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関西西門の分家、西門清四郎氏の屋敷に着くとすでに高城社長夫妻と加代が揃っていた。
少しだけ約束の時間に遅れてしまって加代からは軽く説教され、つくしも母親に叱られていた。ぺろっと舌を出すつくしに加代は溜息だ。
でも、遅れた理由もわかっているからだろう、加代は「情けない」を連発。高城社長は気まずそうに知らん顔をした。


ここも総二郎の本邸同様、日本家屋の荘厳な造りで石庭も見事だった。しんと静まりかえった屋敷内の廊下をどこまでも歩いて
行くと大広間に案内された。そこ部屋の真ん中に総二郎が1人で座って俺たちを待っていた。
総二郎にも色んな思いがあるんだろう、俺たちが行っても暫くその祭壇を眺めて動こうとはしなかった。

部屋の一面を覆うほどの仏壇の真ん中に白い布に包まれた骨箱・・・後ろには少し前に撮った写真だろうか、まだ幾分か肉付きのいい
顔の遺影が飾られていた。それを涙を流して拝む高城美智子と勇作氏・・・つくしはただ穏やかにその遺影に手を合わせた。
滞在時間はほんの1時間ほど・・・この家の跡取りと総二郎に見送られて東京に戻るために迎えの車を待っていた。


「総二郎・・・結構長く大阪にいたんだね。どうしたの?そんなに大叔父さんに思い入れがあったの?」

「いや・・・そうでもないんだけどさ。何となく・・・来るかもしれないだろ?」

「・・・喧嘩ばっかりしてたのに?気になるんだね・・・」

総二郎は誠が来るのを待っていたようだ。改めて見つかった親戚だからそんなに気になるのか、それとも西門に最後まで認められようとしなかったから?
でもそれは誠も望んだことなのに・・・。黒いスーツを着て門の前に立つ総二郎をつくしと一緒に見ていた。


ハッとしたように振り向くとツカツカとつくしの横に来てふわっ・・・と、その耳元に顔を近づけた!ちょっと、唇がくっついてるよね!
慌てて止めようとしたらすぐに体勢を元に戻してニヤリと笑った。


「つくしちゃん・・・あれだけ言ったのに。今日も類の匂いがする・・・バレバレだな!」

「えぇっ!うそっ・・・ちゃんと朝、シャワーしたのにっ・・・あっ!」

プッ・・・と噴き出したのは俺。茹で蛸状態なのは自分で墓穴を掘ったつくしだ!
総二郎は腹を抱えて笑っていた!「バッカだな!」ってわざと派手に顔をつくって笑っていた。
車が到着して俺たちは乗り込んだ。窓を開けて手を振るつくしにウインクで返す総二郎・・・真っ赤になるつくしに腹が立って、とっとと窓を閉めた!


「明後日には東京に戻るわ!またな、つくしちゃん!」

締めた窓の向こうで総二郎が叫んだのを俺だけが無視・・・つくしは窓ガラス越しに手を振り続けていた。


*********


それからの数ヶ月間もつくしは高城の人間として過ごした。
今まで24時間、ほぼつくしの行動範囲内にいたのに、やっと迎えに行ったり待ち合わせをしたり、そして別れたりという普通の恋人
になることにも慣れてきた。

加代もつくしがいなくなった寂しさを、そのうち戻ってくるからとリハビリに夢中になることで忘れようとしていた。
そして最近では以前と同じように動けるまでになった。
俺は1人で飲む朝のコーヒーも、随分と静かな夜のテレビも大丈夫・・・ただ、広いベッドにはいつまでたっても慣れなかったかな。



そして、花沢物産はこの春、人事を一新することとなり、それを報道発表することになった。その時に俺たちの婚約を同時発表することにしていた。
その席には俺もつくしも同席する。高城コーポレーションが花沢の傘下に入ることも正式に決まった。道明寺との業務提携は
アメリカで新たに起ち上げた「TAKASHIRO HOLDINGS」が行うこととなり、高城誠がそこの新社長になるらしい。

今日はその発表のために帰国していた花沢の両親に会うために、つくしが屋敷に来ていた。
この時ばかりは屋敷中の使用人も喜んでつくしの回りに集まる。シェフなんかはいつもよりも腕を振るい、つくしの好きなデザート
を作っているほどだ。


「お父様、お母様、お久しぶりです!お元気でしたか?」

「まぁ!こちらのセリフよ?どうなの・・・高城のお家は。楽しくしているのかしら?向こうのお母様はお元気なの?」

「はい!とても元気にしていますわ。今度お会いするのを楽しみにしているようですわ」

「つくしも暫く見ない間に随分と大人っぽくなったものだ。もうすっかりレディだな・・・うちに戻ってきたらさっそく類とヨーロッパ視察に
でも向かわせよう。向こうの人間にもつくしの事を紹介しなくてはいかんからな」

その前につくしのことを報告しないといけないんだけど。
それはもう作り話以外の何でもないんだけど、報道陣を前に父さんが質問を受けないことを条件に発表するらしい。
総二郎もあきらも興味津々で記者会見を聞きに来るって言ってたっけ。会場のド真ん中でニヤける2人が想像出来て鬱陶しかった・・・。


********


そして人事に関する発表と高城コーポレーションとの事業提携、そして新しく参入する新事業の発表などを纏めて記者会見が始まった。
中央には全社を統括する会長として父さんが座り、その横に日本本社の社長となった母さんが座った。
ヨーロッパ本部は今までの営業本部長が昇進してそこの代表となった。


「ここで私の息子、花沢類も正式に日本本社の専務に就任させることと致しました。まだ、歳も若く経験もありませんがフランスでの
プロジェクト責任者でもあります。荷が重いことは承知しておりますが、役員とも相談して社内的にも承認されております。
そしてこの度、同時に婚約も致しましたのでご報告をさせていただきます」

会場からは少し響めきが起きる。ザワザワと記者達が動き始めて父さんが俺を呼ぶ仕草をすると一斉にカメラのシャッター音が鳴り響いた。
つくしが少し顔を顰めた・・・その背中に手を当てて耳元で「大丈夫・・・ついてきて?」・・・そう言うとしっかりと頷いた。

今日のつくしは淡いクリーム色のワンピースにパールのアクセサリーを付けて、綺麗な黒髪はサラリと流したまま。
余計な飾りななくて、それでも今までで一番美しくて、一番幸せそう・・・そんな俺たちを花沢の両親が迎えてくれた。

俺たちは並んでその会見席の中央に新たに用意された席まで行くと、一度頭を下げてから静かに座った。
一瞬会場からは驚きの声が上がり、カメラの音で進行係の声も聞こえないほどになった。

「すみませんが、ここからは質問はご遠慮ください。万が一会場から声があがってもそれに個別には対応致しません。
宜しいでしょうか?・・・それでは花沢会長、お願いいたします」


やっと会場が少し静まって父さんが話し始めた。
記者席から見えない所で俺とつくしの手は繋がれていて、震えている指先を包んでいた。


「私の横におりますのが息子の類・・・その向こうが婚約者の高城つくしさんです」

当然だけど会場内は騒然とし、今までで一番強烈にフラッシュがたかれた。
だけどここで俯くわけにはいかない。俺もつくしもその閃光を浴びながら正面を見据えて笑顔を作った。

「でも、その方は妹さん・・・ですよね?」


聞くなといっても聞いてくるヤツがいるのはわかりきっていた。
俺たちはその記者を睨むわけでもなく、お互いに少しだけ眼を合わせると・・・自然に笑顔になっていた。


そう・・・妹だったんだよ?この間まではね・・・。


KOSU21.jpg
いろんな事が疑問でしょうけど全部笑って流して下さいっ!
明日、最終回です。うわ~んっ!
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2017/11/09 (Thu) 01:43 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

さとぴょん様!おはようございます!

清四郎爺さん・・・とうとうお空に行ってしまいましたよ。
これからは星となって可哀相な誠を見守ってくれることでしょう・・・(メルヘンかっ!)

ふふふ・・・何気に礼服って・・・結構ゾクッとするんですよね・・・私。
黒が好きだからかな・・・タキシードとかも大好き!1人で礼服の総ちゃん想像してニヤリと・・・(変態かっ!)

2017/11/09 (Thu) 08:36 | EDIT | REPLY |   

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