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「亮は私の前の彼なの。1年間だけ付き合った・・・彼なの」

類の顔が一気に変わった。
驚いたでしょうね・・・あんな人が私の元カレだなんて思いもしなかったでしょう?ううん・・・思って欲しくなんかなかった。
出来れば知られたくなかった。けれど、多分いつかはこれがバレて、類とは終わってしまう運命だったの。
だから、少しでも傷が浅い今の方が良かったのかもしれない。そう思わないとこの話をすることが出来なかった。

「本当に?でも・・・アイツは牧野の事をペットって・・・」
「・・・少しだけ長くなるけど、聞いてくれる?」


**

亮と知り合ったのは2年前で、その頃の彼はフリーでゲームソフトの開発に関わる仕事、プログラマーをしていた。
とても順調で羽振りも良くて・・・でもそれと感じさせない穏やかで優しい人だった。
出会ったのは本当に偶然で彼が私の落とし物を拾ってくれて交番に届けてくれていたから。
そのお礼をしに行ったのが知り合ったきっかけだったから、親切な人だと思っていた。全然本性なんて見抜けなかったの。

元々私の家は貧乏で一生懸命働いているのに、両親には運に見放されたかのように悪いことばかりが続いていた。

会社の倒産、次の会社ではリストラ、父さんの病気に母さんの事故・・・私は大学に行っていたけど退学を余儀なくされて働き始めた。そんな時の亮との出会いだった・・・だから、その楽しい時間に溺れてしまったの・・・。

そして1年半前・・・父さんが車で人身事故を起こした。相手の人がタチが悪く、法外な値段を要求してきたから、とうとう両親はヤミ金からお金を工面して事故の処理をしたの。そうしたら今度は取り立てが始まって私達は生活が出来なくなった。
朝から晩まで執拗に追い掛けられて大声で怒鳴られて、精神的にどん底に墜ちたとき、救ってくれたのが亮だった。

多少のお金を持っていた亮がヤミ金をすべて精算してくれて、私の両親を救ってくれたんだけど、今度は亮が信じていた仲間に裏切られて、新しい会社を起ち上げるために貯めていたお金を全部持ち逃げされたの。

それから・・・亮は変わってしまった。

私の両親に立て替えたお金をすぐに戻せと言い出したけど、両親にそんなお金はないわ。
毎日毎日、今度は亮が取り立て屋になってしまった・・・そんな亮に怯えた両親が私だけここに残して夜逃げしてしまったの。
ある日突然・・・私はここに1人取り残された。

そして亮も住んでいたマンションを追い出されて行き場がなくなって、アパートに転がり込んできたの・・・それこそ何も持たずに。
亮は自分がこうなったのは私の両親のせいだと言った。
私の両親にお金を渡すときに、裏切られた友人に自分の全財産の額や保管方法を見られていたからだって・・・。
それは両親がいなくなってからは私に向かって来た。私と出会わなかったらこんな目にあわなかったんだと言って責められた。

それがこの悪夢の始まり・・・

それからは亮の気分次第で暴力と拘束の日々・・・外に出られない日が続いた。
でもそれじゃあ食べていけないから、私が働いて食事を作り、亮は投げやりなまま立ち直れず、お酒ばかり飲んで部屋に引きこもっている。そうやって働きに行くときだけ外出が許されるようになって、少しずつだけど自分の暮らしが出来るようになっていた。

そうして働いていた会社の契約が終わって、次を探しているときに「陽だまり」と出会ったの。

**


「・・・類には聞かせたくなかった。こんな話聞いたら嫌いになるわよね」

「嫌いにはならない。だって、牧野になんの落ち度があったの?その話・・・亮って男の管理不足って事でしょ?」

「・・・えっ?」

類はもうとっくに冷めてしまった紅茶をコクンと・・・一口飲んで平然とした顔をしていた。
その反応に私の方が驚いて類の眼を見てしまった。でも、彼は本当に綺麗な瞳のまま、むしろ私に微笑んでくれた。

どうして嫌な顔しないの?こんな生活してるんだよ?どうして・・・?


「じゃあさ、俺からも聞いていい?」


*********


牧野の話を黙って聞いていた。時々泣きそうになりながら、鼻を啜りながら話すからティッシュを渡すのが俺の役目で・・・。
それを受け取っては鼻をかんで、牧野の後ろにはティッシュの山が出来てる。

大雑把だろうけど一応説明が終わった。多分、牧野は1番言いたくないことをまだ隠してる・・・そんな気がした。


「牧野のご両親はどうして逃げたの?娘1人を置いて・・・本当に牧野は借金のカタなの?」

「ううん・・・多分、その時は私の彼だったから自分たちが消えたらそこまではしないと思ったのよ。だから亮がこんなことしてるって言ったら驚いていたわ。でもアパートに戻るのは止めているの。苦しい思いは私だけで十分でしょ?アパートで起きていることもほとんど知らせていないの。事実の半分・・・くらいかな」

そうだろうね。牧野の両親がそんな人だったらこんな風に育たない。少し頼りない人達みたいだけど人間的に悪いわけじゃなさそうだ。


「ペットってどういう意味?」

「亮の言うことに逆らっちゃいけないからだと思う。呼ばれたら行かないといけないし、部屋から出るなって言われたらそうしてたの。それを破ると殴られるから・・・働きに行くまではそんな毎日だったの。怖くて何処にも逃げられなくて、誰にも言えなかった。
仕事に行くようになってからはそれはなくなったわ。お金がないと困るから・・・。それからはお互いの部屋だけで生活してるの。
ご飯を作ったらテーブルに置くだけ。亮は勝手に食べたいときに食べるの。最近は何日も会わないときもあったよ・・・」

呼ばれたら行かないといけない・・・この意味を考えたら自分の手の平に汗が滲んだ。
グッと握り絞めたら爪が食い込んで傷が出来そうなほど・・・牧野があんな男の側に行くことを想像しただけで胸が苦しかった。


「彼のこと、まだ好きなの?」

「それはもうないわ・・・2年前も本当に好きだったかさえわからない。現実から逃げたかったのかもしれないし。でもね、嫌いって言えないの。今までの事はもういいから仕事見つけて立ち直って欲しい。そう思うんだけど・・・偽善的かな」

「クスッ・・・牧野らしいんだろうけど素直じゃない。大声であんたなんか大っ嫌いって言えばいいんだよ」

人のことを嫌いって言うのがイヤなんだろうね。お人好しって言うんだよ?そういうの・・・。
そして1番聞いてはいけないことなんだろうけど、流石に俺も聞くのがイヤだったけど・・・少し時間をおいてから言葉を出した。


「亮って男と、関係持ってるの?」

「・・・・・・」

牧野は視線をそらせた。
でもその時の表情が予想と違った・・・この子のことだから真っ赤になるとか、大声で否定するとか・・・そんなリアクションを想像したのに全く正反対。顔を硬直させて俺の反対側に顔を向けた。

「悪いこと聞いてるって思ってる・・・もし、そうだとしても嫌いにはならない。・・・牧野、話せない?」

「・・・・・・いの」


「え?なんて言ったの?聞こえない・・・」

「関係持ったことなんてないの。亮は女の人を抱けないんだって」


ごめん、牧野・・・俺、多分キョトンとしてる。
自分でもわかるけど、ものスッゴく大きな眼して固まってる・・・と思うけど、あまりにも意外な返事に驚いてしまってる。

て、ことはこれって問題ないんじゃない?


ごめん、牧野・・・俺、あんたが泣きそうなのに・・・今、笑ってるかもしれない。


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Comments 4

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2017/11/27 (Mon) 01:33 | EDIT | REPLY |   
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2017/11/27 (Mon) 06:31 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

さとぴょん様・・・こんにちは~!

地獄から天国って・・・(笑)
まぁ、そんなところでしょうか。いやいや、笑ってる場合じゃないの!類くんっ!
まだ秘密があるんだからっ!

そしてどんどんお話しが妙な方向に流れていくいつものパターン・・・。
誰かこの流れを早く止めて~💦って感じです。

そして、さとぴょん様・・・ゲイじゃないから(笑)
それだったら類が危なすぎるよ・・・!
危ない危ない・・・最近BLの話が多いから!私(笑)足突っ込んだら抜け出せないかも!

2017/11/27 (Mon) 14:13 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: おはようございます!

えみりん様、こんにちは。

ホントに大丈夫なのね?それなら一安心です。
同じ事をしたお知り合いが実は首の骨を折られて大変な事になったのでマジ心配しました。
後で色んな所に痣があるのに気が付くんですよね!その時は痛くなかったんだけどな~って。

今度から気をつけて降りて下さいね!(笑)

さて、この亮についてはまだ色々とネタがございますので、楽しくはないけど読んでいただければと。
いやいや、どんどん話が闇の中に入って行きますよね!
その中でもちゃんと藤本が遊んでますからそこはお楽しみに!

今日もありがとうございました。
いいですか?気をつけて下さいよ?(笑)

2017/11/27 (Mon) 14:20 | EDIT | REPLY |   

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