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崖っぷちにしがみついてる男の顔を見て唖然とした。こいつ、美和子といたヤツじゃねぇか!
あの後ろでこそこそ隠れてた情けない男・・・やっぱり帰ってなかったのか!どこで寝泊まりしてたのかは知らねぇが、あの女に言われて
つくしを襲おうとしやがったな?

しかし妊婦のこいつが、いくら情けない男とはいえ投げ飛ばしたわけじゃあるまいし・・・。
そう思ってつくしを見たらキョトンとしてやがる!こんな薮の中で座り込んで、何かあったらどうすんだよっ!!
この男もそうだがつくしを見ていたら何故か自分のこぶしが震えるのがわかる。俺がどれだけ毎回心配してるかわかってんのか?

「そ、総二郎さん・・・あの、助けられる?あの人落ちたら危ないんじゃない?ほら!下が川になってるの!・・・ね?」

「ね?じゃないだろうっ!・・・ったく、どうして毎回こうなるんだ?あの男はなんであんな所にぶら下がってんだよ!
また、お前が挑発したせいであの男が腹立って向かってきたとかじゃねぇだろうな!で、お前が躓いて転んだ拍子にあの男が自分で蹴っ躓いて落ちた!
・・・ってんじゃないだろうな!」

「すっごーい!全部当たってる!もしかして見てた?」
「ちげーよ!さっきも言っただろう!いい加減にしろっ!・・・自分だけの身体じゃないだろうっ!!」

思わずつくしの目の前で俺の手が上がって、それを見たつくしの目が一瞬大きく見開いた!そしてすぐに両手で顔を抱えるようにして
尚更小さくしゃがみ込んだ!俺がこんな態度をとったことがないから余計に驚いたと思う・・・だけど今回は許せなかった。

「ごっ・・・ごめんなさいっ!そんなつもりじゃなかったの!早く総二郎さんに追いつきたくて・・・!」


俺の頭上高く上がった手は震えたまま、それを振り下ろすことは出来なかった。
惚れた弱み・・・そんなもんじゃないけど、つくしが無事だったことのほうが本当は嬉しかったんだ。振り上げた手を下して力を抜いた。
固く目を閉じて小さくなってるつくしの背中にそのまま持っていって、抱きかかえるようにしがみついてしまった俺。
情けない男は俺のほうかもしれないけど、本当に焦ったんだ!万が一なんて考えたくもなかったけど、ほんの一瞬、子供を失うかとも思ったんだ!
ビクッと全身を余計に硬くしたつくし・・・顔を上げることも出来ずに俺の腕の中で震えていた


「バカなんだから・・・!そもそも俺がつくしを置いて先に行くわけがないだろう?お前がいなくなることはあっても俺がいなくなること
なんてねぇよ!心配ばっかりかけさせやがって・・・!どれだけ俺が・・・」

自然とつくしを抱く腕の力が強くなる。それ以上は何も言えなくなった。


「ごめんね・・・総二郎さん。私がいけなかったわ・・・そうだよね。本当にごめんなさい。大事な宝物預かってるのに・・・」

「わかりゃいいんだ。でも、もう二度とごめんだからな!こんな思いは福岡と夏祭りで十分だ!ほら・・・立てるか?足は痛くないか?
せっかく今朝は腫れが引いてたんだから・・・見せてみろ」

「いやん!こんな所で足なんか出せないよぉっ!あっ・・・」

こんな所?そんなもんどうでもいいって・・・つくしの足も気になったけど、俺は立ち上がったつくしを抱き締めた。そのまま耳にキスして
舌を這わすと「んっ・・・」って小さく声が出る・・・指で顎を持ち上げてつくしの口内に舌をねじ込むように入れると必死にそれに応えてくる。
薄暗い森の中・・・ヤバい!結構癖になりそうなシチュエーションじゃね?こんなの流石の俺も経験ないんだけど!
夢中になってキスしてたら自然と片手がつくしの胸に伸びて服の上からだけどギュッと摘まんでしまった!

「いやぁあ・・・総二郎さ・・・んったら!そんなにっ!」
「何で?お仕置きのつもりなんだけど・・・それに脱がせたわけじゃないし」



すっかり忘れていた。
ちょうどそのいいところで下の方から叫ぶ男の声が・・・。

「こらぁっ!!人がぶら下がってるときに何イチャイチャしてんだよっ!早く助けろっ!腕が・・・腕が保たねぇよっ!」

「「・・・・・・」」

仕方ない。ひとまず離れようか・・・ムカッとしたがつくしを離して崖の上から下を覗き込んだらさっきより危ない状態になっている男が見えた。
すげぇ悲惨だな・・・多分落ちたら骨の一つや二つは確実に折れる。そのぐらいの高さだ・・・でも、悪いが助ける気がなかった。


「おーい!気をつけろよ?俺たちはこのまま帰るけど何とか自力で上がってこい!感謝しろよ?警察には黙っといてやるから!」

「はぁっ?!どうやって上がるんだよっ!いいから助けろよッ・・・その女が避けるから落ちたんだぞ!責任とれっ!!」

「そんな元気があるんなら落ちても大丈夫だろう!・・・いっそのこと落ちてしまえ!そうしたらどこかで上がれるさ・・・じゃあなー!」
「ちょ・・・ちょっと総二郎さん、それはあんまりじゃないの?」

「馬鹿言え!何で助けるんだよ!・・・ほら!つくし、帰るぞ!」

つくしの手を引いて山道を降りた。
何だか大騒ぎで叫びまくってるけど無視・・・そのうちこの声聞いて誰かが来てくれるんじゃねぇかな・・・ま!俺には関係ない!
ん?そう言えば俺の服のポケットにあるもの・・・何となく硬いものがそこにあるから手を突っ込んで確かめたら・・・!

「そうだ!誰がこんなものを道に突き立ててるんだよ!びっくりするじゃねぇか!・・・しかも、これ俺への土産じゃなかったのかよ!」

「あーっ!!ありがとう・・・ひよこマッチ♥そうだ!リンドウが咲いていたから持って帰ろうと思ったのよ!・・・怒られるかな?」

「リンドウ?どうせそんな事だとは思ったけど・・・一株ぐらいバレないだろ!全く・・・花を見たらすぐこれだから!」

嬉しそうにひよこマッチを手に取ると、今度は山道入り口で俺の陰に隠れてコソコソとリンドウを掘っていた。何でかな・・・。
俺ってこんな男だったっけ・・・鼻歌交じりで楽しそうなつくしは一株だけ自分の土産に掘り起こすと上機嫌で車に戻った。

「裏庭にね、鬱陶しいぐらい木が植えてる場所があるでしょう?その下だと環境が似てないかと思ったの!育つといいなぁっ!」

「・・・鬱陶しいねぇ。親父が泣くぞ?大事に育ててる植木なんだから。そのリンドウも気の毒に・・・つくしに見つかって引っ越しか?
それ見る度に今日の事思い出しそうだな!」

あはは!って大口開けて笑ってやがる。
笑い事じゃねぇよ・・・もうこれ以上はないだろうな・・・?そう思いながら車に乗り込んだ。


*****


駐車場に戻ると流石に美和子の姿はなかった。
つくしも気分はすっかり昼飯に向かっていたから彼女のことも忘れたようだ。土産のリンドウとひよこマッチを車の後部座席に置くと
今度はグルメマップと睨めっこだ。それまで俺は運転席でコーヒータイム。
何だかここに疲れに来たようで、すでにぐったりしていた。せめて今夜の仙台では何も起こらないようにと願うばかりだ・・・。


「総二郎さん!これ食べに行こう?お蕎麦・・・山菜そばが有名らしいよ?石臼でひいた粉で作ってるんだって!美味しそう・・・!
あ、その前にやっぱり記念に野菜ジェラート食べようよ!・・・だめ?お腹冷えないようにするから・・・!」

「・・・絶対に冷えるじゃねぇか!仕方ねぇな・・・小さいサイズにしとけよ?」

その専門店はここからわりと近い場所にあるようだったからナビを見ながら車を走らせた。そいつはすぐに見つかって、駐車場は
観光客で賑わっていた。どうやら珍しいものらしくて他県ナンバーの車ばっかり・・・一番端に車を停めるともうつくしは店内を眺めていた。
車の中でもう買うものを選んでいたらしく、急いで店内に走って行く。ガキよりガキっぽいのに何で俺はこいつに夢中なんだろう・・・。

そして戻ってきたら手に持ってるのは2人分のジェラート!マジか・・・?俺はそんなもの食えないのにっ!

「自分のだけじゃなかったのか?・・・俺も?」
「そうよ!ふふふ・・・食べられないなら私が後で食べてあげる!はい、総二郎さんにはセロリンゴ!私はアスパラチーズ!
こういうのも旅行のお土産話だよね?いただきまーすっ!」

美味しいっ!って頬張るお前を見るだけでいいよ。
クスって笑ってハンドルにもたれ掛かっていたら、つくしが「溶けちゃう!」って言って、俺のジェラートに口を付ける。

「総二郎さんのも美味しいよ?食べてみて?」

「あぁ・・・食ってみる・・・お前からな」


そう言ってつくしと唇を重ねた。
ん!確かに甘くて・・・美味い!真っ赤になったお前の照れた顔に「ご馳走様」だな!


この後、飯を食ってから俺たちは今日の宿、仙台に向かった。



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2017/11/04 (Sat) 13:09 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: こんにちは!

えみりん様、こんにちは。

セロリンゴはね、名前に笑ったの。アスパラチーズも・・・想像出来ないから使ってみました!
セロリンゴ・・どっちの味が強いのかな?やっぱりセロリ?うーん・・・総二郎食べられたのかしら?

いもくり佐太郎(笑)そんなに気に入ったんですか?いや、確かに1回聞いたら忘れにくい名前ですよね?
なんせ東北に行ったことがないですからねぇ。

実はイベント参加の作家さんに宮城の方がいて紅葉の写真をラインで見せてくれたんです。
それで思いついて、宮城を調べたら「いもくり佐太郎」を見つけたので、わざわざ車でドライブを・・・。
どこでネタを拾うかわかりませんね。

あ!崖の人?・・・さぁ?

2017/11/04 (Sat) 14:03 | EDIT | REPLY |   
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2017/11/04 (Sat) 16:54 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

さとぴょん様!今晩は!

私の日頃のストレス発散にこの2人は欠かせないんですよ(笑)
まさかの山の中でした?むふふふっ!時々こんな意外なことを考えて遊んでしまう私です。
でも、まさかこんな場所で最後まではっ!

さーて、次はどこでしちゃおうかなっ!(笑)

その前に出産かな?それとも・・・冬の番外編かな?

2017/11/04 (Sat) 21:51 | EDIT | REPLY |   
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2017/11/05 (Sun) 22:33 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

さとぴょん様、今晩は♥

そうなのかな・・・お子がいると難しいか・・・。
泣くから?泣いた子をほったらかして没頭したら・・・まだお子が出来ちゃう(笑)

どんだけ大家族になるかわかりまへんがな!(笑)お腹痛いっ!!

2017/11/05 (Sun) 23:02 | EDIT | REPLY |   
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2017/11/05 (Sun) 23:35 | EDIT | REPLY |   
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2017/11/05 (Sun) 23:40 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

さとぴょん様!・・・お腹痛いって!!

そこかいっ!!それしかないのかいっ!!
向日葵さんなら書くかもしれない・・・いま、Rに燃えてるらしいから(笑)

2017/11/06 (Mon) 00:02 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

さとぴょん様!だから!お腹痛いんだって!!

子供がみな年子になるじゃないですか!!最後の方つくしちゃん、ボロボロやわ!
誰か総二郎じゃなくて、さとぴょん様をとめてーっ!!


2017/11/06 (Mon) 00:05 | EDIT | REPLY |   

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