」

「いやぁあっ!・・・あぁっ!そこっ・・・」

私の奥に入ってくるのは綺麗な類の指なのに・・・っ!絶対に今・・・わざと焦らしてる!私の反応を見ながら類が気持ち良くなってる!
私が少し苦しそうに感じるのを見るのが好きなのよ・・・ホントに意地悪・・・っ!
もしかしたら私も変わってしまったかも・・・そんな類の腕を掴んで自分に引き寄せてしまう。そして恥ずかしいのに・・・

「お願い・・・類、私の中に来て・・・?それだけじゃ・・・いやだ・・・」


クスって笑う類が悪魔に見える・・・泣きそうになってるのに!
そして類は私の両足を抱えてるとグイッと自分自身をねじ込むように入れてくる・・・っ!凄くこの時だけは毎回キツくて痛いんだけど
すぐに快感に変わってくる・・・ゆっくりとクチュって音をたてながら奥へと入ってくる!その何とも言えない異物感なのに堪らなく愛おしい。

「はぁっ・・・類っ!類・・・もっと愛して?もっと!」
「可愛い・・・つくしがそんな事言うようになるだなんて・・・」

その後はもう何も覚えていない。激しすぎる律動とイヤらしい音と・・・部屋中に響く自分の声で頭は真っ白になる。
何度も繰り返されるそれに、もう私の身体は耐えられないところまで来てるのに!息があがっても、汗が飛び散っても、お互いに求めることをやめない。

そんな夜が一番変わったこと・・・


翌朝は気怠い痛みで起きあがれなかった。
身体中が悲鳴をあげてるみたい・・・少し寒くてフルッて肩を揺らすと類の暖かい腕が包んでくれた。



「おはよ・・・つくし。昨日は素敵だったよ」
「もう・・・類のバカ!」

あはは!って軽く笑った・・・その半年後、私達の婚約は正式に発表されることになっていた。


15036316250.jpeg
やっとゴールが・・・すぐそこに(泣)
関連記事
Posted by

Comments 2

There are no comments yet.
-  
管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます

2017/11/07 (Tue) 00:33 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

さとぴょん様・・・おはようございます。

うん・・・昨日ね、先輩作家さんとR論議を致しまして・・・。
盛り上がってしまって追加してしまったの。あっはは!そんな事で追加するのか!って思いますよね。
いかにしてR書かない某先輩に書いてもらおうかと、何人かでお強請りしたんだけど手強かった!
「私だってちょっとは書いてるんだよ?」って言ったから、書いてみた(笑)

爺さん・・・いい仕事してくれました。合掌・・・

2017/11/07 (Tue) 07:55 | EDIT | REPLY |   

Leave a reply