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総二郎が今日は旭川まで行くと言うからお買い物を頼んだんだけど、まさか桜子を迎えに行っていたとは思わなかった。
イブは彼氏と過ごしたからと桜子はこんな遠くまで来てくれたんだって。多分総二郎が私にくれたクリスマスプレゼントなんだろうと思う。本当は私の誕生日を予定していたけど仕事の都合でXmasになったって。

毎日2人でも全然寂しくはなかったけど、それでも女同士の話はまた特別なもの・・・私は彼女に話したいことが沢山あった。

総二郎が私に時間をくれるためにクリスマスなのにお鍋にして、準備を全部引き受けてくれたから私は桜子とリビングでお茶を飲んでいた。そして時々キッチンの総二郎の方を見ていたみたい。桜子がそれを見てニヤって笑って冷やかしてくる。

「先輩、どうですか?幸せって顔してますけど、楽しんでますか?」

「うん・・・手放しでは喜べない状況なのはわかってるの。でも総二郎が来てくれたから。今はすごく幸せだよ」

「まぁ!お惚気ですか?でも、西門さんも変わりましたよね・・・あんな風に家庭的になるだなんて思いもしませんでした。
それで、西門にはバレてはいませんの?あれだけ報道されましたでしょう?」

「今のところはね。総二郎ったらすごくバレバレな変装してるわ。噴き出しちゃうわよ?」

総二郎の背中を見ながら私達は笑った。
「何、ごちゃごちゃ言ってるんだよっ」なんてキッチンから叫んでくるから、それを聞いてまた大笑い!

その時に珍しくインターホンが鳴って、ここに来て初めて宅配便が届いたみたい。
ここの住所は類しか知らない。もしかして類から?なんて思ったら桜子がさっさと立ち上がって荷物を受け取りに行った。
そして玄関に並べられたのはものすごい量の段ボール箱!一体いくつあるのかと思ったけど10個以上はあるみたい!
配達員も汗をかいた顔をタオルで拭きながら伝票を出してきた。

「はい、全部で16箱ですね!ありがとうございました!」

「ご苦労様でした!・・・って誰から?」
「私ですわよ。送り主、ご覧になって?」

は?桜子から?私は桜子の顔と段ボールを交互に見ながらポカンと口を開けていた。

「な・・・何を送ってきたの?これ何が入ってるの?」
「何って・・・旦那様からのご依頼品ですわよ!本当に頭にきましたわ!これ全部クリスマスプレゼントで送って来いってメールしてきたんですっ!ここでは手配できないからって」

総二郎が?桜子に何を頼んだんだろう。でも、自分でこの段ボールを運ぶことは出来ないからキッチンから彼を呼んでリビングまで運んでもらった。

「悪かったな!桜子、サンキュー!」
「サンキューじゃありませんわよ!よくもまぁ、あれだけ指定して揃えさせますこと!」

箱の中から出てきたのは私の防寒着や普段着・・・総二郎御用達のお店の服、それに着物や袴や帯まで入ってる。
そしていつも選んでいたお茶屋さんの抹茶や小道具まで。最後に開けた1番大きな段ボールにはベビー用品が入っていた。

「あれ?俺、こんなもの頼んだっけ?」

「これは私が選んできましたの。西門さんにもわからないでしょう?これは私が新しく始めようとしているベビーウエアの試作品ですわ。男女兼用ですからどちらが産まれても使えますでしょ?是非、使って下さいな!その後のご注文もお待ちしていますからっ!」

「こんな田舎で宣伝かよっ!」

あっという間にリビングが贈り物だらけになってしまって、3人で大騒ぎしながら片付けていった。
こんな夜は何日ぶりだろう・・・こんなにはしゃいで食べる晩ご飯はいつが最後だった?

最後のシメのカニ雑炊が全部なくなるまで、私達のお喋りは止まらなかった。
幸せ過ぎて涙が出るよ?それを湯気のせいだって誤魔化しながら・・・指で眼を擦りながらの鍋パーティーは終わった。


**********


桜子はゲストルームに私を呼んだ。
いつもは総二郎と寝てるんだけど、今日は桜子のベッドに潜り込んだ。何だか学生の頃のようでワクワクする。
いつののように念入りにクリームやら美容液やら塗りまくって中々ベッドには戻ってこない。そんな桜子の姿を見てると東京での生活を思いだしてしまう。私も、西門に務めていた時は総二郎にいつ会ってもいいようにって毎日の手入れにすごく時間をかけたっけ。

クスって笑ったら桜子が振り向いた。

「どうかしましたの?もしかして西門さんが恋しくなりました?でも、今日はお返ししませんけど」
「何言ってるの!毎日一緒にいるんだからそこまで恋しくならないわよ。それにすぐそこの部屋にいるのよ?」

今度は桜子の方がニヤニヤしながらベッドに入ってきた。

「毎日・・・ですかぁ?こうやって一緒に寝てるんですの?毎日横にいて飽きませんか?」
「飽きないわよ。毎日違う総二郎が見られるから面白いわよ。少し感じが変わったでしょ?・・・電気、消すね?」


窓からの月明かりで部屋の中はそこまで真っ暗じゃなかった。隣を見たら桜子の白い肌がくっきりと見えて怖いぐらい!
だって総二郎ならもっとくっついてるから近すぎてそんな事思わないんだけど、少しだけ間を開けてるから余計にはっきり見えるのね。桜子も私の方を見てニコッと笑った。

「安心しましたわ・・・思ったよりお二人が幸せそうで。っていうか、西門さんが幸せそうですわ。ほら、あの人、昔は刃物みたいに尖ってるって言うか、冷めすぎて怖いって言うか・・・本心隠すのがお上手でしたもの。迂闊に触ると怪我しそうでしたわ。
それなのに今はお買い物して、エプロンして、キッチンですわよ?びっくりでした・・・でも、優しい笑顔でしたわね」

「ふふっ!そうでしょう?優しすぎて怖いくらいなの。でもさ、本当はこんな土地で暮らしていい人じゃないのよね・・・それだけが気になってるの。今でも時々考えるわ。西門に返した方が良かったのかなって。でも、もう無理だけどさ」

「なるようになりますわ!それにすこーしだけお腹の出てきた先輩見てると羨ましいですわ・・・スッゴい宝物ですもんね!
産まれて来る子は絶対に西門さんに似てるといいですねっ!」

「・・・どういう意味よ」

「そういう意味ですわ。なんと言って人間見た目が1番ってことです!私がそうでしょう?ふふふっ!・・・まぁ、先輩が育てるんなら中身の心配はしなくていいでしょうからね」

そうでしょうとも!総二郎に似た方が男でも女でも可愛いでしょうよ!
親ばかの彼でさえ毎日そう言うんだから!もし私に似てたらどーすんの?
そんな事を考えながら思いっきり顔に出していたんだろうと思う。桜子がクスクス笑いながら言った。


「だって、先輩に似た女の子なら西門さんが手放しませんわ。強力すぎるライバルでしょう?そういうことですよ」

「・・・桜子ったら!」

女同士の会話は楽しい。
遠慮も気兼ねもなく言える関係なら尚更のこと・・・千春さんにはこんな友達はいないのかしら。

もしも総二郎が関わらなければ彼女のような女性とも友達になりたかった。お互いに友人が少なそうだったから。


千春さん・・・あなたは苦しくないですか?
窓の外にちらほらと雪が舞い落ちるのを見ながら、東京の彼女のことを思いだしていた。


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2017/11/27 (Mon) 01:20 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

さとぴょん様・・・こんにちは~!

段ボール16箱(笑)
段ボールの大きさにもよりますよね。私の頭の中では特大です。
内訳は総二郎の洋服10箱。つくしの洋服4箱、お茶用品1箱、子供用品1箱。

総ちゃんですから。

これ全部桜子のプレゼント♥こんな友達、いたらマジ嬉しいんだけど。
この夜、総ちゃん1人寝なんですぅ~!可哀相っ!
抱き枕になりたいplumeriaでございました・・・。

2017/11/27 (Mon) 14:05 | EDIT | REPLY |   

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