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私が英徳大学に入って初めての冬・・・当然ながら彼らも同じ大学に通っていた。

道明寺との恋もあっさりと終わって、そこまでも落ち込むこともなく・・・いや、かなり落ち込んだけど、「彼」のおかげで立ち直りが早かったのかもしれない。
そんな事を毎日思いながら大学の講義を受けていた。

ここは日本でも有数のセレブ大学だからかかる費用も半端ないんだけど、それを全面的に免除されるには特待生の枠しかなくて、私はそれを勝ち取るために入学試験ではあの3人をフル活用して頑張った。
だって塾も家庭教師も頼めないんだもの!

無料奉仕してくれるのは・・・花沢類と西門さん、それに美作さんしかいないじゃない?

国語と歴史関係は西門さん、理数系は花沢類、外国語は美作さん・・・何ともバランスよく得意教科が別れていて助かった。
おかげさまで入学時の成績はトップ・・・今でも学年で5番以内をキープしないと特待生から脱落してしまうのよ!
だから授業はとにかく集中して本気出していかないと!なんたって学校が終わればバイトに行かないといけないのは今でも同じなんだから。昼休みも全部勉強に使わないと4年間、学費免除なんて無理!


今もイタリア語の授業で、ラファエル先生の色っぽい講義が繰り広げられていた。

ウエーブのかかった金髪にグリーンの瞳・・・まさに王子様そのもの。そんな見た目のラファエル先生は女生徒に人気があって、イタリア語を専攻している生徒の大半は女子だった。いや、私の理由は全然違うんだけど。
軽やかなイタリア語が教室内に響き渡ってるけど、この中の何人がそれを語学として聞いているのかしら?ただうっとりと先生の顔を眺めている女子を一番前の窓際の席から見てしまう。いいなぁ・・・それで4年間過ごせるのなら!


ふと、窓の外に視線を向けたら・・・「彼」が誰かと話しているのが見えた。

「あれ?相手は誰だろ・・・生徒じゃないよね?」

少しだけ身を乗り出したら、通路の植え込みの所にあるベンチに座っている「彼」・・・それは美作さんと後藤まり子助教授!
英徳大学教授の中でもダントツ美人でスタイル抜群の後藤助教授と楽しそうに話し込んでいた。美作さんの少し茶色の髪がふわっと風に靡いてその表情が少し見えた・・・まるで溶けそうなその笑顔!今まで見たことあったかしら。

なによ・・・!後藤助教授はもうすぐ30歳なのよ?・・・10歳くらい上でもいいわけ?いくら年上が好きでもさ!


美作さんが少し手を彼女に伸ばしかけたような気がして、思わず私の方がもっと身を乗り出した時、目の前に人の影が!

「牧野さん!僕のお話より外の方が気になりますか?特別に牧野さんには今日の授業のレポート提出でもしてもらおうかな?」
「・・・っ!あ、すみません。レポートですね・・・わかりました」

ラファエル先生に見つかって・・・にっこり笑って怒られた。いや、私より不真面目な生徒は他にも沢山いるじゃないの!
チラッと教室を見回したらクスクスと笑い声がしてる。そうか!この先生、自分の事をぼーっと見るのは許せても、自分以外のものを見るのは許せないわけね?流石ナルシストのイタリア人・・・何だか道明寺を見るようだわ。

どうしても気になってもう一度チラッとベンチの方を見たけど、そこには美作さんしかいなくて後藤助教授はもう何処かへ消えていた。
まさか、あの後キスなんてしたないでしょうね!こんな校内で!・・・あぁっ!見なきゃよかった!!

目の前のイタリア語の教科書に思いっきりグサッ!とペンを突き立てたら、そこをしっかりとラファエル先生に見られていた。


*******


午後からの講義の空いた時間、図書館でイタリア語の資料を探していたら、私の姿を見つけた花沢類が嬉しそうに寄ってきた。

「牧野!何してるの?またお勉強?・・・熱心だよね。何探してるの?」

「うん、イタリア語で書かれた小説を探してるの。調べたいことがあってね」
「ふーん・・・イタリア語ねぇ。英語やフランス語の方が役に立つと思うんだけど。イタリアによく行く人って限られてるじゃない?」

「・・・仕方ないでしょ!私がイタリア語を選択してるんだから!花沢類はどうしたの?珍しいよね、図書館なんて」
「牧野が見えたから。それ以外の理由なんてないでしょ?」

その後お目当ての本が見つかって机で勉強していたけど、当然のことながら目の前には花沢類がいて私の勉強を邪魔してくる。
それはもう楽しそうに!あなたはいいのよ?元々頭もいい上に経済的苦労はまったくないんだから!
でもね?私には絶対に落とせない順位ってもんがあるのよ?・・・そう言っても返ってくる返事はわかりきっていた。

<それなら花沢が援助するから心配しないで?>

何回それを聞いたかしら。だけど、それをしないために精一杯頑張っているの!私は自分の足でしっかりと立ちたいのよ!
私がチロッって睨んでも、何の効果もなく花沢類の「天使の微笑み」が私に向けられるだけだった。


「あ・・・!もう1人珍しいヤツが来た」

「え?・・・だれ?」

「あきら。ほら、あそこの窓際の席。相手って・・・4年のミス英徳じゃない?」

うそっ・・・!
思わず持っていた本から手が外れて、読んでいたページがパラパラと・・・だけど、それよりも私の眼は美作さんの方に向いていて、彼とミス英徳の動きをまるで監視するように見ていた。
花沢類は溜息をついてそんな私を見ている。だけど、この眼が!・・・眼がどうしても向こうを見てしまうのを止められなかった!

どうして隣同士で座ってるの?向かい合わせでもいいじゃない?
どうして図書館なのに本を読まないの?借りてくるのが普通でしょ?
どうして美作さんの右手は彼女の肩に乗ってるの?その人は・・・あなたの何なの?


「クスッ!独り言、全部聞こえてるよ?牧野・・・全然ダメじゃん!ね・・・いいこと教えてあげようか?」

「えっ!聞こえてたの?ホントに?・・・で、いいことって何よ」


「あきらね、親から言われて今年のクリスマスパーティーに誰かをエスコートしなきゃいけないんだって!」

はい?それって私にとっていいことでも何でもないんじゃないの?
クスクス笑う花沢類の「天使の微笑み」・・・今は完全に「悪魔の微笑み」に変わったわ・・・。

「どうするんだろうね。もしかしてあの子なのかな?・・・どう思う?牧野」
「どうでもいいわよ!そんな事・・・関係ないもんっ!」


えぇ!そうですとも!関係ないわよ・・・例えそれが後藤助教授だろうがミス英徳だろうが!
これ以上ここでは勉強出来ないって事で、私は花沢類をそこに残したまま猛ダッシュで図書館を後にした!


*********


あれ?・・・今、走って出て行った子、牧野じゃないか?・・・なんだ!あんな色気のない走り方をして。もう大学生だってのに!

図書館で俺がミス英徳の4年生にあることを頼んでいた時、後ろの方で急に大きな足音が聞こえたから振り向いてしまった。
そしたら牧野がものすごい勢いで走っていくのが見えて・・・もう少しで捲れ上がったスカートからパンツが見えそうだったからものすごく焦った!よく見たらその奥の席には類がいて俺の方に向かって手を振ってる。

何やってるんだ?この2人は!
もしかして、類のヤツ、牧野に何度目かの告白でもしたのか?懲りない男だな・・・!

「それじゃ、頼むね。君のセンスに任せるよ。出来たら連絡して?最終確認は俺がするから」
「了解!任せておいて?あきらの頼みですもの・・・頑張るわ!」


彼女と別れて類の所に行ったらニヤッと「悪魔の微笑み」を見せた。

「何やってるんだ?さっき牧野が出て行っただろ?お前、また牧野を困らせてんじゃないだろうな?いい加減にしとけよ!」
「あきらこそ何やってたの?ミス英徳なんかに何の用だったの?・・・牧野がびっくりしてたよ」

「え?・・・見られてたのか。そりゃ、困ったな」

「牧野に見られて困る事なんてあるの?あきら、別にまだ牧野になにも言ってないんでしょ?」


そりゃ、まだ言わないさ。何も揃っていないんだから。
でも、この「悪魔」にさらわれる前に早く掴まえに行かないとな・・・。


もう姿が見えなくなったドアの向こう・・・牧野のスカートが心配だ!


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amore sfortunato(アモーレ・スフォルトゥナート)
イタリア語で「片思い」です。はい!突然始まった冬のあきらくんです!
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2017/11/24 (Fri) 13:34 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

わんこ様、こんにちは~!

あはは!それはどうだろう(笑)
もしかしたらご希望とは少し違うかも?ですが、このお話は今回3話で、Xmasに後半3話を予定しております。
と言いながら少し話数が変わることはよくあるんですけどね。

つくしちゃん、すでに困ってるかもしれませんね💦
もともとXmasにはあきらくんを書こうと思っていましたから、何とかhappyなお話しになるように頑張ります!
最近書いてなかったので書きたかったんですよね~!

応援コメントありがとうございました!予定では明後日、2話目です。間に合えば・・・💦

2017/11/24 (Fri) 16:46 | EDIT | REPLY |   
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2017/11/25 (Sat) 01:13 | EDIT | REPLY |   
plumeria  
Re: タイトルなし

さとぴょん様・・・こんにちは~!

久しぶりすぎてあきらがどんな人なのか忘れるところでした。
連載でもいまはあきらくんが出番少なくて、書きたいな~って思っていたんですけどね。
ややこしい話が続いたので書けなかったんです。

やっと少し落ち着いたので。

可愛らしいお話しにしようと思っています。今だけは・・・(笑)

2017/11/25 (Sat) 10:03 | EDIT | REPLY |   

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