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plumeria

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その交流会の当日、行われるホテルの最上階に部屋をとった。
変な意味はないが二次会まで行われるような大がかりなパーティの場合、着替えのために部屋を取るのは珍しいことじゃない。

なのに、こいつは・・・

「どーいうつもりっ?へっ・・・部屋なんてとって!!しかもなんで同室なのよっ!!」

「あのなぁ・・・て、面倒くさいやつだな、ホント。こんなときは準備のために部屋用意すんのは当たり前なの。
同室なのはしらねーよ、家元が気を利かせたんじゃないの?心配しなくても襲ったりしねーよ。
着替えも俺は向こうのベッドルームでするから」

「見ないでよ?!」

ちょっと悪戯ゴコロが沸いてきた。

「見たくない・・・と思う?」
「は?」

「女が着替えてるんだぜ?普通は見たいだろ?しかも俺たちは婚約者同士だ。誰もおかしいなんて思わないし・・・」

ぷっ!面白い。でかい眼して真っ赤になって・・・また固まってる。

「なんなら会が始まる前に・・・相性でも確かめとく?俺は全然構わないけど?」
「あ・・・相性?」

「そ、躰の相性ってやつ。これが悪いと続かないでしょ?」
「・・・・・・!!!」

「ぷっ!冗談だよ!こんな会話くらいで赤くなってホント子供だなーお前!」

「冗談・・・ですって?!」

振り返ったら・・げっ!すっげー怒ってる?あれくらいで?

「悪かったって!そんな怒んなよ。お前が変な想像するから、からかっただけ!ほら、もう着付けの担当者が来るぞ。
お前は向こうで支度しとけ」

やっぱり、慣れてないヤツをからかうもんじゃないな。家元にでも報告されりゃ、俺がとんでもないことになっちまう。

****

韓紅の大振袖に西陣織の金の帯を結び、豊かな黒髪をアップにして纏め上げ和装用の化粧をして・・・
その美しさにマジで焦る。
初めて会ったときもそうだった。

「あの・・・申し訳ないけど本当に初めてなので側にいてね?」
「わかってるよ。勝手にどっかに行くなよ」

このセリフ、知らないヤツが聞いたら100%恋人じゃね?

会場に入るとあまりの人の多さにびっくりしてるのか、キョロキョロして落ち着かない。
さすが伝統芸能関係とあって着物のヤツも多いがこいつほど似合ってる女もいねーな。
この俺が側に付いてるってのに色んな男がつくしを見てくる。

**

ありゃ?こっちに向かってるアイツ、京都の華道家元の息子・・・確か名前は 薫だ。

『お久しぶりですね、総二郎君。相変わらずいい男だね。・・・そちらは?』
「お久しぶりです。薫さん。こちらも華道されている牧野つくしさんです。」

『あぁ、牧野さんの所のお嬢さん?お美しいですね、羨ましいなあ。総二郎君とだなんて・・・
でもこの人遊び人ですよ?僕とどうですか?』

なんなんだ!!こいつ!ほっといてくれ!

「薫さん、冗談きついですよ?遊びならお互い様でしょう?婚約3回目・・・でしたっけ」

**

げっ!今度は書の・・・竹中とかいうやつ?

『総二郎君じゃないか!今日はまたすごい美女をご同伴だね。紹介してくれないか?』
「はあ・・こちらは華道をされている牧野つくしさんです。」

『良かったら向こうでお話でも・・』

こいつもかっ!こいつ今まで浮いた話のひとつもない堅物じゃなかったか?

「いえ、彼女はこういう場には慣れておりませんので失礼しますよ」

**

今度は誰だ!こいつ歌舞伎の若手役者じゃないかっ!!名前も出てこねーよ!

『いやぁ、総二郎君!今日も一段と色男だねぇ。特にこんな美人連れてちゃ、余計に目立っちゃうよ?』
「とんでもないですよ。今日は彼女の引立役ですからね」

『じゃ、彼女しばらくお借りできない?君も他の女性が待ってるんじゃない?』

誰も待ってねーし。お前なんかに貸さねーし!

「いえ、人見知りなんで気の利いたお話も出来ないと思うので遠慮しますよ」

**

何でこの俺がこいつを他の男から守るようなことしてんだよ!
もう誰も来るな!寄るな!話しかけるなっ!!
周りの男が全員こいつを見てる気がして落ち着かねーー!!

「総二郎さん・・・?」

「何だっ!!」

「・・・ありがとう」



「は?」

****

二次会・・・とやらは若いもんだけのパーティだったから、二人とも着物からタキシードとドレスに着替えた。

「はぁ・・・やっと息ができる」

「あんた、華道やってる割には着物とか正座とかって苦手なんだな」

「そうね。華道っていっても家の流派を継ぐのは弟だから、私は好きなようにさせてもらってるの。師範証ももってるけど、
教えることはほとんどないの。自由なアレンジメントの方が好きだから・・・だからね、いつも作業着みたいなのでやるのよ」

「なるほどねー、納得」

しかしまぁ、ドレスもよくお似合いで。黒のシンプルなドレスだけど付けてるアクセサリーも含めて上品だ。
黒髪に黒のドレス・・・赤い口紅と髪にさした一輪の花・・・
なんともミステリアスな雰囲気だ。

「総二郎さん、タキシード・・・素敵ね」

「そちらこそ、喋らなければ完璧だ」


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