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「ハ・・・ハックション!!グズっ・・・こんにちは、失礼します・・・ゴホッ!」

「あら!牧野さんお風邪でも引いたの?くしゃみに咳までしてたけど?」

西門さんの自宅に着いたら玄関で家元夫人のお弟子さんの志乃さんがお花を生けていた。
私は鼻水が出てぼーっとしている状態でお稽古に来てしまったから、多分相当悲惨な顔をしていたんだろう、志乃さんは私を見るなり驚いていた。

「あはは!たいした事はないですよ!元々が頑丈に出来てますからね、このぐらいの咳で風邪だなんて言ってられません!それではお茶室に行かせていただきます。西門さんはまだ帰ってないですか?」

「総二郎様はまだだと思うわ。でも今日はつくしちゃんのお稽古の日だからちゃんとその時間には帰ってきますよ」

「?・・・そうですか。ゴホッ!はぁ・・・すみません、ではお邪魔します」


身体が重い・・・なんだか10㎏ぐらい太ったんじゃないかって思うぐらい身体が重かった。
茶室に入って西門さんが来るまでに準備をしようと思ったけど寒くて身体が動かない。茶室だから仕方ないんだけど、まだ西門さんがいないから暖を取るわけにもいかないし・・・炉で湯でも沸かせば少しはこの場が暖まるのになぁ・・・。
ここにはエアコンなんて気の利いた物もないし・・・悴んだ手で茶道具を出して西門さんを待っていた。

でもやっぱり頭が重いしあちこちが痛いような気がする・・・準備が終わったころに西門さんの足音が聞こえた。


「牧野、悪い!ちょっと遅れた!寒かったろ?」
「・・・うん、少しね。でも大丈夫だよ。西門さんもレポートか何か?」

「あぁ、そんなとこ。教授の手伝いさせられてんの。前田教授、人使い荒いんだよ」

そう言いながら急いで西門さんは火桶を準備してくれて、暫くそこで温もっとけって言って自分の支度を始めた。ほんわかと温もってくるまでにはかなりの時間がかかる。何だか手を翳しているのにどんどん身体が冷えていくような気がしてぶるっ!と身震いをした。

「どうした?冷えすぎたのか?貸してみな」
「へ?貸すって・・・何を?」

「お前の手!」

西門さんに言われて両手を彼の方に差し出したら、いきなりその両手を西門さんの手がガシッと掴んで、はぁーって息を吹きかけられた!そりゃもうびっくりして悲鳴をあげそうになった!だって、彼の唇の数㎝のところに自分の手があるんだもの!

「すっげぇ冷たくなってるじゃん。そんなに待たせたっけ・・・」

そう言ってもう一度、西門さんが私の手を温めてくれた。それまで背中がすごく寒かったのに、一気に熱くなって汗が流れたような気がする!そのぐらいドキドキして声が出なくなった。

「・・・牧野、顔が赤いけどお前、熱あるんじゃねぇの?」

今度はゆっくり西門さんのおでこが・・・おでこが近づいてきた!うわぁっ!って思って眼をギュッと固く閉じたら・・・
あれ?何も来ないんだけど。

今度はチラッと薄目を開けたら西門さんの顔がすぐ目の前にあって、ビタン!と手がおでこに当てられた!

「バーカ!俺がそんな事するとでも思ったのか?・・・てか、熱わかんねぇわ。そんなに熱くもないと思うんだけど」
「あっ・・・ありがとう、気にしてくれて!だ、大丈夫だから!ホントに大丈夫だから!」


あー・・・びっくりした!一瞬西門さんのおでこがくっつくのかと思って、心臓が飛び出そうだった!

このあと、何とかお稽古を済ませて、両手をついて最後の礼をしたまでは良かったけど、そのあと立ち上がろうとしたらクラッとしてその場に座り込んでしまった。それには流石に西門さんもびっくりしたのか私を抱きかかえて大声を出した。

「牧野?おいっ、牧野!・・・誰か、誰か来てくれないか!医者を呼んでくれ!」
「だ・・・大丈夫だよ、西門さん・・・大したことないから」

「何言ってんだ!立ち上がれなかったくせに・・・いいから黙ってろ!」

数人のお弟子さんが来てくれたみたいで、何だかその場は騒然としてしまった。私はほとんど朦朧としていてわからなかったけど、西門さんが抱きかかえて何処かに運んで行ってくれているのだけはわかった。だって・・・彼の香りがすぐ近くでするんだもん。
わざと西門さんの胸の方に顔を倒してほんのちょっとだけ服を握り締めた。彼にはわかってないだろうけど、すごくそれだけで幸せな気がしたの。熱も・・・悪くないよね。なんて・・・。


本邸の客間にお布団を準備してもらって、そこで駆けつけてくれた西門家の主治医の先生が看てくれた。私の右腕には点滴が繋がれて頭には冷却シートが乗せられた。


「おそらく風邪でしょうが熱が高いですね。38.9度・・・なかなかの高熱です。インフルエンザの検査もしてみたけど今のところ反応はないですね。ただインフルエンザ検査薬は熱の出始めは反応しないことがあるから、もう一度明日検査した方がいいでしょうね。倒れるまで無理をするとは・・・体調が悪いことに気が付かなかったんですか?」

「はぁ・・・お昼過ぎから何となく身体がだるくて、寒気がしてましたけど、元々病気しないので・・・」
「そういう言い方をする人ほど大病をするのですよ!何か無茶なことをしてませんか?栄養も足りてないんでしょう?最近の若い子はすぐにダイエットと言って食事をしないから!いいですか?今日はこのままゆっくり寝るんですよ。解熱剤を出しますから」

主治医の先生にも怒られた・・・さすが、西門家のお医者様だ・・・病人にも厳しいわ。

「いつ頃帰れそうかな?・・・今は何時?」
「馬鹿か!今日はここで寝とけ!・・・今は8時半だけど。何かあるのか?」

「お勉強しなくちゃ・・・試験、来週だもん」


あ、今度は西門さんが鬼みたいな顔してる・・・でも、ここで私の意識がまた遠くなった・・・。


**********


勉強がしたいという牧野に説教して教科書参考書を全部取り上げた。

まったく・・・相当無茶してんじゃねぇか!俺が知る限り牧野がこんな高熱出した事なんてなかった。確かに元気なヤツで毎日飛び跳ねていたが、こんな風に顔を赤くして息をはぁはぁ言わせながら寝てる姿なんて見たことがない。

馬鹿だよな・・・こいつ。
いくら成績が良くっても専攻科目全部トップ取ったら恋人宣言するだなんて言葉を真に受けやがって。出来るわけねぇって!
それなのにこんなになるまで頑張るなってんだ。させたのは俺だけど・・・。

「う・・・ん、苦し・・・熱いよ」
「・・・熱があんだから当たり前だ。水、飲むか?」

少しだけ身体を起こして水を飲ませると、また目を閉じて布団に沈み込んだ。汗がすごい・・・タオルで何度拭いても流れ落ちる汗が止まらなかった。解熱剤を飲ませたけど一度落ちた熱がまた上がってきたんだ。次の投薬時間まではまだ結構あるし・・・。

「西門さん・・・にし・・・か、ど」
「呼び捨てかよ!まったく・・・熱が出てりゃ何でも許されると思ったら大間違いだからな!」

「西門さ・・・ん、」
「だから何だよ!ここにいるって!水がいるのか?」


「・・・だい・・・好き」
「・・・・・・おぉ、わかったから」

牧野は火傷したみたいな手で俺を探してきた。多分無意識だろう。
この部屋には他に誰もいないから、仕方なくその手を握ってやった。まだ相当熱くて汗ばんでて・・・さっきは茶室で氷みたいだったのに、その変わり様にびっくりした。



少し胸が痛む。
俺があんな事言わなきゃ牧野は無茶せずにすんだのにな。

結局俺は朝まで牧野の側でこの手を握ってやったまま、こいつの隣に倒れ込むようにして寝ていた。


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2017/12/20 (Wed) 13:45 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: こんにちは!

え、えみりん様~!こんにちは~!

随分とお怒りのようで・・・何があったのかな?(笑)
このくらいで怒っちゃイヤーよ(笑)もう終りが近いんだから!(どっちの話だ?)

倒れるほどの熱って最近ないんですよね。
熱が高いとなんか笑いが出ることないですか?私だけ?
意味もなく歩きたくなったり、笑いが出たりするんですよね。
それをお医者さんに言ったら、「幻覚症状じゃないの?」って変な顔されました。
インフルエンザになってもタミフル飲めない人?(笑)危ないわぁ!

今年1月のインフルエンザは熱が出ないタイプのものでした。
36.7ぐらいしかなかったのにインフルエンザの反応が出て5日間会社休めた!
すごく元気な病欠でしたよ。

さて、明日の朝はこの2人どうなってるんですかねぇ!お楽しみに!

2017/12/20 (Wed) 14:14 | EDIT | REPLY |   
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2017/12/20 (Wed) 14:53 | EDIT | REPLY |   
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2017/12/20 (Wed) 15:44 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

さとぴょん様・・・今晩は!

お?!さとぴょん様だけは喜んでくれた?うわーーいっ!!やったー!(*⌒▽⌒*)
あ、いいんですよ~!もうこれで十分ですよん♥

2017/12/20 (Wed) 19:27 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

花さん、こんにちは!

あらあら、花さんまで怒ってる(笑)このぐらいで怒っちゃいやーよ♥

私の所の総ちゃんは素直じゃないのよ。いつもこんな感じなんだもん!
でもいいじゃないの!最後に「愛」があれば!

甘々の総ちゃんとか書けないんだもん。切ない総ちゃんなら任せて!
どん底に突き落とすのは自信あります!

え?・・・そんなのいらない?(笑)

でも、この総ちゃん、最後はドッカンとヤってくれますから!(笑)

2017/12/20 (Wed) 23:34 | EDIT | REPLY |   
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2017/12/21 (Thu) 00:18 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

さとぴょん様・・・こんにちは~!

そうそう!私の気分とドンピシャですよ!いいよね~!
やりそうでやらない「デコピタ」!萌えるわ~!!
やられたらそのまま総ちゃんの背中掴んで後ろに倒れるわ!

アロンアルフア・・・(爆)
なんか離れるときにどっちかに流血の惨事が起きそうで怖いんだけど。
昔やったことあるんですよ。ホントに凄い威力があるのかな?って思って自分の指と指をくっつけてみました。
結果・・・大惨事です。これはね、しない方がいいですよ!まじで!

キュンキュンしていただけて良かったわ~!

嬉しいコメントありがとうございました!

2017/12/21 (Thu) 10:23 | EDIT | REPLY |   

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