FC2ブログ

plumeria

plumeria

母さんが子供達への手土産をつくしに渡して、久しぶりに親子の会話をしているのをみどりを膝に抱いたまま見ていた。
花沢類は一番下の子をずっと胸に抱いたまま、テラスに出て庭を指さしながら何か話しかけているようだった。

なんて温かい家庭の雰囲気・・・どうしてだろう。今までは思わなかったのにすごく羨ましかった。

ここに来て数時間、父さんのことも気になるから自宅に戻ろうという母さんの言葉で、みどりをつくしに渡して俺たちは席を立った。やっと帰れる・・・と、いうよりは寂しい思いの方が強かったのも自分では驚いていた。


「それじゃあね。つくし、元気で・・・みどりもね。今度来るときにはアメリカのお土産持ってくるからね。今回は急だったから何にも準備してなくてさ。次は翔も話せるようになってるかもね!」

「ふふっ・・・そうね、お兄様。来て下さるだけでいいのよ。何もいらないわ。お元気でね・・・」

「・・・なんでさっきから俺を無視すんのさ。わざと避けることないだろ?」
「あぁ!いたんだ。見えなかった!」

「・・・翔だけ見えるんだね」

義理の弟になんか興味ないって。そんなのお互い様のくせに!
母さんと車に乗り込もうとした時に正面から1台のリムジンが戻って来た。それを見てつくしが「間に合った!」って嬉しそうに笑ってる。

中から降りてくるのは花沢家の長男、花沢翼・・・幼稚舎から帰宅したわけだ。
英徳の上質な制服に身を包んで運転手に手を取ってもらってる。大きなリムジンから降りるにはまだ人の手がいるほど小柄な身体だったが、キラキラした瞳は嫌味なほど父親似で、すでにこの家の跡取りってことをわかっているかのように落ち着いて見えた。

「お帰りなさい、翼!ほら・・・アメリカにいるおじ様の高城誠さん・・・初めてでしょう?ご挨拶なさい」

恥ずかしがってつくしの後ろに隠れようとする翼・・・つくしのスカートを掴んでちょっとだけ顔を俺に向けた。
やっぱりまだ子供だな!そんな姿も可愛らしい・・・男の子なのに見た目はみどりよりも女の子みたいだった。さすが父親が花沢類だけのことはある。
成長したらこんな男になるのかと思うと・・・少し眉が歪んだ。

「翼、いつまでもお母様の後ろに隠れるんじゃないよ。挨拶がきちんと出来ないと立派な大人になれないって言ってるだろう?」
「はい・・・お父様」

げっ!花沢類の言葉は素直に聞くんだ・・・こんな小さい子にも結構厳しいんだな・・・ってアイツに顔を向けたら眼が合った!
そしたら、ふふんっ!って得意気な顔しやがった!なんてヤツ・・・最後まで俺に勝ち誇ったような態度を見せつけやがって!

「おじ様・・・初めまして。花沢つばさです。えっと・・・よろしくお願いします」

「うん、初めまして。君の事はお母さんからもらってる写真で知ってるんだよ?今度から帰ってきたらちゃんと会いに来るよ。
もう4歳だよね?勉強もいいけどしっかり遊ぶんだよ。兄妹で仲良くね」

「はい!僕、お兄ちゃんだから、みどりを守るんだよ!」
「そうか!しっかりな!」

思わずプロポーズするなよ!って言いそうになった。
そして今度こそ、この家族に手を振って屋敷から去ろうとした。つくしと翼、みどりは両手を振って「またね!」って叫んでる。
花沢類は翔の小さな手を持って俺に手を振っている。さりげなくアイツの指がVサインしているのを苦笑いで見ていた。

素直じゃないんだから!これもお互い様だ・・・仕方ないから今度はとっておきのワインでも持ってきてやるよ。
美味しく飲めるかどうかは保証できないけど、一度くらい男同士で話すのも悪くないかもな。


*********


次の日の昼すぎ、俺と母さんは大阪にいた。
今から行くのは西門清四郎氏の家・・・今は娘婿が当主のこの家に高城の息子として訪れるわけだ。
法要はすでに昨日終わっていたから、ここにいるのはごく僅かな身内だけだと聞いていた。それなのに・・・!

「よっ!・・・久しぶりじゃん!話を聞いてたから待っててやったぞ!」
「・・・なんでここにいるんだよっ!さっさと東京に帰ればいいだろう!西門流ってのは暇なのか・・・ったく!」

「・・・素直じゃねぇなぁ!日本にダチがいないだろうから待っててやったのに!お前みたいに社長やってるヤツだけが忙しいんじゃねぇよっ!伝統文化継承者ってのもこう見えて忙しいんだぜ?」

相変わらず気障な西門総二郎がこの家の門に入るなり現われて、なんでか知らないが男の俺に流し目なんか送っていた・・・。
俺とこいつが似てるって言うが、絶対に俺の中にはこんな女ったらしの血は流れてないからな!思いっきり俺が嫌な顔をしたのに
クスクス笑って正面玄関に向かった。

「忙しそうには見えないけど。そう言えばさ、お前んとこの・・・・・・いや、何でもない」
「なんだよ、感じ悪いな・・・いい時なんかなかったけど」

「どいつもこいつも一言余計だよっ!」

つい、こいつに翔子のことを聞いてしまうところだった。聞いてどうする気だったんだ?
彼女は関係ない・・・俺には関係ないんだから無理に聞かなくてもいいだろう。どうせアメリカに帰ったらまた会うんだろうし・・・。

「何ブツブツ言ってんだよ。早く入ろうぜ?親父さんが待ってるぞ。葬儀の時もサボりやがって・・・俺はあの時3日間待ってたんだからな!」
「・・・大きな声出すな!この家に騒動が起きるぞ。それに待っててくれなんて言ってない。俺の父親はぎっくり腰で寝てるよ!」

俺たちの会話をどう聞いているんだか、母さんはほんの少し悲しそうに笑ってる。
余計なことをいう総二郎の後ろ頭を殴ったら、次の瞬間後ろから腰を蹴られた・・・っ!

「何すんだよっ!俺まで腰を痛めたらどうすんだよ!上場企業の社長の腰だぞっ!」
「お前が俺の頭を殴るからだろうっ!次期人間国宝かもしれねぇのに・・・やられたらやり返すまでだ!」

「いい加減になさい!誠も総二郎さんもっ!清四郎さんが見ていらっしゃいますよ!」
「「・・・・・・」」

母さんが流石にキレた。くそっ・・・!総二郎を見たらこいつもニヤッと笑った。・・・やっぱり同じ「血」かもしれないと思ったさ。


**


親父の遺影を前に、壁一面が埋まるほどの仏壇に向かって手を合わせた。
あの時と同じ・・・もうこれ以上歳をとらない親父は最後にあった時と同じ顔でにっこり笑って俺を見下ろしてるかのようだった。


なぁ・・・親父。あんたは最後に俺の事をどう思ったんだ?・・・残り少ない時間をあんな風に使ったのは俺といたかったからだと思ってていいかな。大阪まで親父を訪ねて行ったことは正解だったと思ってていいよな・・・。

葬儀の時、来なくてごめんな・・・信じなくてもいいけどさ、俺はイギリスであんたのために教会で祈ったよ。
宗教が違うなんて言わないでくれよ、親父・・・。


心の中でしか親父と呼べないけど、この短い時間、静かに親父のために手を合わせた。
総二郎も母さんも・・・後ろからそんな俺をジッと見ているのがわかったけど、ほんの少し目頭が熱くなったことなんか見せられなかった。


**


「それじゃあな・・・今度は日本に帰ってきたら東京で飲もうぜ?昨日は類と会ったんだろ?あいつ、まだ警戒してただろ?」
「あぁ!思いっきり態度に出してくるからわかりやすかったよ。父親になっても進歩がないんだから嫌になるさ」

西門の門前で迎えの車を待っている時だった。総二郎と最後に話をしていると俺の後ろの方から女性の声が響き渡ったんだ。
それはまったくあの時と同じように・・・!


「捕まえてー!その人、泥棒なの!誰かっ・・・誰か捕まえてーーーっ!」


・・・ん?なんだ、この懐かしい響き。しかも声がそっくりなんだけど・・・。

俺は声のする方を振り向いて、その光景に驚いた!


走ってくるのはチンピラみたいな若造だけど、その後ろから黒髪を振り乱して走ってくるのは・・・!

「翔子・・・?翔子じゃないか!」
「・・・なんでお前が翔子を知ってんだよ!・・・ってか、どっちが捕まえる?」
「アメリカで知り合ったんだよっ!・・・総二郎に任せた。俺は・・・」

ジーンズに小さなバッグだけ抱えたあの時と同じ翔子が、必死の形相でひったくり犯を追い掛けてきたんだ!

「あぁーーっ?!高城さんっ!捕まえてーーーっ!!」

「あ、あぁ!わかった・・・!」

俺は・・・そのチンピラが横を通り過ぎたのがわかったけどそんなものに目を向けなくて、こっちに走ってくる翔子だけを見ていた。
そして言われた通りに目の前まで来た翔子を思いっきり抱き締めてしまったんだ!
翔子はいきなり俺に抱き付かれたからびっくりしてる!・・・俺も、自分の行動に驚いてる。

「ちょっとっ!!高城さん、捕まえてって言ったじゃないっ!」
「だから捕まえたじゃん!・・・あんたを!」

「・・・はっ?」

「・・・飛び込んできたあんたを・・・捕まえただろ!」


うわ・・・!なんだろう。この気持ち・・・全身に電気が走ったみたいなすっげぇ衝撃だったんだ!
翔子の黒い瞳があの応接室の時よりほんの少し近くなってるかも・・・そして、心臓はあの時よりも早いかもしれない。

これがダイレクトに翔子に伝わったらどうしよう・・・そんな事を言ったら絶対に科学的に証明してやると言われそうだよね。


**


「おーい!翔子・・・この男どうすんだよ!いつまで誠に抱かれてんだ?俺はどーしたらいいんだよっ!」

ひったくり犯を捕まえた総二郎が、やけに嬉しそうにその男を足で踏んづけたまま俺たちを見ていた。結局、俺の横を擦り抜けた男も総二郎にはあっさりと捕まってその場に倒されたんだ。翔子の荷物は総二郎の片手にしっかりと握られていた。

「なんだよっ!昼間っから公道でラブシーンか?その程度じゃ俺は見飽きてるけどよ!誠・・・キスの仕方がわかんないとか言うなよ?翔子にはわかんねぇだろうけど!」

「なっ・・・何言ってんのよ、総二郎お兄様っ!」
「馬鹿にするな!そのぐらいわかってるよ・・・そうじゃなくて・・・」

この手の離し方がわからないんだよっ!


もしかして親父・・・あんたの悪戯か?
今頃空の高いところで俺の事を笑ってんだろうな・・・!そう思うと俺も笑いが溢れた。


「高城さん・・・あの、少し手を離してくれない?」
「いいよ、その代わりこの後の時間を俺にくれるならね」


この世にはマサチューセッツ工科大学でも分析できないものがあるかもしれない。



それがなんなのか・・・これから翔子と話してみようか。



fin

14919648850.jpeg

Sister Complex ・番外編~恋の予感 ~、終了でございます!
誠くんの恋が上手くいきますように♥

突然書いてしまった番外編でしたが楽しんでいただけましたか?

長かったシスコンともこれでお別れ・・・沢山の応援コメント、本当に嬉しかったです。
最後まで読んで下さった皆様に感謝致します。ありがとうございました。
関連記事
Posted by

Comments 12

There are no comments yet.
-  
管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます

2017/11/21 (Tue) 12:55 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: こんにちは!

えみりん様、こんにちは~!

あはは!ちょっと待って!なに?結婚式って?
これで全部終わったんですって~💦そんな事言ったらすぐに調子に乗るからダメだって!
いい例が茶と華と・・・書かないと言っておきながらすぐ紅葉狩り書いたし~!

総ちゃんとの漫才、楽しかったですか?良かったっ!
なかなか総ちゃんの後ろ頭を殴る人はいませんからねぇ!F3以外で。

翔子ちゃん、二度あることは三度ある・・・もう一回何処かで引ったくられるんでしょうね。
多分その時カバンに入れてるのは婚姻届か婚約指輪でしょう!(笑)

頭の中でこの2人のその後を想像して下さいね!
それでは今日もありがとうございました~♥

2017/11/21 (Tue) 13:15 | EDIT | REPLY |   
-  
管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます

2017/11/21 (Tue) 15:23 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: いいですねぇ~♪

えみりん様・・・爆笑!

了解しました。
それいただきましょう。面白いじゃないですか!
それではクリスマスでいいでしょうか(笑)え?先過ぎる?(笑)

だって、終了って書いたばっかりなんだもーん!
クリスマスなら何でもありで書けそう(笑)

誰も期待してないって?

・・・自己満足です!このネタ、気に入りました!1ヶ月後お楽しみに!(忘れられてるかも💦)

2017/11/21 (Tue) 15:35 | EDIT | REPLY |   
-  
管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます

2017/11/21 (Tue) 18:45 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

さとちゃん様、今晩は! 初めまして~♥
ご訪問&コメントありがとうございます~!

って、マジですか?💦
そんなに?困りましたねぇ・・・番外編なんで実は考えてないんですよ!
だいたいお話自体も突然思いついて始めたので、焦りながら書いたもんですから。

そうですか・・・誠くんと翔子ちゃんに相談してきます(笑)
えーと・・・恋の予感でしたから・・・次はなんだろう(笑)

うわ~んっ!すごい宿題もらっちゃった気分!
類と総ちゃんにも出演交渉してきますので暫くお時間下さいね(笑)

楽しんでいただけて嬉しいです!これからも宜しくお願いします♥

2017/11/21 (Tue) 19:30 | EDIT | REPLY |   
-  
管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます

2017/11/21 (Tue) 19:35 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: 恋の予感!

切山椒様、こ・・・今晩は!

今度は切山椒様まで?(笑)
待って待って!ちょっと待って!どうしたの~💦

誠くん、なにこれ(笑)人気者っ!!

絶対におかしい・・・本編中は嫌われていたのにっ!
どどどどどど、どうしようっ!!って気分です。

マサチューセッツ工科大学ネタとかもう書けないし!(笑)

これから最終段階に入る向日葵もあるんだけど・・・カフェオレも入れなきゃいけないし。
12月はXmasstoryあるし・・・。

今日の夜に類と総ちゃんと誠くん呼んで相談してきます。
意外とみんな我儘だからいうこと聞いてくれないかも(笑)

えぇ、でも読者様は神様ですから(死語💦)善処します・・・うわ~んっ!

2017/11/21 (Tue) 19:49 | EDIT | REPLY |   
-  
管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます

2017/11/25 (Sat) 00:18 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

さとぴょん様・・・こんにちは~!

ちょっとーっ!今度はそっちですか(笑)その世界は未知の世界でして、足を踏み入れたことがございません!
確かにいつの間にかこんなモテ男になってしまいましたねぇ!
皆様、翔子ちゃんじゃなくて、類くん対誠、総ちゃん対誠をお望みのようで・・・私、どうしたらいいのやら、ですよ!

仕方ないわ・・・どうにかして総ちゃんと飲みにでも行かせて、誠を泥酔させて、そのまま何処かに連れ込んで・・・
そこに類も呼んで、とうとう3人で・・・どっひゃーっ!!

どうする?どうする?そうなったらどうする?💦
誰が一番主導権とるの?さとぴょんさーんっ!!

2017/11/25 (Sat) 09:08 | EDIT | REPLY |   
-  
管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます

2017/11/25 (Sat) 11:23 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

さとぴょん様・・・おほほほほほっ!

こちらこそ朝からニヤけるコメントありがとうございました!

だってーっ!
2人だったらマジになりそうだけど、3人ならギャグでいけそうだったんだもん!
で、私の中では類が主導権持っています。むふっ!

2017/11/25 (Sat) 12:46 | EDIT | REPLY |   

Leave a reply