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plumeria

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西門の家に来て10日たった・・・。

もともとが似たような風習の家に育ったから、お茶に関すること以外はさほど困らなかったけど。
むしろ総二郎さんとの会話に一番困るかもしれない。ずっと花に囲まれて育ったし、学校は大学まで全部女子校だったし、とにかく男性から隔離されてるってくらいの生活だったからなぁ。

曾お爺さまの代の間でのお約束とか?とっくに時効じゃないかってくらい昔の話だけど、ずっとこの西門にお嫁に行くんだって言われてたから、ほかの男性との交際なんて絶対許してもらえなかったわね。
ま、そんなときめく方とも知り合わなかったけど。

でも・・・あのお二人に会ってから思ったのよ。世の中にはこんなイケメンがゴロゴロいるんだって!(3人しか知らないけど)
もったいないことをしたわ・・・もっと外の世界に出れば良かった・・・。

総二郎さんって・・・噂とはちょっと違う気がするわね。短気でチャラい感はあるけど・・・。
とにかくお茶の時の美しさは言葉にならないって言うか、手が綺麗なのよね。品もあるし。

それに比べて私は華道といってもフリースタイル。ホテルのロビーやパーティ会場のアレンジメントだし。
だから、恥ずかしいけど手は荒れてるんだよね。怪我ばっかりするから。


はぁ、それにしても・・・総二郎さん・・・かぁ・・・。

****

「つくしさん、実はね」

家元が俺と彼女を呼んで、ある会への参加を伝えてきた。

日本芸術文化交流会と銘打って、伝統芸能・芸術文化に携わる、いわゆる芸術家たちの集いのようなものらしい。
能や歌舞伎をはじめ茶道・華道・書・絵画など様々な芸術家が集まるもの・・・。
そんな所に二人で行けば正式に発表するようなもんだ。
おまけに夕方の会食の後は若者だけの二次会のようなパーティがあるとか?はっ・・うっとうしいこと言いやがって!


「西門からは総二郎とつくしさんが参加ということで伝えたが、良かったかな?」

伝えてんじゃねーか!伝える前に言うのが筋ってもんだろうに!!

「かしこまりました。では、詳細はまた後ほど」

****

こいつ、えらく難しい顔して・・・やっぱ嫌だろうな。

「行くとなると大変だぞ。大丈夫か?このままズルズル決まっちまうぞ」
「そ、そうなの?私、そんなのに参加したことないから・・・」

そっちか?!婚約者と披露されることはいいわけ?

「断るなら・・・断ってもいい。俺は別にあんたをここに入れようとは思わないからな。家の命令でも何でも・・・嫌なら断ればいい」

「総二郎・・・さん?」

「もう少し時間があるだろうから、よく考えるんだな」

俺はそう言って自室に戻った。
ベッドにゴロンと寝転がって・・・ただ天井を見上げて。

いや、一番わかんないのは自分がどうしたいかだ。あいつに会ってからどうも調子が狂う。
女相手に自分のペースが狂うことなんて今まではなかった。大抵は自分の思い通りにことが進むし、そうじゃなきゃその場で別れりゃいいんだし。こんなに悩んだことなんてなかったっけな。

確かに遊んできた女とは違うタイプだ。お嬢様のくせに気取ってないし話しやすい。天然ってやつ?明るくておもしろい。
わざと突っかかった態度とるのも、むしろわかりやすくて笑えるし。

って、なんでそんなことばっか考えてんだ?俺は。




自室を出て茶室のほうに足を向けた。
廊下を歩いていたら客間で花を生けているつくしを見た。

花器と花を前にし真剣な表情で生けている。
茶道宗家の客間に合うようにと考えているのだろうか、派手すぎず季節に合う花を選び、鋏を入れている。
茶道とは違うが、これもまたその世界独特の緊張感だ。

面白いバランスの花の姿。これは彼女の感性だろうか。

俺は好きだな・・・こんな花の姿。



また、心の中がざわざわする。



結局つくしは一緒に行くと言ってきた。

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