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plumeria

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お台場にある大観覧車に向かったのはゆっくりと食事をした後の午後8時。
シースルーゴンドラにしようかって言ったらものすごい勢いで嫌がられたから仕方なくカラーゴンドラにした。時間にして1周は16分らしい。今日はここもあんまり混んでいなくてあっさりと乗れた。

「ここってさ、昼間に乗ったらレインボーブリッジの向こうに東京タワーが見えるんだよ?それにさ、もちろんスカイツリーでしょ。あとは東京ゲートブリッジも向こうに見えるんだ。今あそこに白く光ってるのがそうだよ?」

「うわぁっ!!やっぱり綺麗ねぇ・・・夜景ってさ、高層ビルとか高層マンションにいる人しか見ないでしょ?私みたいに地面で近いところに住んでる人には中々拝めないのよねっ!ホント凄く綺麗・・・類、ありがとう、今日は楽しかった。最後にこんな所にまで連れて来てもらって。1人じゃ来ないものね」

「牧野・・・ね、こっちに座って?」

「え?・・・類の横?」

俺がトントンって隣の席を叩くと牧野はゆっくりと近づいてチョコンと隣に座った。凄く緊張してる?・・・それってどうして?

「牧野、誰か恋人いるの?」
「はっ?!いないよっ!そんな人いない・・・出来ないもん」

「出来ない?クスッ・・・本当にいつも変なこという子だね。ねぇ・・・じゃあさ、そのポジション、俺がもらってもいい?」

牧野の眼が凄く大きくなって、その瞳の中に俺の後ろの夜景が映るほど・・・そして、その目が潤んだ瞬間、大きな涙を溢してしまった・・・自然と指でそれを拭って牧野を抱き締めた。凄く震えてる。多分、今までで一番震えてる。

だからもっと抱き締めた。牧野の涙が俺の服に吸い取られてしまえばいい・・・でもさ、せっかく観覧車に乗ってるのに何にも見てないじゃん?ほら、もうすぐてっぺんから降りていくのに・・・。

「牧野・・・返事もらえないの?」
「・・・だって、類が変なこと言うからっ!そんな事無理に決まってるじゃん!」

「なんで無理なの?まだ何もお互いに知らないから?これから知れば良くない?・・・ダメかな」
「・・・ダメ!そんなのダメだよ!」

「そういう事言うんだ・・・でも、こうしたらさ・・・気分変わるかも」

牧野の顔を上に向けさせて片手で顎を持ち上げた・・・そして、そっと唇を重ねたら牧野の口から「んっ・・・」って小さな声が聞こえた。あと5分くらいで下に降りちゃうよ?早く答えないとやめてあげない・・・って無理か!俺が塞いでるんだから。
もう4分の3くらいまで終わってしまったときに牧野を離したら、真っ赤な顔して涙を拭った。

「気分変わんなかった?まだ、返事もらえない?」
「・・・類。私なんかのどこがいいのよ・・・何にも取り柄のない子なんだよ?」

「自分の魅力に気がつかないんだね。じゃあ、その魅力を俺が引き出してあげる・・・それだといい?」

「・・・でも、やっぱり・・・」


ここで下まで降りてしまった・・・係員が見えてきたから俺は急いで牧野の腕を引っ張ってもう一度抱き締めた!牧野はその意味がわかんなくて悲鳴を上げて俺に抱かれてる。そして係員がドアを開けようとした瞬間、指を一本立ててサインするんだ。

”もう一週見逃して?”

混んでなかったのが幸いしたのか、それとも俺が彼女を抱いていたのが良かったのか、俺たちの乗ったゴンドラは再び上空に向かった。

「牧野、成功したよ?見て・・・ほら、夜景が綺麗だから」
「うそっ!類ったらこのために私を抱き締めたの?信じられない・・・そんな人だったの?類って!」

「牧野にこれをもう一回見せる為だもん。やっちゃうよ!・・・ね?」
「もう、類ったら!」

牧野は今度は俺に縋ってきた・・・だから肩を抱き寄せたまま、2人で大都会の巨大イルミネーションを眺めた。


「あっ!類・・・あそこに何か光ってる!」
「ホントだ!レインボーカラーのハート型?これって噂のヤツじゃない?」

お台場の大観覧車でこれを見つけられたら結ばれるって噂のイルミネーションだよね?それを見つけた俺たちは抱き合ったまま見つめていた。この時はお互いに何も言わずに・・・ただ、その光を見つめていた。
でも、もうすぐ降りなきゃいけない所まで来たから、もう一度牧野の耳元で囁いてみる。


「牧野・・・俺と恋しようよ」

「うん、本当はもう恋してるよ・・・」

それを聞いたと同時に牧野にもう一度キスをした・・・これが恋人になって初めてのキスだね。


流石に2回目は素直に降りて、さっきのお礼を係員に言ったら「次はダメだよ?」って釘を刺されたけどね。おかげで素敵なものを見つけられたから・・・この時に俺の腕をチョコンと持っている小さな手にすごく幸せを感じていた。


********


車はHホテルに止めたままだったから、類と手を繋いでそこまで歩いて行く途中でその異変は起こった。
どうしてもう少し早く気がつかなかったんだろう。

「類・・・どうしたの?ねぇ!もしかして熱があるんじゃないの?」

繋がれてる手がすごく熱くて、さっきキスしたときの類の唇もすごく熱かったのに!自分の方が緊張して冷たくなってるんだと思い込んでいた。心配で類の顔を見上げたけど「大丈夫だから」って苦しそうに笑う・・・彼の背中を支えながら車まで急いだ。

でも、どんどん歩く速度が遅くなって、息が上がってきて、ホテルの近くまで来た時そこにあったベンチにガクッと倒れ込んだ!

「ちょっと!大丈夫じゃないじゃん!そんなに歩けなくなるほど辛かったの?ごめん・・・気が付かなくて・・・」
「うん・・・?あれ、どうしたんだろ・・・俺の方こそごめん、目の前が暗くなっちゃって・・・牧野、どこ?」

「私はここにいるよ?・・・類、やっぱりすごく熱いじゃない!風邪が治りきってなかったんじゃない?どうしよう・・・」
「・・・車、運転出来る?」

「運転は出来るけど、あんな左ハンドルは無理だよ!自信ないし怖くて走れないよ。・・・類、誰か呼べる?」

類は眼を閉じたまま手探りでポケットからスマホをとりだして、何処かに電話をかけたけど、もう意識が朦朧として電話をポトッとベンチの上に落としてしまった!その電話からは誰かが必死に類の名前を呼んでいるのが聞こえる。

仕方ないわ・・・お台場にいると連絡してここまで迎えに来てもらおう!
慌ててその電話を耳に当てると大声で叫ぶ男の人の声が響いた!


『類様!類様・・・どうされたんですか?類様!お返事を!』
「あっ・・・あの、すみません、花沢類さんのお家の方ですか?」

『・・・あなたはどなたですか?花沢類様の電話ですよね?どうしてあなたが出るんですか!類様は・・・』
「はい、あの類さんが高熱で倒れてしまって・・・私は今日一緒にここに来た者ですけど、類さんがもう電話で話せる状況じゃないんです。お迎えお願いできますか?お台場のHホテルの前なんです!」

『了解しました!すぐに向かいます・・・あなたもその場を離れないように願います!』
「り、了解しました!」

なんで私までつられてそんな話し方したのよ~!
でも、なんだろう・・・電話に出た人がこんな話し方するなんてどうして?類って何者なの・・・?


すぐにと言ったその言葉は本当だった。私が電話を切ってから、おそらく類のお迎えだと思われる車が到着したのは僅かに5分くらいしかかかっていない。そしてその車の中からは黒いスーツの男性が総勢4人出てきてあっという間に私と類を取り囲んだ!

「あなたがお電話を下さった方ですか?ありがとうございました。それではこの後は我々が類様をお連れしますので、あなたはお帰りになって結構です。それと類様のお車はどこでしょう」

「る・・・類さんの車はこのホテルの駐車場です・・・あの、類さんのこと宜しくお願いします」

状況が掴めないけど私はこの黒服の人達に類の事を頼んで、1人で帰ろうとベンチを立った・・・でも、私のスカートの先を類の手がグッと掴んで離さない!こっ・・・これ以上掴まれるとスカートが捲れるんだけど・・・って言葉を類に言える状況じゃなかった!


「ダメ・・・1人でこんな夜に帰せない。誰か、牧野を車に・・・俺と一緒に車に・・・」
「類様!気がつかれましたか?それではこちらのお嬢様をお屋敷までお連れして宜しいのですね?」

お屋敷?って何のこと・・・お嬢様って私?私も一緒に連れて行かれるの?

何だかよくわかんないうちにこの大きな車の後部座席に類と並んで入れられて、向かい合わせでその黒服の人が私を睨むように座っていた!それなのに類の頭は何故か私の膝の上・・・しかもまた下から伸びた手が私の片手を握ってる・・・それを見られててすごく恥ずかしいんだけど!

これって昼間と同じじゃないの?


唯一違うのは目の前が池じゃなくて、全然知らない男の人ってことだった!



kannrannsya.jpg



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2017/11/20 (Mon) 06:24 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: おはようございます!

えみりん様、おはようございます。

すごいハシビロコウの人気♥昨日から皆さんの反応がそこばっかりで嬉しいです(笑)
仕方ない・・・花沢邸でハシビロコウ飼おう!ついでにそういちろうも!←結構真剣に考えている。
花沢鳥類園・・・あぁっ!そこで働きたいかも!九官鳥とかペリカンとかコバタンとか細くなるフクロウも可愛いし!

ただですね・・・ここまでのんびり可愛く書いてきたけど、この後からガラッと様子が変わるの・・・。

どうしよう・・・ドン引きされるかな。
藤本でなんとか空気を変えようとしてるんだけど・・・(笑)

アパートの住人・・・今からでもハシビロコウに変えようかしら(笑)

2017/11/20 (Mon) 09:17 | EDIT | REPLY |   
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2017/11/20 (Mon) 23:51 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

さとぴょん様・・・こんにちは~!

1回でいいから書いてみたかったんですよ!観覧車、自分は乗れないんですけどね。
だけどハシビロコウのようにネット情報と違ってたらいけないから結構必死で調べました!
それでも何かが違っていたら・・・もう笑って許してもらおう!

しかし自分で書いてて言うのもなんだけど、類・・・身体が弱い!(笑)

男にデート中倒れられたらマジ困るじゃん!って思いませんか?
普通の男だったら置いて帰るよね!


2017/11/21 (Tue) 09:55 | EDIT | REPLY |   

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