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plumeria

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「じゃあ、おやすみ。明日の実験、頑張ってね」
「うん・・・誠さん、今日の事なんだけど・・・ごめんなさい。待ち合わせをMITにしたからろくに話しも出来なくて」

「・・・どうしたの?今日に限ってそんな事言うなんて。いつもの事じゃない・・・気にしてないよ」
「そう?あの・・・明日、楽しみにしてるね!じゃあ、さよなら!」

さよなら・・・って、やっぱり寄っていかない?なんて言葉は出ないんだね。
俺は翔子が滞在してる短期の賃貸マンションの前で手を振られた。

「うん。また明日・・・迎えに行くよ」


本当はニューヨークに来るって聞いた時、俺のマンションに一緒に住まないかって言ったけど、その時も「なんで?」で終ったんだよな。「なんで?」って言われたら次の言葉が上手く出なかった。
だから「冗談だよ!俺の方が仕事で留守がちだもんね。ごめん!」って何故か謝ってしまった・・・。

こんな時どう言えばいいのか、さっきそれを総二郎にこっそり聞いたらあっさり答えられた。


『お前のことが大事だからさ・・・常に俺の傍にいて欲しいし、肌の温度が感じられる距離って必要だろ?他の男が俺より近いところにいるなんて許せないんだ。だから、一緒に住もうぜ?』

聞いてその場ですぐにセリフが出るってところに感動したよ。さすが生粋の西門生まれ西門育ち・・・あの顔でこんな言葉言われたら誰だって即答するよな。

もう少し自分でも積極的に動ける人間だと思ったのにな・・・。
どうも、フランスでの失敗を花沢に助けられたことといい、つくしと花沢の絆を見せつけられて失恋したことといい、あの頃から自分に自信が持てなくなってる。

ヤバい・・・どうにかしないと!
俺はもっと強くてエネルギッシュな男だったはず・・・昔の俺を取り戻さないと翔子との進展が1ミリもないかも。
仕事のことではこんなに悩まないのに、俺はその夜もド真剣に翔子とのこれからについて悩んでいた。


**********


次の日、総二郎とつくしたちが揃ってTAKASHIROまで迎えに来てくれた。
俺はすでに会社でスーツから普段着に着替えていた。食べに行く店も堅苦しくない所だって聞いていたからスーツは邪魔だ。

これから4人で翔子を迎えに、MITニューヨーク研究施設まで行くことになっている。
予想通り車の中でもつくしの手を離さない花沢・・・リムジンの中で向かい合ってるから目のやり場に困るんだけど!


「いい加減、そういう事はやめたらどうだ?つくしが困ってるんじゃないのか?鬱陶しい!」
「見なきゃいいじゃん。妹夫婦が仲良いからってそんなに羨ましそうな眼で見るなよ」

「見たくて見てるわけじゃない!この状況でどうやったら見ずに済むんだよ!・・・もし、これがいい年の役員連中と乗ってても同じことやるのか?」
「つくしに手を出しそうな男の前でやるんだよ。そんなの決まってるじゃん!」

「・・・俺は兄だから、そんなコトするわけないだろう!妹が可哀想だから言ってるんだ!」
「この世の中で兄ほど怖い存在はないってお互い知ってるでしょ?・・・俺はもう旦那だけど」


ああぁーーーっ!!腹が立つっ!
何で俺はこんな男と一緒の車に乗ってるんだ!

総二郎はクスクス笑って窓の外を見てるし、つくしは真っ赤になって下を向いてる。

もう少しでMITニューヨーク研究施設前・・・黙ってりゃ時間が過ぎて、俺の恋人が乗ってくるんだ。
頭にくるから眼を閉じて目の前の2人を見ないようにしていた。そうしたらわざと会話するんだ!この男はっ!!


「今日の服、可愛いね。やっぱりつくしには淡い色の服が似合うよ。今度、プレゼントするね!」
「あぁ、これ?だって類の好きな色でしょ?でも、もうしまう場所がないわよ?クローゼットはいっぱいだし。服なんていらないから早く帰ってくれる方がいいな・・・」

「そうなの?じゃあ明日から定時で帰ろうか?翼の面倒みてあげるよ」
「うん!助かるーっ!やっぱりパパじゃないとダメな時もあるのよね!」

「もちろんその後はつくしの面倒だよね。子どもが早く寝たら俺たちの時間も増えるよね?」
「やだっ!それはここで言わなくてもいいんじゃないの?もう、類ったら・・・」


アホくさ・・・2人でやってろ!

「総二郎・・・お前嫌にならないのか?こいつらと一緒にいて・・・俺はすでにキレそうだけど!」
「慣れりゃ問題ない。お前が年に数回しか会わないからだろ?毎回見てたら空気と一緒だ・・・無視出来るようになるさ」

そんなもんか・・・確かに年に数回どころか6年以上会わなかったからな。


車は待ち合わせた正面入り口の門に停まり、俺は急いで車を降りた。
翔子を探さないと、そう思ったとき真っ直ぐこっちに向かって来る翔子を見つけた。


あれ?何だろう・・・いつもと様子が違う。

翔子は長い黒髪をハーフアップにして可愛らしい髪飾りをつけていた。それにいつものジーンズじゃなくてロングのスカート。
フリルのあるブラウスにミニ丈のダウンジャケットを合わせて、翔子にしては凄くお洒落していた。

「あっ!お待たせした?ごめんね、誠さん」

「いや、今来たばかりだけど・・・どうしたの?今日、可愛いね」
「そ、そう?うん、特別に頑張ってみたの!みんなでお食事だから!」


みんなで食事だから?

それって俺のためじゃないの?
翔子・・・本当に君は俺の事、見てくれてるの?
少し不安になったけど、翔子の手を取って車に乗った。

「あーっ!翔子ちゃん、今日は可愛いね!そのスカート似合ってる!ふふっ、年相応って感じ!」
「えぇっ?わ、私今まで老けてたの?うそっ・・・!」

「あはは!!翔子のスカート姿なんてほとんど見たことねぇもんな!類達の結婚式でさえ、こいつパンツスーツだったぜ?いいじゃん、その方が色っぽいぜ?女は少し色気がねぇとな・・・そういうのに機械は反応してくれねぇだろ?」
「そんなものなの?色気・・・スカートってだけで人はそう思うの?」

「・・・肝心なのは翔子ちゃんが誰のためにお洒落しようと思ったのかっていう気持ちじゃない?それを大事にしなきゃ・・・ね?」


花沢の言葉にまた赤くなる翔子。
まさかとは思うけど、少しでも花沢に可愛く見られたいって事じゃないよね?総二郎なんか対象外だろうし。
どうして俺の方には顔を向けてくれないんだろう。
翔子を隣に乗せてるのに、総二郎の方ばかり見て窓から見える景色の説明なんかしてる・・・それが余計に俺を焦らせるんだ。


花沢達と向かった店は確かに庶民的な雰囲気で、カジュアルなテナントが並んでるビルの1階にあった。
広いオープンスペースがあって結構賑わってて、こいつらが普段予約を入れるような場所じゃない。

もしかしたら、西門の人間とはいえ普通に1人暮らしして気ままにやってる翔子のことを考えたのかもしれない。
翔子はマナーは知っているけど、堅苦しい店には寄りつかないんだ。
自由に食べて話せる環境がいいって、いつも俺と出掛ける時もオープンカフェのようなところで簡単に済ませるんだから。

まぁ、その理由が研究時間の確保って事になるんだけど。
少しでも早く食べて研究に戻るためには、テーブルマナーなんてものは邪魔なだけ。彼女の中ではそんなマナーなんてとっくに捨てられているらしい。


「それじゃ、滅多に会わないメンバーでの食事会に乾杯といこうか!」


総二郎が音頭をとって、5人で乾杯なんてものをして食事会は始まった。


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2018/01/09 (Tue) 20:55 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

水香さん、こんばんは!

ありがとうございます!
その後どうですか?元気になりましたか?

あまり気にせずに・・・ぼちぼちが一番ですよ?
私なんてこんなアホな事ばっかり書いてるのにね!

読んでるときは気にしなかった事が気になるんですよね~♥

みんな一緒ですよ!頑張りましょうっ!!

あはは!
この話?もうすぐ終りです!それまで楽しんでね!

2018/01/09 (Tue) 20:58 | EDIT | REPLY |   
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2018/01/10 (Wed) 00:27 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

さとぴょん様、こんにちは♥

あれ?そうだっけ?ご無沙汰かなぁ・・・そう言えば。
「独りぼっちのクリスマス」の総ちゃんはこんなんじゃなかったですかね?

向日葵が終ったら、京都のお話しにしようと思ったけど間に合いそうにないので
ちょっと大人恋愛の総ちゃん書こうと思ってます。
初めての・・・しか書いてない私が「女」のつくしちゃんに挑戦したいんだが・・・どうだろう。

ここでは総ちゃんにも悪い男になってもらおうかな・・・。
ブラック総ちゃん・・・ニヤリ。

いや、まだ構想練ってるのでわかんないけど!書けるのかしら・・・(笑)
ん?私には無理って?


あっ!そうそう、これ総つくの話じゃないってね!(笑)忘れてた!

2018/01/10 (Wed) 11:17 | EDIT | REPLY |   
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2018/01/10 (Wed) 12:57 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

さとぴょん様、今晩は!

えっ!世間ではソフトだったの?私、自分が大変すぎて他のお部屋には最近行けてないんです。
皆さん、可愛いクリスマスだったの?

我が家の総ちゃん・・・むっちゃガッついてましたけど!!マジで?ショック・・・!変態じゃん!(笑)
類君とあきら君はソフトに仕上げましたよね?だから総ちゃんはドッカーーンいこうと思ってたの!

へぇ・・・クリスマスはソフトなのか。
バレンタインは?バレンタインも可愛い方がいいのか!
(自由に書けよ!笑)

で、さとぴょん様・・・何回も読んだって(笑)
それは25日のことだよね?(笑)恥ずかしーーっ!!(笑)

花さんにも「出窓は私でもないわ」って言われた!
出窓・・・普通だよね?室内ってだけで普通に感じる・・・もはや麻痺したのか?

大人恋愛もの・・頑張ってみる!

今日も沢山ありがとうございました!

2018/01/10 (Wed) 18:18 | EDIT | REPLY |   

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