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<日本・高城邸>
「あのさぁ・・・倒れたって言うから飛んで帰ってきたのに、ぎっくり腰って結果はなんだよ!人騒がせな・・・俺、そこまで暇じゃないんだけど!アメリカでの会議の数って知ってるよね?俺が一日いないとどれだけ処理が遅れると思ってんの?」

東京の自宅マンションで父さんがベッドに寝たままで、母さんはバツが悪そうに側に座っていた。
あんなに切羽詰まったような声で大至急でかけてきたから、命に関わると思って全部仕事を投げ出して帰国したっていうのに!
すごく顔色良く出迎えられてびっくりした。いや、もちろんこの方がいいに決まってるけど。

「だって、私も秘書さんから倒れたって聞いたから、病院で確認する前に誠に電話したのよ・・・そしたら、ただのぎっくり腰だったから、また慌ててアメリカにかけたけど誠ももう空港に向かったっていうから。まぁ、久しぶりに顔も見たかったからいいかと思ってね」

「顔なんてテレビ電話でもなんでもいいだろ?27年間見飽きた顔だろう!今更だよっ!」


この2人は実の親じゃなかったけど、こうしてなんでも言い合える関係はあれからも続いていた。
父さんはむしろ俺が真実を知ってからの方が、何かに付け「自慢の息子」アピールをするから逆に気恥ずかしかった。
まぁ半分は騙されたようなもんだけど、帰ってきたものは仕方がない。せっかくの日本だから2~3日親孝行することにした。


「あのね、誠・・・実は誠に行って欲しいところがあるのよ」

「行って欲しいところ?何処なの?」

「大阪・・・西門の関西のお屋敷よ。清四郎さんの7回忌があるの。お願い・・・あなた、お葬式も行ってないでしょう?法要は明日なの。それには行かなくてもいいけど、明後日一緒に行きましょう?」


西門清四郎氏の7回忌・・・もうそんなになるのか。
俺の本当の父親の法要・・・でも誰もそれを知らないんだ。総二郎以外は誰も知らない・・・この俺に西門の血が流れているなんて。
確かにそんな理由から一周忌も三回忌も行かなかった。行っても俺の居場所はないんだから。


「行かなきゃいけない?なんでこの俺がって思われない?」

「ちょうどお父さんが動けないわ。あなたは昔お世話になった高城工業の息子として行けばいいの。そうしましょう?
それとね、明日は花沢邸に行くわよ。翼とみどりにプレゼントがあるの!誠も行きましょうね・・・まだ会ってないでしょう?三番目の赤ちゃん・・・翔(かける)くん。すっごく可愛いのよ!」

「・・・・・・写真で見てるよ」

絶対にそうなると思ったんだ!こっちは家族だから断れないじゃないか!・・・絶対に母さんの計画的犯行だな・・・。
始めからこの二つが目的で日本に足が向かない俺を呼び戻したな?

チラッと睨んだら・・・母さんはニコッと笑った。


***********


次の日、母さんと嫌々向かったのは花沢邸・・・ここに来るのはあの日以来だった。
何も変わっていないように見えて実は庭園の隅に何処かの遊園地のミニチュア版のような場所が見えて、これを花沢類が嬉しそうに作ったんだろうなって思うと・・・なんかムカつく!

小さな子供がいるって言うだけでこんなにも雰囲気が変わるんだろうか・・・昔は何処か冷めた空気が流れていたと思うんだけど、それさえも感じさせない穏やかな屋敷になっていた。

「母さんは時々来るの?」

「そうね、1ヶ月に1回ぐらいかしら。ここには加代さんもいるからつくしが困ることもないでしょう?私が手伝うこともないからね。
来たくなったら孫に会いに来るの。ふふっ・・・楽しいわよ?翼が英徳の幼稚舎に行ってるから学校行事にも行くのよ」


門の所で俺たちが来たことを伝えると、自動でその門が開き、俺たちは敷地内に入った。
そして遠くに見える玄関が開いたかと思うと、彼女が飛び出してきたんだ。

まるで今でもあの時のように・・・いや、前よりも美しくなって女性らしくなってる最愛の・・・「妹」が走ってくる。

「お母さんっ!お兄様・・・きゃぁーっ!本当にお兄様が来てくれたのね!」
「つくし!相変わらずだな!もう、3人の母親だろう?落ち着けよ!」

「そんな事は関係ないわよ!だって何回言っても会いに来てくれないんですもの!お久しぶり・・・お兄様!」

つくしはすっかり俺の事を、「誠さん」から「お兄様」に変えてる。
それが聞きたくなくて来なかったんだよ?君にはわかんないだろうね・・・でも、不思議と前みたいに苦しくはなかった。
それには自分自身が1番驚いた。もっと・・・もっとショックを受けると思ってたんだけど。

「子供達と類が待ってるわ!さぁ、中に入って!・・・お母さんもお元気そうで良かったわ。高城のお父さんは具合はどうなの?」
「ほほっ!まだ起き上がれないけど大丈夫よ。せっかくもらったお休みだからゆっくりしてるわ」

この2人の会話も仲がいいことを感じさせる。
上手くやってるんだな・・・時間って、こんな部分の修復もやってくれるもんなんだ。俺だけが引きずってる?・・・そんな気がした。


そしてリビングまで案内されると・・・天敵がいた。小さな女の子を抱きかかえてるけど、その笑顔が「悪魔の微笑み」に見えた。


「久しぶり・・・元気そうだね。全然来ないから嫌われてるのかと思ったよ」
「あんたも相変わらずだな。好かれてるとでも思ってたのか?そうだとしたら勘違いだぞ」

「・・・俺の事じゃなくて子供のことだけど。可愛いって言うじゃない?甥っ子とか姪っ子とか・・・そのことだよ!」
「・・・そういう言い回しもいい年してみっともないだろ!ちゃんとつくしの子供のことは頭にインプットされてるよ!」

「つくしの子供?俺の子供とも言うんだけど」
「煩いんだよっ!いちいち反論するな!・・・どうもお前と話してるとあの頃を思いだしてムカつくんだよっ!」

つい大声を出したら花沢類が抱いていた小さな女の子が泣き出した!
花沢みどり・・・この家の長女でつくしが産んだ2番目の子供だった。

「ほら!あんたが大声出すから泣き出したじゃない!はい・・・責任取って泣き止ませてね!」
「は?お・・・俺が?!俺が泣かせたわけじゃない!お前が俺を怒らせるから・・・!」

花沢が抱っこしていた小さな子供をひょいっと俺に渡してきて、慣れない俺はどうしていいかわからなままその子を両手で抱き締めた!でも・・・何処を持ってたらいいんだ?泣き止むこともないし・・・それどころかもっと酷くなってないか?!
大騒ぎで手足をバタつかせて泣くから、つくしに救いを求めた!

「おっ・・・おい!つくし・・・どうにかしてくれよ!このままだと落とすって!つくし、助けてくれよ!」
「もう・・・仕方がないわねぇ!お兄様が座ればいいでしょ?はい、こちらにどうぞ?」

つくしはみどりを取ってくれるわけでもなく、俺にソファーに座れと言った!・・・と、取り敢えずは座るか!
そう思って座ってから、もう一度みどりの顔を間近で見た。座ったら安定したのかみどりが泣き止んで俺の顔をジッと見上げてる。


うわ・・・可愛い!スッゴい大きくて黒い瞳。つくしそっくりで吸い込まれそうな綺麗な瞳だ・・・。
それに髪の毛が・・・悔しいけどアイツに似て柔らかくて。撫でると気持ちいいのかニコッと笑った・・・ホントに人形みたいだ。


「ね?可愛いでしょ・・・俺に似て」
「・・・つくしに似てるから可愛いんだよっ!親バカだな。で、翼は幼稚舎か・・・もう1人は?」

「翔はよく寝てるわ。まだ産まれてから3ヶ月しかたってないもの。抱っこできるかしら?お兄様」
「・・・やめとく。落としたら責任取れない」

でもその時に奥の部屋からすごく元気な泣き声が聞こえてきて、つくし夫婦が慌ててそっちに向かった。
なんだよ・・・2人で行かなくても良くないか?俺とみどりを置いてさ・・・。


「ふふっ・・・誠がそうやって小さい子供を抱く姿なんて想像出来なかったわ。あなた、勉強か仕事しかしないから。いつかそういう日が来ると母さんも安心なんだけど!」

「・・・まだいいよ。そのうちね」


あれ?何でだろう。今、俺の頭の中にあの工学科娘の顔が浮かんだぞ?
でもって・・・みどりを見てるのになんで俺の顔が熱くなるんだ?


「みどり~!おじちゃんだぞ~!お前はお母さんみたいにニヤけた男を選ぶなよ~♥」

そう話しかけていたら、真後ろに翔を抱いた花沢類がいた。

「みどり・・・そのおじちゃんには騙されちゃいけないよ?アメリカに行こうなんて言われてもついて行かないようにね・・・」
「お前がおじちゃんって言うな!それに何年前の話だよ!」


**********

<その頃のアメリカ・マサチューセッツ工科大学校内>

自動投薬器具サンプルの機能確認を終えて、もう一度資料の作り直しとセキュリティ対策で大学に泊まり込んでいたその日、研究室にいたら電話が鳴った。画面を見たら相手は日本のお母様。

「もしもし~!なんなの?今、忙しいんだけど!」

『翔子さんっ!あなた、お忘れかもしれないけど西門での法要・・・この日には帰ってらっしゃいって言ってたわよね?いまだにアメリカってどういう事なの?明日の法要に戻れるのかしら!』

ん?西門での法要・・・あぁ!大阪のお爺さまの!全然覚えてなかった・・・!

「ごめん・・・忘れてたけど、帰らなきゃダメ?今さぁ・・・大きな研究しててね・・・」
『あなたを茶道から外したことでさえ私達は肩身の狭い思いをしてるのよ!これだけは許せませんっ!帰らないなら大学側にクレームつけるわよ・・・送金も全面ストップ。カードも止めるわよ?それでもいいの?』

「・・・わかったわよ!」


もうっ・・・!送金止めるとか親の口から出るものなの?それに今から1番早い便で日本に向かっても明日の法要なんて間に合わないっての!

資料とサンプルを今回はMITの特別保管庫に預けて、大急ぎでアパートまで戻った。
頭上には何機もの飛行機が飛び交っているこの都市・・・これに乗るのも久しぶりだわね!

「何年ぶりの日本かしら!・・・って言うか日本語の方がヤバかったりしてね~!」


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2017/11/19 (Sun) 11:35 | EDIT | REPLY |   
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2017/11/19 (Sun) 12:02 | EDIT | REPLY |   
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2017/11/19 (Sun) 12:39 | EDIT | REPLY |   
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2017/11/19 (Sun) 14:23 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

さとぴょん様・・・こんにちは~!

こういう会話は好きですねぇ!
本編より全然気楽に書けますから!もう好き放題書いてます!あはは!

清四郎爺さん・・・酸素ボンベつけた遺影だったらどうしよう(笑)
まぁ、意外と頑張ってくれたのでここでも頑張ってもらおうと思いましてね。

実は生きてたらもっとウケるんだけどね!流石に7年経ってるから無理があるかと・・・。

多分次で終わるはずなので最後まで宜しくお願いします♥

2017/11/19 (Sun) 17:32 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

みわちゃん様 こんにちは~!

そうですねぇ!でもこれは”恋の予感”なのでその寸前でお話しは終わりです。
今のところ次で最後かな?

誠くんの新しい恋が始まればいいんですけど♥

再会のしかたが私は気に入っております。みんなに嫌われていた誠くんですが
なぜかここで人気者に(笑)

いや、嫌われ者にしてしまった張本人ですからせめてもの罪滅ぼしに・・・(笑)
万が一、シスコンのその後を書いたら(ないだろうけど)誠くんにもパパ役を・・・!

そんな事を思いながら今からラストを書きます!

今日はありがとうございました!

2017/11/19 (Sun) 17:55 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

わんこ様 こんにちは~!・・・大丈夫ですか?

私も経験者ですから(腰のことなら任せて!なんでもやってる!)わかります!辛いんですよね~!
確かに寝ていたら治るんですけど、普通の動きに戻るまでが怖いんですよ。
立ったり座ったりも中々ね・・・腰って本当に厄介です。

このシスコンも途中で辞めたくなるほど辛かったんですけど、こうやって番外編が書けて嬉しいです!
誠も大人になりましたし・・・うんうん!良かった!

でも、本当にすごいんですねぇ・・・研究第一・・・私の中の研究って言葉は子供の時の夏休みの自由研究ぐらいしかありません。
お話聞いてみたいけど、絶対に会話にならないだろうな!

わんこ様、今は気温が低いから特にお気をつけて!無理なさらないようにして下さいね。
そんな中コメント下さいましてありがとうございました。

2017/11/19 (Sun) 18:16 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: こんにちは!

えみりん様、こんにちは~!

ぎっくり腰、ナイスタイミングっ!ですよね。
実は仮病だったら美智子さん怖いわ~!(そんな設定ではございませんよ?)

そのうち誠に子供・・・翔子ちゃんが産むとして、想像したら怖いかも。
我が子自慢でしょ?天才に囲まれてるよ~!!こんな親はイヤじゃないですか?
MITに頭脳派社長に、一応語学堪能のつくしちゃんに、類・・・

総二郎(笑)今度は総二郎と喧嘩でもしてもらいましょうか!
ちゃんと番外編は短編で終わりましたでしょ?次回ラストです!(多分)

どんな成績表見せても褒めてもらえなかったりしてね!

2017/11/20 (Mon) 09:08 | EDIT | REPLY |   

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